小惑星「リュウグウ」の砂から、生命の設計図を作る「核酸塩基」全5種類がすべて検出された。
日本の海洋研究開発機構などによる分析で、私たちの体を作る基本パーツが宇宙に揃っていたことが判明したのだ。
かつて生命の材料は地球で生まれたと考えられていたが、今回の発見で「宇宙から届いた」という説が現実味を帯びてきた。
宇宙から飛来した小惑星が、地球に生命の種をまいたのかもしれない。
この研究成果は『Nature Astronomy[https://www.nature.com/articles/s41550-026-02791-z]』誌(2026年3月16日付)に掲載された。
参考文献:
小惑星リュウグウ試料から5種すべての核酸塩基を発見
https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20260317[https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20260317/#c1]
リュウグウの砂から生命の材料である核酸塩基5種類を検出
海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究チームは、小惑星「リュウグウ」が持ち帰った砂や微細な岩片などの試料から、DNAとRNAを構成する5種類の「核酸塩基(かくさんえんき)」をすべて発見した。
核酸塩基は、地球上のすべての生物が持つ遺伝情報を記録するDNAやRNAを構成する分子で、生命の設計図を書き込む「文字」にあたる。
これまでの調査では、RNAで使われる塩基「ウラシル」1種類だけが確認されていたが、今回の精密な分析によって、新たに「アデニン」「グアニン」「シトシン」「チミン」の4種類も検出され、生命が利用する核酸塩基5種類すべてがそろった。
この結果は、生命の設計図を構成する基本分子が小惑星の内部に存在していたことを示している。
生命の材料となる分子が、地球が誕生する前から宇宙空間で作られていた可能性を示す重要な成果である。
生命の材料となる分子は宇宙空間に
今回の研究で使われた試料は、JAXAの探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウで採取し、2020年に地球へ持ち帰ったものである。
リュウグウは地球から約3億km離れた軌道を公転する小惑星で、太陽系誕生初期の物質を比較的よく残していると考えられている。
研究チームは、地球の物質が混ざるコンタミネーション(汚染)を避けるため、クリーンルームと呼ばれる清浄な実験施設で試料を分析した。
さらに検出された核酸塩基が地球由来ではないことを確認するための検証も行われた。
その結果、核酸塩基がリュウグウ内部で形成された可能性が高いことが示された。
今回の発見は、生命の材料となる分子が太陽系初期から宇宙空間に存在していた可能性を示している。
アンモニアが核酸塩基の形成に関わった可能性
研究チームは、リュウグウに含まれるアンモニアの濃度が、核酸塩基の種類や量のバランスに影響している可能性にも注目している。
アンモニアは窒素を含む分子で、有機分子の形成に関与する物質として知られている。
また、NASA)探査機「オシリス・レックス」が持ち帰った小惑星「ベンヌ」からも、同じ5種類の核酸塩基が確認されている。
複数の小惑星で生命の材料となる分子が見つかったことから、こうした分子が太陽系初期の宇宙空間に広く存在していた可能性が高まった。
原始地球では小惑星や隕石の衝突が頻繁に起きていたと考えられており、これらの天体が生命の材料を地球へ運び込んだ可能性がある。
研究チームは今後、これらの分子が宇宙でどのように作られ、どのようにして生命の誕生につながったのかを詳しく調べる予定だ。
References: Jamstec.go.jp[https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20260317/]











