地球から約35光年離れた宇宙で、地表から深部までドロドロに溶けた「マグマの海」で構成された、ニュータイプの惑星が見つかった。
オックスフォード大学などの研究チームは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データを分析し、惑星「L 98-59 d」の大部分が、地下数千kmの深さまで溶けた岩石(マグマ)で満たされていることを突き止めた。
従来の岩石惑星やガス惑星の分類には当てはまらない、宇宙の多様性を示す画期的な発見である。
この研究成果は『Nature Astronomy[https://www.nature.com/articles/s41550-026-02815-8]』(2026年3月16日付)に掲載された。
参考文献:
Scientists reveal a new class of molten planet
https://www.eurekalert.org/news-releases/1119611[https://www.eurekalert.org/news-releases/1119611]
岩石でも氷でもない、ニュータイプの溶岩惑星
今回見つかった「L 98-59 d」は、太陽系の外にある恒星の周りを回る系外惑星だ。
地球の約1.6倍の大きさを持つこの惑星は、これまでなら「地球のような岩石の星」か、あるいは「水素を多く含む小型のガス惑星(ガスドワーフ)」、もしくは「水と氷の星」のいずれかに分類されてきた。
しかし、L 98-59 dはそのどれにも当てはまらない、全く新しいタイプであることが判明したのだ。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)がこの惑星の大気を調べたところ、そこには大量の硫黄が含まれていた。
通常、こうしたガスは恒星からの強い放射線によって宇宙空間へ逃げてしまう。
それにもかかわらず、この惑星では数十億年もの間、厚い大気が維持されている。
地下数千kmの「マグマの海」がガスを蓄える貯蔵庫に
なぜ「L 98-59 d」の大気が失われないのか。
研究チームが最新のシミュレーションで惑星の内部を再現したところ、この惑星は表面から地下数千kmという深い場所まで、惑星の大部分が溶けた岩石(マグマ)で満たされていることがわかった。
この惑星の表面温度は1,900°Cを超えている。
この熱さでは岩石が固体でいられず、地表は煮えたぎる「溶岩の海」となっている。この広大なマグマの海は、いわば「ガスの貯蔵庫」だ。
本来なら宇宙へ逃げてしまう硫黄のガス(硫化水素など)を、液体状のマグマが内部に取り込み、またゆっくりと地表へ放出する。
この「飲み込んでは吐き出す」仕組みを何十億年も繰り返すことで、過酷な環境でも大気が維持されているのだ。
まさに惑星丸ごとがドロドロに溶けた「溶岩の星」といえる状態である。
惑星の常識が変わる可能性
今回の発見が重要なのは、従来の「岩石」「ガス」「水」という単純な分類には収まらない、新しいタイプの惑星が存在することを証明した点にある。
見た目やサイズが地球に似ていても、その中身は「ドロドロに溶けた液体状の世界」である可能性が出てきたのだ。
また、私たちの地球や火星も、誕生した直後は同じように全体がマグマの海に覆われていたと考えられている。
つまり、L 98-59 dを調べることは、地球がどのように冷え固まり、今の姿へと進化してきたのかを理解するための鍵となるだろう。
宇宙にはまだ私たちが知らない姿をした惑星が数多く眠っている。
今回の発見は、宇宙の多様性が人類の知識をはるかに超えていることを物語っている。
References: Nature[https://www.nature.com/articles/s41550-026-02815-8] / Eurekalert[https://www.eurekalert.org/news-releases/1119611]











