オオメジロザメは友情を築き、特定の仲間と行動を共にする
仲間と行動する成体のオオメジロザメ Image credit:Natasha D. Marosi

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 オオメジロザメは特定の相手と友情を築き、常に行動を共にすることが最新の研究で判明した。

 体長3mを超える巨体で、川などの淡水でも泳げる珍しい生態を持つこのサメは、集団の中で「誰と一緒に過ごすか」を自ら選んで交流している。

 イギリスのエクセター大学などによるフィジーでの6年間にわたる調査が、サメの知られざる社会性を明らかにした。

この研究成果は『Animal Behaviour[https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0003347226000485?via%3Dihub]』(2026年3月17日付)に掲載された。

巨大なオオメジロザメの生態調査

 世界には500種類以上のサメが存在し、その生態は多岐にわたる。

 今回、イギリスのエクセター大学やランカスター大学などの共同研究チームが注目したのは、オオメジロザメだ。

 日本語でウシザメとも呼ばれる、メジロザメ科のオオメジロザメは最大で体長3.5mを超え、体重は200kg以上に達する。

 気性が荒く、ホオジロザメやイタチザメと並んで「世界で最も危険なサメ」の3種に数えられることもある。

 さらに、他の多くのサメとは異なり、体内の塩分濃度を調整する特殊な能力を持つため、海だけでなく、数百kmも川をさかのぼった淡水域でも生きられる極めて珍しいサメである。  

 そんなオオメジロザメが、実は集団の中で「どの個体と一緒に過ごすか」を自分から進んで決めていることが、最新の調査で明らかになった。

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特定の仲間と絆を築くことが判明

 共同研究チームは、南太平洋にあるフィジーの「シャーク・リーフ海洋保護区」で、2020年から2026年までの6年間にわたり、184匹のオオメジロザメを個体ごとに識別し、その行動を詳しく記録した。

 研究チームは、サメ同士が体長1つ分以内のごく近い距離に留まる「結合(Associations)」や、一方がもう一方の後ろをぴったりついて泳ぐ「追従(Following)」、横に並んで泳ぐ「並走(Parallel swimming)」といった動きを分析し、彼らが誰と時間を過ごしているのかを統計的に割り出した。

 その結果、サメたちは広い海の中でバラバラに動くのではなく、特定の仲間と繰り返し行動を共にしている事実が統計的に証明された。

 この分析により、オオメジロザメは集団の中で「どの個体と一緒に過ごすか」を自分から進んで決める性質、すなわち「社会的嗜好(Social preferences)」を持っていることが明らかになった。

 彼らには個体同士の明確な「友情」が存在し、自らの意志で選んだ仲間と社会的な絆を結んでいることが分かったのだ。

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オオメジロザメはどのような仲間を選ぶのか?

この友情の築き方には、体の大きさと個体ごとの「好み」の2つが組み合わさっている。

 調査の結果、オオメジロザメの社会は、経験豊富で体の大きなメスたちが中心となって動いていることが分かった。

 彼女たちは、まず自分と同じくらい「大きくて強いメス」を仲間の候補とする。

 しかし、大きなメスなら誰でも良いわけではない。その強力なメンバーたちの中でも、特に特定の相手を優先的に選んで、長い間いっしょに過ごす絆を築いていたのである。

 一方で、メスよりも体が小さいオスたちも、自分より大きなメスを仲間に選ぼうとする。

 これには「自分より大きくて強い個体のそばにいれば、他の荒っぽいサメから直接狙われにくくなる」という、生き残るための知恵がある。

 だが、ここでも単にサイズや強さだけで相手を決めているのではない。

 データが示したのは、特定のオスが、特定の大きなメスに対して「この人についていきたい」と、強い意志をもって行動を共にし続ける姿だった。

 つまり、オオメジロザメは、「自分を守ってくれる強いグループの中から、さらに自分の好みに合った特定の相手を絞り込んで選ぶ」という個体選びを行っているのである。 

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成長とともに変化する仲間との関係

 オオメジロザメの社会的なつながりは成長とともに変化する。

 今回の調査で最も活発に仲間と関わっていたのは、子供を作れる体になった全盛期の「成魚(大人)」たちだった。

 一方で、さらに年を重ねた「高齢魚」になると交流が減り、一匹で行動することが多くなる。

 これは、長年の経験によって生き残るスキルを十分に身につけているため、若い個体ほど仲間に頼る必要がなくなるからだと考えられる。

 

 オオメジロザメは現在、フカヒレ目的の乱獲や、沿岸部・河川の開発による生息地の破壊によって個体数が激減しており、絶滅危惧種「危急種(VU)」に指定されている。

 特定の仲間と絆を結んで行動を共にしている事実は、一匹を失うことが、その集団が長年かけて築いてきた協力関係や、知識を伝える場を壊してしまう可能性を示唆している。

 サメの社会的な仕組みを正しく理解することは、海洋生態系を守るための不可欠なステップとなるだろう。

References: Bull sharks have ‘friends’[https://news.exeter.ac.uk/faculty-of-health-and-life-sciences/bull-sharks-have-friends/] / Bull sharks have ‘friends’[https://www.eurekalert.org/news-releases/1119783] / Sciencedirect[https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0003347226000485]

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