天文学者が1万1000光年先にある恒星の周囲で、2つの惑星が激突する様子を天体望遠鏡で観察することに成功した。
アメリカのワシントン大学を中心とする研究チームによると、この現象は約45億年前に地球と原始惑星テイアが衝突して月が生まれたとする「ジャイアント・インパクト説」と共通する特徴を示しているという。
遠い宇宙で起きた巨大な惑星衝突の観測は、地球や月の誕生のしくみや、生命が存在できる惑星がどのように生まれるのかを理解する手がかりになる可能性がある。
この研究成果は『The Astrophysical Journal Letters[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ae3ddc]』(2026年3月11日付)に掲載された。
参考文献:
UW astronomers collect rare evidence of two planets colliding
https://www.washington.edu/news/2026/03/11/uw-astronomers-spot-planet-collision-evidence/[https://www.washington.edu/news/2026/03/11/uw-astronomers-spot-planet-collision-evidence/]
1万1000光年先の恒星で起きた異常な明るさの変化
ワシントン大学の天文学者であるアナスタシオス・ザニダキス博士は、過去の観測データを分析していた際、ある奇妙な星を見つけた。
地球から「とも座」の方向に約1万1000光年離れた場所にある「ガイア20ehk」という恒星だ。
この恒星は私たちの太陽と同じように、自らの重力とエネルギーの放出が釣り合い、一定の明るさで何十億年も輝き続ける『主系列星』だった。
しかし、詳細なデータによると2016年から2019年にかけて明るさが3回低下し、2021年になると激しく点滅を繰り返す異常な状態に陥っていた。
惑星同士の衝突が生んだ高温の塵の雲
研究チームが数年分の変化を詳しく調べた結果、2021年に目に見える光(可視光)が暗くなった瞬間、熱を感じ取る「赤外線」が急激に強まっていたことが判明した。
これは、2つの惑星が螺旋(らせん)を描きながら近づき、お互いをかすめるような接触を繰り返した末、2021年に決定的な正面衝突を起こして猛烈な熱を発したことを示している。
天体望遠鏡がこの衝突のプロセスを最初から最後までデータとして記録し、2026年になってその全容が解明されたことは、天文学において極めて貴重な成果だ。
地球と月の誕生に似た現象の可能性
今回の発見が特に注目されているのは、この衝突が約45億年前に私たちの地球で起きた「ジャイアント・インパクト説」と非常によく似ているからだ。
ジャイアント・インパクト説とは、生まれたばかりの地球に火星ほどの大きさの天体「テイア」が衝突し、その衝撃で飛び散った破片が集まって月が誕生したという考え方だ。
ガイア20ehkの周囲で見つかった塵の雲は、地球と太陽の距離(1天文単位)とほぼ同じ場所にあり、やがて冷えて固まれば新しい月のような天体になる可能性がある。
月の存在が生命に与える影響と今後の観測
ワシントン大学のジェームズ・ダベンポート助教は、月のような大きな衛星が生命にとって重要な役割を持つ可能性があると説明している。
月は小惑星の衝突から地球を守り、潮の満ち引きを生み、気候にも影響を与えると考えられている。
今回のような惑星衝突が宇宙でどれほど起きているのかが分かれば、地球のような環境を持つ惑星がどれほど存在するのかを知る手がかりになる。
今後は新しい大型望遠鏡によって、同じような衝突の観測例が増えると期待されている。
遠い宇宙で起きたこの出来事は、私たちの世界の成り立ちを理解する重要なヒントになるかもしれない。
References: Washington[https://www.washington.edu/news/2026/03/11/uw-astronomers-spot-planet-collision-evidence/] / Iopscience.iop.org[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ae3ddc]











