成体でも900g未満。白亜紀の極小恐竜の全身骨格を発見。小型化のプロセスが明らかに
Image credit: Gabriel Díaz Yantén, Universidad Nacional de Río Negro

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 アルゼンチンのパタゴニアで、約9000万年前に生息した極小恐竜のほぼ完全な全身骨格が発見された。

 この恐竜は成体でも推定体重が900gに満たない極小サイズで、アルナシェトリ・セロポリキエンシス(Alnashetri cerropoliciensis)という。

 米ミネソタ大学などの国際研究チームは、これまで謎だった進化の順序を塗り替える、意外な生存戦略を明らかにした。

この研究成果は『Nature[https://doi.org/10.1038/s41586-026-10194-3]』誌(2026年2月25日付)に掲載された。

参考文献:
Tiny’ dinosaur, big impact: 90-million-year-old fossil rewrites history
https://www.eurekalert.org/news-releases/1117307[https://www.eurekalert.org/news-releases/1117307]

砂丘に守られた全身骨格化石がパタゴニアで発見される

 アルゼンチン北部のリオ・ネグロ州にあるラ・ブイトレラ地域で、白亜紀の地層から恐竜の骨格が見つかった。

 発見したのは、米ミネソタ大学、アルゼンチンのマイモニデス大学などの国際研究チームだ。

 この恐竜はアルナシェトリ・セロポリキエンシス(Alnashetri cerropoliciensis)という。

 2012年に脚の骨の一部だけが発見され命名されていたが、当時はその全体像が謎に包まれていた。

 今回の化石は、砂丘の砂によって素早く埋められていたため、9000万年もの間、骨格が壊れずに保存されていたのだ。

 関節がつながった状態の全身骨格が見つかったことで、頭骨から尾の先まで詳細な構造が明らかになった。

 研究を共同で率いたミネソタ大学のピーター・マコヴィッキー教授は、関節がつながった完全な動物の姿が見つかったことは、進化の謎を解くための決定的な鍵となり、他の不完全な化石を正確に特定するための重要な基準になったと述べている。

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体重900g未満。ニワトリより軽い極小恐竜

 アルナシェトリ・セロポリキエンシス(以下アルナシェトリ)の最大の特徴は、恐竜としては驚異的な小ささにある。

 推定体重は2ポンド(約900g)未満で、現代のシチメンチョウやニワトリよりも軽い。

 研究チームが骨の微細な構造を顕微鏡で分析したところ、この個体は少なくとも4歳を超えた成体であることが証明された。

 成長途中の子供がたまたま小さかったのではなく、種として極限まで小型化した動物だったのだ。

 アルナシェトリは、アルヴァレスサウルス科[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%82%B9%E7%A7%91]という鳥に似た特徴を持つ恐竜のグループに属している。

 この仲間の後の時代に現れる種類は、腕が極端に短く、先端に大きな一本の爪を持つ。

 この一本の強力な爪は、アリ塚を壊して中にいる昆虫を食べる生活に適応した結果だと考えられてきた。

 しかし、南アメリカにおけるこのグループの進化の様子は、これまで詳しく分かっていなかった。

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食性が変わるよりも先に体が小さくなった驚きの事実

 今回の全身骨格は、進化の順序がこれまでの予想とは逆だった事実を明らかにした。

 これまでの研究では、アリを食べるために腕を短く進化させる過程で、その体の変化に合わせてサイズも小さくなっていったと考えられてきた。

 しかし、アルナシェトリは後の仲間に見られるような「一本爪の短い腕」を持っていない段階で、すでに1kgを下回るサイズまで小型化していた。

 アルナシェトリの腕は比較的長く、口にはしっかりとした歯が残っていた。

 この発見により、まず体格が小さくなり、その後にアリ食という食事スタイルに合わせて腕や歯が変化したという因果関係が明確になった。

 体の特徴が劇的に変わるよりも先に、まずサイズの変化が起きていた事実は、恐竜がどのようにして多様な姿へ進化していったのかを探る上で重要な手がかりとなる。

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超大陸パンゲアの分裂が極小恐竜を世界中に運んだ

 研究チームが北アメリカやヨーロッパの博物館にある化石を再調査した結果、アルヴァレスサウルス科の起源はパンゲア大陸がつながっていた古い時代まで遡ることが判明した。

 パンゲア大陸はペルム紀から三畳紀にかけて存在した超大陸である。

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 アルナシェトリの仲間は、すべての大陸が一つの巨大な塊だった時代に各地へ広がり、その後の大陸分裂によってそれぞれの土地に取り残された。

 アルヴァレスサウルス科の分布は、広大な海を渡った移動によるものではなく、地球の陸地が引き裂かれたことによって生じた。

 南アメリカで発見された小さな恐竜アルナシェトリ・セロポリキエンシスは、かつて世界がつながっていた時代の生き証人であり、大陸の移動が生物の分布を形作ったことを証明している。

References: Eurekalert[https://www.eurekalert.org/news-releases/1117307] / Nature[https://www.nature.com/articles/s41586-026-10194-3]

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