世界32か国を対象に感情知能が高い国を調べたところ、フィンランドが1位となり北欧の国々が上位を占め、日本は21位だった。
感情知能(EI)とは、自分や相手の感情を理解し、共感や会話に生かして人間関係を築く力を指す。
この調査結果は世界的なオンライン交流サービスを運営する「Dating.com」が2026年3月に発表したもので、精神医療や社会支援の状況から、感情知能が育ちやすい社会環境を比較した。
感情知能とは何か、社会環境が影響する力
感情知能(EI:エモーショナル・インテリジェンス)とは、自分や他人の感情を理解し、その気持ちに合わせて行動できる能力のことだ。怒りや悲しみ、喜びといった感情を読み取り、相手の気持ちを考えて対応する力ともいえる。
例えば、友人が落ち込んでいるときに励ました方がいいのか、それとも少しそっとしておいた方がいいのかを考えて行動できる人がいる。
一方で、相手の気持ちを考えずに言葉をかけてしまい、関係が悪くなることもある。こうした違いは、他者の感情を理解する力の差から生まれる。
感情知能は個人の性格だけで決まるものではない。
国がどれだけメンタルヘルス(心の健康)への支援体制を整えているかといった環境の影響も受けると考えられている。
心のケアを受けやすい社会では、人々は自分の感情を安定させやすく、他人に共感する余裕を持ちやすい。
一方で、支援体制が不足している環境では、孤独感やストレスがたまりやすく、感情知能を育てにくくなる可能性がある。
今回のランキングは、人々の感情知能そのものを測ったものではない。精神医療や社会支援などの仕組みから、感情知能が育ちやすい社会環境を比較したものである。
精神医療と社会支援から32か国の社会環境を比較
このランキングは、Dating.com[https://www.dating.com/] が世界32か国を対象に2026年3月に発表[https://www.prnewswire.com/news-releases/datingcom-reveals-the-top-10-most-emotionally-intelligent-countries-in-the-world-302709727.html]したものである。感情知能が育ちやすい社会環境を比較するため、次の7つの指標が使われた。
- 人口10万人あたりの精神科医の数
- 精神医療への支出
- 自殺率
- セラピー1回の平均費用
- ボランティア活動
- 社会的支援
- 人生の選択の自由
これらのデータを数値化して合計し、感情知能が育ちやすい社会環境を持つ国を順位づけした。
ただし、このランキングには注意点もある。ラ
ンキング名は「感情知能が高い国」だが、実際に測っているのは個人の感情知能そのものではなく、精神医療や社会支援の環境である。
また、セラピー費用は国ごとの医療制度の違いによって意味が変わる。
イギリスでは国民保健サービス(NHS)を通じて心理療法を無料で受けられる場合がある一方、民間のカウンセリングは有料となる。ランキングに示されている費用は、主に民間カウンセリングの平均料金の目安と考えられる。
感情知能が高い国トップ10
調査の結果、上位にはヨーロッパの国が多く並び、特に北欧の国々が目立った。
フィンランド(精神科医:24人/10万人、セラピー1回の平均費用:約22,800円)
手厚い精神医療と社会制度により1位となった。継続した医療投資と社会的信頼の高さが、人々の心の回復力を支えている。
アイスランド(精神科医:24人/10万人、セラピー1回の平均費用:約22,800円)
精神医療への投資に加え、人口は少ないが地域社会のつながりが強い。人々が支え合う社会環境が心の健康を支えている。
アイルランド(精神科医:18人/10万人、セラピー1回の平均費用:約15,500円)
比較的低い自殺率と手頃なセラピー費用が特徴。近年はメンタルヘルスサービスを拡大し、専門家に相談しやすい体制が整ってきた。
スイス(精神科医:52人/10万人、セラピー1回の平均費用:約24,400円)
人口あたりの精神科医の数はランキングで最多。費用は高いが、医療制度が整っており専門的な支援を受けやすい。
イギリス(精神科医:18人/10万人、セラピー1回の平均費用:約9,800円)
精神医療への公的投資が大きく、民間セラピーの費用も比較的低い。国として心の健康を重視する政策が進められている。
ノルウェー(精神科医:25人/10万人、セラピー1回の平均費用:約19,600円)
医療予算と社会保障制度が充実しており、心理的なサポートを受けやすい環境がある。
ドイツ(精神科医:27人/10万人、セラピー1回の平均費用:約20,400円)
医療費の中でも精神医療に多くの予算を使っている国。必要なときに専門家へ相談できる体制が整っている。
フランス(精神科医:23人/10万人、セラピー1回の平均費用:約12,200円)
精神医療への投資割合が高く、セラピー費用も比較的低い。心理的サポートを受けやすい環境がある。
スロベニア(精神科医:14人/10万人、セラピー1回の平均費用:約17,900円)
医師数は上位国より少ないが、医療制度が安定しており心理療法を受けやすい。
スウェーデン(精神科医:23人/10万人、セラピー1回の平均費用:約21,500円)
公的医療への継続的な投資により、全国で心理的サポートを受けられる体制が整っている。
なぜ北欧は上位に多いのか
フィンランドが世界32か国の中で首位を獲得した最大の要因は、圧倒的に充実したメンタルヘルスケアの仕組みにある。
フィンランド政府は国民の心の健康を重要な公共財産と位置づけており、精神科医へのアクセスを容易にするための継続的な投資を行っている。
人口10万人あたりの精神科医の数は24人と多く、悩みがあればすぐに専門家の助けを借りられる環境が整っている
北欧の国が複数上位に入っていのも、医療制度や社会保障が充実しており、心の問題について相談しやすい環境があるためだ。
また、教育や社会の中で対話や協力を重視する文化があり、心理的な支援を受けることへの抵抗も比較的少ない。
こうした環境が、人々が感情を理解し共感する能力を育てやすくしている可能性がある。
日本は21位、日本の精神医療の特徴
ランキングでは日本は21位だった。日本には公的医療保険があり精神科の治療を受けることはできるが、精神医療の仕組みは欧米の国とは少し違う。
日本は精神科の入院ベッドの数が世界でも多い国として知られている。一方で、人口に対する精神科医の数は欧米の国より少ないと言われている。
また、日本では精神科を受診することや心の不調を周囲に知られることをためらう人も少なくない。
精神の病気に対する偏見や誤解が残っていることが、相談や受診が遅れる原因になる可能性があると指摘されている。
北欧の国ではメンタルヘルスについて話すことが比較的一般的で、心理的な支援を受けやすい社会環境がある。
今回のランキングは、感情知能が個人の性格だけで決まるものではなく、医療制度や社会の雰囲気の違いも影響する可能性を示している。
感情知能ランキング全体(32か国)
1 フィンランド
2 アイスランド
3 アイルランド
4 スイス
5 イギリス
6 ノルウェー
7 ドイツ
8 フランス
9 スロベニア
10 スウェーデン11 オランダ
12 デンマーク
13 オーストリア
14 ベルギー
15 カナダ
16 オーストラリア
17 ニュージーランド
18 スペイン
19 イタリア
20 ポルトガル21 日本
22 韓国
23 シンガポール
24 チェコ
25 ポーランド
26 アメリカ
27 ギリシャ
28 ハンガリー
29 チリ
30 アルゼンチン
31 ブラジル
32 メキシコ
References: The Top 10 Most Emotionally Intelligent Countries, Ranked[https://www.prnewswire.com/news-releases/datingcom-reveals-the-top-10-most-emotionally-intelligent-countries-in-the-world-302709727.html]











