お風呂とサウナ、どちらが健康効果が高いのか?血圧を下げ免疫力を高めるのはお風呂
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 お風呂とサウナ、それぞれに健康効果があるが、体の芯まで温まり、血圧を下げて免疫力を高めることができるのはどちらなのか?

 アメリカのオレゴン大学の研究によると、サウナよりも、適温のお風呂にゆっくり浸かる入浴の方が効果が高いことが明らかとなった。

 空気中にいるサウナとは違い、お風呂のお湯の中では汗が蒸発しにくいため、熱が逃げ場を失うことで体温が効果的に上がって維持されるという。

 じっとしているだけで心拍数や血流が増え、まるで運動した時と同じような効果が得られるのだ。

 この査読済みの研究成果は『American Journal of Physiology[https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/ajpregu.00012.2025]』誌に掲載された。

お風呂とサウナの温まり方を科学的に比較

 オレゴン大学の研究チームは、日常的に体を温める習慣が体にどのような影響を与えるのかを調べるため、健康な男女20人を対象に実験を行った。

 参加者全員、別々の日に、約40.5度のお湯に45分間浸かる入浴と、80度のドライサウナに10分間ずつ合計3回入る方法、さらに45度から65度の遠赤外線サウナに45分間入る方法の3種類を試した。

 「ドライサウナ」は、日本で一般的な高温のサウナ(熱い石に水をかけるロウリュを含む)のことで、「遠赤外線サウナ」は、光の熱で体を直接温める、比較的低温のサウナを指す。 

 研究チームは、それぞれの入浴中と入浴後において、体の中心部の温度である「深部体温」や血圧、心拍数、血液成分の変化を詳しく記録した。

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お湯の中では熱が逃げにくいため効率よく芯まで温まる

 その結果、約40.5度のお湯に45分間浸かる入浴が最も効率よく深部体温を上昇させることが明らかになった。 

 お風呂がサウナよりも体温を上げて維持しやすい理由は、水と空気の性質の違いにある。

 サウナのような空気の中では、体温が上がると汗が蒸発し、その時に熱を奪い去ることで体温を下げようとする体の機能が働く。

 しかし、お湯に浸かっている状態では汗が蒸発できないため、熱が体の中にたまりやすくなる。

 この仕組みにより、サウナよりも低い温度の湯船であっても、体の芯まで熱が伝わり、温まった状態が長く維持されるのだ。

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入浴することで血圧が下がり、軽い運動効果

 ゆっくりお湯に浸かって深部体温が上がると、上がった体温を下げるために全身の血管が大きく広がる。すると、血液の通り道が広くなるため、血圧が自然と低下する。

 このとき心臓が1分間に送り出す血液の量である「心拍出量」も大きく増加し、全身の血の流れが活発になる。

 体内では心拍数が上がり、血管が柔らかくなるなど、軽い運動をしたときと似たような反応が起きている。

 じっと座ってお風呂に浸かっているだけで、血管への負担を減らしながらトレーニングをしているような効果が体に現れる。

免疫力が向上する仕組み

 今回の研究で特に注目されたのは、お風呂に浸かると、入浴後もしばらく免疫の仕組みに良い変化が持続した点だ。

 血液検査の結果、お湯にゆっくり浸かった後には、ウイルスなどと戦う免疫細胞の数が増え、炎症を抑える働きを持つ物質の数値が上がっていた。

 これは、お湯の熱が体にとって「適度な刺激」となり、体がそれに適応しようとして防御機能を高めるためだと考えられている。

 一方サウナでは、お風呂で見られたような顕著な免疫反応の持続は確認されなかった。

 ゆっくりとお湯に浸かることは、入浴後も体を守る力を高めてくれる独自のメリットがあるといえる。

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入浴は優れた健康習慣となるが体調に合わせて調節

 この研究を率いたオレゴン大学のクリストファー・ミンソン教授は、お風呂にゆっくり浸かる習慣が、怪我や病気で運動ができない人にとっての優れた健康維持法の1つの選択肢になるという。

 ただし、研究で行われた「40.5度のお湯に45分間の入浴」は、健康な男女を対象とし、専門家が深部体温を常に監視し、安全を確保した特殊な環境で行われたものだ。

 一般家庭で45分間浸かり続けることは、「のぼせ」や「熱中症」、最悪の場合は意識障害を引き起こすリスクがあるため注意が必要だ。

 ミンソン教授も、持病がある場合は事前に医師に相談することを強く勧めている。

 家庭でお風呂の健康効果を取り入れる際は、決して無理をせず、自分の体調に合わせて入浴時間を調整し、安全に楽しむことが大切だ。

References: Eurekalert[https://www.eurekalert.org/news-releases/1088986] / Physiology.org[https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/ajpregu.00012.2025]

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