2026年2月、アメリカとイスラエルによるイランへの空爆から始まった今回の紛争は、いまだ終息の気配が見えず、泥沼化の様相を呈している。
事態の悪化を受け、各国ともに中東方面からの自国民の避難を急いでいるが、家族の一員であるペットも一緒に…となると、難しい状況が続いている。
そんな中、ギリシャ政府はペットを飼っているギリシャ人の避難のために、チャーター便を運航。多くのペットたちが飼い主と共に、アテネ空港に到着した。
ペットと飼い主が一緒に避難できるチャーター便を手配
今回のイランへの攻撃は、中東全域の航空交通に大混乱をもたらした。ミサイルが上空を飛び交う中、各国は領空を繰り返し閉鎖。
ドバイやカタールといった主要航空拠点では、数千便のフライトを欠航せざるを得なくなり、数十万人の旅客が足止めを食らうこととなった。
各国政府はペルシャ湾岸諸国から自国民を保護し、安全に避難させるため、アラブ首長国連邦やオマーンなどを経由地として自国民の帰還支援を進めていた。
そんな中、ギリシャ政府は、民間航空会社の座席を確保できなかったペットとその飼い主のために、アラブ首長国連邦からのチャーター便を手配した。
3月18日、アラブ首長国連邦のアブダビからアテネへ向かったギリシャ政府手配のエーゲ航空便には、101人の乗客と45匹のペットたちが搭乗した。
このフライトは、ギリシャ内務省と外務省が連携して実現したものだという。
内務省でペットの保護を担当するニコス・クリサキス氏は、人と動物がともに安全に帰国できるよう、数日間にわたって調整を続けたと説明している。
ペットは荷物ではなく、家族の一員です。そして今日、ギリシャ政府はそれを実際の行動で示しました
アテネ空港では飼い主たちの喜びの声が
ペットたちを乗せたエーゲ航空の特別便がアテネに着陸すると、空港では喜びの光景が広がった。
キャリーケースの中でストレスを感じていたであろうペットたちも、元気に飛び出して飼い主の腕の中に飛び込む姿が見られたそうだ。
私にとって、この子は家族なんです。
置いていくなんて、ありえません
愛猫の「ムエタイ」と一緒に帰国したダナエ・コウコウロマティさんは、無事にアテネ空港に到着した喜びをかみしめながらも、現地の状況についてこう語る。
現在、アラブ首長国連邦に就航している航空会社は、この状況のせいでペットを受け入れていないんです。
機内はもちろん、貨物扱いでも受け入れてもらえませんでした。貨物としての枠も数が限られていて、その枠が開放されたのも先週になってからです。
ペットを連れて国外へ出るのは、今は本当にとても難しい状況なんです
ダナエさんはドバイの自宅で、爆発音を聞いたという。その瞬間、ムエタイのほうが彼女自身よりもずっと落ち着いていたのだそうだ。
爆発音が響くと、この子はバスルームに隠れるだけで、それ以上は何もしませんでした。とても冷静な猫なんです。
私のほうがこの子ほど落ち着いていませんでした。むしろ、この子から学ば ないといけませんね
また、ドバイで5年間暮らしていたアレクサンドラ・パパヤニスさんは、愛犬「シルタキ」とともに母国に到着した。
彼女は友人の愛犬も、シルタキといっしょに連れてきたそうだ。アレクサンドラさんもまた、動物を受け入れてくれる避難便を見つけるのに苦労したと語っていた。
私にとってはとても大切なことなんです。だって、ペットは家族の一員なんですから。
このように非常に厳しい状況の中で、私たちが直面している課題は、犬や猫をどうやって一緒に連れ帰るかということです。
シルタキとともにギリシャへ戻れたのは、本当に素晴らしいことでした
マリア・テオハリさんにとっても、愛犬マティスを置いてドバイを離れることは考えられなかったという。
マティスは子供たちと同じように、とても大切な存在なんです。動物と子供を切り離して考えることはありません。私にとっては同じなんです
人間が優先では?との声も
このニュースを知った人たちからは、それぞれの立場からさまざまな意見が寄せられていた。
- 基本的は反対じゃないけど、まず人間が全員避難してからにすべきだろ。それ以外は正直どうかと思う
- ペットは家族と一緒に避難用の乗り物に乗ってるだけで、ペット専用の避難作戦じゃないよ。この便は「ギリシャ人+ペット」用に用意されたもので、飼い主は人間だけの便じゃなくてこっちに乗ったってだけ
- まあ人間のスペースを奪ってないなら、反対する理由はないな
- 犬は大好きだし、その無垢さには癒される。でも犬は犬であって、人間と同等ではない。愛情と価値は別の話だ。
知らない人より自分の犬を愛してるのは当然だけど、それでも人間のほうが本質的な価値は上だと思う
- 私にとって猫は家族であり、人間と同じ価値がある存在だと思っている。あなたがそう思わないのは自由だけど、だからってあなたの考えのほうが道徳的に優れているとは限らない
- 戦争の見えない犠牲者だな。本当に、こういう動物の空輸があることに感謝したい
- 自分が戦争状態の国に住んでいなくてよかった。避難することになったら、猫たちを置いていくなんて無理だと思う
- 置き去りにされた何千もの野良動物はどうなるんだ? 首輪がないからどうでもいいってことか?
- この便はドバイに住んでいたギリシャ人を避難させるために、ギリシャ政府が用意したものだよ。ペットを置いていくのを拒否した人たちのためのものなんだって
- 動物のことまで考えてくれたギリシャ政府に感謝するよ
- 正直、ペットを単なる「おまけの荷物」じゃないと認めた作戦を見るのは、ちょっと嬉しいね
- ギリシャは本当にいいことをしたと思う。すべてのペットが無事に避難できていたらいいな。動物は飼い主を選べないことがほとんどだからね
フランスでは中東からペット連れで帰国しやすくなるよう、ペットの犬や猫のフランス帰国時の検疫を4月30日まで例外的に緩和[https://agriculture.gouv.fr/conflit-au-moyen-orient-adaptation-jusquau-30-avril-les-conditions-sanitaires-de-retour-des-chiens]する措置をとっているそうだ。
なお、アメリカの場合[https://travel.state.gov/en/international-travel/help-abroad/crisis-response.html]は原則として緊急時のペットの輸送は行っておらず、預け先を現地で手配するか、民間の輸送サービスを検討するよう案内している。
日本政府もチャーター便で帰国支援を実施していて、既に退避を希望した邦人の帰国は完了しているが、今のところペットに関する特別な対応はないようである。
ウクライナでもそうだったが、戦争など緊急事態が起こったとき、国境を越えてペット連れで避難するのは難しいケースも多いだろう。
今回のギリシャ政府の措置は、家族の一員であるペットを置いての避難を良しとしない飼い主たちにとって、英断とも呼べるものだったはずだ。
おそらく現地には、飼い主から離れて取り残されているペットたちも少なくないだろう。
References: 'My cat is my family': Greece launches animal airlift to evacuate pets from Middle East[https://www.euronews.com/2026/03/19/my-cat-is-my-family-greece-launches-animal-airlift-to-evacuate-pets-from-middle-east]











