負傷した野鳥、人間の病院のドアを叩いて助けをもとめる
Image by Istock <a href="https://www.istockphoto.com/jp/portfolio/BoukeAtema?mediatype=photography" target="_blank">BoukeAtema</a>

負傷した野鳥、人間の病院のドアを叩いて助けをもとめるの画像はこちら >>

 ドイツの総合病院の救急外来に、羽の生えた「緊急患者」が自らやってきた。

 窓をクチバシでコツコツと叩き、中にいる職員に必死に助けを求めたのは、一羽の野生のカワウだった。

そのくちばしには、釣り針が深く突き刺さっていた。

 カワウはなぜ、そこが助けてくれる場所だと知っていたかのようで、15年のキャリアを持つベテラン職員もびっくりしたという。

 だがカワウの行動は正解だった。消防隊が保護した後、病院スタッフは治療を行い、元気になって自然に戻ることができたのだから。

緊急外来の窓ガラスを叩く翼の生えた急患

 2026年2月中旬、ドイツ北部、ブレーメンの総合病院「リンクス・デア・ヴェーザー」の救急外来の入り口に、一羽の鳥が現れた。

 その鳥は、中にいる職員に気づいてもらおうとするかのように、くちばしで窓ガラスを叩き続けていた。

 病院職員のジハト・チルテ氏は、同僚から「窓を叩いている鳥がいる」と報告を受け、現場へ向かった。鳥は何かを必死に訴えているようだ。

[画像を見る]

チルテ氏がよく観察すると、この野鳥は怪我を負っていたことがわかった。

くちばしを貫通していた鋭い釣り針

 この鳥はカワウで、そのくちばしには、金属製の釣り針が深く刺さっていた。

 文字通り「川(かわ)」に生息する「鵜(う)」であるカワウは、巧みに潜水して魚を捕らえる能力を持つ非常に賢い水鳥として知られている。

 カワウを含む鵜の仲間は、視力が非常に発達しており、学習能力も高いことで知られている。

 だがその優れた視力をもってしても、獲物を瞬時に捉えるため、魚についていた釣り針にまでは気が付けない。

 刺さっていた針はカワウのくちばしを完全に貫通しており、そこには「かえし」と呼ばれる突起があった。

 一度貫通した針は、このかえしがあるために自力で抜くことできない。

  カワウは痛みに耐えながら、物理的にエサを食べることができなくなった絶望的な状況になっていた。

 そして知っていたのか、偶然なのか、人間の病院の緊急外来の前までやってきて、窓を叩いて助けを求めたのだ。

[画像を見る]

消防隊と病院スタッフが連携して救出作業

 病院スタッフは、怯えて逃げ回るカワウを安全に保護するために地元の消防隊へ応援を求めた。

 到着した消防隊員は医療スタッフと協力し、まずはカワウを慎重に捕獲した。

 治療には、医療現場や救助活動で使われる専門の器具が用いられた。

 くちばしを貫通していた釣り針の「かえし」の部分を切り落とし、組織を傷つけないように針を抜き取った。

 スタッフが青い医療用手袋をはめ、細心の注意を払って処置を行う間、カワウはじっと耐えていた。

[画像を見る]

 その後、傷口の手当てが行われ、カワウはようやく痛みから解放された。

[画像を見る]

治療を終えて再び自然の空へ

 手当てを受けたカワウは、治療が終わるとすぐに移動できるほどに回復した。

 最終的な検査で体に異常がないことが確認されたため、消防隊員によって近くの池まで運ばれた。放鳥されると、カワウは再び自由な空へと帰っていった。

[画像を見る]

 15年のキャリアを持つチルティ氏は、人間の患者を受け入れる救急外来のドアの前に鳥が現れ、助けを求めるかのように窓を叩いた今回の出来事に、大きな衝撃を受けたと語っている。

 カワウ界隈では、どこに行けば適切な治療が受けられるのかのマニュアルが出回っているのだろうか?

 いずれにせよ、魚についていた釣り針は人間のものだ。人間によって傷つけられたカワウを人間が救うのは、ある種の責任を果たしたことになるのかもしれない。 

References: Facebook[https://www.facebook.com/BlaulichtDeutschland/posts/pfbid05zN8WhF1Svh4s2UTBVh1THVtTNg4sxxKAoBiFro5antnPMz8VVHY41o1cLMLc2ekl]

編集部おすすめ