地球外知的生命体探査(SETI)で有力な信号が検出されない原因は、送信元の恒星周囲にあるプラズマが電波を拡散させている可能性があるという。
SETI研究所が発表した最新研究[https://www.seti.org/news/why-seti-might-have-been-missing-alien-signals/]によれば、本来鋭いはずの人工信号は「宇宙天気」の影響でぼやけて届くため、従来の探査法では見逃されていた可能性が高い。
この発見は、天の川銀河の約75%を占める赤色矮星(M型矮星)からの信号検出において、新たな戦略が必要であることを示唆している。
この査読済み研究成果は『The Astrophysical Journal[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ae3d33]』誌(2026年3月5日付)に掲載された。
参考文献:
Why SETI Might Have Been Missing Alien Signals[https://www.seti.org/news/why-seti-might-have-been-missing-alien-signals/]
https://www.seti.org/news/why-seti-might-have-been-missing-alien-signals/[https://www.seti.org/news/why-seti-might-have-been-missing-alien-signals/]
恒星周囲のプラズマ乱流が電波信号を拡散させている
地球外文明が発信した電波信号は、送信元の恒星を囲む激しいプラズマによって、地球に届く前に形を歪められているという。
プラズマとは、高温で電気を帯びた粒子が自由に動き回る状態を指し、この粒子の流れである恒星風が電波の通り道を乱す原因となる。
本来、知的生命体が作り出す電波は特定の周波数に集中した鋭い形状をしているが、プラズマの層を通過する際に「にじみ」が生じ、エネルギーが周囲の周波数へ分散してしまう。
これまでのSETI探査は針のように鋭い信号のみを標的にしてきたため、プラズマで幅が広がった信号をノイズとして処理し、見逃してきた可能性が高い。
太陽系探査機のデータを用いて信号の歪みを数値化した
SETI研究所のヴィシャル・ガジャー博士率いる研究チームは、太陽系内を飛行する探査機が発する電波を解析することで、プラズマが信号に与える影響を正確に算出した。
研究チームは、探査機から地球へ送られる電波が太陽の恒星風によってどの程度ぼやけるかを実測し、そのデータを他の恒星系に当てはめるシミュレーションを行った。
この解析手法により、恒星の活動レベルに応じて電波信号がどの程度の幅に広がるかを予測する理論的な枠組みが完成した。
宇宙を旅する電波は星間空間でも歪みを受けるが、発信源である恒星のすぐ近くで発生する「宇宙天気」による歪みが、検出の成否を分ける決定的な要因になることが突き止められた。
M型矮星の激しい宇宙天気が信号検出の最大の壁となる
銀河系の恒星の約75%を占めるM型矮星の周囲では、電波信号が最も激しくかき乱されることが判明した。
M型矮星は、一般的に「赤色矮星」と呼ばれるグループの中でも、特に温度が低く質量が小さい星を指す天文学上の分類である。
M型矮星の表面では爆発現象が頻繁に発生し、周囲に膨大な量のプラズマを放出している。
銀河系で最も数が多いため宇宙人探しの主要な標的とされてきたが、この激しい宇宙天気が信号を隠す「にじみ」を作り出していたのである。
今後のSETI探査は幅の広い信号への対応が鍵となる
これからの地球外知的生命体探査は、信号が拡散していることを前提とした新しい検出アルゴリズムを採用しなければならない。
今後は、従来のような「鋭く一点に集中した信号」だけでなく、プラズマの影響でわずかに広がった形状の信号も検知できるように、探査システムの感度や周波数設定を調整する必要がある。
また、プラズマの影響を受けにくい高い周波数の電波を重点的に観測することも、未知の文明を見つけ出すための有効な手段となる。
ガジャー博士たちの研究成果は、探査すべきターゲットの選定や観測手法の設計に劇的な変化をもたらし、長年の沈黙を破る発見に繋がると期待されている。
References: Iopscience.iop.org[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ae3d33] / SETI[https://www.seti.org/news/why-seti-might-have-been-missing-alien-signals/]











