どんな楽曲も自分色に染め上げてしまうエモーショナルな歌声を持つ話題のシンガー・ACCAMERが、待望の新曲「最深」を配信リリースした。この春にスタートしたTVアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』のED主題歌となる本楽曲は、Ado「うっせぇわ」のヒットで注目を集めるsyudouが作詞・作曲、milet「Prover」などで知られるTomoLowが編曲を手がけた、圧倒的な深みを湛えたバラード。
「リスアニ!Vol.40.3」にて、じん書き下ろしの楽曲「stay night」を収録した付属CDと共に紹介するなど、ACCAMERの動向をデビュー時から追ってきたリスアニ!では、今回、メディア初となる彼女のメールインタビューを実施。これまでミステリアスな存在だったACCAMERのシンガーとしてのルーツと歌にかける想いに迫った。syudouと「最深」「Be Down」のMVを制作したクリエイター/イラストレーターのsakiyamaからのコメントも掲載しているので、併せてチェックしてほしい。
――ACCAMERさんが音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。子供の頃~学生時代はどんな音楽に触れて過ごしてきましたか?
ACCAMER 音楽に興味を持ち始めた大きなきっかけは、TVアニメ『けいおん!』にハマったことだと思います。近所のCDショップにCDを買いに走ったり、秋山 澪ちゃん(日笠陽子さん)の物真似をしながら歌っていたのを覚えています。その後は、ボカロを通して歌い手さんにハマったり、邦楽ロックバンド(ONE OK ROCK、SCANDALなど)にハマったり、アイドルにハマったり、何かと音楽に通ずるものにハマって生きてきました。
――ACCAMERさんにとって“歌”とは、どんな存在ですか?
ACCAMER 好きなこと、です。今までにやってきたことで一番続いているのが歌うことなので、それだけ自分の中に染み付いていているんだと思います。
――自分で歌をうたうようになった経緯を教えてください。
ACCAMER 歌うことに興味を持ったのは、「歌ってみた」の影響が大きいと思います。
――ご自身の歌の特徴について、どのように捉えていますか?
ACCAMER 私の歌の特徴は“声”ですね。ずっとコンプレックスだった低い声を好きって言ってくださる方がたくさんいて、これを強みにしたいって思っています。
――ACCAMERさんが考える“自分らしい歌”についてお聞かせください。
ACCAMER どの楽曲でも「言葉1つ1つを丁寧に」というのを心がけています。詞にどんな思いが込められているのか、どの言葉1つとってもその曲を歌ううえで欠かせない存在なので、込められた思いを見落とさないよう、歌の練習を始める前に詞を読み込むことは必ず行っています。
――シンガーとして影響を受けてきたアーティストはいらっしゃいますか?
ACCAMER 色んな方の歌い方を盗みながら歌ってきたんですが、その中でも秋山澪ちゃん(日笠陽子さん)、ONE OK ROCKのTakaさん、Aimerさんの存在はとても大きいです。このお三方のおかげで、今の“ACCAMERの歌い方”ができた、といっても過言ではないです。
――ACCAMERさんは2020年4月、TVアニメ『LISTENERS リスナーズ』のOP主題歌「Into the blue’s」でデビューされました。この曲を歌う際に特に心がけたこと、楽曲を書いたじんさんとのやり取りで印象に残っていることをお聞かせください。
ACCAMER “澄んだ”とか“痛み”とか、楽曲の核となるキーワードがいくつも散らばっていて、その言葉たちを蔑ろにしないように1つ1つ丁寧に歌うことを心がけていました。
――今年3月よりNetflixで配信開始したアニメ『B: The Beginning Succession』では、DECO*27さん作詞・作曲による主題歌「Be Down」を担当しています。こちらの楽曲は、どのように受け止めて歌いましたか?
ACCAMER この曲は黒羽(アニメの主人公)の心情を綴っている曲なんですが、特に歌詞の“どこで間違っちゃったんだ どれが正解だったんだ?”という部分は、なんて救いがないんだろうと胸が苦しくなりました。私が黒羽だ、という気持ちでレコーディングに臨みました。寄り添ってあげられたかな。
――ACCAMERさんにとって、アニメの主題歌を担当することはどんな経験になっていますか? 特別な気持ちなどあればお聞かせください。
ACCAMER お話をいただくたびすごく嬉しいです。主題歌ってアニメの象徴というか、そのアニメを一心に背負っている感があって、嬉しいのと同時にものすごく緊張します。大好きなアニメをより素敵なものにするために、私の歌で引っ張っていくぞ!という意識を持ちながら、おこがましくはありますが、そう言う意気込みで歌っています。
――ACCAMERさんは上述のアニメ主題歌のほかにも、じんさん提供の「stay night」、柊キライさん提供の「ダイバーシティ」といったオリジナル楽曲を発表しています。どちらもサウンド・歌声を含めアグレッシブな楽曲に仕上がっていますが、どんな気持ちを込めて歌いましたか? 楽曲の印象と共にお聞かせください。
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ACCAMER どちらの曲も、すっげえ曲だあ……と思いました。「stay night」はあの軽快なグルーヴに乗りながら歌うのが楽しくて、“いい女”になりきりながらレコーディングしました。「ダイバーシティ」は“自分を信じて生きていきたい”っていう曲なんですが、今の時代どうしても周りの意見や考えが気になっちゃうと思うんです。でも、そんな人生の難題を、柊キライさんの軽妙な詞とメロディで暗くならず前向きに表現できたかなって思っています。
――ACCAMERさんはYouTubeやTikTokにて様々なボカロ楽曲のカバーを発表しています。ボカロ音楽全体に対してどのような印象をお持ちですか? ボカロ音楽との出会い、魅力に感じる部分をお聞かせください。
ACCAMER 歌う人になりたいと思ったきっかけがボカロ楽曲でした。最初に聴いたのは「メルト」(supercell)や「弱虫モンブラン」(DECO*27)だったと思います。「人が歌えるのかな……?」と心配になるくらい高低差がある曲ばかりかと思えば、思わず涙がこぼれるような綺麗な曲があったり、色んな曲をボーカロイドを通して知ることができるのがいいなあと思います。
――ボカロ楽曲をカバーすることの魅力については、どのようにお考えですか?
ACCAMER 元の曲を人が歌っているとその表現に引っ張られがちなんですが、ボーカロイドが歌っているので自分なりの表現や解釈をしやすいのが醍醐味かなと思います。
――これまでに発表したカバー楽曲のなかで、リスアニ!WEBの読者に特におすすめしたい楽曲とその理由をお聞かせください。
ACCAMER Ayaseさんの「幽霊東京」のカバー動画です。
――この4月に放送開始したTVアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』では、ED主題歌「最深」を担当されています。この曲はsyudouさんが作詞・作曲した、ACCAMERさんにとって初のバラードですが、どのように受け止めて歌いましたか?
ACCAMER 綺麗なのに攻撃的で殻に閉じこもってて、繊細な曲だな、と感じました。感情を込めすぎてしまうと涙が出てくるし、曲に合わず熱くなってしまうので、いい塩梅を心がけました。何度聴いても鳥肌が立ちます。
――ACCAMERさんは本楽曲のタイアップ決定に際し、「この楽曲は“そう私は私が嫌い”で始まる詞が衝撃的で、アニメのストーリーや自分の思い出など、色んな感情が湧き上がり涙が止まらなくなってしまいました」とのコメントを寄せていました。ご自身の気持ちと重なった部分について、お聞かせください。
ACCAMER “そう私は私が嫌い”――その言葉通り、私は自信が持てない自分をどうしても好きになれないんです。歌っていると、syudouさんのストレートな詞が私の心に突き刺さってきて、私が歌っているのに、自分が問いかけられているような、自分を嫌いな私を認めてあげてもいいのかなって、救われたような気分になります。
――ACCAMERさんは自分の歌を通して、どんなことを表現し、伝えていきたいですか? ご自身が思い描く理想のアーティスト像について教えてください。
ACCAMER 今の私は「私を見て!」というのが根本にあるのかなと思います。
――最後に、アーティスト活動における今後の目標・展望についてお聞かせください。
ACCAMER 皆さんに私のことをもっと知ってもらいたいです。ライブとか、配信だったり、いつか皆さんと同じ時間を過ごせたらなと思っています。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
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syudou(「最深」作詞・作曲)コメント
――「最深」は痛々しいまでの感情と覚悟が刻まれたバラードです。こちらはどのようなコンセプトで制作した楽曲ですか? TVアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』やACCAMERさんとの寄り添いを意識した部分、逆にsyudouさんご自身の“らしさ”を意識したポイントがあればお聞かせください。
syudou 「心の奥底に眠っている人に言えない感情は決して美しいものではないけど、掛け替えのない大切なものである」というのがこの楽曲のコンセプトです。ACCAMERさまの歌声の持つ魅力と『BLUE REFLECTION RAY/澪』という作品の世界観を踏まえこの楽曲を制作させていただきました。人に言えないネガティブな感情を歌詞にするというのは普段の自分の楽曲のコンセプトに通じると思います。
――完成版の「最深」を聴いた感想をお聞かせください。ご自身の書いた楽曲にどのような化学反応が加わったと感じましたか?
syudou 自分の制作したデモにACCAMERさまの歌声やTomoLowさまの繊細なアレンジが加わったことで楽曲の美しさや説得力が大幅に向上したと感じました。自分は普段一人で完結する曲作りをすることが多いため、今回のように様々な方と関わりながら行う楽曲制作は大変刺激的で貴重な経験でした。
――シンガーとしてのACCAMERさんにどのような印象をお持ちですか? ACCAMERさんの今後に期待することをお聞かせください。
syudou 声の持つ芯の太さと歌う言葉の説得力が魅力だと感じます。今作は10代の主人公たちの揺れ動く繊細な感情を描写した楽曲ですが、そういった難しい心理描写を歌いこなせるのも彼女の歌声が優れたものだからだと僭越ながら感じました。
今後も様々な楽曲を世に送り出してほしいですが、個人的には聴いた人の心に深く残りその人にとってお守りのように大切な存在になる楽曲を歌ってほしいと感じます。
改めて素晴らしい作品に関わらせていただき本当にありがとうございました!
sakiyama(「Be Down」「最深」MV制作)コメント
――「Be Down」のMVはどのようなコンセプトで制作されましたか? 楽曲やACCAMERさんの歌声からインスパイアされた部分、MVで描かれるストーリーについてお聞かせください。
sakiyama 初めて聴いたとき、まず強烈に色が浮かびました。深い青緑色の中に鮮やかなピンクが映える印象で、そこからイメージを膨らませました。
楽曲は重たくどんどん沈むような感覚で、けれどもACCAMERさんの力強い歌声も相まって、希望に向かってもがいているような印象を受けました。
ストーリーはざっくりまとめると、主人公には“希望”があるのだけれど、それが叶わず、代わりに他のものに依存した結果、本来の“希望”に殺されるという救いようのないものになっています。
――「最深」のMVは「Be Down」のMVと繋がりのある作品とお伺いしました。こちらのMVのコンセプト、2曲のMVを通して描きたかった世界観についてお聞かせください。
sakiyama 「最深」はとてもストレートな楽曲だと思いました。自分のネガティブさを受け入れて強くなる。なので私もストレートに描こうと思いました。
「最深」と「Be Down」は同じ主人公、世界にしました。時系列は「Be Down」→「最深」です。
「Be Down」では、明るくてきらきらしている朝を迎えたのに、主人公は受け入れられない。
「最深」では主人公の暗い心象風景から始まり、低彩度の現実世界が、最後では彩度を取り戻す。
2曲を通して、主人公の精神の変化、成長を伝えられていたら良いなと思います。
――シンガーとしてのACCAMERさんにどのような印象をお持ちですか? ACCAMERさんの今後に期待することをお聞かせください。
sakiyama とにかくかっこいい。力強くて、媚びなくて、本当に素敵な歌声だと思います。大好きです。
もっともっと沢山の方に、歌声が届くことを願っています。これからも応援しています!
●リリース情報
「最深」
4月17日配信開始
関連リンク
ACCAMER 公式サイト
https://accamer.com/
ACCAMER Twitter
https://twitter.com/accamer_jp
ACCAMER YouTube Channel
https://www.youtube.com/c/ACCAMER
ACCAMER TikTok
https://www.tiktok.com/@accamer
ACCAMERという歌い手の底知れない可能性を感じさせる名曲だ。
「リスアニ!Vol.40.3」にて、じん書き下ろしの楽曲「stay night」を収録した付属CDと共に紹介するなど、ACCAMERの動向をデビュー時から追ってきたリスアニ!では、今回、メディア初となる彼女のメールインタビューを実施。これまでミステリアスな存在だったACCAMERのシンガーとしてのルーツと歌にかける想いに迫った。syudouと「最深」「Be Down」のMVを制作したクリエイター/イラストレーターのsakiyamaからのコメントも掲載しているので、併せてチェックしてほしい。
――ACCAMERさんが音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。子供の頃~学生時代はどんな音楽に触れて過ごしてきましたか?
ACCAMER 音楽に興味を持ち始めた大きなきっかけは、TVアニメ『けいおん!』にハマったことだと思います。近所のCDショップにCDを買いに走ったり、秋山 澪ちゃん(日笠陽子さん)の物真似をしながら歌っていたのを覚えています。その後は、ボカロを通して歌い手さんにハマったり、邦楽ロックバンド(ONE OK ROCK、SCANDALなど)にハマったり、アイドルにハマったり、何かと音楽に通ずるものにハマって生きてきました。
――ACCAMERさんにとって“歌”とは、どんな存在ですか?
ACCAMER 好きなこと、です。今までにやってきたことで一番続いているのが歌うことなので、それだけ自分の中に染み付いていているんだと思います。
――自分で歌をうたうようになった経緯を教えてください。
ACCAMER 歌うことに興味を持ったのは、「歌ってみた」の影響が大きいと思います。
ボカロ曲は心が惹かれる楽曲がとても多かったし、何より「歌ってみた」をあげている方々の歌が上手で、私もこうなりたい!ってずっと思っていました。当時はPCマイクを買うのが精いっぱいだったので、それで頑張って録音していました。
――ご自身の歌の特徴について、どのように捉えていますか?
ACCAMER 私の歌の特徴は“声”ですね。ずっとコンプレックスだった低い声を好きって言ってくださる方がたくさんいて、これを強みにしたいって思っています。
――ACCAMERさんが考える“自分らしい歌”についてお聞かせください。
ACCAMER どの楽曲でも「言葉1つ1つを丁寧に」というのを心がけています。詞にどんな思いが込められているのか、どの言葉1つとってもその曲を歌ううえで欠かせない存在なので、込められた思いを見落とさないよう、歌の練習を始める前に詞を読み込むことは必ず行っています。
――シンガーとして影響を受けてきたアーティストはいらっしゃいますか?
ACCAMER 色んな方の歌い方を盗みながら歌ってきたんですが、その中でも秋山澪ちゃん(日笠陽子さん)、ONE OK ROCKのTakaさん、Aimerさんの存在はとても大きいです。このお三方のおかげで、今の“ACCAMERの歌い方”ができた、といっても過言ではないです。
――ACCAMERさんは2020年4月、TVアニメ『LISTENERS リスナーズ』のOP主題歌「Into the blue’s」でデビューされました。この曲を歌う際に特に心がけたこと、楽曲を書いたじんさんとのやり取りで印象に残っていることをお聞かせください。
ACCAMER “澄んだ”とか“痛み”とか、楽曲の核となるキーワードがいくつも散らばっていて、その言葉たちを蔑ろにしないように1つ1つ丁寧に歌うことを心がけていました。
じんさんからは、「参考になるよ」とジェス・グリンさんなどおすすめのアーティストを教えていただきました。洋楽は流行っている曲くらいしか知らなかったので、視野が広がりました。
――今年3月よりNetflixで配信開始したアニメ『B: The Beginning Succession』では、DECO*27さん作詞・作曲による主題歌「Be Down」を担当しています。こちらの楽曲は、どのように受け止めて歌いましたか?
ACCAMER この曲は黒羽(アニメの主人公)の心情を綴っている曲なんですが、特に歌詞の“どこで間違っちゃったんだ どれが正解だったんだ?”という部分は、なんて救いがないんだろうと胸が苦しくなりました。私が黒羽だ、という気持ちでレコーディングに臨みました。寄り添ってあげられたかな。
――ACCAMERさんにとって、アニメの主題歌を担当することはどんな経験になっていますか? 特別な気持ちなどあればお聞かせください。
ACCAMER お話をいただくたびすごく嬉しいです。主題歌ってアニメの象徴というか、そのアニメを一心に背負っている感があって、嬉しいのと同時にものすごく緊張します。大好きなアニメをより素敵なものにするために、私の歌で引っ張っていくぞ!という意識を持ちながら、おこがましくはありますが、そう言う意気込みで歌っています。
――ACCAMERさんは上述のアニメ主題歌のほかにも、じんさん提供の「stay night」、柊キライさん提供の「ダイバーシティ」といったオリジナル楽曲を発表しています。どちらもサウンド・歌声を含めアグレッシブな楽曲に仕上がっていますが、どんな気持ちを込めて歌いましたか? 楽曲の印象と共にお聞かせください。
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ACCAMER どちらの曲も、すっげえ曲だあ……と思いました。「stay night」はあの軽快なグルーヴに乗りながら歌うのが楽しくて、“いい女”になりきりながらレコーディングしました。「ダイバーシティ」は“自分を信じて生きていきたい”っていう曲なんですが、今の時代どうしても周りの意見や考えが気になっちゃうと思うんです。でも、そんな人生の難題を、柊キライさんの軽妙な詞とメロディで暗くならず前向きに表現できたかなって思っています。
――ACCAMERさんはYouTubeやTikTokにて様々なボカロ楽曲のカバーを発表しています。ボカロ音楽全体に対してどのような印象をお持ちですか? ボカロ音楽との出会い、魅力に感じる部分をお聞かせください。
ACCAMER 歌う人になりたいと思ったきっかけがボカロ楽曲でした。最初に聴いたのは「メルト」(supercell)や「弱虫モンブラン」(DECO*27)だったと思います。「人が歌えるのかな……?」と心配になるくらい高低差がある曲ばかりかと思えば、思わず涙がこぼれるような綺麗な曲があったり、色んな曲をボーカロイドを通して知ることができるのがいいなあと思います。
――ボカロ楽曲をカバーすることの魅力については、どのようにお考えですか?
ACCAMER 元の曲を人が歌っているとその表現に引っ張られがちなんですが、ボーカロイドが歌っているので自分なりの表現や解釈をしやすいのが醍醐味かなと思います。
――これまでに発表したカバー楽曲のなかで、リスアニ!WEBの読者に特におすすめしたい楽曲とその理由をお聞かせください。
ACCAMER Ayaseさんの「幽霊東京」のカバー動画です。
地方から上京してきた身として自然と感情移入ができましたし、私も東京に来て大人になって、何かを得て何かを無くしてきたのかなと、色々考えさせられました。大好きな曲です。
――この4月に放送開始したTVアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』では、ED主題歌「最深」を担当されています。この曲はsyudouさんが作詞・作曲した、ACCAMERさんにとって初のバラードですが、どのように受け止めて歌いましたか?
ACCAMER 綺麗なのに攻撃的で殻に閉じこもってて、繊細な曲だな、と感じました。感情を込めすぎてしまうと涙が出てくるし、曲に合わず熱くなってしまうので、いい塩梅を心がけました。何度聴いても鳥肌が立ちます。
――ACCAMERさんは本楽曲のタイアップ決定に際し、「この楽曲は“そう私は私が嫌い”で始まる詞が衝撃的で、アニメのストーリーや自分の思い出など、色んな感情が湧き上がり涙が止まらなくなってしまいました」とのコメントを寄せていました。ご自身の気持ちと重なった部分について、お聞かせください。
ACCAMER “そう私は私が嫌い”――その言葉通り、私は自信が持てない自分をどうしても好きになれないんです。歌っていると、syudouさんのストレートな詞が私の心に突き刺さってきて、私が歌っているのに、自分が問いかけられているような、自分を嫌いな私を認めてあげてもいいのかなって、救われたような気分になります。
――ACCAMERさんは自分の歌を通して、どんなことを表現し、伝えていきたいですか? ご自身が思い描く理想のアーティスト像について教えてください。
ACCAMER 今の私は「私を見て!」というのが根本にあるのかなと思います。
「私」がどんな人間なのか、歌を通して表現しているんだと思います。私のアーティストとしての理想像は、自分のことが大好きで、自分に自信があって、歌に自分のすべてを捧げられる人です。あとは、歌で皆の人生に寄り添える人。そんなアーティストになりたいと思います。
――最後に、アーティスト活動における今後の目標・展望についてお聞かせください。
ACCAMER 皆さんに私のことをもっと知ってもらいたいです。ライブとか、配信だったり、いつか皆さんと同じ時間を過ごせたらなと思っています。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
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syudou(「最深」作詞・作曲)コメント
――「最深」は痛々しいまでの感情と覚悟が刻まれたバラードです。こちらはどのようなコンセプトで制作した楽曲ですか? TVアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』やACCAMERさんとの寄り添いを意識した部分、逆にsyudouさんご自身の“らしさ”を意識したポイントがあればお聞かせください。
syudou 「心の奥底に眠っている人に言えない感情は決して美しいものではないけど、掛け替えのない大切なものである」というのがこの楽曲のコンセプトです。ACCAMERさまの歌声の持つ魅力と『BLUE REFLECTION RAY/澪』という作品の世界観を踏まえこの楽曲を制作させていただきました。人に言えないネガティブな感情を歌詞にするというのは普段の自分の楽曲のコンセプトに通じると思います。
――完成版の「最深」を聴いた感想をお聞かせください。ご自身の書いた楽曲にどのような化学反応が加わったと感じましたか?
syudou 自分の制作したデモにACCAMERさまの歌声やTomoLowさまの繊細なアレンジが加わったことで楽曲の美しさや説得力が大幅に向上したと感じました。自分は普段一人で完結する曲作りをすることが多いため、今回のように様々な方と関わりながら行う楽曲制作は大変刺激的で貴重な経験でした。
――シンガーとしてのACCAMERさんにどのような印象をお持ちですか? ACCAMERさんの今後に期待することをお聞かせください。
syudou 声の持つ芯の太さと歌う言葉の説得力が魅力だと感じます。今作は10代の主人公たちの揺れ動く繊細な感情を描写した楽曲ですが、そういった難しい心理描写を歌いこなせるのも彼女の歌声が優れたものだからだと僭越ながら感じました。
今後も様々な楽曲を世に送り出してほしいですが、個人的には聴いた人の心に深く残りその人にとってお守りのように大切な存在になる楽曲を歌ってほしいと感じます。
改めて素晴らしい作品に関わらせていただき本当にありがとうございました!
sakiyama(「Be Down」「最深」MV制作)コメント
――「Be Down」のMVはどのようなコンセプトで制作されましたか? 楽曲やACCAMERさんの歌声からインスパイアされた部分、MVで描かれるストーリーについてお聞かせください。
sakiyama 初めて聴いたとき、まず強烈に色が浮かびました。深い青緑色の中に鮮やかなピンクが映える印象で、そこからイメージを膨らませました。
楽曲は重たくどんどん沈むような感覚で、けれどもACCAMERさんの力強い歌声も相まって、希望に向かってもがいているような印象を受けました。
ストーリーはざっくりまとめると、主人公には“希望”があるのだけれど、それが叶わず、代わりに他のものに依存した結果、本来の“希望”に殺されるという救いようのないものになっています。
――「最深」のMVは「Be Down」のMVと繋がりのある作品とお伺いしました。こちらのMVのコンセプト、2曲のMVを通して描きたかった世界観についてお聞かせください。
sakiyama 「最深」はとてもストレートな楽曲だと思いました。自分のネガティブさを受け入れて強くなる。なので私もストレートに描こうと思いました。
「最深」と「Be Down」は同じ主人公、世界にしました。時系列は「Be Down」→「最深」です。
「Be Down」では、明るくてきらきらしている朝を迎えたのに、主人公は受け入れられない。
「最深」では主人公の暗い心象風景から始まり、低彩度の現実世界が、最後では彩度を取り戻す。
2曲を通して、主人公の精神の変化、成長を伝えられていたら良いなと思います。
――シンガーとしてのACCAMERさんにどのような印象をお持ちですか? ACCAMERさんの今後に期待することをお聞かせください。
sakiyama とにかくかっこいい。力強くて、媚びなくて、本当に素敵な歌声だと思います。大好きです。
もっともっと沢山の方に、歌声が届くことを願っています。これからも応援しています!
●リリース情報
「最深」
4月17日配信開始
関連リンク
ACCAMER 公式サイト
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