Ave Mujicaが世界に与えた衝撃――渡瀬結月、岡田夢以...の画像はこちら >>

次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」発の新たなリアルバンド・Ave Mujicaが、我々を新たな世界に誘う1st Single「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」をリリースした。“破壊”をテーマにした表題曲、“創造”をテーマにした「Angles」、対照的な2曲を収録した今作は、彼女たちが描き出す激しくも美しい物語を紐解くうえで欠かすことのできない、様々なアングルを内包した1枚だ。

今回はメンバーのうち、モーティス(Gt.)こと若葉 睦役の渡瀬結月、ティモリス(Ba.)こと八幡海鈴役の岡田夢以、アモーリス(Dr.)こと祐天寺にゃむ役の米澤 茜を迎え、バンドが楽曲やライブを通して現在進行形で紡ぐAve Mujicaの世界の広がりについて、たっぷりと語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY 三橋優美子

Ave Mujicaが世界に与えた衝撃、ファンからの反応・反響

――前回のインタビューは、TVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』#13にAve Mujicaが登場してキャスト情報が解禁される前に行ったので、まずはその後の反応・反響について聞いてみたいです。

渡瀬結月 (若葉)睦ちゃんはキュウリのイメージが強いらしくて。「モーティス=渡瀬結月」と発表されてからは、SNSのリプライや配信の生放送でキュウリの絵文字をお見掛けすることが多くなって、キュウリがあると私のことなんだなってわかりやすくなりました(笑)。あとは家族以外には話していなかったので、友達から「ギターいつからやってたの?」みたいな連絡がくるようになりました。

米澤 茜 私は元々ドラマーなのでメンバーの中で一番予想されにくいキャストだったと思うんですけど、0th LIVE(2023年6月4日開催の“Ave Mujica 0th LIVE 「Primo die in scaena」”)のときから「アモーリス=米澤 茜」と予想していた人がいて、キャスト解禁してから「当てた人、すごい!」という反応をよく見ました。私がミュージシャンになることをずっと心配していた親も喜んでくれて。

実は親にはドラムを辞めたと言っていて、「バンドリ!」の役が決まってから、まだドラムを続けていたことを伝えました(笑)。

渡瀬 そうだったんだ!

岡田夢以 私はブシロードさんのほかのコンテンツでキャラクターを担当させていただいていることもあって、0th LIVEの時点で私だと予想している人が結構いらっしゃって。私は目元に印象があるとよく言われるんですけど、マスクの形が口だけを覆うタイプなので、(顔の特徴が)ほぼ出ちゃってるんですよね(笑)。ただ、アニメを通して「本当にめいしゃん(岡田)なの?」という反応もありました。(八幡)海鈴ちゃんのキャラクターと声が私と合致しづらいみたいで、ファンの方からも未だに「わかっていても一致しない」と言われることがあります。そろそろ一致してほしいなあって思うんですけど(笑)。

渡瀬 来年のアニメ(『BanG Dream! Ave Mujica』)が始まるまでには一致してほしいね(笑)。

――リアルバンドとしてのAve Mujicaも、今年3月にはFear, and Loathing in Las Vegas主催の音楽フェス“MEGA VEGAS 2024”に出演されるなど、活動の幅を広げていますね。

渡瀬 予想以上に皆さんから褒めてもらえることが多くて、にわかに信じがたい気持ちです。「その言葉、本当に心の底から受け止めていいんですか……?」っていう戸惑いもあって。もちろん嬉しさもありますし、この期待をずっと超えていけるように今後も頑張って、もっと色んなライブにも出たいです。

岡田 ね。

“MEGA VEGAS 2024”では、ほかのバンドを目当てに観に来ていた人も私たちのライブを褒めてくださっていたみたいで。特に女性の方が反応してくれていたことを、ファンの方に教えてもらいました。

渡瀬 最初は私たちもどういう反応が待っているのか未知数で、私は「ゴミを投げられてもいいや」くらいの気持ちで臨んだら(笑)、予想外の温かい反応をいただけたんです。

米澤 私たちの普段のライブにはないモッシュやダイブも起こって嬉しかったです。

岡田 (客席の)後ろから人が流れてきたもんね。

渡瀬 そうそう!びっくりした。

私、そのときに声を出して笑ってしまって(笑)。マスクをしていたからわからなかったと思うんですけど。初めて見た光景でした。また見たい!

“破壊”と“創造”――バンドの物語と多面性を象徴する新曲たち

――そんななか、バンドとしての初Single「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」をリリースされました。まずは表題曲について、皆さんの印象をお聞かせください。

岡田 初めて聴いたとき、イントロが「ダダッダッダダッ!」という感じなので「えっ!?ダークヒーローきた?」と思いました(笑)。冒頭からかましてくる感じがAve Mujicaっぽいけど、歌詞は繊細なんですよね。

重厚さのあるサウンドと、美しさも感じさせる歌詞のバランス感がすごいなあと思いました。あとは“破壊”というワードが強く出ていたので、1st LIVE(2024年1月27日開催の“Ave Mujica 1st LIVE「Perdere Omnia」”)にも合っているなと思いました。

――1st LIVEで初披露された楽曲でもありますものね。

渡瀬 (1st LIVEの劇中劇で)「壊せ 壊せ」とも言っていたし。この曲、2サビが終わったあとに(サウンドが)ものすごく重くなるんですけど、多分、ここはハンマーとか持って壊してるんだろうなあと思いました(笑)。

米澤 えー、すごい!私もハンマーって言おうとしてた。

私はその部分でチャイナシンバルを叩いているんですけど、ハンマーとかを持ってビルをぶち壊しているイメージで演奏しています。

渡瀬 この楽曲は“破壊”をテーマにしているので、その部分ではすごくド派手になるんですけど、めいしゃんが言っていたようにすごく美しい部分もあるので、繊細な曲だなと思いました。今までのAve Mujicaの楽曲は、激しい曲はとことん激しく、美しさを重きにしている曲はとことん美しく、悲しい曲はすごく悲しく、楽曲ごとに1つのモチーフがあったのが、この曲に関しては色々な要素が合わさっているように感じて。破壊とか美しさとか。

米澤 歌詞では“壊せ 壊せ”と歌っていて結構パンチがあるのに、メロディだけを聴いたら「まさかそんなことを言っているとは」と思うような美しさや儚さがある。それと、イントロはみんなと同じリズムやメロディを演奏するので、みんなとの一体感をより感じられる曲です。

――ちょうどライブのお話しが出てきたので、この楽曲の演奏面でのポイントもお伺いしたいです。

米澤 私は今お話した、みんなで合わせて演奏するところを、いかに一体化してやるかがポイントだと思います。

岡田 ベース的には、2番終わりのハンマーで壊しているようなところを8分で刻んでいるんですけど、感じ方は4分になるように、踏ん張りを効かせているような演奏をしていて。聴いている人に重さを感じさせるように弾いています。

渡瀬 壊す武器がさらに大きそうだね、大砲とか(笑)。ギターはミュートをすごく頑張りました。それこそイントロもそうだし、サビ終わりに「デデデッ、デデッ、デッ、デデデッ」と弾くところがあって、そこはミスすると絶対に目立つのでミュートを大事にしています。

岡田 でも、昨日バンド練習があったんですけど、逆にミュートが上手くなりすぎて「そこまでカチッとしなくて大丈夫だよ」みたいな話をされていて。

渡瀬 そうなの(笑)。「あ、なるほど!」と思って、ギターって奥が深いなあと思いました。バチッとミュートしたほうがいいところもあるし、ちょっと余韻が残るくらいにしたほうが重みが出るときもあって。

――カップリング曲の「Angles」も1st LIVEで初披露されたナンバーで、こちらは“創造”をテーマにした楽曲だそうですね。

渡瀬 「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」で壊したあとの楽曲というか、なんだか悟ってますよね(笑)。余韻を感じますし、これもまた美しくて。最初の2人が良い味を出しているんですよね。

――冒頭から1番終わりまではピアノの音だけをバックに佐々木李子さんが歌う形で、1st LIVEでも、高尾奏音さんの伴奏に合わせて佐々木さんが腰掛けながら歌っていたのが印象的でした。

渡瀬 その間、私たちはじっと聴いているんですけど、もう耳中にずっとりこち(佐々木)の心地良い歌声とのんちゃん(高尾)の心地良いピアノが流れるので、寝てしまいそうになってしまって(笑)。コーラスもたくさん録って、みんなで“don’t be serious”や“so curious”と歌っている部分がきれいで好きです。

岡田 私は“生と死”をモチーフにしたワードが多い印象があって。楽曲の構成的にも、最初はボーカルとキーボードのみ、初華ちゃんと祥子ちゃんだけというのが対比になっていて、2人の特別な関係性を掘り下げている楽曲という印象があります。あと私は1番終わりでバンドがインするところまでは、いつもジリジリした気持ちで「早く弾きたい!」と思っています(笑)。

渡瀬 そうだったんだ(笑)。

米澤 次回から注目します(笑)。あとはMVもお気に入りで。「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」もこの曲も1st LIVEのビジュアルが使われているんですけど、背景やフォントの出し方で印象が全然違うんですよね。「Angles」のMVは、ほかのMVに比べてキャラクターがそこまで出てこないので、歌や歌詞に注目して楽しんでもらえると思います。

――「Angles」はリズム的には三拍子ですが、演奏面でまた違ったポイントはありますか?

米澤 私の中では「Angles」は歌を聴かせたいと思っているので、自分もフルで歌ってみたり、りこちの気分になったうえで「こう叩いたら気持ち良いだろうな」ということを考えて演奏しています。ライブのときも口パクで一緒に歌って、「りこちはここで歌に入りたいだろうな」というタイミングで叩いていて。「神さま、バカ」もゆっくりしたペースの曲ですけど、この曲は最初がボーカルとピアノだけというのもあって、歌を聴かせるのが大切だと感じました。

――米澤さんはライブ中によく口ずさんでいる印象ですが、もしかしたらそれも佐々木さんの歌うタイミングを計っているのでしょうか。

米澤 それもあります。自分が歌っている気分になったり、叩く前に息を吸ってみることで、歌のタイミングにもっと寄り添えるかなと思っていて。まあ一番は普通に歌っちゃうだけなんですけど(笑)。

渡瀬 へー!今、口が見えるっていいなって思った。

岡田 私たち2人は(マスクで覆われていて)口が見えないもんね(笑)。

米澤 そうか。私、口が覆われていたらどうなっていたんだろう?

岡田 かっこいいと思う。目力があるから。

米澤 ありがとう(笑)。

――岡田さんと渡瀬さんが、この曲の演奏面で心がけていることは?

岡田 ベースは白玉の部分、音を伸ばすところが多いのでビブラートを入れたりして波を作りつつ、安定感のある低音で支えられるように演奏しています。やっぱりベースですから(笑)。

渡瀬 この曲のギターはアルペジオが多くて……。それまで私は(ストロークで)ジャカジャカ弾いていたので、ずっと「コードを押さえてジャーンって弾いたら音が出る」というのがギターだと思っていたんです。でも、突然「単音というものがありまして……」という話になって、アルペジオの壁にぶつかりました(苦笑)。気付いたら3~4時間経っているくらいずっと練習して、一番練習した曲かもしれない。まだ周りを見れるくらいの余裕はないので、個人的にまだまだ伸びしろのある曲だと思っています。頑張ります!

――でも、1st LIVEではバッチリ演奏していましたよね。「Angles」はライブの締めの曲でしたが、最後は佐々木さんのリードギターと渡瀬さんのアルペジオが響き渡るなか、幕が下りてきて終演するという演出で、すごくかっこよかったです。

渡瀬 そうなんです……!プロデューサーからその演出を聞いたとき、本当に震えました(笑)。「これはガチで弾かないと……!」と思って。終わったあと、メンバーのみんなに抱き締められて、愛に包まれました。

米澤 「大好き!」と思って。あの演出、みんなでドキドキしたよね。涙が出かけた、本当に。

岡田 私も応援するしかないから、「頑張れ!」って念を送ってた。りこちもリードを頑張ってくれたし、本当によくやったと思う、2人とも。

キャラクターとしてのステージ表現で各々が意識していること

――メンバー愛の感じられるエピソードをありがとうございます。皆さん本当に仲が良くて、劇中で描かれるAve Mujicaとは全然違いますよね。

岡田 こんなにもギャップがあるのは珍しいよね。

渡瀬 真逆です(笑)。楽屋とかすごいもんね。

米澤 いつも祭りだから(笑)。

渡瀬 みんなドンチャカやっていて。ご飯食べてるときもそうだし、座ってるだけでもずっと楽しくて。

岡田 メイクはみんなそれぞれ離れた位置にいるのに、お弁当を食べるときはみんな真ん中に集まって食べるよね。給食みたいに(笑)。

――Ave Mujicaのライブは世界観があるので、そのモードに切り替えるために何か準備したりはしないんですか?

米澤 奏音たんに言われたよね。

岡田 そうそう。“MEGA VEGAS 2024”のときに、気持ちを切り替えるタイミングを決めようって。

米澤 私はそういうのがあまりなくて。みんなはあるのかな?

岡田 多分キャラにもよるよね。

渡瀬 オブリビオニスはライブの主軸になっていくから、切り替えがないと大変なんだと思う。

岡田 逆にアモーリス、にゃむち(祐天寺にゃむ)はリラックスしている感じの柔らかさがあるから、そのままでも合っていると思う。

渡瀬 でもたしかに、楽屋にいるときの自分たちと、Ave Mujicaとしてステージに立つ瞬間は絶対に違い過ぎるので、一度精神統一する時間を設けてみるのもいいかも、という話をしたことがあって。もちろんわちゃわちゃする時間があるのもいいんですけど、切り替えをしっかりできるようにしたいです。

――仲の良さもバンドのアンサンブルに繋がると思いますし。あと、個人的に気になっていたのが、ステージに立つときの皆さんの気持ちの作り方で。ライブではキャラクターを演じる意識で演奏しているのでしょうか。

岡田 私はその気持ちが強いです。

渡瀬 めいしゃんは憑依型っぽいよね。

岡田 海鈴ちゃんと自分が違い過ぎるから(笑)。なので、集中して(役に)入らないと動きとかが反映できないんです。それに素を見せてはいけないキャラクターなので、私(岡田)が見えた瞬間にみんな冷めるんじゃないかなと思っていて。なので(役に切り替わる)スイッチを押す圧は強いかもしれないです。でも、睦ちゃんはどうなんだろうね?

渡瀬 私はステージに立つとアドレナリンが出て「ウワーッ」てなってしまうタイプなので、Ave Mujicaのライブではそうならないように、とにかく気持ちを抑えながらやっていて。でも、Ave Mujicaはマスクがあるので、一歩距離を置いて自分を見ることができて、だいぶリラックスできています。ただ、“MEGA VEGAS 2024”の最後でりこちがワーッてやったときがあって。

――なんですか、それは?

渡瀬 最後は「黒のバースデイ」で終わったんですけど、りこちがアドリブでシャウトをしたんですよ。私たちも知らされてなかったので「えっ!」ってなって、そのときに私もアドレナリンがバーッてなって走り出してしまったんです。我慢できなくなってしまって。

米澤 いやぁ、あれはすごくかっこ良かった。

渡瀬 一回誰かが面白いことをし出すとワーッてなってしまうので、そこはまだまだだなって思います。

――でも、ライブでのそういったアクションが逆にキャラクターの奥行きを広げることに繋がる気もします。

渡瀬 ああ、たしかにそうですね。睦ちゃんは結構未知数な子で、来年のアニメでだいぶ印象が変わると思っています。その伏線を私自身がライブで張れるようにできればいいなと思っていますね。答え合わせは来年になりますけど(笑)。

――米澤さんはステージ上でアモーリスらしさを意識することはありますか?

米澤 こんなことを言うと怒られるかもですけど、私はあまり演じているつもりはなくて。自分で「こういうふうに叩きたいな」と思ってやっていることは、多分、アモーリスにも当てはまるんだろうなと感じているし、実際にライブのリアクションを見ていても「演じてないじゃん」みたいな感想は見ないので、割と思うままに叩いています。

――岡田さんと海鈴はタイプが全然違うという話でしたが、その意味で言うと、米澤さんとにゃむちは似ている部分があるのでしょうか。

米澤 たしかに似ている部分はあると思います。それこそ(アニメのライブシーンの)モーションキャプチャも自分で担当しているので、ということは普段のライブも自分が楽曲に合うように叩いたら、それがアモーリスになるということなのかな、と。普段のにゃむちと私にも共通点を感じることがあるんですけど、それは今公開されている内容には入っていない部分なので、まだ言えないことが多くて(笑)。

渡瀬 Ave Mujicaはまだ話せる材料が少ないよね(笑)。

1st LIVE、配信シングル、どこまでも燃え上がるAve Mujicaの炎

――SingleのBlu-ray付生産限定盤には、今年1月に開催された1st LIVEの映像が収録されています。そこで改めて、どんなライブだったか振り返っていただけますでしょうか。

岡田 アニメのライブシーンとそっくりのシャンデリアを用意してくださって、お芝居のパートもアニメに寄せた内容になっていて。海鈴ちゃん的には「チクタク」が忘れられない(笑)。

――劇中劇でAve Mujicaが“世界”を壊して時間さえもなくなってしまった場所で、ティモリスが時計の代わりに「チクタク」言っているシーンですね。

岡田 それを取り上げて「海鈴はずっとチクタク言っていてヒマなのか?」って言っているファンの方もいらっしゃって(笑)。そのお芝居パートの中で掘り下げられるキャラ感も、結構深くまで行った印象がありますし、楽曲的にもオリジナル曲が2曲増えて、進化した新しいAve Mujicaを見てもらえたと思います。

渡瀬 そうだね。それこそ1st LIVEの最初は、アニメで「Ave Mujica」を披露するまでのシーンから始まって、実際に私たちが出てきて「Ave Mujica」からライブを始める流れだったので、アニメの第13話の続きというか、キャラクターがアニメでやっていたステージを模した内容になっていました。詳しい情報がゼロのまま行われた0th LIVEとは違って、お客さん的にも色んな発見があったんじゃないかと思います。あとはボーカルのりこちがヘッドセットマイクになったので、動きが増えてキャラクター同士の絡みも多くなって。

――「神さま、バカ」の曲中で渡瀬さんが逆サイドの高尾さんのところまで歩いていく場面もありましたね。

渡瀬 私たちが演じる祥子・睦は結構接点があるので、アニメをご覧になっている方からしたら「オッ!」となるかなと思ってやってみました。みんなたくさん考察してくれているから、それをチェックするのも楽しくて。

米澤 芝居パートが次の曲へのイメージを湧き立たせる、良い演出になったと思います。あと、今回の私たちは口を閉じたままのお芝居をしていて、ファンの方のリアクションを見たら、その理由が「人形だから」というのを理解してくれている方がたくさんいて、すごいなと思いました。私だったら難しくてわからなかったと思う(笑)。

渡瀬 お芝居の部分はボイスを1人ずつ録ったので、「この子はどう反応するのかな?」というのを予想をしながら収録しつつ、最終的にみんなで各々練習したものを持ち寄ってすり合わせていきました。アモーリスが腕を折るシーンは結構何回も合わせたよね。

米澤 そうだね。SEとのタイミングが難しくて。あれもファンの方から「怪力」っていうリアクションがたくさんありました(笑)。

――米澤さんはステージ上での演技の経験ってあまりないですよね?

米澤 Ave Mujicaのライブが完全に初めてでした。でも、小さい頃から鏡の前で何かを演じるのは好きだったので、楽しかったです。

――シアトリカルな要素がさらに濃くなって、Ave Mujica独自のライブを確立したのがこの1st LIVEだったのではないでしょうか。

渡瀬 そうですね。でも多分、Ave Mujicaはこれだけに留まることなく、もっと色んなことをしていくと思うので、ぜひ期待していただければと思います!「世界」を壊して、創って、果たしてこのあとどうなるのか……!

――今回のSingleには未収録ですが、4月7日には5ヵ月連続デジタルリリースの第1弾「Symbol I : △」がリリースされました。

岡田 これは新しい推し曲です!聴いた瞬間、早く弾きたいなと思った。

渡瀬 聴けば聴くほど魅力的な曲です。楽曲が発表される前に、炎が上がっているジャケット写真が公開されたので、皆さんどんな楽曲か予想されたと思うんですけど、本当に燃え盛る炎のような楽曲で。

米澤 私もデモをもらった瞬間からとても好きだと思いましたし、これを私が叩けると思ってもらえていることが嬉しかったです。まったく遠慮を感じさせない、多分今までで一番激しいドラムだったので、(ドラマーとして)信頼されていると思ったし、それがAve Mujicaの今後の活動へのモチベーションにもなりました。

渡瀬 たしかに!その考えはなかったから、今、自分も嬉しくなった!私も演奏する身としては「嘘だろ……」と思ったけど、でも、それ以上に「やってやる!」という気持ちが強いので、絶対に弾いてやろうと思いました。

岡田 私は新曲の資料をいただくたびに、ベースの先生に「これはAve Mujicaの楽曲で言うとどれくらいの難易度ですか?」って聞くんですよ。その先生は「Mas?uerade Rhapsody Re?uest」や「Choir ‘S’ Choir」を難しい曲として挙げているんですけど、この曲は「まあまあかな」と言っていて。

渡瀬 「まあまあ」ってどういうこと…?真ん中あたりかな。

岡田 簡単ではないというのはたしかだと思う(笑)。お話によると、1曲の中に難しいところとそうじゃないところがあって、決めかねていた感じでした。でもベースの先生の「まあまあ」は、私にとっては「めちゃ難しい」ということだと思うので、頑張ろうと思います!

――それとこの楽曲は、後半の迫りくるようなコーラスもトピックですよね。

米澤 あれ、ヤバかったよね。聴いたときに「ええっ!」と思った。

岡田 レコーディングもめちゃくちゃ難しかったよね。苦戦した。

渡瀬 私も過去一で大変だったかもしれない。コーラスを録る場合、1サビと2サビは同じフレーズ、ということが多いんですけど、この曲はラスサビの途中から「えっ!? なになになに?」みたいな感じになって(笑)。

米澤 そのラスサビの部分だけ、資料が別紙になっていて、「歌詞に書いていないパートがあるのでご確認ください」って書かれていたんですよ。それでチェックしたらすっごいコーラスで(笑)。

渡瀬 しかもそのハモも録ったからね。でも、ずっと頭から離れない。

米澤 あのあと、みんなで歌ってたもんね。

渡瀬 プロデューサーも一緒に歌ってました(笑)。

バンド活動を通して見つけたそれぞれのチャレンジとやり甲斐

――Ave Mujicaの活動では今までにない経験も多いかと思います。自分の中で特に挑戦になっていること、やり甲斐を感じるポイントについて教えてください。

渡瀬 私はやっぱりギターです。初めて手にしたし、こういう激しめな楽曲を普段聴いていたわけでもなかったので、その意味でも新しい挑戦になっています。Ave Mujicaとしても、お芝居やステージの再現度を含め、色々な挑戦をさせていただいていて……喉まで出かかっているんですけど、まだ言えないことが多すぎる(笑)!でも、本当に色んな可能性があるバンドだし、伏線を含めすでに色んなものを用意しているバンドなので、とにかく楽しみにしていてほしいです!

――そうか、まだ言えないことも多いんですね。お二人は言える範囲でいかがですか?

岡田 私もベースですね。今まではステージで歌って踊ることが多かったので、自分の一音がみんなの一音になるバンドのプレッシャーがそれまでの比ではなくて。もちろん歌と踊りの活動もチームワークが必要なんですけど、それ以上の絶対的な責任に耐えつつ、みんなと音を合わせるたびに「バンドって楽しいな」ということを、最近特に思うし、感動することが増えました。

渡瀬 私、それこそ昨日のバンド練習で感動しました。めいしゃんが舞台に出演していた関係もあって、久しぶりに5人で音を合わせられたんですよ。それで1曲目を弾いたときに、音の分厚さが違い過ぎてビリビリきて。

米澤 やっぱりめいしゃんがいないとなって思ったよね。

岡田 ベースは特に音域が広いところもあるからね。バンドってみんなの無意識的な感覚も繋がる感じがするから、「今日はこんな気分なのかしら?」というのを音から何となく感じ取れたりもして。あかねん(米澤)のリズムを聴いていても、いつもより変化を付けていると伝わってくるし、耳から伝わるものが増えていることに日々感動していて、それが毎日のやり甲斐にもなっています。

米澤 私にとっての挑戦は初めてのアフレコでした。私は元々、歌っている人の歌い方やキャラクターの声を真似するのが好きで、よく1人でやっていたんですけど、それを実際にアニメでやることになって。1人で好き勝手やるのとは違うので、ちゃんと「にゃむちはこういう感じだな」というのをイメージしながら挑戦しています。ドラムの面で言うと、私はずっとシングルペダルとワンタムのシンプルなセッティングで演奏していて、「色んな機材を使わずにどこまでやれるか」が美学だったんです。でも、今は真逆のことをしていて、昔は絶対にやらなかったスティックも回すようになったり。でも「これが私のやりたいことだったんだ」って感じたんですよね。ライブハウスで活動していたときは音だけにこだわっていたけど、今は音のこだわりはもちろん、アニメ好きの方が目で見ても楽しめるようなドラマーになりたいと思っていて。

渡瀬 そうだったんだね、初めて聞いたから感動した!

米澤 ありがとう(笑)。

――普段はそういう話はしないのですか?

米澤 こういう真剣な話はそんなにしないかも。いつも「お腹すいたー」みたいな感じだよね(笑)。今日もこのあとに3人でご飯に行く約束をしていて。

渡瀬 昨日も練習後にみんなでスタバに行きました(笑)。

岡田 お互いインタビューで初めて知ることも多いよね。

渡瀬・米澤 そうそう。

ゆくゆくは世界へ!2nd LIVEとその先に広がるAve Mujicaの野望

――さて、6月・7月には“Ave Mujica 2nd LIVE「Quaerere Lumina」”の開催も決定しています。話せることは少ないと思いますが、どんなライブになりそうか、言える範囲で意気込みをお願いします。

岡田 タイトルが「光」っぽいワードなので、希望みたいなものを感じるけど……実際にライブとしてどうなるのかはわからないよね(笑)。キービジュアルは開けた感じだったけど。

渡瀬 今までの中で一番明るかったよね。そのキービジュアルを見たうえでの私の勝手な感想を言うと、あの場所は1st LIVEでAve Mujicaのみんなが新しく作った「世界」なのかなと思って。お客さんもそう思っている方が多いので、1st LIVEに繋がる感じになるのか?という予想をしています。あくまで予想です(笑)。

――0th LIVEと1st LIVEも連続性を感じさせる内容でしたしね。

渡瀬 それと今回、2nd LIVEという名目ですけど、公演自体は神奈川と愛知の2公演があって……その2つとも観たほうがいいんじゃないかな?という予想もしています。

岡田 あくまでも予想ですけど、できれば絶対に2公演とも来てほしいです!

米澤 私の予想では新曲もやるかもしれない(笑)。セトリも今までと違うと思うので、あの楽曲がどう繋がっていくのか、ライブバージョンだとどうなるのか……まあ、お楽しみにということで。

渡瀬 お芝居もあるのかなあ、どうかなあ。

――色々ありそうで楽しみです。夏には“Animelo Summer Live 2024 -Stargazer-”への出演も決定していますが、今後さらに立ってみたいステージ、バンドでチャレンジしてみたいことがあれば、最後にお聞かせください。

渡瀬 すごく脳筋な話ですけど、まずは日本にあるステージ全部に立ってみたいです(笑)。Ave Mujica全体で世界に出てみたいという話をしているので、そのためにはまず日本の色んなところでライブができるバンドになりたいです。それこそこの間の“MEGA VEGAS 2024”みたいに、アニソン以外のバンドの方たちがたくさんいらっしゃるステージにもまた立ちたいです。

米澤 私も海外に行きたいですし、王道ですけどやっぱり日本武道館とか、誰が聞いても知っているステージに立ちたいです。みんなの憧れの場所なので。

岡田 これは未知の話なんですけど、Ave Mujicaは室内のイメージが強いので、野外ステージに立ったらどうなるんだろう?と思っていて。夜の野外で蝋燭が立っているステージとか。

渡瀬 わー!それかっこいい!たしかに野外ライブもやってみたいね。

米澤 それは考えたことなかった。広がるなあ。私はプライベートでもいいから、山とかでもやってみたい。

渡瀬 えっ、山でリハするの(笑)!?

岡田 (笑)。とにかく枠にハマらない活動をしていけたらと思います!

●リリース情報
Ave Mujica 1st Single
「素晴らしき世界 でも どこにもない場所」
2024年4月24日(水)リリース

【Blu-ray 付生産限定盤】

定価:7,700 円(税込)
品番:BRMM-10785

【通常盤】

定価:1,540 円(税込)
品番;BRMM-10786

<収録内容>
■CD
1. 素晴らしき世界 でも どこにもない場所
2. Angles
3. 素晴らしき世界 でも どこにもない場所 -instrumental-
4. Angles -instrumental-

■Blu-ray付生産限定盤
・ライブ映像
Ave Mujica 1st LIVE「Perdere Omnia」

1. Ave Mujica
2. ふたつの月 ~Deep Into The Forest~
3. KINGS
4. 素晴らしき世界 でも どこにもない場所
5. 暗黒天国
6. Choir ‘S’ Choir
7. Mas?uerade Rhapsody Re?uest
8. 堕天
9. 神さま、バカ
10. 黒のバースデイ
11. Angles

・ミュージックビデオ
1. 素晴らしき世界 でも どこにもない場所
2. Angles

●ライブ情報
Ave Mujica 2nd LIVE「Quaerere Lumina」

日程・会場
・神奈川公演
日程:2024年6月8日(土) 開場17:00/開演18:00(予定)
会場:神奈川県民ホール 大ホール

・愛知公演
日程:2024年7月7日(日) 開場17:00/開演18:00(予定)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール

出演
Ave Mujica

詳細はこちら
https://bang-dream.com/events/avemujica_2nd

関連リンク

Ave Mujica 公式サイト
https://bang-dream.com/avemujica

Ave Mujica 公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/BDP_AveMujica