がんに次いで、日本における死因第2位の心疾患。
その中でも心不全は死亡者が最も多いのにも関わらず、その認知度は十分ではなく、初期症状が見過ごされることあります。


こうした現状を踏まえ、近年ではテクノロジーやAIによって早期発見や診断、疾患予防を実現すべく研究が進められています。

そんな心不全医療の未来について、アストラゼネカ株式会社が「心臓フロンティア~心不全ゼロの未来へ~」と題した市民公開講座を、大阪・関西万博の英国パビリオンにて開催しました。

「心不全を知る・防ぐ・治す」をテーマに専門医が解説
AI医療による「心不全」の早期発見と治療の未来を語る市民公開講座を取材【大阪・関西万博】
国際医療福祉大学 教授 小室一成先生によると、「心不全パンデミック」と呼ばれるほど心不全が爆発的に増加しているそう。

特に高齢者に多い病気である心不全。団塊の世代800万人が全員75歳を超えるという「2025年問題」で、心不全患者がさらに増加することが予想されているそうです。
心不全の症状としては、以下のようなものがあります。

・階段や坂道を上った時の息切れ
・寝ていると息苦しくなる
・足のむくみ
・疲れやすさ
・指先の冷たさ
・腹部膨満

これらの症状は年齢のせいと思われがちですが、短期間で症状が変化した場合に注意が必要だそうです。

予防としては、塩分制限や適度な運動、禁煙、適量の飲酒などの良い生活習慣が重要で、心筋梗塞や心房細動、弁膜症などの基礎疾患の治療も心不全予防につながるそう。

未来の医療と心不全についてのトークセッション
AI医療による「心不全」の早期発見と治療の未来を語る市民公開講座を取材【大阪・関西万博】
講演の後半は小室先生に加え、木田圭亮先生(聖マリアンナ医科大学 薬理学 主任教授)と鍵山暢之先生(順天堂大学 循環器内科 データサイエンスコース 特任准教授)、ゲストに本田望結さん(俳優・フィギュアスケーター)が登壇。
AIなどテクノロジーの進化によって、未来の心不全医療がどう変わっていくかについて議論されました。

AIは医療現場でも活用が進んでいて、歩く速度の変化や声の変化などから心不全を早期に発見する研究が進められているんだとか。
ウェアラブルデバイスもこうした心不全の早期発見に役立つ可能性があるとのことで、先生方3人共に装着していました。


木田先生は、高齢者ほど自覚症状に気づきにくい傾向があり、AIによるサポートが早期発見に役立つとコメント。
また、「健康ハートの日」(8月10日)の取り組みを紹介し、心臓の健康に対する意識を高める重要性を強調しました。

鍵山先生は、AIを活用した心アミロイドーシスの診断研究について解説。
心アミロイドーシスは「アミロイド」というタンパク質が心臓に蓄積する病気で、高齢者に多く、症状が気づきにくいため早期発見が難しいとされています。

一方で、AIの活用で心エコー検査の画像から、心アミロイドーシスの兆候を高精度で予測できるようになってきているそうです。

知識を得ること、伝えることが心不全予防につながる
AI医療による「心不全」の早期発見と治療の未来を語る市民公開講座を取材【大阪・関西万博】
本講座で実施されたアンケートでは、体調の変化に気づいた際に「最初は自分なりに対処する」と思う人が最初は最も多かったものの、講座終了後には「医療機関に相談する」と回答する人が大幅に増加し、参加者の意識変化が見られました。
AI医療による「心不全」の早期発見と治療の未来を語る市民公開講座を取材【大阪・関西万博】
ゲストの本田さんは、体調の小さな変化に気づくことや、知識を家族や友人に広めることの大切さを語り、「若い世代も含めて、心不全についての知識を持つことが自分自身や周囲の人々の健康を守ることにつながる」と訴えました。

心不全は予防が可能な病気であり、少しでも体調に変化を感じたら医療機関を受診することが何より大切。
また、ウェアラブルデバイスなど、身近にあるテクノロジーを活用することで発見できることもあります。

健康を守るため、日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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