白亜紀後期の東アジアに生息したオヴィラプトル科の恐竜は、親の体温だけでなく太陽の熱も利用して卵を温めていた可能性がある。
台湾の国立自然科学博物館の研究チームは、オヴィラプトル科ヘユアンニア属の恐竜の巣を実物大で再現し、卵の温度変化を測定する実験を行った。
卵を輪状に並べる独特の巣では、太陽の熱が温度を安定させ、親の抱卵と組み合わさって孵化を助けていたことが示された。
この研究成果は『Frontiers in Ecology and Evolution[https://www.frontiersin.org/journals/ecology-and-evolution/articles/10.3389/fevo.2026.1351288/full]』(2026年3月17日付)に掲載された。
卵をドーナツのように並べる、オヴィラプトル科の独特な巣
約7000万年前から6600万年前の白亜紀後期、現在の中国やモンゴルを含む東アジアには、オヴィラプトル科、ヘユアンニア属の恐竜が生息していた。
最新の研究により、彼らは太陽光をヒーターのように利用して卵を温めていた可能性が高いことがわかった。
台湾の国立自然科学博物館のチュルエイ・ヤン博士らによれば、彼らの独特な巣の形は、日光を効率よく取り入れるための合理的な仕組みだったという。
ヘユアンニア属が属する「獣脚類」は、おもに二足歩行で歩く恐竜のグループだ。
多くの獣脚類は肉食だが、オヴィラプトル科は歯のないクチバシを持ち、植物や小動物を食べる雑食性だったと考えられている。
体には羽毛が生え、骨格も現代の鳥類に非常に近いため、「鳥に近い恐竜」の代表格として知られている。
かつて彼らは「卵を盗む泥棒」と誤解されていたが、自分の卵を抱いて守る姿の化石が発見されたことで、熱心に子育てをする恐竜であったことが判明した。
しかし、彼らの巣は中央が空いたドーナツ状の特殊な配置をしており、すべての卵に親の体が触れることは物理的に困難だった。
研究チームは実物大の恐竜模型と樹脂製の卵を用いて、当時の環境下で熱がどのように伝わるかを詳しく調査した。
親の体温と太陽の熱で卵を温めていた
実験の結果、周囲の気温が低い環境では、親の体が触れていない外側の卵の温度が最大で6℃も低下し、卵ごとに育つスピードが異なる「非同時孵化」が起きやすくなることがわかった。
しかし、周囲が暖かい環境では、日光が巣全体を照らすことで卵同士の温度差がわずか0.6℃まで縮まった。
現代の鳥類は、自らの体温を利用して卵を適切な温度に保ち、孵化させる「体温調節接触抱卵」を行っている。
一方で、ヘユアンニア属などオヴィラプトル科の恐竜は、親が卵の上に座る抱卵と、空気に開いた巣に届く太陽の熱を組み合わせることで、孵化を助けていたと考えられる。
土に埋める巣から開放型の巣へと進化した独自の生存戦略
ヘユアンニア属が日光を利用していた理由は、彼らが「卵を土に埋める」という原始的な爬虫類のスタイルから、鳥のような「開放的な巣」へと進化する過程にいた可能性がある。
オヴィラプトル科の巣は完全に土に埋めるのではなく、上部が空気にさらされた半開放型であり、土壌の熱よりも太陽の熱の影響を強く受ける構造になっていた。
ヤン博士は、大型の恐竜にとって日光を熱源として取り入れるこの方法は、当時の環境において最もバランスの取れた選択だったと分析している。
この研究は、恐竜が現代の鳥へと進化していく過程で、環境に合わせてどのように子育ての仕方を変化させてきたかを示す重要な証拠となった。
References: Oviraptors May Have Needed the Sun to Hatch Their Eggs[https://www.sci.news/paleontology/oviraptorid-dinosaur-incubation-14628.html] / Scientists Built a Heated Robot Dinosaur to Solve a 70-Million-Year Old Mystery About How Oviraptors Hatched Their Eggs[https://www.zmescience.com/science/news-science/how-oviraptors-hatched-eggs/]











