約6600万年前のエドモントサウルスの頭蓋骨から、ティラノサウルスの折れた歯が発見された。
最新のCTスキャン分析により、鼻の骨に突き刺さった歯の周囲には治癒の痕跡がなく、正面から骨を砕くほどの強烈な力が加わっていたことが判明した。
研究チームは、この一撃が致命傷となり、生きたまま捕食された可能性が極めて高いと指摘している。
死肉も食べる一方で、生きた獲物を正面から仕留める獰猛なハンターでもあったという、ティラノサウルスの生態を物理的に裏付ける重要な発見だ。
この査読済みの研究成果は『PeerJ[https://peerj.com/articles/20796/]』誌(2026年2月17日付)に掲載された。
6600万年前の死闘を物語る顔面に突き刺さった歯
約6600万年前、白亜紀末期の北米大陸で起きた格闘の痕跡が、最新の科学分析によって明らかになった。
アメリカ・モンタナ州東部のヘルクリーク層で発見され、現在はモンタナ州立大学ロッキー博物館に保管されている「エドモントサウルス・アンネクテンス(Edmontosaurus annectens)」の頭蓋骨を調査したところ、その顔面の鼻にあたる部分に、肉食恐竜の歯が突き刺さっているのが確認された。
エドモントサウルスは体長約12mに達する巨大な草食恐竜で、アヒルのようなくちばしを持つことから「カモノハシ恐竜」とも呼ばれるハドロサウルス科の仲間だ。
最新のCTスキャンで明らかとなった骨を砕く強力な一撃
アルバータ大学のタイア・ワインバーグ・ヘンツラー氏とロッキー博物館のジョン・スカネラ博士の研究チームは、この頭蓋骨(標本番号:MOR 1627)をコンピュータ断層撮影(CT)スキャンで詳細に分析した。
その結果、埋まっていたのはティラノサウルス属の歯であることが特定された。
有名な種であるティラノサウルス・レックス(T-レックス)の可能性も考えられるが、歯の断片のみでは特定の「種」を断定することはできないため、研究ではより広い分類である「ティラノサウルス属」として扱われている。
この歯は骨の深くまで達しており、突き刺さった瞬間に大きな衝撃で折れていた。
周囲に傷が治りかけた「治癒の痕跡」が全くないことは、噛みつかれた直後にエドモントサウルスが命を落としたことを示唆している。
正面から向き合った痕跡が示すハンターの性質
ティラノサウルス属については、100年以上前から「自分で狩りをする捕食者」なのか、それとも死んだ動物の肉を食べる「スカベンジャー(死肉漁り)」だったのかという議論が続いてきた。
現在は、その両方の性質を使い分けていたという見解が主流だが、今回の発見は捕食者としての獰猛な側面を改めて裏付けている。
歯がエドモントサウルスの顔面に突き刺さっていたことは、逃げる獲物を後ろから襲ったのではなく、正面から向き合って致命的な攻撃を加えたことを物語っている。
白亜紀の殺害捜査が明らかにした捕食行動の真実
研究チームは、この化石に残された痕跡を詳細に分析し、当時の個体間の相互作用を再現した。
骨の中に歯が折れて残るほどの強大な物理的力は、単なる死肉の消費ではなく、抵抗する獲物を力でねじ伏せて仕留めるために放たれた一撃である可能性が高い。
捕食によって命を落とした動物の直接的な証拠を提示した本研究は、恐竜時代の終焉に君臨したティラノサウルス属の圧倒的な身体能力と、当時の生態系の厳しさを改めて物語っている。
References: Montana[https://www.montana.edu/news/25112] / Peerj[https://peerj.com/articles/20796/] / Eurekalert[https://www.eurekalert.org/news-releases/1117084]











