陰謀論を信じるのは「考える力の不足」ではなく、規則や秩序を好む心理に関連している可能性
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 予測不能な複雑な出来事に、一貫した規則を見いだそうとする思考スタイルが、陰謀論を支持する要因に関連しているのかもしれない。

 オーストラリア・フリンダース大学の最新研究によると、一部の人が陰謀論を支持する理由は、情報を客観的に判断する思考力が足りないからではなく、規則や秩序を好む心理的傾向に関係している可能性があるという。

 

 たとえ高い分析能力を持っている人でも、本来は無関係なはずの事象を一つの大きな計画として結びつける、陰謀論の説明を受け入れやすくしてしまう可能性があるのだ。

 この査読済み研究成果は『Cognitive Processing[https://link.springer.com/article/10.1007/s10339-025-01326-0]』誌(2025年1月14日付)に掲載された。

陰謀論を支持する理由を思考の特性から分析

 なぜ一部の人は、高い教育を受けていても陰謀論を信じてしまうのか。

 これまでの研究では、情報を論理的・客観的に分析する思考能力、クリティカルシンキング:Critical Thinking)の欠如が、大きな要因の1つと考えられてきた。 

 しかし、それだけでは説明がつかない。陰謀論を支持する人の中には、優れた思考能力を備えている人も存在するからだ。

 そこで、南オーストラリア州フリンダース大学のネオフィトス・ゲオルギウ博士らは、その人が持つ「思考の特性」に注目し、550人以上を対象とした調査を行った。

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規則や秩序を求める特性が陰謀論を引き寄せる

 調査の結果、物事の間に規則性を特定しようとする「システム化」という思考スタイルを持つ人ほど、陰謀論を魅力的に感じる傾向がわかった。

 システム化とは、バラバラな出来事の間に一貫したルールを見つけ、整理して理解しようとする心の働きを指す。

 この傾向が強い人は、予測できない複雑な出来事に対し、明確な規則で説明してくれる陰謀論を、混乱した世界を整えてくれる回答として受け取ってしまう。

 つまり、世界を「仕組み」として理解しようとする姿勢が、皮肉にも陰謀論という筋書きを求めてしまう側面があるのだ。

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高い思考能力が、かえって陰謀論を信じる原因になる矛盾

 科学的な推論能力が高い人であっても、システム化の欲求が強い場合には陰謀論を信じる可能性が高まるという。

 ゲオルギウ博士は、こだわりが強く、物事を特定のパターンに当てはめて規則正しく説明しようとする性質が強い人々において、「能力があるからこそ、かえって誤った結論を信じてしまう」という矛盾した現象を確認した。

 本来、分析的な思考を好む人々は情報を論理的に処理できるはずだが、実際には「世界が筋の通った場所であってほしい」という秩序への強い愛着が、客観的に疑う能力を上回ってしまう場合があるのだ。

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情報の正誤判断よりも心理的な安心感が優先される

 システム化の傾向が強い人は、自分の考えと矛盾する情報が示されても、意見を修正する可能性が低いこともわかった。

 どれだけ論理的な事実確認を行っても、秩序を求める人にとって陰謀論は「世界を理解可能な状態に保つ」という心理的なニーズを満たしているため、納得させることが難しい。

 ゲオルギウ博士は、単に事実を突きつけるだけでなく、陰謀論がどのような心理的欲求を満たしているのかを理解し、その人の思考スタイルに合わせたアプローチが必要だと指摘する。 

References: Springer.com[https://link.springer.com/article/10.1007/s10339-025-01326-0] / Iflscience[https://www.iflscience.com/conspiracy-beliefs-may-be-linked-to-a-love-of-rules-and-order-not-a-lack-of-critical-thinking-82709]

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