NASAがジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で撮影した、鮮明な土星の画像を公開した。
性質の異なる2つの光で同時に観測することで、これまでは見えなかった土星の大気の重なりや嵐の動きを詳しく明らかにしている。
2つの宇宙望遠鏡が土星の大気の立体構造を特定
NASAは2024年、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡を使い、土星の観測を同時に行った。
ハッブルは人間が見る光と同じ「可視光」で雲の表面を捉え、ウェッブは「赤外線」を使って雲の奥深くまでを見通した。
性質の異なる2つの光で観測したデータを組み合わせたことで、科学者は土星の大気が高度によってどのように重なり、連動しているのかという立体的な仕組みを詳しく理解する助けを得た。
これは、1997年から2017年まで土星を直接調べた探査機カッシーニの記録を補完する、極めて重要なデータとなる。
赤外線と可視光が映し出す土星の状態
2つの望遠鏡が公開した画像には、それぞれ異なる土星の姿が映っている。
ハッブルが2024年8月に撮影した画像では、土星の表面にある繊細な縞模様や色の変化が捉えられている。
一方、ウェッブが2024年11月に撮影した赤外線画像では、反射率の高い水の氷でできた輪がまばゆく輝き、大気の深い層にある化学物質の動きがはっきりと確認できる。
科学者はこの2つの視点を、まるで「玉ねぎの皮をむくように」使い分けることで、高度の異なる大気を一度に分析できるようになった。
これにより、土星の大気が3次元のシステムとしてどう動いているのか、その新たな詳細が判明しつつある。
北極の巨大な六角形模様に見つかった新たな嵐
今回の最新画像には、1981年に探査機ボイジャーが発見した北極の「六角形のジェット気流」[https://science.nasa.gov/mission/cassini/science/saturn/hexagon-in-motion/]も、その角の部分がわずかに映し出されていた。
ウェッブの赤外線カメラは、この周囲に大気波の影響を確認したほか、2010年から発生した「大春嵐(Great Springtime Storm)」の名残や、南半球に点在する新しい嵐の存在も特定した。
これらの複雑な模様は、目に見える雲の下にある強力な風によって形作られている。土星は、地球では再現できない極限状態での空気やガスの動き(流体力学)を研究するための、巨大な天然の実験室といえる。
15年間の暗闇が迫る土星の北極と今後の観測
現在、土星の北極は「冬」に向かっており、これから約15年間にわたって太陽の光が届かない暗闇の時期に入る。
今回の高解像度な画像は、2040年代に再び光が差し込むまで、この六角形模様を詳しく観察できる最後の貴重な機会となる可能性が高い。
NASAは、土星が2025年の分点(季節の変わり目)を経て南半球の春へと移行する様子を、今後も2つの望遠鏡で追い続ける計画だ。
ハッブルによる30年以上の記録にウェッブの最新技術が加わることで、巨大ガス惑星が見せる季節の変化の全貌が、これからさらに詳しく解明されていくだろう。
References: NASA Webb, Hubble Share Most Comprehensive View of Saturn to Date[https://science.nasa.gov/missions/webb/nasa-webb-hubble-share-most-comprehensive-view-of-saturn-to-date/]











