2026年3月、ドイツのヘッセン州ヴィースバーデン市で、15歳の少年が市バスのハンドルを握り、130kmの距離を運転するという事件が起こった。
少年はガールフレンド学校に送り届けるために、カールスルーエまで盗んだバスを運転し続けたのだ。
日本の場合、盗んだバイクで走り出すのは15の夜というのが定番(尾崎豊説)だが、ドイツだとバスかよ!しかも早朝かよ!っと突っ込みを入れずに入られない。
その運転の才能と彼女への愛とと情熱はともかくとして、少年の身柄は警察によって保護され、窃盗と無免許運転の罪で起訴されることになったそうだ。
15歳の少年が路線バスを盗んで彼女の元へ
2026年3月13日の早朝、1人の少年が、ヴィースバーデン市内のマインツ・カステル地区にあるナッソー交通会社(NVG)の営業所から路線バスを盗み出した。
彼はバスを運転して約130km離れたカールスルーエへ向かった。そこで14歳のガールフレンドを拾い、バスに乗せて学校まで送っていったそうだ。
警察によると、事件を起こしたのは15歳の少年で、何らかの方法でバスにアクセスし、マスターキーを使ってエンジンを始動させたと見られている。
だがどうやって敷地内に入ったのか、マスターキーをどのように入手したのかについては、まだ明らかになっていない。
警察の広報担当者は、次のように述べている。
彼がどうやってマスターキーを手に入れたのか、なぜあんなに上手にバスを運転できたのかはまだわかっていません。
また、彼が14歳のガールフレンドを、なぜこのような異例かつ無許可の方法で学校に連れてきたのかも不明です
営業所は「運転手のミス」と勘違いし通報が遅れる
このバスは夜間に燃料を満タンにしたばかりで、NVG社の営業所側は午前6時ごろには、バスが消えていることに気づいていたという。
だが当初は、別のバスの運転手が間違えて運転して行ったのだろうと思ったため、警察に通報するのが遅れてしまった。
その後、バスに搭載されていたGPSを追跡した結果、遠く離れたカールスルーエにあることが判明。営業所は正午ごろになって、ようやく警察に通報した。
すぐにGPSが示す地点に急行したカールスルーエの警官たちは、運転席に10代の少年が座っているのを見て驚いたという。
少年はガールフレンドを学校に送り届けたあと、ヴィースバーデンへ戻る途中だったようだ。
幸いにもケガ人などはなく、バスは傷一つない状態で、所有者であるNVG社に返還されたという。
この事件が報道されると、ドイツでは大きな話題となり、ニュースメディアやSNSには、たくさんのコメントが寄せられている。
- もし将来バス運転手に応募するなら、この事件の経緯は履歴書に書いておかないと!
- バスが無傷だった?15歳の子がどうやって100km以上も事故なく走らせたんだ?これ、天職を見つけちゃったってことか?
- 家でバスのシミュレーションゲームをやりまくってたんじゃない?
- カールスルーエの路線バスって、ほとんど鍵なしでも操作できるんだよ。どこを押せば中に入れるか、どうやってエンジンをかけるか知っていればね
- 自分も田舎育ちだけど、12歳の頃には大きなトレーラー付きのトラクターを運転してたよ。バスだって多分やろうと思えばできたと思う。15歳って怖いもの知らずだし
- これから数年は免許のことなんて考えられないだろうけど、それでも実際の運転経験なしで事故なく走らせたのはかなりすごい
- 彼女はちゃんと時間通りに学校に到着。義務教育も守られた。まあ結果オーライなのか?
- これ、めちゃくちゃキュートな話だと思う。彼女は絶対に一生忘れないだろうね。これで彼氏への恋心は一気に上がったな
- この話で一番印象的なのはここだと思う。2人で駆け落ちしたわけでも、ロードトリップに出たわけでもなく、ただ彼女がちゃんと学校に行けるようにしたってところ
- 2人ならどこへでも行けただろうに、あえて学校に送り届けるっていうね。
「自分のことはもういいから、お前はちゃんと将来のために頑張れ」って感じでさ。そう考えると、ちょっといいラブストーリーにも見える
詳細はまだ捜査中だがバス会社は厳しい対応
この事件をラブストーリーのよう美化する声もある中で、NVG社の代表ヨルク・マルティーニ氏は、次のように語っている。
これは非常に重大な事案だと考えています。私たちは現在、捜査結果を待っているところです。
いずれにしても、どうやってこのようなことが起きたのか、私たちには理解することができません
上のコメントにもあったが、NVG社にも少年擁護のメッセージが複数寄せられたそうだ。つまり、彼の運転の才能にチャンスを与えるべきだとする意見である。
しかしマルティーニ氏は首を横に振る。少年は窃盗を行い、無免許で運転した。どちらも違法行為であり、会社側が擁護する余地はないという。
なお、盗まれたバスはNVG社が所有する車両で、同社はヴィースバーデンの公共交通を担うESWE社の委託を受けて運行を担当していた。
ESWE社の広報ユルゲン・ヒューポール氏も、15歳の少年が起こした事件に対し、厳しい見方を崩さない。
企業の車両を違法に持ち出す行為は、いたずらではなく犯罪です。たまたま事故はなかったものの、何が起きてもおかしくありませんでした
どのような意図があったにせよ、これほど危険な行為はありません
つまり両社とも、重大な犯罪だという立場を明確にしている。
なお、この少年はラインラント=プファルツ州マインツ市在住のため、現在はマインツ警察が引き継いで、捜査を進めているとのこと。
ちなみに事件が起きたマインツ・カステル地区は、もともとはマインツ市側にあったが、戦後ヴィースバーデン市に組み込まれたため、現在ではマインツ市とは別の行政区分になるそうだ。
少年は窃盗と無免許運転で起訴た
ドイツでは、同乗者なしで車の運転ができる「B」カテゴリの免許を取得できるのは、原則として18歳からとなっている。
さらに路線バスを運転するためには、乗用車免許とは別にバス用の免許が必要である。一般的なバスの免許は原則24歳以上にならないと取得できない。
今回の件はいずれにせよ、少年が合法的に運転できる余地はなく、無免許運転として立件されることになる。
下の画像は、ドイツの運転免許証の裏面に記載されている、運転できる車両の種類。Bが乗用車で、Dがバスである。
この少年はなぜ、100km以上もの距離を、よりにもよって路線バス、しかも盗んだ車体を運転してガールフレンドを迎えに行ったのか。
彼とガールフレンドの間に、どんなドラマがあったのかなかったのか。
謎は尽きないが、ともかく彼は警察によって保護者のもとへ連れていかれ、窃盗と無免許運転の容疑で起訴された。
References: 15‑Jähriger klaut Linienbus und fährt über 100 Kilometer[https://www.zdfheute.de/panorama/linienbus-fuenfzehnjaehriger-wiesbaden-karlsruhe-freundin-100.html]











