『思考実験ドリル』(著:北村 良子 イラスト:伊藤 ハムスター)
ロジカルシンキングという言葉をご存知でしょうか。日本語では論理的思考力といい、近年特にビジネスパーソンに重要なスキルとして話題となっています。
◎有名なトロッコ問題
本書は、常識、未来、命など7つのテーマに合計42篇の短い物語が紹介され、私たちに毎話1つの疑問を問いかけます。私たちはその問いに対してYESかNOかを決め、「なぜ」そう思うのかを言語化するトレーニングをします。
例えば正しさを考えるというテーマでは、暴走したトロッコの先に5人の作業員がいるためアナタは線路を切り替えたいが、切り替えた先には1人の作業員がいます。さてアナタは線路を切り替えますか? 切り替えませんか?

これは「トロッコ問題」と言われる有名な問いなのでご存知の方も多いのではないでしょうか。5人の犠牲を出さないために1人を犠牲にするのか否か……非常に悩ましい問題です。全ての問いに対して解説ページも用意されているので、迷った場合は読んでから答えをだしてもいいと思います。

もちろんこれらの問いに正解はありません。重要なのは正解のない問いに対して、自分の考えや意見を持つことができるかということです。
◎実際に家族でやってみた
実際に私も夫と2人でいくつかの問題に挑戦してみました。
そして、答えが分かれたときに気づくのは「問題に対する視点の違い」です。それが顕著にでた問題はこちら。

100万円の配分が1:99だったとき、承諾するか否かという問いに対して私は断固拒否を選択しました。そんな理不尽は受け入れがたいので、私も0円になるが相手も0円になってしまえ!!と感情を優先した答えでした。
対して夫は、「そりゃあ腹は立つけど、1万円をもらって損はない」という感情を抑えた合理的判断でした。

意見が割れた問題こそおもしろく、相手の新たな一面に気づいたり、自分の視野が広がるきっかけになると感じました。
◎日本人は論理的思考が苦手!?
正直なところ私はこの手の問題は苦手です。なぜかというと、問題に正解がないからだと思います。昭和生まれの方々は覚えがあると思いますが、(私もギリギリ昭和の人間です)勉強の基本は暗記であり、テストでは1つの正解を導かなくてはいけませんでした。なので、こうした質問もどこか「で、よりよい答えはどっちなの?」と正解を求めてしまいます。
だからこそ、子どものころからこうした論理的思考力を鍛えることはとても重要だと思います。
本書は子どもだけでも読めるよう全ての漢字にルビが振ってあり、可愛いイラストも随所に散りばめられています。遊び感覚で盛り上がれる本ですので、ぜひとも子どもたち主導で、ご家族で挑戦をしてみてください。
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■レビュワー
◎Micha
ライター。フリーランスで働く1児の母。特にマンガに関する記事を多く執筆。Instagramでは見やすさにこだわった画像でマンガを紹介。普段マンガを読まない人にも「コレ気になる!」を届けていきます!
Twitter:@Micha_manga
Instagram:@manga_sommelier
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■本の紹介
◎思考実験ドリル
\読むだけでキミも天才/
世界は5分前にできた? 命の価値は同じ? 桃太郎の行動は正しい?
こどももおとなもみんなハマる!
正解がないからおもしろい、7つのテーマの思考実験を42問収録。
本書を読むだけで、これからの時代を生きるうえで必要な論理的思考力が自然と身につく。
総ルビだからみんな読める!
- - 主書名:『思考実験ドリル』
- - 著:北村 良子 イラスト:伊藤 ハムスター
- - ISBN:9784065335635
- - この本の詳細ページ:https://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784065335635