愛くるしい砂漠の天使、スナネコは「ワン!」と鳴く(要音声)
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 目鼻立ちのバランスがスーパーキュートな「砂漠の天使」と呼ばれる世界最小級の野生ネコ「スナネコ」には驚きの習性がある。

 アフリカやアジアの砂漠に生息するスナネコは、繁殖期になると広大な環境で仲間を探すため、「ニャォ~」と鳴かずに、「ワン、ワォン」と、犬のような鳴き声で吠えるのだ。

 その貴重な音声を、アメリカ、ユタ州のホーグル動物園が公開していたので、聞いてみよう。

 外見と鳴き声のギャップの大きさは、音声吹き替えたのでは?と思っちゃうほどだ。

繁殖期にのみ犬のように吠えるスナネコ

 スナネコは普段は、イエネコのように「ニャー」と鳴いたり、機嫌が良いときに「ゴロゴロ」と喉を鳴らしたりするが、繁殖期になると、まったく違った鳴き声を出す。

 ネコというよりは犬のように、「ワン!ワオン!」と力強く吠える。英語では「バウワウ(bow-wow)」。

 なぜ繁殖期に限り、犬の鳴き声を出すのかとに変貌するのかというと、自分の位置を遠くの仲間に知らせるためだ。

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 この鳴き声は、障害物のない広大な砂漠で効率よくコミュニケーションをとるために役立っている。

 もともとスナネコは非常に優れた聴覚を持っており、この低い吠え声であれば、遠距離からでも互いの存在を聞き取ることができる。

 広大な砂漠という出会いの少ない環境において、確実にパートナーを見つけ出すために進化した生存戦略の一つと考えられている。

 ホーグル動物園が公開した動画には繁殖期のスナネコが「ワン!」と鳴く姿がとらえられているので、ぜひ見てほしい。

 本当に犬のように鳴いているね。

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砂漠環境に特化した世界最小級の野生ネコ「スナネコ」

 スナネコ(学名:Felis margarita)は、野生のネコ科動物の中でも特に小柄な種として知られている。

 成長した個体でも体長は45cmから57cmほどで、家庭で飼われている一般的なイエネコと同じか、それよりも一回り小さいサイズだ。

 体重も1kgから3kgと非常に軽いが、尻尾は28cmから35cmと長く、体の半分以上の長さがある。

 世界最小級のネコ科動物には、スリランカやインドに生息する、体重約1kgほどのサビイロネコや、南アフリカに生息する体重1.1kgから2.4kgほどの「クロアシネコ」がいる。

 これら小さいサイズの野生のネコ科の中でも、スナネコは唯一、砂漠地帯だけで一生を過ごすことができる動物なのだ。

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鋭い聴覚と足裏の毛で過酷な砂漠を生き抜く驚異の適応力

 砂漠で獲物を見つけるため、スナネコは非常に鋭い聴覚を発達させている。

 砂の中に隠れている小さな獲物のわずかな動きを察知し、的確に狩りを行う。

 主な獲物は、トゲマウスやアレチネズミといった砂漠に住むネズミの仲間、あるいは小さな鳥やノウサギの子供、爬虫類などだ。

 特にサハラ砂漠に生息するスナネコは、猛毒を持つサハラツノクサリヘビをも仕留めるほどの狩猟技術を持っている。

 また、スナネコには他のネコ科には見られない特徴的な足の裏がある。

 肉球を覆うように長く密度の高い毛が生え揃っており、これが断熱材の役割を果たす。この特殊な毛のおかげで、日差しに焼かれた熱い砂の上でも火傷をせずに歩くことができるのだ。

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 さらに、獲物を砂に埋めて保存し、後で食べに戻るといった計画的な行動も確認されているが、完全には解明されていない。

 足裏の厚い毛は、砂の上に足跡を残さないという効果も生んでいるため、スナネコの生態を調査することは、専門の研究者にとっても極めて難しいのだ。

 更に砂の色に溶け込む擬態効果の高い毛色も相まって、野生のスナネコを追跡することは容易ではないという。

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スナネコの保全状況

 スナネコは現在、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「低危険種(LC)」に分類されているが、最新の研究では楽観視できない状況が浮かび上がっている。

 ネコ科保護団体「Panthera」[https://panthera.org/blog-post/new-sand-cat-science-revealed]などの調査によると、スナネコが縄張りを持たず、半年間で1700平方km以上もの広大な範囲を移動していることが判明した。

 これは、これまで想定されていたよりもスナネコ一匹あたりの必要面積がずっと広く、生息密度が極めて低いことを意味している。

 一定のエリアに生息している個体数は従来の見積もりよりもずっと少ない可能性があり、絶滅危機レベルの引き上げを検討すべきだという意見も出ている。

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