──2017年10月から放送を開始したアニメ『ブラッククローバー』。2年近くこの作品と向き合ってこられた今、改めてアスタとユノを演じられることになってからの現在までのご心境を教えてください。
梶原岳人 長い作品ですし、それだけ同じ役を毎週、毎週決まった時間に収録するということが日常になっているので、アスタが生活の一部として息づいているという感覚があります。自分の中で欠かせない存在になっていて、ブラクロがお休みの週があると、自分自身違和感を感じるので、それだけ長い期間をアスタと共に歩んでいることをすごく幸せに感じています。
島崎信長 現場には慣れた?
梶原 ちょっと慣れてきました。キャストの皆さんともずっと一緒にいるので仲良くなれてきたなと思います。やっぱり先輩方に対して最初はすごく緊張をしていたんですけど、すごく優しく接してくださいましたし、最近では僕が勝手に感じていた緊張も和らぎました。
島崎 ね。だんだんリラックスして収録に臨めるようになってきたよね。本当にがっくん(梶原)の、最初の閉じこもり具合ときたら!緊張しちゃってたもんね。
梶原 すごく緊張しました。スタジオでの空気感なんかも今ではすごくいいものになってきたなと感じています。
島崎 いいチームだよね。(魔法騎士団「黒の暴牛」所属の)暴牛メンツの絆もすごく強くなった気がするよね、見ていて。
梶原 めっちゃ仲がいいと思います。
──収録が始まった頃の梶原さんはどのような感じだったんですか?
島崎 まずしゃべらない、しゃべれない!
梶原 本当にそうでしたね(笑)。
島崎 ずっと慣れない感じだったよね?(笑)。落ち着かないというか。でも全然、マイク前では堂々とやっていたし、その場に居づらそうにしているわけではなかったんですけど、結構気配を消してた。それを福山(潤)さんとかに「気配を消すなって言ってるだろ!」ってツッコまれたりしてました。でも最近は普通にしゃべったり、自己主張ができるようになったと思います。まぁ、気配を消すこともあるけど(笑)。
梶原 そうなんです。たまに消しています(笑)。
島崎 でも普通のやりとり感が出てきたよね?でも、それこそ新人で周りが先輩ばかりで、「はじめまして」の人ばかりだっただろうし、別にがっくんじゃなくても緊張すると思う。それも普通の会社とかじゃない、週の中でのこのアフレコでの時間、という特殊な環境だし。でもそこでがっくんは一生懸命に頑張って、周りの人たちにその姿を見てもらって、時にはアドバイスをもらったり言葉をかけてもらったり。そんなことをしながらすごく成長をしているな、と思いますね。
──島崎さんご自身はユノを演じてこられて、今はどのようなご心境でしょうか。
島崎 ユノは意外と出番が多いわけでもないんですよ。だから、ユノも久しぶりに出てきて、僕も久しぶりに現場に来て、久しぶりにユノはアスタを見て、僕もがっくんを見て、アスタは成長をしていて、がっくんも成長をしている。その感じが面白いなと思っていて。現場に入ってみると、それまでと関係性なんかも変わっているんですよね。前よりもがっくんが暴牛メンツと仲良くなっているんだと思ったり、こういうところが変わってきたな、とか、お芝居が変わったな、とかを毎回アフレコに行く度に感じたりしているのが面白いなって思っていたりもします。
──深めてきたからこそ、ご自身のキャラクターはどんな人物だ、と感じられていらっしゃいますか?
梶原 アスタはちゃんと自分の意見をまっすぐに伝えられる人だなと。自分が思ったことを仲間であれ敵であれ、まっすぐ過ぎるほどに全力で伝えてくるので、周りも絶対に何かを感じ取るんだと思うんです。味方はもちろんですけど、敵でさえアスタの言葉になにかしらかの感銘を受けたり、気持ちを受け取る。そういうことをまっすぐに伝えられることが魅力だなと感じています。なかなかそんな人はいないし、僕に置き換えたとしても「僕なら伝えられないな」と思うようなことも、アスタだったらビシッと意見を口にできる。
島崎 アスタについてはがっくんの言う通りですね。本当に気持ちのいい男ですよね。周りに元気だったりモチベーションであったりを与えてくれる人。なによりアスタ自身が本当に諦めずに前向き。アスタ自身はこの世界では落ちこぼれで、魔力がないという客観的に見ても圧倒的なハンデを背負っているけど、そこで折れずに負けずに一生懸命にあがき続けて。そのあともずっと努力を続けている。実際に魔法騎士団に入っても大変なことばっかりで。それでも一生懸命。両腕がダメになったときなんて、普通だったらあの瞬間に絶望して終わってしまうところなのに、一切絶望しないでバッと前を向いたときに「すごくいいな」って思いました。さすがに(両腕が治らないと告げられた)あの状況になったら、いくらアスタのような主人公でも一回気持ちが落ちてもいいところだけど、歯を食いしばってね?
梶原 「本当に落ち込むのはあの時で最後」って言ったところですね。
島崎 そう!一度、あのときに心が折れたから、もう二度と折れないって誓ってから本当に有言実行で二度と折れないってすごいなって思うんです。見ていて、アスタは本当に「THE少年ジャンプの主人公」。努力、友情、勝利を体現している。そこがまたすごく素敵なんです。アスタはまっすぐだから、相手にも言葉を投げかけて、最終的にはその相手と心を通わせて本当に素敵だなと感じます。力だけじゃなく、他人の痛みもわかる。自分が落ちこぼれだからこそ多分、そういった痛みもすごく理解するし、どんなに非効率的だったり無茶なことでも「助けたい」と思えば無茶に飛び込む。まっすぐで見ていて本当に気持ちがいいです。アスタは見ていて元気をもらえる。「自分も頑張ろう」と思わせてくれる素晴らしい主人公だと思います。
──ユノに対してはいかがですか?
島崎 ユノは一見クールに見えるけど、中にすごく熱いものを持っているし、友だち想いだったりいろいろなキャラクター性があります。ただ、そんなユノがいちばん最初に最も影響を受けた人物はアスタだと思っていて。
梶原 アスタとユノは小さい頃からずっと一緒に過ごしているからこそ、アスタ自身はユノに対して負けたくないという気持ちは人一倍持っていて。それにユノは他の人には絶対に向けないような感情をアスタには向けてくる。僕はアスタにしか向けないユノの感情がすごく好きで。自分が思ってもいなかったような成長をアスタが遂げると、ユノは絶対に闘志を燃やすんです。たとえばアスタが仲間を全力で守ったこと、それによって覚醒して、力を身に付けると「アスタ!」って笑顔と共に闘志を滾らせるんですよね。尊敬のまなざしを向けつつも、お前には負けないっていう想いで喰らいつこうという視線を送ってくる。そういうところがすごくいいライバル関係だし、いいなぁ、と感じるんです。僕がアスタを演じているからこそ、ユノが他の人には向けない感情を向けて、肩を並べようとしてくれる、負けたくないと思ってくれることがすごくうれしいんです。アスタ目線でもユノのその熱はすごくうれしいと思うし、本当にライバルに相応しい男だなと感じます。
──そんな「ブラッククローバー」のショートアニメが7月から放送開始。「むぎゅっと!ブラッククローバー」についてどのような印象をお持ちでしょうか。
島崎 やりたい放題やっているなって思います。「プチッとクローバー」もやっていましたけど、本当に「ブラッククローバー」のスタッフはぶっ飛んでいますね(笑)。本編をちゃんとやっているから逆にはっちゃけたくなるんでしょうか。本編もはっちゃけていますが、はっちゃけの方向性としてすごいところにいくな、と思って(笑)。
梶原 僕もアスタ目線で見ると、アスタはやっていることが普段と変わらないんですけど、周りが暴れに暴れているので、これ以上どうツッコミを入れたらいいんだ!?という印象です。ツッコミがいくつあっても足りないなっていうくらい、周りの人たちがボケ倒していて、どこを見てもボケている、ボケの大渋滞が起きているので、いつも以上にアスタのボケの量も多くなっていますし、周りの人のボケの体力も消耗していっているんじゃないかと思って(笑)。本編とはまた違った感じがあるぶん、頭を使い過ぎず気楽に見てもらえると思っているので、そういう意味で笑いの時間をくれる作品だと思います。
──そのショートアニメではおふたりがClover×Cloverとして主題歌を歌われています。「POSSIBLE」とタイトルのついたアグレッシヴな一曲ですが、歌われての印象を教えてください。
島崎 めちゃめちゃカッコよくて、これは『むぎゅっと!ブラッククローバー』の主題歌でいいのかな?って思っちゃいました。オープニング詐欺だよね(笑)。
梶原 これを聴けば「どんなカッコいい番組が来るんだ!?」って思ったら、あの『むぎゅっと!ブラッククローバー』が来ます(笑)。
島崎 本当に、アニメ本編のOP&EDはどの曲もすごくカッコよくて。そのテイストを感じたので、最初にお話をいただいたときには「本編の曲を俺らで歌うんだ」って思ったくらいでした。そうしたらショートアニメですって。
梶原 そうなんですよね。しかもキャラじゃなく自分たちで歌うということだったので、今まではアスタとして『ブラッククローバー』を観てきたんですけど、改めて自分自身で歌うことでこれまでとは違った感覚を味わいました。歌詞はすごく熱いんですが、アスタとしてではなく自分として歌う、というアスタと梶原岳人、どちらの要素もあって、楽しんでレコーディングができました。
──ではそんな「POSSIBLE」の聴きどころを教えてください。
島崎 がっくんの英語の発音です。さすがは帰国子女!がっくんが先にレコーディングをしていて、僕は後だったんです。僕が英語を歌うときにはカタカナ英語になってしまうので、がっくんの歌を聴いてすごく衝撃を受けましたし、学ばせていただきました。基本、がっくんの真似をして歌っていましたし、こうすればそれっぽく聴こえるんだってわかりました。カウントのところや「Dead or Alive」の発音のところなんかもすごく英語らしくなりましたし。今まで僕が歌ってきた史上、最も英語らしく聴こえて、自分でもうれしかったです。ちょっとグローバル化を果たしました。グローバルな風を感じる歌が聴きどころです。
梶原 たしかに英語はちょっと出したいなと思ってレコーディングに臨んだんですが、若干のやりすぎ感を感じていたんです(笑)。
島崎 そんなことない!カッコよかったよ!
梶原 今まで自分の英語を出せる機会はなかったですし、アスタではない自分の歌だからこそカッコよく歌いたいと思って挑戦しました。歌詞は熱い部分を持っているので、英語を聴きつつもブラクロと共通しているような熱を感じてもらって、ブラクロとリンクさせて聴いてもらえたらうれしいです。僕としてはラップの部分もカッコよく、こだわりを持ってレコーディングしたので、そこも注目してほしいところです。
──では最後にショートアニメ『むぎゅっと!ブラッククローバー』を楽しみにしている読者の皆さんへメッセージをお願いします。
島崎 原作もテレビアニメもすごく熱い展開が続いていますけれども、アニメの方もそろそろ一個の大きなターニングポイントと言いますか、『ブラッククローバー』という作品の中で非常に大きな意味を持つバトルが繰り広げられます。全部が大事なバトルですが、特に大きく『ブラッククローバー』の中の歴史が動くような物語に突入していきます。なかなかそれ相応の重さを持った展開なので、本編で心を動かされて、ちょっと消耗したときに、この『むぎゅっと!ブラッククローバー』のかわいいキャラクターたちと個性を楽しんでもらって、うまくバランスと取ってもらえるとより本編も楽しめるんじゃないかと思いますので、どちらも併せて楽しんでもらえたらうれしいです。よろしくお願いします。
梶原 『むぎゅっと!ブラッククローバー』というだけあって、キャラの個性が“むぎゅっ”と詰まっている作品になっています。特に僕のいち推しはチャーミーパイセンです。チャーミーパイセンが“あるネタ”をブッ込んでくるんです。ギャグが秀逸で、いっぱい笑える作品になっていますので、疲れたときや落ち込んだときや考え過ぎてしまったとき、元気が欲しいときに観てもらえると、すごく笑えて気分も一新できると思います。本編も楽しみつつ、『むぎゅっと!ブラッククローバー』も楽しんでいただきたいです。
Interview & Text By えびさわなち
Photography By 田子芙蓉
●作品情報
『むぎゅっと!ブラッククローバー』
2019年7月1日より配信中
dTVにて独占先行配信開始
【スタッフ】
監督・キャラクターデザイン:西山司
シリーズ構成:ふでやすかずゆき
脚本:ふでやすかずゆき、加藤還一
制作:DLE
主題歌:「POSSIBLE」 歌:Clover×Clover(梶原岳人&島崎信長)2019年7月1日配信開始予定
『むぎゅっと!ブラッククローバー』
・配信サイトはこちら
・作品ページはこちら
●楽曲情報
「POSSOBLE」
歌:Clover×Clover(梶原岳人&島崎信長)
配信中
DLはこちら
島崎の崎は山へん+立+可が正式表記
(C)田畠裕基/集英社・テレビ東京・ブラッククローバー製作委員会
関連リンク
TVアニメ『ブラッククローバー』公式サイト