探査機ジュノーの最新データから、木星の衛星ガニメデに地球のオーロラとよく似たオーロラが発見された。
地球のオーロラにはいくつかの形状があるが、ガニメデで見つかったのは「脈動オーロラ」と呼ばれる斑点状の光の連なりが点滅するものだ。
ガニメデは太陽系で唯一独自の磁場を持つ衛星だが、ベルギー・リエージュ大学を中心とする国際チームの研究によると、この光の模様は地球の磁気嵐で見られる現象と酷似していることがわかった。
環境が異なる天体同士でも、オーロラを生み出す根本的な仕組みは共通していたことが、今回の精密な観測によって初めて明らかになった。
この査読済みの研究成果は『Astronomy & Astrophysics[https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2026/02/aa58379-25/aa58379-25.html]』誌(2026年2月)に掲載された。
衛星で唯一の磁場を持つガニメデ
木星の衛星ガニメデは、直径が約5,268kmもあり、惑星である水星(直径約4,880km)をも上回る太陽系最大の衛星である。
この天体の最大の特徴は、衛星の中で唯一、地球と同じように固有の磁場を持っている点だ。
磁場を持つ天体は、太陽から吹いてくる電気を帯びた粒子の流れである太陽風や、周囲の宇宙空間に存在する粒子を磁力線に沿って引き寄せる。
こうして引き寄せられた粒子が天体の大気に衝突し、酸素などの分子がエネルギーを受け取って光を放つ現象がオーロラである。
オーロラは美しいだけでなく、宇宙から降り注ぐ粒子の動きや、その天体を囲む磁気の壁である磁気圏の様子を教えてくれる重要な手がかりとなる。
地球の脈動オーロラと同じ構造を確認
実はオーロラといっても様々な種類がある。一般的によく知られているのは、ゆらゆらと垂れ下がるカーテン状(バンド)や、空を横切る弧状(アーク)、頭上から放射状(コロナ)のものだが、数秒~数十秒の周期でぼんやりとした斑点状(パッチ状)の光が明滅を繰り返す脈動オーロラという種類もある。
回ガニメデで発見されたのは、まさにこの脈動オーロラと同じ構造だ。
今回、リエージュ大学を中心とするチームが探査機ジュノーの紫外線分光器を用いて観測したところ、地球の脈動オーロラとそっくりなものが確認された。
これまでの地上からの観測では、ガニメデのオーロラを細部まで見ることはできなかったが、ジュノーが数kmという高い精度で観測したことにより、地球で見られるものと驚くほど似た構造が初めて確認された。
地球とガニメテのオーロラの発生原理は共通している
ガニメデに地球の脈動オーロラと同じような模様が現れるのは、光を生み出す発生原理が共通しているためである。
地球では、太陽風の影響で磁気圏の中にエネルギーが蓄積され、それが一気に解放されるサブストーム(磁気圏嵐)という現象が起きると、宇宙空間の波動によって高エネルギーの電子が大気へと激しく送り込まれる。
この過程で、光が断片化して斑点状の構造を作り出す。
ガニメデは地球のように太陽風と直接向き合っているのではなく、木星が作る巨大な磁場環境の中に位置している。
環境は大きく異なるが、ガニメデの磁場が周囲の環境と相互作用し、エネルギーを再編して放出した結果、地球と同じような斑点状の光が生み出されたのだ。
これは、天体の大きさや場所に関わらず、磁場を持つ天体であれば共通の仕組みでオーロラが形作られることを示唆している。
ガニメデのオーロラの詳しい分析は後継機に期待
今回のジュノーによるガニメデの至近距離での観測は15分ほどのごく短い時間だった。
そのため、このオーロラが地球の脈動オーロラのように実際に点滅しているのか、あるいは時間の経過とともにどのように変化していくのかはまだ分かっていない。
現在、欧州宇宙機関の木星氷衛星探査計画であるジュース(JUICE)が、ガニメデを目指して宇宙を航行している。
2031年に到着予定のジュースには、ジュノーと同系統の優れた紫外線分光器が搭載されており、長期間にわたってガニメデのオーロラを監視する計画だ。
次のミッションによって、宇宙に共通する物理現象のさらなる謎が解き明かされることが期待されている。
References: Aanda[https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2026/02/aa58379-25/aa58379-25.html] / Auroras on Ganymede and Earth share striking similarities[https://phys.org/news/2026-02-auroras-ganymede-earth-similarities.html]











