ちょっと前に全世界で話題になった、「道路を横断するアメリカヤマシギ」の映像を覚えている人は多いと思う。
あのなんともユーモラスな動きのとりこになってしまったファンは、アメリカでも多かったらしい。
2026年3月の終わり、ニューヨークの小さな公園では、北への渡りの途中で立ち寄ったアメリカヤマシギたちが、羽を休めている様子を目にするようになった。
その可愛らしい姿を一目見ようと、公園には多くのニューヨーカーたちが訪れて、バードウォッチングに励んでいるという。
旅の途中、大都会で羽を休める渡り鳥
まず下がちょっと前にバズったウワサのダンシング・ヤマシギたちだ。
なんともユーモラスな動きと、待たされているドライバーの気持ちが相乗効果を生んで、SNSで一気に広まったやつ。
実は今、大都会のニューヨークシティ、それもマンハッタンのど真ん中で、このアメリカヤマシギが大人気になっている。
アメリカヤマシギは、毎年春先になると北への渡りの途中で、ミッドタウンにあるブライアント・パークに立ち寄ることで知られている。
バードウォッチャーのデボラ・アルペリンさんは語る。
彼らはここに来る頃にはもう疲れ果てています。だからもし緑地にたどり着けたら、それはとても幸運なことなんです。
小さな鳥たちはどこにでも降り立って、しばらくの間そこで過ごし、数日間ミミズを食べて、旅を続けるためのエネルギーを補給します。
そして体力が回復したら、このガラスに囲まれた迷路のような都会から抜け出して、北へと旅立っていきます
一目その姿を見ようとファンが殺到
2026年3月下旬、今年も彼らは渡りの途中でブライアント・パークに到着したが、例年以上に多くのファンが集まっている様子に戸惑ったかもしれない。
その一因は、SNSで動画が広く拡散されたことにある。動画を見た多くの人々が、あのユーモラスな動きを自分の目で見ようと、公園を訪れているのである。
とても魅力的な鳥ですよ。
というか、ちょっと間抜けな顔をしているんです。どこにいても、いつもこちらを見ているような目つきをしています。緊張すると、可愛らしい小さなダンスをするんですよ
公園に立ち寄ったイェール大学のビル・ランキン教授はこう語る。丸っこい体に大きな目、長いクチバシと、ちょっとちぐはぐな体つきも魅力なんだとか。
昔からのバードウォッチャーはもちろん、SNSで話題になった鳥を一目見ようと訪れる人で、公園は人だかりが絶えない。
そんなファンたちの間から新たなバードウォッチャーが誕生し、鳥好きたちのちょっとした交流の場にもなっているという。
あの歩き方の理由は確実には判明していないらしい
SNSで広く知られるようになったあの独特の歩き方の理由は、実はまだはっきりとわかっていないそうだ。
あの動きの振動が伝わることで、地中にいる虫を誘い出して食べるためという説が一番有力とされている。
だが、硬いアスファルトや氷の上でも同様の行動をとることから、求愛行動、もしくは威嚇ではないかと考える人もいる。
コーネル鳥類学研究所の科学者、アンドリュー・ファーンズワース氏は、ブライアント・パークのアメリカヤマシギの行動についてこう説明する。
ブライアント・パークで、大勢の人が見ている中であの鳥がじっとしているのは、ほとんどが採餌行動の一部です。
少し休息したり体を伸ばしたり、周囲を見回すような感覚的な行動や、ちょっとした擬態のような動きも見られます
アメリカヤマシギという鳥について、もっと詳しく知りたいという人は、こんな動画があったのでよかったら見てみてほしい。
渡りを前に、ニューヨーカーたちの間で人気沸騰中
ブライアント・パークでのアメリカヤマシギの人気ぶりを見た人たちからは、さまざまな声が寄せられている。
- 公園のレンジャーと話したんだけど、この鳥たちはかなり昔からこのエリアを渡りの途中で通ってるらしい。
- あの鳥たち、毎年同じ場所に来るんだよ。今年はSNSで一気に注目されたから騒がれてるだけ。普段はフェンスの中とか、下草のある場所にいるし、隠れようと思えば隠れられる環境もある
- 自分はこの公園で働いてるんだけど、2022年から毎年春と秋にあの鳥たちが来るのを見てるよ。ここはマンハッタンでもトップクラスにうるさい場所だけど、あの鳥たちが人を気にしてる様子は見たことないな
- この近くで働いてて、毎日何回も見に行ってるよ。あいつらが大好きなんだよ。あえて開けた場所に出てきて、人のすぐ近くにいることも多いんだ
- 見てる人たちはみんなちゃんと距離をとって配慮してたし、鳥自身も人に見られてることを全然気にしてない感じだったよ
- 自分もさっき行ってきたけど、ほんとに気にしてなかった。自分のペースでちょこちょこ歩いてるだけ。みんな静かに見たり撮影たりしていて、あの場にいられたのはすごく特別な体験だった
- 正直、見物人たちのほうが周囲の騒音よりずっと静かなくらい。昼休みの公園なんて普段はカオスだけど、鳥を見てる人たちはだいたい静かだ
- ブライアント・パークって、実際は学校の校庭くらいの広さしかないって知ってびっくりした。あの鳥たち、めちゃくちゃ人間に囲まれてるよね
- 鳥のこと全然知らないんだけど、ヤマシギってみんなあんなふうに踊るの? それともあの個体だけ?
- たぶんみんなやるよ。YouTubeにも他の動画あるし。かわいいよね
- 仕事帰りに実際見てきた。
なんであんな何気ない可愛さに、あそこまで幸せを感じたのか自分でもわからない- バードウォッチングは健康にもメンタルにもいいんだぞ
- それな。今の世の中のゴタゴタの中で、正気を保つのに役立ってるよ
- 今回の件で、ガラスへの衝突問題を知る人が増えたらいいなと思う。こに来る個体の中にはガラスに衝突して弱ってる子もいるからね
- こういう思いやり、もっと増えてほしいよ。ニューヨーカーやるじゃん
- 大都会の人たちが、忙しさをちょっと止めて自然の美しさに目を向けてるの、いいよね
- ニューヨークでバードウォッチングは不可能じゃないけど、自分から探しに行かないと見つからない。今回見られた人たちはほんと運がいい
- ビルの明かりを消す取り組み、ちゃんと支援しような。ヤマシギを含めて、多くの鳥が光る窓を安全な通路と勘違いしてしまう。それで毎年とんでもない数の鳥が死んでるんだ
コメントにもあるように、ブライアント・パークは決して大きな公園ではない。ミッドタウンの摩天楼に囲まれており、いつもたくさんの人が訪れている。
園内には売店やメリーゴーラウンド、テーブルなどが設置されていて、大都会の中のオアシスではあるものの、決して自然が豊かとは言えないだろう。
だがこんな小さな緑地でも、彼らにとっては旅の疲れを癒すために、なくてはならない中継地点なのだ。
そんな中、アメリカヤマシギの姿を求めて集まってきた人たちは、騒ぐことなく、静かに観察を続けているそうだ。
ブライアント・パークではバードウォッチングのツアーも行われているが、今訪れている人々の多くは、ただ静かにアメリカヤマシギの姿を目に焼き付けている。
そのあまりの人気ぶりに、公園ではこの鳥の姿をデザインしたベースボール・キャップまで販売されているほど。
光害や窓ガラスとの激突など危険がいっぱいの大都会
アメリカヤマシギ(Scolopax minor )は、北アメリカに広く分布するチドリ目シギ科の鳥である。
秋になるとアメリカ南東部の大西洋沿岸~メキシコ湾岸まで南下して冬を越し、春になるとまた北上して繁殖地へ向かう。
その渡りの途中で、公園のような緑地に立ち寄って体を休めることもあり、ブライアント・パークもそんな渡りの途中での一時的な休憩場所なのだ。
現在のところ絶滅危惧種には指定されていないが、生息地の減少や人間活動の影響により、ここ数十年で個体数は減少傾向にあるとされている。
特に都市部では、ネオンなど夜の光に引き寄せられて、建物のガラスに衝突する事故が問題となっている。
ニューヨーク市の博物学者ライアン・F・マンデルバウム氏は、このようなアメリカヤマシギの人気は、彼らが都市で直面する脅威について一般の人々に啓発する貴重な機会となっていると述べている。
光害やガラスによるヤマシギの保護上の脅威について、人々が関心を寄せているのを見て、私も勇気づけられました。
この鳥を目にした人々が共有する喜びや、コミュニティの温かさが素晴らしいと思います
渡りから渡りへの間のほんの短い時間ではあるが、大都会のど真ん中で疲れを癒すアメリカヤマシギの姿に、ニューヨーカーたちの心も癒されているようだ。
References: In The Middle Of NYC, A Tiny Bird Is Creating Big Moments Of Joy[https://www.sunnyskyz.com/good-news/6150/In-The-Middle-Of-NYC-A-Tiny-Bird-Is-Creating-Big-Moments-Of-Joy]











