子供の頃、ドラゴンボールに夢中になった世代なら、スカウターが欲しくてたまらなかったという思い出があるかもしれない。
あるいは「頭脳は大人」な小学生探偵がかけているメガネが、実際にあったら便利だろうな、なんて思ったことはないだろうか。
今思えばああいったガジェットは、時代を先取りした一種の「ウェアラブル・デバイス」だったと言えるだろう。
そんなマンガやアニメの中に出てきた夢のアイテムのいくつかは、最近のテクノロジーとAIの進歩で、現実のものになりつつある。
だがその便利さを悪用し、試験のカンニング用として使われるケースが増えており、中国国内でもない担っているという。
メガネの形をしたスマートデバイスでカンニング
今、中国では一見すると普通のメガネと変わらないスマートデバイスが、新たなカンニングツールとして問題になっているという。
そのデバイスとは「スマートグラス」と呼ばれる、AIを搭載したメガネである。外見はごく一般的なメガネとほぼ変わらない。
だがフレーム部分に小型カメラやマイク、スピーカーが内蔵されていて、スマホやクラウド上のAIと連携することで多彩な機能を発揮する。
カメラ経由で情報を読み取り、内容を処理し、場合によっては音声や眼鏡のレンズを通じて処理した結果を返してくれるのだ。
例えばナビとして運転中のルート案内をしたり、ショッピングの際は値札を撮影して、他店の価格と比べたりもできる。
海外旅行先でも大活躍。カメラで外国語を読み取って翻訳し、レンズに表示してくれるし、臨場感たっぷりの動画撮影もできるから、配信やVlogにもピッタリだ。
だが便利でハッピーな使い道だけではない。中国では最近、このスマートグラスが教室に持ち込まれ、不正行為に利用されているそうなのだ。
学生たちはこうしたAI機能付きスマートグラスをレンタルし、試験中に問題を読み取って外部のAIに送信し、解答を得る形で不正に利用しているという、
学生同士でスマートグラスがレンタルされるケースもあり、1日あたり数百円程度で利用されているらしい。
そもそもスマートグラスとは
ではこのスマートグラスなるもの、実際にはどんな風に機能するのだろうか。中国・杭州発のAR/AI企業、Rokid社の「AI Glasses」の画面を見てみよう。
論文を手に持った状態で、写真を撮影して中身を読むよう指示すると、スマートグラスは対象を撮影して取り込み、OCRで文字を読み取る。
次にAIは読み取った内容から重要部分を抽出し、ユーザーといっしょに内容を確認した上で、要約を作成。博士課程資格試験対策の頼もしい相棒となっている。
Rokid社のスマートグラスは 双方向でのリアルタイム翻訳や音声入力、文字起こし、GoogleMap連携、12MPカメラ、音声での写真・動画撮影 を前面に出している。
こういった機能を使えば、試験の問題文を撮影して読み込み、AIが内容を処理。正解や解説をすぐに目の前に表示してもらえるわけだ。
つまりスマートグラスを活用すれば、撮影から文字起こし、内容の確認や要約、重要か所の抽出、解答の作成や解説がすべて視界の中で完結するのである。
大学の期末試験では上位5位に入る成績を実現
下は香港科技大学の研究チームが行った実験の様子。Rokid社のスマートグラスとOpenAIのGPT-5.2を接続し、期末試験を受けてみた。
仕組みとしては、Rokid社のスマートグラスを装着した学生が、試験用紙をカメラで撮影して画像をスマホ経由でAIに送る。
AIは設問を確認すると、その解答をメガネのレンズに表示し、学生はそれを解答欄に記入していく。
こうしてスマートグラスを使って解答した結果、100人超の期末試験で92.5点を獲得し、上位5位に入ったという。
これは実験として行われたものだが、現実には実際の教室で、スマートグラスが不正に使われるケースが増えているのだそうだ。
大学入試や公務員試験では、スマートフォンやスマートウォッチと並んで、スマートグラスの使用は既に禁じられている。
試験会場の入り口にセキュリティゲートを設けたり、電子機器の検知器を導入したりして、スマート機器を使った不正の防止策がとられているという。
だが、一見すると普通のメガネに見えるため、通常の期末試験などでは、教師が見抜けないことも多いらしい。
もっともスマートグラスにもデメリットはあって、通常のメガネよりかなり重い、充電がもたない、レンズの表示には慣れが必要、そして夏場は特に熱くなってしまうなど、せっかく購入したものの、放置している人も少なくないようだ。
なお、上の実験に使われたRokid社の日本向け公式ページ[https://jp.rokid.com//pages/rokid-glasses]では、現在クラファン形式で日本発売の先行予約受付中[https://www.makuake.com/project/rokid_aiglasses/]とのこと。
これと同様のスマートグラスには、Even G2[https://www.evenrealities.com/ja-CY/smart-glasses]やRay-Ban Meta[https://www.meta.com/jp/ai-glasses/ray-ban-meta/]などがある。そして2026年にはGoogleも参入。Gemini搭載のAIスマートグラスが発売になるそうだ。
日本での普及はこれから?
中国やアメリカでは普及しつつあるスマートグラスが、日本では出遅れている理由は、個人情報やプライバシーの問題がハードルになっているかららしい。
そこで日本発売の際は、写真や動画を撮影する際、スマホ同様にシャッター音がする仕様になるようだ。
もっとも日本でも通販サイトを覗いてみると、お手頃価格のAIスマートグラスがたくさん売られているので、興味のある人は見てみるといいかも。
エイプリールフールのネタとしてスカウターが登場
ところで2026年4月1日、エイプリールフールのネタとして、ドラゴンボールの公式アカウントが、ビジネスシーンを想定した「スカウター Pro Max」の予約を開始するとアナウンスした。
もちろんこれはネタで販売されるわけではないが、近い将来実際にスカウターが誕生しそうな気配は否めないほどにはAI技術はぎゅんぎゅん進んでいるよね。











