約7,300年前の縄文時代に巨大噴火を起こした鹿児島県南沖の海底火山「鬼界カルデラ」。その直下に、大規模なマグマだまりが存在することが明らかとなった。
神戸大学や海洋研究開発機構の研究グループにが、最新の地震探査技術を用いた調査の結果、カルデラ直下の深さ2.5~6kmという比較的浅い地点で、岩石が一部溶けた「部分溶融」状態の巨大な領域を特定したという。
この研究成果は『Communications Earth & Environment[https://www.nature.com/articles/s43247-026-03347-9]』誌(2026年3月27日付)に掲載された。
縄文時代に大噴火を起こした海底火山「鬼界カルデラ」
鬼界カルデラは、鹿児島県の薩摩半島から約50km南に位置する、直径約20kmの巨大な海底火山だ。
約7,300年前には、完新世(約1万1700年前から現在まで)で世界最大級とされる「アカホヤ噴火」を引き起こした。
この噴火による火山灰は東北地方にまで達し、当時の縄文文化に多大な影響を及ぼしたと考えられている。
この巨大噴火によって地下のマグマが大量に放出された結果、山体が崩落し、海底に広大な凹地(カルデラ)が形成された。
海底に形成された巨大な「溶岩ドーム」
噴火から長い年月が経過した現在、このカルデラの底部では新たな活動が確認されている。
約3,900年前から現在にかけて、粘り気の強いマグマが火口から押し出され、積み重なって形成された「溶岩ドーム(溶岩円頂丘)」が存在している。
この溶岩ドームは、体積が32 km³以上(東京ドーム約2万6000杯分相当)に達しており、単独の溶岩ドームとしては世界最大級の規模である。
これほど巨大な山体を形成するエネルギー源が、地下のどの程度の深さに存在しているのかは、これまで十分に解明されていなかった。
3. 人工地震波による探査で大規模なマグマだまりを特定
神戸大学大学院理学研究科の長屋 暁大氏、島伸和教授らと、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の藤江剛センター長らの研究グループは、調査船「かいめい」を用いて人工的な地震波を発生させ、地下構造を解析する探査を実施した。
その結果、カルデラ直下の地下2.5~6kmに、地震波の伝わる速度が周囲より最大22%低下している領域を確認した。
これは、その領域が高温で岩石が部分的に溶融していることを示している。
この部分溶融域は、カルデラの内側の幅(約12km)に匹敵するほど大規模に広がっていることが判明した。
また、このマグマは7,300年前の噴火時の残留物ではない。
化学組成の分析により、過去の巨大噴火時とは異なる成分の新たなマグマが、深い場所からかつてと同じ位置へ再び注入されている実態が示唆された。
4. マグマ再注入モデルによる噴火予測への期待
今回の発見に基づき、研究グループは巨大噴火後の火山の下に新しいマグマが供給される「マグマ再注入モデル」を提案した。
この仕組みは、アメリカのイエローストーンなど、世界各地の巨大カルデラ火山にも共通する可能性がある。
巨大噴火の後にどのようなサイクルでマグマが蓄積されていくのかを理解することは、将来の噴火発生過程を予測する上で極めて重要である。
今回の成果により、地下のマグマの状態を継続的に監視することが、将来の巨大噴火の予兆をつかむための重要な指標になることが期待される。
References: 鬼界カルデラ直下に大規模マグマだまりの存在を発見[https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/20260327-67665/] / How do giant caldera volcanoes fill up?[https://www.eurekalert.org/news-releases/1120465] / Melt re-injection into large magma reservoir after giant caldera eruption at Kikai Caldera Volcano[https://www.nature.com/articles/s43247-026-03347-9]











