行方不明のペットのAI生成画像を送りつける詐欺事件が発生(アメリカ)

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 アメリカのフロリダ州で、行方不明になったペットを探している飼い主をターゲットにした、新手の詐欺事件が話題になっている。

 ペットを探すために飼い主が公開した写真を悪用し、AI生成でそのペットそっくりの画像を作って飼い主に連絡。

治療費などの名目でお金を騙し取る手口である。

 最近では生成AIが作る画像の真実味が増してきており、ペットの「写真」を見せられた飼い主たちは、藁にも縋る思いでお金を払ってしまうケースもあるようだ。

行方不明になった愛犬が交通事故で大ケガを?

 フロリダ州セントピーターズバーグで、ヘイゼルという名前のジャーマンシェパードを飼っているデニスさん・ミシェルさんのモリダ夫妻も、このAI詐欺の被害者だ。

 2026年1月20日、ヘイゼルはデニスさん宅の裏庭に設置された木の塀の隙間から抜け出して、行方不明になってしまった。

 デニスさんはSNSや地域の交流掲示板にヘイゼルの件を投稿し、情報と助けを求めたという。

たくさんの人が集まってくれて、Facebookやいろんな団体にも呼びかけて、通りのあちこちをみんなが探してくれていました。

その時点ではもう最悪の事態も考えていて、「何か起きてしまったのかもしれない」と思っていたんです

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 すると投稿から数時間が過ぎたその日の午後11時ごろ、セントピーターズバーグ警察署の巡査部長を名乗る人物から、デニスさん宅に電話がかかって来た。

 この「巡査部長」は、ヘイゼルが車にはねられて地元の動物病院に搬送され、手術を待っているところだと告げ、事故の詳細と事件報告番号まで教えたそうだ。

 そして電話はそのまま、担当の「獣医」に繋がれた。すると「獣医」は、手術台に横たわって診察を受けているヘイゼルの「写真」を送りつけて来たのだ。

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手術代を送金するよう要求されたものの…

 この「獣医」は動転している夫妻に対し、手術代として1,900ドル(約30万円)を送金するよう要求したという。

「承認していただけるなら、1900ドルの支払いが必要です」と言うので、「じゃあクレジットカードで」と答えたら、「うちは非営利だからカードは使えません」と言われたんです。

その時は、私はそれが変だとは思わなかったんです。結局、「ZelleかVenmoはありますか」と聞かれて、「Zelleならあります」と答えました

 ZelleやVenmoは、アメリカで使われているデジタル送金サービスだ。

デニスさんはすぐに送金しようとした。

 だがこの時、Zelle側の不正送金の検知システムが不審な高額取引としてこの送金に反応し、エラーになってしまったのだそうだ。

 送金はうまく行かなかったが、「獣医」は夫妻に、翌朝ピネラス郡の動物保護施設ヘイゼルを引き取るようにと伝えて電話を切ったという。

 ミシェルさんは、その時の様子をこう語っている。

すべてが本物らしく聞こえました。私が「彼女に会いに行ってもいいですか?」って聞いたら、「ああ、午前9時半ならいいですよ」って言われたんです

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翌朝、愛犬は何事もなかったのように庭に現れた

 ところが、わざわざ会いに行く必要はなかった。なんと翌朝になって、ヘイゼルは無傷な状態でデニスさん宅の庭に現れたのだ。

ヘイゼルは尻尾を振りながら、ゴルフカートに座っていて、誰かが迎えに来るのを待っていました。

あれだけ探しましたが、実は彼女はそれほど遠くには行っていなかったんでしょうね。

たくさんの人が集まって探し回っていたので、怖くて出て来られなかったのかもしれません

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 だが、ヘイゼルが無事だとすると、あの写真に写っていた「車に轢かれた犬」は、どこの犬だったのだろう。

 手術台に横たわった犬は、どこからどう見てもヘイゼルにそっくりだった。そこでデニスさんは、電話の相手が名乗っていた地元の動物病院と連絡を取った。

すると病院の人は「何のことかわかりません。

確認させてください」と言って、そのあと「そのような話は把握していません」と答えました。

その瞬間に、「ああ、自分は騙されたんだ」と気づいたんです

増え続けるAI生成画像を使った詐欺事件

 このような、生成AI画像を使った詐欺事件は、昨年あたりからアメリカで増え続けているという。2025年秋にも、同様の事件がカリフォルニア州で発生している。

 この年の11月4日、高齢男性の飼い主のもとから、チューイーと言う名前の介助犬が姿を消し、行方不明になったのだ。

 その数か月後、男性のところに突然チューイーらしき犬の写真が送られて来た。犬はぐったりとしてチューブや点滴に繋がれており、意識はないように見えた。

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 写真の送り主は、チューイーがフレズノにある動物病院兼歯科クリニックで手術を受けたとして、お金を送るよう要求してきたという。

 だが飼い主の男性は送金する前に、そのクリニックに直接連絡を取ってみた。その結果、写真が偽物であることが判明したのだ。

 残念ながら、チューイーは今のところまだ見つかっていない。だが少なくともこの男性は、詐欺被害に遭うことだけは免れたわけだ。

 現在デニスさんはドッグトレーナーとして、「オールウェイズ・ア・ウォリアーK9[https://www.alwaysawarriork9.com/]」という非営利団体を運営している。

 ここでは負傷した退役軍人や救急隊員のための介助犬を訓練しており、ヘイゼルもそんな訓練犬の1匹だったそうだ。

 デニスさんはもともと法執行機関や軍に関わる仕事をしており、自分の体験を語ることで他の人の役に立てればと考えているという。

(犬の訓練に携わるプロとして)本来なら気づくべきでした。でも、あの状況では冷静に考えるのが本当に難しかったんです。

でもその時はすごくリアルで、正当なことのように思えたんです。ヘイゼルを取り戻すためなら、私は何でもするつもりでした。

ああいう形で騙されるのは本当にひどいことです。だから、同じことが他の誰にも起きてほしくないんです

 こちらはこの事件を報道するニュースの映像である。

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 インタビューの中でデニスさんはこのように話している。

私は「プロなのに」と自分を責めました。でも、私はすべての出来事には意味があると信じています。今回の出来事の意味は、この体験を世の中に伝え、誰かの役に立つことなのでしょう。



こうした詐欺師は確かに存在しています。彼らはあなたの感情につけ込むためにあらゆる手段を講じてきます。

ですからまず深呼吸をして、よく考えて、できる限りの情報を集めて確認するようにしてください

 デニスさんは現在、警察への被害届の提出を進めているという。また、今回の経験を受けて、ヘイゼルにはエアタグを装着することにしたそうだ。

 なお、今回の詐欺に使われた地元の動物病院では、電話で緊急の支払いを求めることは決してないと注意を呼びかけている。

References: St. Petersburg couple says scammers used AI photo of their missing dog to steal money[https://www.tampabay28.com/news/local-news/st-petersburg-couple-says-scammers-used-ai-photo-of-their-missing-dog-to-steal-money]

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