17世紀の木造の沈没船の一部が海岸に漂着し、パズルのピースが埋められていく
image credit:<a href="https://www.bournemouth.ac.uk/news/2026-02-09/17th-century-shipwreck-discovered-studland-bay-following-winter-storms" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Bournemouth University</a>

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 探し続けたパズルのピースが海から浮上した。17世紀の難破船の研究チームが、部分的な発見から10年以上を経て、ついに船体らしき残骸を発見したとの報告が話題だ。

 2026年1月28日、嵐が去ったイギリスのドーセット州スタッドランドの海岸で、ボーンマス大学の海洋考古学者が重要な漂着物を発見した。

 大きさは長さ約6メートル、幅約2メートル。この木製の残骸は、1631年に沈没したオランダの武装商船「フェイム」の船体である可能性がきわめて高い。

 海に沈んだ「フェイム」のかけらを10年以上も探し続けるBUの学生と研究者にとって、夢にまで見た「本物のお宝」だ。

 政府機関の海洋考古学者もわくわくが止まらない発見ニュースをお伝えしよう。

これぞお宝?海岸で研究者が発見した木造船の残骸

 2026年1月28日イギリス、嵐が去ったドーセット州スタッドランドの海岸で、ボーンマス大学(BU)の海洋考古学者トム・カズンズ氏が、一部砂に埋まった状態の漂着物に目を留めた。

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 それは古びた木造船の残骸だったが、当初は大部分が埋まっていたため、通りすがりの人ならさほど気にもしなかっただろう。

 ところがこの残骸、いざ慎重に発掘すると、長さ約6メートル、幅約2メートルもの大きさだった。

 学生らとともに、400年前に沈没したオランダの武装商船を探し続けるカズンズ氏にとって、突如姿を見せたその物体はまさにお宝。

 彼らBU研究チームは10年以上も前から、この船の難破跡と思しき場所からいくつもの遺物を海中から引き上げてきた。

 しかしパズルでいうなら、中でもこれは特別なピースの1つ。発見直後から、チームの中に突如姿を現したこれこそが、探し続けた本体の一部という確信が芽生えた。

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1631年に沈没した難破船。
オランダ製の武装商船フェイム

 記録によると、その難破船の名は「フェイム(Fame)」。日本語では”名声”を意味する。

 オランダで建造された全長40メートル、幅10メートル、高さ15メートル(推定)の大型商船で、ヨーロッパからカリブ海へ塩を運ぶ際、海賊からの自衛のため、40門もの大砲で武装していたと考えられている。

 1631年プール港の沖合で沈没したが、その原因は座礁とされ、悪名高い砂州(さす)に錨(いかり)を引きずり座礁してしまい、船体が折れたと言い伝えられている。

 記録では、45人の乗組員全員が無事に船を脱したものの、地元住民がすぐに難破したフェイムの略奪を始めたという。

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最初に見つかったのは木材と大砲

 海中からこの船の残骸が初めて発見されたのは1990年。最初に見つかったのは木材、そして大砲だった。

 イギリスのサウス・ウェスト・イングランド・ドーセット州に位置する町プールの沖合スワッシュ海峡で、航路の障害物を取り除く作業中に、大量の木材と鉄製の大砲1門が引き上げられた。

 そこから過去の記録と専門家の分析により、約400年前難破した「フェイム」の可能性が高いと結論付けられた。以降、調査が進むたびにパズルのように一部が発見され出した。

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過去には船首楼の一部、長さ8メートルの舵も

 2004年の学術調査で、フェイムの船首楼(せんしゅろう:船の一番前にある1段高い構造物)の一部など、上部構造を含む遺構が発見されたことを機に、政府の文化遺産保護組織イングリッシュ・ヘリテッジが本格的な調査に乗り出した。

 ところが続く調査で、残骸が予想を超える範囲にまで広がっていることが判明。そこで地元BUと考古学者が同組織の依頼を受けて調査協力することに。

 2006年以降、BUの考古学的水中発掘プロジェクトとなった調査では、小さなものから大きなものまで、いくつもの遺物が発見されてきた。

 2010年の大規模調査で、この船の遺跡のフォトモザイク画像が作成されると、翌年に船首楼が引き上げられ、2013年には長さ8メートルもある舵の引き上げにも成功。

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 それら遺物は現在プールの町の博物館の展示品となってるが、精巧な彫刻と、装飾的なデザインからもこの船が高級なものである可能性が高まった。

 なお、こうした彫刻はオランダ船の伝統で、当時のローマ人またはオランダ人兵を表したと考えられている。

400年経てもわかる職人技の証

 そして今回、海岸に現れた最新の残骸は、船体の外側を構成する5枚の板に、船の骨格にあたる15本のフレームが、木製の釘で強固に留められていた。

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 フレームには侵食が見られるが、船体板の状態は非常に良好。ただ残念ながら、内側にもう一枚張られているはずの板は失われたとみられる。

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 こうした状態の違いから、この船体は数世紀前に砂に埋もれ、断続的に露出してきたと推定される。それが難破したフェイムの船体である可能性は極めて高い。

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 なお巨大でも、もろく壊れやすい残骸の発掘と記録には、多くの人手が必要だった。

 この地域を管轄する自然保護慈善団体ナショナル・トラストのスタッフも作業に参加し、子供用のビーチスコップで慎重に作業を続けた。

 同団体の総責任者、トレーシー・チャーチャー氏はこの発見に感銘を受けた様子でこう語る。

スタッドランドで発見される歴史にはいつも驚かされますが、これは本当に貴重な宝物です。木の釘は400年経ってもまだ所定の位置にあり、しっかりと固定されています。

当時の職人技の証です

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年輪年代測定法による検査へ

 この残骸は現在、BUの海洋考古学保存施設に移され、年輪年代測定法による詳しい検査が行われている。

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 イギリスの政府機関、ヒストリック・イングランド(イングランド歴史的建造物・記念物委員会)の海洋考古学者ヘフィン・メアラ氏も非常に珍しいケースとして、結果に期待を寄せている。

スワッシュ海峡の難破船は、1973年難破船保護法に基づいて指定されたイングランド沿岸の57隻の難破船のうちの1つです

1700年以前の船舶のうち、年代が確定している残骸はきわめて稀です。これらの破片がフェイムのものとはまだ断言できませんが、その可能性を興味深く感じています

 未確定ではあるものの、長年の調査経験でから確信し、期待に胸を膨らませるBUの研究チーム。

この歴史的な船の一部を発見できて本当に興奮しています。2013年にスワッシュ海峡で実施した調査の際、船体の一部に欠損がありましたが、スタッドランドに失われたその一部が現れたと考えています (BU海洋考古学者トム・カズンズ氏)

 フェイムの船体、という正式なうれしい結果が得られ次第、これまで見つけた中でも特に重大な1ピースとして、展示に加える予定だ。

References: Bournemouth.ac.uk[https://www.bournemouth.ac.uk/news/2026-02-09/17th-century-shipwreck-discovered-studland-bay-following-winter-storms]

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