2026年3月31日夜、中国・湖北省武漢市で、街中を走っていた自動運転のロボタクシーが、突然その場で動きを止めるという事案が発生した。
それも1台や2台ではない。
タクシーに乗っていた利用者の多くが、交通量の多い道路に取り残されてしまい、中には1時間半も外に出られなかった乗客も。
原因については「システム障害の可能性」と発表されているが、詳しい経緯や今後の対策などの説明はいまだに行われてない模様だ。
都市部を走るロボタクシー100台以上が一斉に停止
武漢市公安局交通管理局によると、この日の20時57分以降、市内を走るロボタクシーが突然動かなくなったという通報が相次いだ。
今回停止した車両は、中国のIT企業「百度」が展開する自動運転配車サービス、「Apollo Go(蘿蔔快跑)」のロボタクシーである。
この状況は武漢市内の各所で発生し、停止した車両の数は100代以上に上るという。また一部のタクシーは、高架の環状道路(都市高速に近い)で動けなくなってしまったそうだ。
交通量の多い状況の中で車両が停止したため、乗客の救助や車両の移動には、Apollo Goのスタッフはもちろん、警察も出動して対応に大わらわとなった。
その後の警察の発表によると、幸いなことに負傷者は報告されておらず、乗客は全員安全に車外へ避難したそうだ。
1時間半にわたって車内に閉じ込められた乗客も
だが、避難は必ずしもスムーズに行われたわけではないらしい。ある乗客は90分間タクシーの中に閉じ込められたといい、その時の状況を自身のSNSに投稿した。
ロボタクシーのカスタマーサービスに電話しましたが、最初はまったく繋がりませんでした。
その後何度もかけ直しましたが、どの担当者も「専門スタッフを派遣した」と言うばかりでした。
22時30分を過ぎたころ、私の救助要請はキャンセルされてしまい、私は高架道路の上で、周囲をダンプカーに囲まれたまま取り残されてしまったんです
この乗客は後に救出されたが、Apollo Goのカスタマーサービスについて、「緊急時の対応策ではなく、役に立たない決まり文句ばかりだった」と批判している。
別の乗客は、車内のモニター画面に、次のようなメッセージが表示されたと話している。
運転システムに不具合が発生しました。5分以内に、当社のスタッフが到着する予定です
だがいくら待っても誰も来なかったため、この乗客はSOSボタンを押した。だが、画面には再び助けが向かっているとのメッセージが表示され続けたため、最終的に自力でドアを開け、車両から脱出したという。
また、ドアは開いたものの、周囲の交通状況から安全に降りることが難しく、警察に支援を求めたり、長時間車内で待機することを余儀なくされた人もいたそうだ。
幸いにして乗客にケガ人は出なかったが、停止した車両が道路をふさいだことで、後続車の追突事故が起きたとの報道もある。
中国のSNSには、通りすがりのドライバーたちが撮影した、立ち往生したロボタクシーの映像が複数投稿されている。
世界各地で普及し始めた自動運転のロボタクシー
Apollo Goは百度が運営する自動運転タクシーの配車サービスである。利用者がアプリでタクシーを呼ぶと、自動運転のロボタクシーが目的地まで運んでくれる。
百度によると、2026年2月時点で、Apollo Goの累計利用回数は2,000万回超、展開都市は26都市、自動運転の累計走行距離が3億km超とのこと。
下の動画は、このApollo Goのロボタクシーに実際に乗車したときの様子である。運転手のいないタクシーが利用者を乗せ、交通量の多い道路を普通に走っていく。
百度は中国国内だけでなく中東でもロボタクシーの展開を進めており、2026年2月にはUberと組んで[https://investor.uber.com/news-events/news/press-release-details/2026/Baidu-and-Uber-Partner-to-Bring-Apollo-Go-Autonomous-Ride-hailing-to-Dubai-in-Collaboration-with-Dubais-Roads-and-Transport-Authority/default.aspx?]ドバイでApollo Goを展開すると発表している。
中国ではApollo GoのほかにPony.aiやWeRideもロボタクシーの商用運行を広げており、中東やヨーロッパなど、海外への展開も進めている。
こちらはドバイのジュメイラの大通りを走るApolle Goのロボタクシーだ。ドバイでは2030年までに、交通の25%を自動運転化するという国家戦略のもと、ロボタクシーを積極的に導入しているとのこと。
またアメリカでも、Google傘下のWaymo One、Amazon傘下のZooxなどが同様のロボタクシーの商用化を進めており、GM社やTesla社も参入に向けた準備を進めているという。
日本ではWaymoが日本交通とパートナーシップを締結[https://waymo.com/intl/jp/waymo-in-japan/]し、 東京で自動運転車両を導入することを発表している。
また日産・Wayve・Uberの3社[https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/260312-01-j]が、東京でロボタクシーの試験運行を2026年後半に始める計画を3月12日に発表した。
Waymo社は都内でのテスト走行を重ねた上で商用運用を始めるとしているが、最初のうちは日本交通の乗務員が、手動でロボタクシーの車両を運転するそうだ。
中国やアメリカに比べると、日本でのロボタクシー導入はまだまだ先の話になりそうである。
特に今回のようなトラブルの話を聞くと、過密都市での運用には不安を覚える人も多いだろう。
一斉停止の原因はシステム障害?
当局は今回の混乱の原因について、「調査の結果、予備的な調査結果では、システム障害が原因とみられる」と発表した。
Apollo Goのロボタクシーは、それぞれの車両の車載システムに加え、集中管理システムによって運航が支援されている。
つまり全体の管理システムの部分に何かしらの異常が発生すると、1台だけでなく、同時に運用中の複数の車両に同時に影響が及んでしまう。
通常、ロボタクシーのような自動運転システムには、異常を検知した場合、安全確保のために車両を停止させる機能が搭載されている。
しかし今回は、交通の流れの中で複数の車両が一斉に停止するという事態になったことで、かえって新たな危険を生む形となった。
2025年12月、サンフランシスコでの大規模停電で信号が消えた際、Waymoのロボタクシーが交差点などで停止し、交通の混乱を招いた事例はある。
だが、今回のように100台規模の車両が同時に停止し、都市交通に直接影響を与えたケースは極めて異例だと言えるだろう。
4月4日時点では、詳細な原因の報告書や再発防止策についての新たな情報は発表されていないようだ。
大きな事故に繋がらなかったのは不幸中の幸いだが、今回のようなトラブルはもちろん、ハッキングされて「事件」を引き起こす可能性だってないわけじゃない。
無人のロボタクシーの安全性を、我々はどこまで信用できるのだろうか。とりあえず、当局の徹底した調査が行われることを期待したい。
References: Passengers Left in Middle of Busy Traffic After Over 100 Self-Driving Taxis Stop Running in 'System Malfunction'[https://people.com/over-100-self-driving-taxis-stop-mid-traffic-in-china-after-system-malfunction-leaving-passengers-stranded-11941064]











