アニメオタクと言われた言葉の概念も変わり、いまや20代のカラオケランキング上位の半数以上がアニソンというほど裾野が大きく広がっています。平成のミュージックシーンを振り返るとアニソンが残した影響は大きく、平成7年に発表された『新世紀エヴァンゲリオン』オープニング曲「残酷な天使のテーゼ」は、10代から50代までの世代別カラオケランキングすべてにトップ10入りするなどアニソンの金字塔となっています。
いまのJ-POPシーンを牽引しているのは間違いなくアニソンなのです。そこで今回はアニソンの文化や歴史にも詳しいインディーズレーベル・AVSS代表であるA-KIさんと、コスプレができるオシャンティなDJパーティー「こすのん」のオーガナイザーのユータローさんにちょっと深めにアニソンの魅力について話をお聞きしました。

会社帰りにアニソンやコスプレを楽しむ社交場「こすのん」

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毎月第3火曜日に青山で開催されている「こすのん」は、アニメやゲーム音楽はもちろん、様々な曲がかかってコスプレもできるクラブイベントです。そして「こすのん」ならではの特徴が、フロアの照明が明るいこと。クラブイベントというと暗く怪しいイメージがありますが、「こすのん」はめちゃくちゃ健全な雰囲気なのです。そういったこともあって来場者に女性が多いのかもしれません。
そしてなんと言っても大きな魅力は、作品の年代を問わず様々なキャラクターのコスプレを楽しんだり、お酒を飲みながらアニソンで踊れること。KKBOXスタッフがお邪魔したときも、会社帰りの社会人を中心に、学生から大人まで和気あいあいに楽しんでいました。

このアニソンを聴け〜アニオタが選んだこの10曲〜


びっくりしたのは『けものフレンズ』の主題歌「ようこそジャパリパークへ」が流れた時のフロアが揺れるぐらいの盛り上がり。アニソンってみんながひとつになれるチカラをこんなに持っていたことに驚きです。

最近のアニソンとコスプレを学ぶ◯A-KI (AVSS/こすのん/秋葉東京 )

レーベル代表として数多くのプロジェクト指揮をするほか、DJだけでなくVJも行うマルチプレイヤー。一介のオタクがクラブの楽しさに目覚め、2001年12月からVJとして活動を開始。
オタクがクラブイベントに2003年から一貫して提唱し続け、アニソン系・ボカロ系・東方Project系など数多くの主催・立上げに深く関わっている。

このアニソンを聴け〜アニオタが選んだこの10曲〜


◯ユータロー (こすのん/GOTTA VISION)

ヒト科VJ目における古いhouseが好きなスケベ。 2009年頃から関西でアニソンを中心に活動を始め、大小様々なイベントに参加。 こすのん2代目オーガナイザー。

このアニソンを聴け〜アニオタが選んだこの10曲〜


KKBOX : 最近、古いアニメがリメイクされて人気ですがその理由はなんでしょう?

A-KI : 殿堂入りしているとも言える『デビルマン』や『おそ松くん』『マジンガーZ』『タイムボカン』などの名作が、レトロフューチャ一されて話題になっていますよね。僕はいま30歳なのですが、自分たちが生まれた頃やそれ以前のアニメが輝いて見えたり、先進性を感じたりすることがあるんですね。
それは同年代のクリエイターや音楽家も一緒じゃないかなと思います。そしてリアルタイムに観ていた40歳、50歳ぐらいの人も懐かしく楽しめるから、もう時代は関係ないと思います。

出典元:YouTube(avex pictures)

KKBOX:最近印象に残っているレトロフューチャーアニメはなんですか?

A-KI : 最近印象に残っているアニメとしては『ロボットガールズZ』ですね。いろんなロボットキャラクターが擬人化されたアニメなのですが、マッシュアップ感がいいです。音楽的にも『マジンガーZ』をいかにパクっているかということを意識して聴くと面白いです。昔のアニソンにあった杉並合唱団みたいな掛け声なんかも遊び心溢れる感じで仕上がっていて楽しいです。


出典元:YouTube(東映ビデオ)

ユータロー:アニソンでは『マクロスδ』の「いけないボーダーライン」が好きですね。昭和チックというか、ヒーローソング的なメロディラインがキャッチーで聴きやすいです。マクロス自体が80年代からずっと作品を重ねてきているので、以前のマクロスの曲を使ってみたり、リン・ミンメイの曲をリバイバルしたりしているので幅広いファンに人気です。

出典元:YouTube(Animation Lab)

KKBOX :コスプレって改めて面白いなと思いました。「こすのん」に参加して感じたのが、子供の頃は『仮面ライダー』のベルトを付けたり、『おジャ魔女どれみ』の衣装を着たりしてみんな一度はコスプレしていたんだよなーと。そんなことを思い出しました。


ユータロー:レイヤーさんはみんな愛情が深いです。コスプレの衣装ってほとんど手作りしているんですよ。僕たちが子供の頃は、自分たちの親世代がコスプレを趣味にしているってほとんどいなかったけれど、いまでは親世代が普通にコスプレ文化を通ってきているので、奥さんと一緒に「じゃあ、作ろうかー」ってなっている気もします。

KKBOX : これからはファミリーでコスプレを楽しむイベントとかカルチャーが生まれてきそうですね。

A-KI : コスプレの歴史で言うと「SF大会 ※1」で、ガンダムの制服をみんなが着て行進したところから始まったようなんです。そこからコミケの即売会で音楽をかけたり、コスプレをやる人がでてきて。
いろんなものが結びついていまの形になっています。表にでてきたのはこの20年~30年ぐらいだと言えます。

KKBOX:コスプレも平成でブレイクしたカルチャーだったんですね。

※SF大会:庵野秀明も参加したこともあるSFジャンルを中心とした小説、漫画、アニメ、特撮などの総合イベント。

いま聴くべきアニソン10選

それではA-KIさん、ユータローさんに〈いまチェックしとくべきアニソン〉を紹介してもらいましょう。こんなにいろんなアニソン楽曲がKKBOXにあったんですね。

〈A-KIセレクト〉

◯宇宙戦艦ヤマト2009 - Rock Version / THE ALFEE

クラシックアニメの金字塔『宇宙戦艦ヤマト』は2020年を目前とする近年でも、今なおリバイバルの続くアニメです。オリジナルバージョンも捨てがたいですが、アニソン的には銀河鉄道999でも有名なTHE ALFEEによるカバーバージョンを。

◯Get Wild 89’/ TM NETWORK

出典元:YouTube(アニプレックス)

2019年、新たに制作された劇場版アニメ『シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』は懐かしい音楽のオンパレードでした。劇中でも使われる「Get Wild」は様々なアレンジバージョンがあるんですが、一番好きな89年バージョンをセレクトしました。

◯残酷な天使のテーゼ feat. fox capture plan / arlie Ray

アニメの歴史を変えた『新世紀エヴァンゲリオン』。年代別のカラオケランキングで10代から50代までの全てで10位以内にランクイン。誰もが知るところのTheアニメソングですが、めちゃくちゃお洒落なハウスアレンジ・バージョンで。

◯YOU GET TO BURNING / angela

After エヴァンゲリオンといえばこちらの1988年に公開されたアニメ『機動戦艦ナデシコ』。 “宇宙戦艦ヤマト”の中で“ガンダム”をしながら“うる星やつら”が繰り広げられる高度なSF設定が盛り込まれたロボットラブコメアニメでした。声優がアニソンシンガーを務めるという流れは、このアニメくらいから加速していったように記憶しています。原曲の松澤由美バージョンも良いのですが、趣向を変えて現在人気のアニソンアーティストであるangelaのカバーバージョンを。

◯木枯らしセンティメント / 戦場ヶ原ひたぎ(CV:斎藤千和)&貝木泥舟(CV:三木眞一郎)

2013年アニメ〈物語〉シリーズ セカンドシーズンの『ひたぎエンド』の主題歌。物語の主軸となるキャラクター2名による懐かしい雰囲気を持つアニメソングです。

〈ユータローセレクト〉

◯徒花ネクロマンシー / フランシュシュ

佐賀を舞台にした唐津弁満載のゾンビ×アイドルという異色アニメ『ゾンビランドサガ』のオープニング主題歌。懐かしいヒーローソングのような曲調になっています。アニメのタイトルを叫ぶというアニソン特有のお決まりがありますが、サビの最後で一緒に「サガー!!」と叫んでしまうような力強いメロディが大好きです。純×愛。

◯小さな恋のうた/高木さん(CV:高橋李依)

出典元:YouTube(TOHO animation チャンネル)

今の30~40代に必ず刺さりまくるモンゴル800の名曲を甘酸っぱい青春系アニメ『からかい上手の高木さん』のエンディングとしてカバー。この曲の他にも学生時代を思い出させる懐かしいJ-POPをカバーし、各話エンディングとして起用しています。主人公の西片が、教室の隣の席に座っているヒロインの高木さんと青春する、そんな甘酸っぱい思い出は僕の学生時代にはなかった….なかった。

◯ラブ・ドラマティックfeat.伊原六花 / 鈴木雅之

まさか鈴木雅之が『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』のテーマ曲を歌うとは誰も予想していなかったと思います。昔、ラッツ&スターの「め組のひと」が『キン肉マン』の劇中で使われた時ぐらい、アニメ公式サイトのTOPからMUSICに飛んだ時に受けた衝撃が忘れられません。曲は完全に鈴木雅之でかっこ良く、オープニングでこの曲が終わった後に始まるラブコメとのギャップがまた楽しい作品になっています。

◯ドリーム・シフト/ 松本梨香

僕は可愛いキャラクターがキャッキャ&ウフフするアニメも好きですが、ロボットアニメや主人公が苦難に立ち向かうアニメも大好きで子供の時はおもちゃもよく買っていました。ライジンオーみたいに、学校が変形してロボットが出撃するとか男子はみんなテンション上がりますよね。それまでのアニメテーマソングの様にタイトルコールを入れるお決まりは残しつつ、作品ごとに曲調がロックだったりPOPだったりするのも、勇者シリーズやエルドランシリーズの特徴の一つだと思っています。『絶対無敵ライジンオー』のテーマ曲を松本梨香バージョンで。

◯勇気100% / 菅野穣

子供の頃に一度は見ているだろうというアニメ作品の中で、歌手は変われど同じテーマソングを歌い続けられている作品って『忍たま乱太郎』か『サザエさん』なんじゃないかと思います。実は『ドラえもん』は、途中でテーマソング変わっちゃっているんです。『サザエさん』は歌い手(宇野ゆう子)さえ変わっていません。そう考えると国民全員が口ずさめるアニソンってすごいですよね。「勇気100%」はジャニーズの登竜門的な曲として受け継がれているのが好きで、カラオケでもよく歌っていたりします。

〈インフォメーション〉

コスプレできるおシャンティなDJパーティー「こすのん」VOL.100

いよいよ100回目となる「こすのん」が開催。アニソン好き&コスプレ好きの人だけでなくても楽しめるイベントです。会社帰りに気軽にその扉を開いてみませんか。

◯開催日:4月16日(火)
◯時間:18:00 OPEN / 23:00 CLOSED
◯場所:青山ファイ
◯こすのんサイト([url]45cabcff[/url])

オススメプレイリスト

 

(KKBOXライター:KKBOX編集室)