中国浙江省にあるカフェで、この春、ひときわ強いインパクトを放つ飲み物が提供されて話題になっている。
そのメニューとは、子供の尿で茹でた卵を添えたコーヒーである。
今回、その卵とコーヒーを組み合わせたカフェメニューが登場したことで、国内外で大きな議論を呼んだ。
食文化として片づけられないほどの大きな騒ぎになったため、現在このスペシャルメニューの提供は中断されているという。
アメリカーノに尿で茹でた卵を添えたスペシャルメニュー
浙江省東陽市のとあるカフェが売り出したのは、地元の伝統食「童子蛋(童子尿蛋)」とコーヒーのアメリカーノを組み合わせたメニューである。
その名も「童子尿蛋美式咖啡」。1杯の値段は28元(約645円)で、平均すると1日に数十杯、週末には100杯以上売れることもあったという。
この「童子蛋(どうじたん)」は、以前カラパイアでも記事にしたことがあるのだが、平たく言うと10歳以下の男の子の尿で茹でた卵のことである。
東陽市では春の風物詩としても知られていて、日本で言う「無形文化財」にも選ばれているんだそうだ。
毎年今ぐらいの時期になると、街中にこの卵を売る屋台が出るなど、地域に根付いた食文化だという。
今回、ネット上で大きな話題になったのは、東陽市内のカフェがこの童子尿蛋を、店のカフェメニューとして売り出したからである。
現地での報道によると、このカフェは童子尿蛋をさらに炭火で軽く炙り、竹串に刺してアメリカーノの上に載せ、客に提供していたという。
卵はそのまま食べることもできるし、客の希望によっては砕いてコーヒーに入れて提供することも可能だそうだ。
地元では「春の風物詩」として普通に食べられている珍味
だがこれは何も、キワモノを謳ったメニューというわけではない。東陽では童子蛋は、決して珍しい存在ではないからだ。
地元の人々は、春に童子蛋を食べると熱中症予防や滋養強壮といった効果が期待でき、健康に良いと信じているらしい。
そのため春になると地元の小学校では、この童子蛋を作るために、男子児童の尿を集める光景まで見られるんだとか。
童子尿蛋を作るには、10歳以下の男の子の尿が最も良いとされ、小学校の廊下にはが置かれて、トイレではなくそこで用を足すよう促されるという。
具体的な作り方についてもっと知りたいという人は、こんな動画があったのでぜひ見てみよう。
つまり東陽の住民たちにとって、この卵の存在は当たり前のものであって、眉をしかめるような食べ物ではないのである。
東陽に住むある動画配信者は、次のように話しているという。
童子蛋を食べると、子供の頃に戻ったような感覚になるんだ。これは東陽の人にとって春の味なんだよね
ちなみに味の方はほんのり塩味を感じるらしいが、やっぱりニオイはかなり強烈で、鼻をつまんで食べる人もいるとのこと。
中国国内からも様々な声が
とは言え、一歩地元の外に出ると、「尿で茹でた卵」なんて食べ物のカテゴリーに入らない、そもそも調理法として想定外と考える人が圧倒的多数である。
一時期尿健康法なるものが流行ったが、あれは自分の尿を飲むものであり、赤の他人ともなると話も違ってくるのだろう。
「童子尿蛋美式咖啡」がSNSで紹介されると、中国国内でも大きな衝撃が走ったようだ。
- 待って、もう無理
- 理解できない。体に良いと思ってるなら、そのまま飲めばいいじゃん。
なんでわざわざそれで卵を茹でるんだよ- いとこの奥さんが東陽出身で、結婚したばかりの頃、お土産にこの卵をくれたんだ。自分はまだ子供で、母親に「体にいい卵だ」って言われて食べたけど、臭くてあまり美味しくなかった。腐ってるのかと思ったくらい。だいぶ後になってからその正体を知ったよ
- 小学校のとき、先生がバケツにおしっこをさせて、それで卵を煮てたの思い出しちゃった
- 子供の頃、近所の人が薬に使うって言って、尿を買いに来てたことがある。確かブドウと交換してたな
- なんで男の子の尿なの?
- 漢方の伝統的な考え方で、男の子のじゃないとダメらしい。理由は陰陽五行とかそういう話だったと思う
- かなり抵抗はあるけど、文化に結びついてる以上、「最低だ」と切り捨てるのも違う気がする。かなり変わってるとは思うけど
- 実際に昔からある伝統だよ。ただ、外から見れば受け入れにくいものもあるし、それをどうこう言うのは難しいよな。特にその土地の中の話ならなおさら
現代医学では推奨されない。衛生面に懸念
童子蛋の歴史は数百年にも及ぶと言われており、この地域では古くから、「春の味覚」としてその薬効が信じられてきたようだ。
だが、現代医学の立場から見ると、男の子おしっこに特別な成分が含まれているわけではなく、医学的には栄養価なども認められないそうだ。
医療資源の乏しい時代には、民間療法として用いられた例があったかもしれないが、現代医学としては摂取を勧められるものではないという。
そもそも尿は排泄物であり、食品として適切ではないとする指摘や、衛生面への懸念も取りざたされているのだ。
もともと童子蛋は、地元でも賛否が分かれる食習慣だったが、今回カフェメニューとして登場したことから、国内はもちろん海外にまで拡散する事態となった。
そのため、地元では「伝統文化を消費して話題作りをしている」との強い批判も出ていたという。
東陽市の無形文化財保護センターでも、外部から童子蛋の衛生面を疑問視する声が上がっているとして、最近は対外的なPRは行っていないのだそうだ。
とは言え、地域の伝統文化として擁護する声も少なくない。
コーヒーとの組み合わせで、地元の食文化を知ってもらうきっかけになるとする意見もあったようだ。
あまりにも話題になりすぎて販売終了に
しかし結局、今回の騒動は長く続かなかった。2026年3月17日に現地を訪れた人によると、問題の商品はすでに販売終了となっていたそうだ。
このカフェでは、今は通常のアメリカーノしか出しておらず、店側は「童子尿蛋が必要なら客が自分で持ってきてほしい」と話しているという。
ネットで一気に拡散し、賛否両論を巻き起こしたこの「童子尿蛋美式咖啡」は、わずか数日でメニューから消えたことになる。
References: China café offers coffee made with eggs brewed in child urine; considered nutritious delicacy[https://www.scmp.com/news/people-culture/trending-china/article/3346995/china-cafe-offers-coffee-made-eggs-brewed-child-urine-considered-nutritious-delicacy]











