「アイドルマスターシリーズ15周年音楽大全」での寄稿は夢のような体験!?
――リスアニ!とBURNOUT SYNDROMESと言えば、3月に発売になった『リスアニ!Vol.43.2「アイドルマスター」シリーズ音楽大全 永久保存版VII』では「私のアイマスソング」特集ページに参加されていましたね。
リスアニ!編集部 その節はありがとうございました!
熊谷和海 こちらこそありがとうございました! 多分、死ぬときには絶対に思い出す出来事でした。
――ご自身のTwitterではその号を「家宝」と書かれて、本棚の写真が掲載されていましたね。
熊谷 自宅の本棚というか、祭壇です。僕自身、「アイドルマスター」シリーズで楽曲を覚えてきましたし、「アイドルマスター」シリーズの歌詞をいつも目指しています。コンテンツそのものが僕にとっての師匠です。マスター・ヨーダです。本当に嬉しかったなぁ! また何かあれば呼んでください!
作品からのオファーに熊谷が提案した“三味線ソロ”への想い
――そんな熊谷さん率いるBURNOUT SYNDROMESですが、ニューシングルはTVアニメ『ましろのおと』のOPテーマです。作品サイドから「BURNOUT SYNDROMESの楽曲で」とお話があったと伺ったのですが、作品からのオファーを受けた際、どのような想いがありましたか?
熊谷 本当に嬉しかったです。逆に指名だからこそやれることがあるのではないか、と思って、「ほかではやらないことをやりましょう」と三味線ソロを「やらせてください!」と打ち合わせの段階でお話ししました。その段階で楽曲は頭の中にしかなかったのに(笑)。でも1コーラスの中に三味線ソロが入っていたら、それってすごく面白いんじゃないかと思ったんですよね。
――そもそも原作となる「ましろのおと」はご存知だったんですか?
熊谷 タイトルだけは知ってまして、この機会に読んだのですが、原作の完成度が本当に高くて。これをアニメ化するとは……。どうやって表現していくのだろうかと最初はビビりました(笑)。原作を読んだので想像で補っている三味線の音はありますが、芸術を題材にした原作を映像化することってすごく難しいんじゃないかと思うんですね。まず、音がわからない。ダンスもそうですが「これはすげぇダンスだ!」というセリフがあっても、いまいち伝わってこない。頭の中で頑張って「こういうダンスだろう」とイメージするしかない。現実以上のイメージを膨らませることのできるのが芸術系原作のいいところかなとも思うのですが、それを真正面からアニメにすることはハードルが高いだろうという感想を抱きました。期待値に背かないような、「『ましろのおと』のオープニングはこれだよね!」と言われるような曲を作らなくては、と思って頑張りました。
石川大裕 僕は原作を知っていて。その作品からご指名が来たことはびっくりしました。そもそもは「月刊少年マガジン」をパラパラとめくっているときに出会ったのですが、僕は人物の心情描写が面白くて読んでいました。なのでそれほど三味線の音に気を取られてはいなかったんですよね。だから結構、楽しく読めていました。
廣瀬拓哉 音楽をテーマにしたマンガやアニメは心理描写を深く掘り下げていく作品は多くはない気がしていたのですが、そんななかで「ましろのおと」は深層心理や葛藤までもがそのまま音に表れていくような印象があるんですよね。それがすごく面白いなと思いながら読んでいました。めちゃめちゃ共感できるんですよね。これを描いてくれるなんて嬉しいなと思ってしまうところも多くて。演奏家としては、今自分が置かれているもののすべてが無意識に音に出てしまうので、そこに共感をしていました。嬉しいですよね。あんなふうに書いてくれることが。
石川 それはありますね。「叩きてぇ」っていうセリフがよく出てくるんですけど、「叩く」という表現はドラムや打楽器で言うような印象が強いですが、実は弦楽器でも同じ言い方をするんですよね。僕もいつもベースを「叩きてぇ」って思っていますし、それが自分の心境ともベストマッチしますし、すごく感情移入します。
熊谷 たしかにベースは打楽器と弦楽器の中間にあるもんね。
――その「BLIZZARD」。最初の段階から「三味線ソロ」ありきだったわけですが、作りながらどうイメージしていったのでしょうか。
熊谷 三味線のソフトを買って、レコーディングは演奏者さんに生でやってもらうとして、とりあえずそれありきで曲を書いていきました。サビ前にあえて三味線で持っていってもらおうと思い、掛け声と三味線だけになっています。
――三味線には独特の旋律があるかと思います。それについては研究されたりイメージがあったのでしょうか?
熊谷 三味線のチューニングについてある程度調べたのですが、ギターとは全然違うんですよね。それこそ独特のチューニングで。ギターと違ってくる音についても調べて、三味線の曲も色々と聴きました。
――バンドの音との融合で最も意識することというと?
熊谷 三味線の音を入れたバンドサウンドを作ることは結構難しかったです。というのも、三味線の音は単品で聴くとすごく綺麗なんですが、バンドの音に混ざると抜けてこないんですよね。ほかのエレキやベースが電気を使って音を出すだけに減衰していかないんですよね。バーッと音がずっと伸びていて。それに対して三味線はアタックの音だけベンッと出る楽器なので、一緒に鳴ると全然音が聴こえてこなくて。それで三味線の音を出したいなら、その間はギターとベースは弾かないという選択をするしかなくて。だから「BLIZZARD」で三味線の音が鳴っているなというところではギターとベースは弾かない。ドラムもアタック一発であとはほとんど音を出さない。そういう工夫をしました。
石川 僕らは3ピースバンドなので、3人でブレイクを合わせるけれど誰かに任せるということはほとんどなかったですね、これまでは。
廣瀬拓哉 「ましろのおと」というテーマに対して三味線や和楽器を使ってくるんだろうなとは思いつつ、それはすごく難しいことでもあるだろうと思っていたんです。いざ楽曲を聴いてみたら、三味線が一番かっこいい感じになっていた。それならバンドとしては三味線のかっこよさをどう出していくが1つのテーマになっていくんじゃないかと思いました。でもアレンジを聴いた段階で、熊谷くんの素晴らしいアレンジが出来ていたのでそこを心配することはなく、三味線のかっこよさをどう引き出していくかをすごく大切にして、意識をしながらドラムを叩きました。
――歌詞についてはいかがですか?
熊谷 いつもは「応援歌を書け」という謎のプレッシャーを感じているんですけど、今回はそうではない気がしたので、ちょっとしたラブソングになっています。あまりメッセージ性のないものを作ろうと思って書いたのが今回の歌詞ですね。共感性みたいなものが入っているといいかなと思って。ビシッとメッセージを叩きつけるというよりは「わかる気がする」というところを狙ってみました。
――アニメで流れる89秒から先にはまた熱さが滲み、意外性が出ますが、アニメサイズに込めたのはどのような想いですか?
熊谷 『ましろのおと』は、何もけがれのない真っ直ぐな男の子が、東京の人たちと出会い、彼らのしがらみや人間関係を解きほぐしていく物語だと思っているんです。
――歌詞についてお二人はどのような印象がありましたか?
石川 さすがだなと思いました。熊谷くんの好きな感じとテーマが本当にマッチしていたなと思います。音楽が好きな人間なので、雪の世界と白紙の楽譜を掛け合わせていく感じが熊谷くんらしさが出ていて、いい感じになっているなと思いました。
廣瀬拓哉 「誰の視線で書いていくんだろう」というのはずっと気になっていたんです。人間を描くのか、それとも物語の景色を追っていくのか。多分どちらの視点でもアニメには合うだろうから、熊谷くんはどんなアプローチでくるのかなと思っていたら、その両方が見えるというのがいいなぁ、と思って。景色も見えるし、最後に向けて熱くなっていく人間味もあって、リスナーは偏ることなくすごくいいバランスで曲とアニメの世界観に入っていけるんじゃないかなと思いました。
BURNOUT SYNDROMESと「ましろのおと」との融合を深めたエッセンスとは
――この「BLIZZARD」は前回「Wake Up H×ERO! feat.炎城烈人(CV:松岡禎丞)」での松岡さん以来の、声優さん参加型楽曲となっています。澤村 雪役の島崎信長さんの収録はいかがでしたか?
熊谷 ダメ元で言ってみると皆さん優しくて、引き受けてくださるんだなと思いました(笑)。松岡さんもそうですが、島崎さんも素晴らしかったです。最初は僕が声を出していたんですけど、どうしてもいぶし銀な声になってしまう。ここは島崎さんの華やかな声が必要なんじゃないかとお願いしました。何がすごいって、声優さんの声は抜けがすごくいいんです。原理はわからないんですけど、とにかく楽器に埋もれないんです。僕なら被ってしまって、どちらかを削らなきゃいけなくなっちゃうこともあるんですが、島崎さんの声はそのままで生きる。素材が全然違うんだという感じがしました。アニメイベントなどでご一緒できたら、ぜひコラボレーションしたいです。
――OP映像をご覧になっていかがでしたか?
石川 OP映像を観たあとに、YouTubeの、三味線を「弾いてみた」動画を観たんです……一緒! 映像シーンとまったく一緒でした。どんな完成度なんだ!って思いました。細部までのこだわりがアニメの映像にあることに本当に驚きましたね。
熊谷 雪が三味線を弾いてくれているんですけど、1回映像にしたものをアニメーションに落とし込んでいるんだと思うんです。その再現度の高さに驚愕しましたね。見事で。うわぁー!とテンションがアガりました。
廣瀬拓哉 僕も演奏シーンにまずびっくりしました。ここまでしっかりしていて、現実の動きを踏襲しているなんてなかなか見られないと思うので、そこは驚愕でした。
――そしてもう1曲のオープニングが「銀世界」です。こちらはいかがでしたか?
熊谷 提出するときに「もう1曲欲しい」ということで作った1曲です。なのでどちらがオープニングになるかわからないくらいの気持ちで出したところ、どちらも採用になったという珍しいケースなんじゃないかと思います。曲を作るときには「BLIZZARD」とは違う方向性の曲にしようということで、ギターで三味線っぽいフレーズを入れて作ったのは「銀世界」ですね。音楽家の視点でいうと、三味線のアニメに三味線の演奏を入れるというのはコテコテなんじゃないかと思ってもいたんですね。それでギターが三味線っぽいフレーズを弾きながらロックの曲にするっていうことで、イントロに細かく弾くフレーズを入れました。和楽器とのコラボとは言わずにBURNOUT SYNDROMES節をバンドで出したのがこの曲です。
石川 バンドサウンドなので、ライブでみんなと楽しめそうな曲だなって思いましたし、どちらの曲も聴いてもらえるのは嬉しいですね。ライブでの姿が想像できる1曲ですし、いつになるかはわからないですが、みんなと一緒に楽しみたいです。「BLIZZARD」は聴き惚れてしまうような曲ですが、「銀世界」は楽曲だけでなく奥にいる僕ら3人の存在が見える曲だなと感じます。
廣瀬拓哉 すごく疾走感があって、楽曲のイメージカラーも色濃く見えますし、なおかつキメもあるので、これがどんなふうにアニメとコラボレーションしていくのかが楽しみですね。
――アニメの制作の方が大変そうです(笑)。今回のシングルをどのように楽しんでもらいたいですか?
廣瀬拓哉 「BLIZZARD」は聴き込んでいくなかで楽しんでもらいたいです。「銀世界」の方ですが、僕はランニングをするんですけど、早朝に走っているときに聴くのも楽しいと思う1曲なので、スポーツのお供にもぜひ聴いてもらいたいです。
石川 熱い夏に現実逃避するように聴いてもらいたいです。なんといっても「BLIZZARD」に「銀世界」ですから。耳の中だけでも涼しく過ごしてください。時空を超えるのが音楽だと思うので、イマジネーションを膨らましながら聴いてください。
熊谷 いつも通りに作ったのですが「いい曲できた」という気持ちがとても強いです。それは『ましろのおと』というアニメが力を貸してくれたからだと思いますし、胸が熱くなるセリフもいっぱいあって、その作品の力も借りられているので自信満々です。ライブはどう表現するかこれから考えていきますので、ライブができたときには共に発散しましょう!
INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち
●リリース情報
BURNOUT SYNDROMES 6th Single
「BLIZZARD/銀世界」
5月19日発売
【通常盤(CD)】
品番:ESCL 5520
価格:¥1,100 (税込)
<CD>
01. BLIZZARD
02. 銀世界
03. BLIZZARD -Instrumental
04. 銀世界 -Instrumental
【初回生産限定盤(CD+DVD)】
品番:ESCL 5518-9
価格:¥1,800 (税込)
<CD>
01. BLIZZARD
02. 銀世界
03. BLIZZARD -Instrumental
04. 銀世界 -Instrumental
<DVD>
銀世界 -Music Video-
「ヒカリアレ」Live Performance -Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館
【期間生産限定盤(CD+DVD)】
品番:ESCL 5521-2
価格:¥2,000 (税込)
<CD>
01. BLIZZARD
02. 銀世界
03. BLIZZARD -TV size
04. 銀世界 -TV size
05. BLIZZARD -Instrumental
06. 銀世界 -Instrumental
<DVD>
TVアニメ「ましろのおと」オープニング映像(Non-credit)BLIZZARD ver.
TVアニメ「ましろのおと」オープニング映像(Non-credit)銀世界 ver.
「FLY HIGH!!」Live Performance -Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館
●作品情報
TVアニメ『ましろのおと』
MBS/TBS/BS-TBS“アニメイズム”枠にて放送中
TBS:毎週金曜日 深夜2時25分~
MBS:毎週金曜日 深夜2時25分~
BS-TBS:毎週金曜日 深夜3時00分~
※放送日時は変更になる可能性がございます。
【スタッフ】
原作:羅川真里茂(講談社「月刊少年マガジン」連載中)
監督:赤城博昭
シリーズ構成:加藤還一
キャラクターデザイン:真島ジロウ
津軽三味線監修:吉田兄弟
アニメーション制作:シンエイ動画
【キャスト】
澤村 雪:島崎信長
澤村若菜:細谷佳正
澤村梅子:本田貴子
前田朱利:宮本侑芽
山里 結:近藤玲奈
矢口海人:岡本信彦
永森 雷:鈴木達央
神木清流:梅原裕一郎
田沼総一:畠中 祐
田沼 舞:三上枝織
立樹ユナ:逢田梨香子
●ライブ情報
全国ワンマンツアー2021
9月24日(金)東京・EX THEATER ROPPONGI
10月2日(土)新潟・新潟NEXS
10月3日(日)宮城・仙台Rensa
10月9日(土)愛知・Diamond Hall
10月23日(土)広島・LIVE VANQUISH
10月24日(日)福岡・BEAT STATION
10月31日(日)大阪・なんばHatch
開場16:00/開演17:00(東京公演のみ:開場18:00/開演19:00)
(C)羅川真里茂・講談社/ましろのおと製作委員会
※「島崎信長」の「崎」は「たつさき」が正式名称
関連リンク
BURNOUT SYNDROMES オフィシャルサイト
https://burnoutsyndromes.com/
TVアニメ「ましろのおと」公式サイト
https://mashironooto-official.com/
「BLIZZARD」配信リンクはこちら
https://BURNOUTSYNDROMES.lnk.to/PEPIYc
『銀世界』配信リンクはこちら
https://burnoutsyndromes.lnk.to/7pYJOk
「BLIZZARD/銀世界」購入特典対象店舗はこちら
https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/burnoutsyndromes/shoplist/210519/