珍獣カモノハシはやっぱり奇妙、鳥の羽にしかない不思議な毛の構造が見つかる
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 哺乳類なのに卵を産む珍獣カモノハシの被毛から、鳥の羽にしか見られない中が空洞の細胞が発見された。

 ベルギーのゲント大学を中心とする研究チームによると、通常、この構造は鳥が鮮やかな色を作るためのもので、哺乳類では中身が詰まっているのが常識だが、カモノハシは茶色い毛の中にこの特徴を隠し持っていたという。

 カモノハシは電気を感じるクチバシを持っていたり、体が蛍光色に光ったりと、独自の仕様を持っていることがわかっていたが、今回の発見により、新たな奇妙な特徴が明らかになった。

この研究成果は『Biology Letters[https://royalsocietypublishing.org/rsbl/article/22/3/2025.0721/480922/A-unique-hollow-melanosome-morphology-in-the-hairs]』(2026年3月18日付)に掲載された。

参考文献:
Platypus fur adds another strange feature to an increasingly long list
https://phys.org/news/2026-03-platypus-fur-strange-feature.html[https://phys.org/news/2026-03-platypus-fur-strange-feature.html]

カモノハシの被毛に鳥類と同じ空洞構造を発見

 ベルギーのゲント大学やアメリカのコロンビア大学などの国際研究チームは、カモノハシの被毛を電子顕微鏡で詳しく調べた。

 その結果、色のもとになる細胞小器官「メラノソーム」が、真ん中に穴の開いたドーナツのような「空洞」になっていることがわかった。

 メラノソームは被毛や皮膚の色を決めるメラニン色素を作る細胞内の構造である。

 これまで、メラノソームが空洞になっているのは鳥類に特有の特徴とされ、人間を含む哺乳類では中身が詰まっていると考えられてきた。

 ところがカモノハシでは、この前提に当てはまらない構造が確認されたのである。

 研究チームが100種類以上の哺乳類を調べても、同じような構造は見つからなかった。

 この発見は、カモノハシが外見や産卵の習性だけでなく、細胞のレベルでも鳥類と共通する特徴を持つ可能性を示している。

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カモノハシが持つ特異な生態

 カモノハシはオーストラリア東部やタスマニア島にのみ生息する固有種であり、現生種ではカモノハシ科カモノハシ属を構成する唯一の動物だ。

 大きさは、大人のオスで全長が45cmから60cmほど、重さは1kgから3kgほどである。メスはそれより一回り小さく、全長は39cmから55cmほどだ。

 水中での生活に特化した仕様となっており、流線型の胴体に、幅が広くて平らな尾を持つ。

 この尾には脂肪を貯めておく貯蔵庫としての役割もある。

また、四肢は非常に短く、前足には大きな水かきが発達している。

 カモノハシが奇妙だと言われる理由はこれまでにもいろいろあった。

 哺乳類でありながら卵を産み、オスは後ろ足の蹴爪に毒を持つ。

 さらに、水の中でも獲物を見つけられるよう、くちばしで電気を感じ取る能力まで備えている。

 近年の研究では、被毛に紫外線を当てると青緑色に光る生物蛍光という性質も確認されている。

 今回の発見は、こうした特徴に加えて、目に見えない細胞レベルでも特異な構造を持っていることを示したものだ。

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カモノハシの細胞小器官はなぜ空洞なのか

 鳥の場合、このメラノソームという細胞小器官が空洞になっているおかげで、光が複雑に反射して、カワセミやクジャクのような虹色に輝く美しい「構造色」を作り出している。

 しかしカモノハシの毛は地味な茶色一色であり、鳥のようにキラキラと輝いているわけではない。

 カモノハシの毛が茶色いのは、メラニンの一種、ユーメラニン[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%A9%E3%83%8B%E3%83%B3]という色素が多く含まれているためだが、なぜ色が地味なのに鳥と同じ空洞構造が必要だったのかは、専門家にもまだわかっていない。

 カモノハシと共通の先祖を持つハリモグラにもこの空洞は見つかっておらず、カモノハシだけが進化の過程で、鳥と同じ仕組みを独自に手に入れたか、あるいは大昔の祖先の性質をそのまま残している可能性がある。

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冷たい水から身を守るための「断熱材」だった可能性

 カモノハシの空洞構造の役割について、研究チームは一つの仮説を立てている。

 カモノハシとハリモグラの共通の祖先が、かつて水中で生活していた頃に、毛の中をスカスカにすることで空気の層を作り、冷たい水から体温を守る「断熱材」として利用していたのではないかという考えだ。

 その後、陸に上がったハリモグラはこの空洞を失ったが、水辺での生活を続けたカモノハシだけが、泳ぐときの防寒用としてこの構造を現在まで使い続けているのかもしれない。

常識を書き換えるカモノハシの進化

 カモノハシの姿はあまりにも奇妙で、1798年に初めて標本がヨーロッパに持ち込まれた際、「剥製師がいたずらで、ビーバーの体にアヒルのくちばしを縫い付けた偽物だ」と疑われたというエピソードも残っている。

 しかし現代の科学によって、カモノハシは、見た目だけでなく、遺伝子や細胞の仕組みも、鳥と哺乳類の特徴をあわせ持つ存在であることが分かってきた。

 今回の「被毛の中身が空洞」という発見は、カモノハシの不思議な特徴リストにまた新しい1ページを加えた。

 鳥と哺乳類の境界線に立つこの奇妙な生き物は、私たちが考える以上に「生命の進化には決まった形がないこと」を教えてくれている。

カモノハシの細胞に隠された謎を解く旅は、これからも世界中の科学者をワクワクさせ続けるだろう。

References: Royalsocietypublishing[https://royalsocietypublishing.org/rsbl/article/22/3/2025.0721/480922/A-unique-hollow-melanosome-morphology-in-the-hairs] / PHYS[https://phys.org/news/2026-03-platypus-fur-strange-feature.html]

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