ユニットを組むなら、この二人しか考えられなかった
――『ラブライブ!虹ヶ咲スクールアイドル同好会』でも共に活動しているお二人ですが、どんな流れでNACHERRY結成へと至ったのですか?
田中ちえ美 私たちにとってはサプライズプレゼントというか、元々は私たちが以前お世話になっていたプロデューサーさんがそれぞれ声をかけてくださったんです。私が知ったのが5月なので、最近ですね。マネージャーさんから「実は、田中さんにそういう話がきてるんだよ」って言われて、「それってなっちゃんとですか?」って言ったんですよ。
――村上さんとやることはわかっていた?
田中 わかっていたというか、私がユニットをやるなら、なっちゃん(村上)しかいないって思っていました。
村上奈津実 私は話を聞いたのが、とあるライブの翌日だったんですよ。マネージャーさんはライブが終わってから話してあげようと思っていたらしいんですけど、私そのとき爆睡していて。すごく眠いなかで電話をしていたんですけど、話の内容がちょっと理解できなくて(笑)。
――寝起きでユニット結成の報を知るという(笑)。
村上 「起きたばかりで頭が回ってなかったんですけど、嬉しいです」みたいな(笑)。夢なのか現実なのかわからないまま、しばらくふわふわしていました。あと、マネージャーさんから「田中さんは知らないかもしれないから、いついつまではその話をしないで」って言われていたので、「田中はまだ知らないんだ~」って思いながら接していました(笑)。
田中 知ってましたけど、私は私で「なっちゃんは知らないかもしれないから隠しておいて」って言われていて(笑)。
――お互い何かを隠しながら過ごされていたと。
田中 でもさすがにもう知ってるだろうっていうタイミングでなっちゃんに「聞い……た?」って(笑)。そこで「聞いたよー!やったねやったねー!」ってなって、お互いようやく実感できたというか。
――お二人によるユニットに対して田中さんはある種の確信があったというお話でしたが、普段から仲良くされているんですよね?
村上 お酒を飲む友達っていう(笑)。お仕事仲間というより友達という感覚で、お互い結構さらけ出してしゃべっていると思います。
――そんな村上さんから見た田中さんはどんな人物だと思いますか?
村上 田中は結構人見知りで初めて会う人には緊張しいだと思うんですけど、慣れてくるとすごく場を盛り上げるムードメーカーという感じで、でもすごい真面目です。あとはやっぱり気にしいで、そこはすごく私と似ているかな。私もここをこうすればよかったなとか、こういう言い方をすればよかったなって後悔することがあって、そういう話ではお互い励まし合っていますね。
――では田中さんから見た村上さんは?
田中 最初の印象としては明るくて元気で、どちらかというと……陽キャ(笑)。
村上 陽キャ(笑)。
田中 って思っていたんですけど、仲良くなっていくと「私さ、実は暗いんだよね……」って自分で言ってくるんですよ(笑)。
――自ら暗いとカミングアウトするという(笑)。
田中 その話がまずネガティブだし(笑)。たしかに落ち込みやすいというところもあったんですけど、それは共通点として「お互い同じだね」って仲良くなるきっかけの1つになりました。なっちゃんも言ってくれた通り、仕事仲間でありながら普通の友達でもあるので、NACHERRYの活動としてのアー写撮影やMV撮影、あとはラジオも始まったんですけど……全部が楽しい!アー写撮影もMV撮影も一人だと緊張すると思うんですけど、なっちゃんがいてくれるから、もうずっと楽しい!みたいな。NACHERRYの活動は今全部楽しいです。
村上 初めてのことばかりなのに田中と一緒だから「なんとかなるんじゃないかな」って思っています(笑)。
田中 なっちゃんとも一緒だし、周りのスタッフさんとも楽しくお話できるから、そういう環境で仕事できている自分はすごく恵まれているし、幸せなんだなって思っています。
――そんなお二人ですが、それぞれどんな音楽を聴いてこられましたか?
田中 ずっと好きだったのはやっぱりアニソンで、水樹奈々さんやアニソンアーティストさんの楽曲を聴いていました。アニソンをいっぱい聴いてきたので、自分がランティス(バンダイナムコアーツ)さんからデビューできるのにはびっくりしましたね……。声優をやっていくなかでいつかアーティストデビューしたいと思っていたのですが、学生の頃から聴いていたアニソンアーティストの方がたくさんいらっしゃるレーベルに自分がいるのが信じられないです(笑)。
――『虹ヶ咲』もまたランティスからのリリースではありますが、それとはまた感覚が違いますか?
田中 『虹ヶ咲』は作品でやっているので、自分の名前でデビューというのはまた違いますね。ランティスの田中ちえ美という文字だけでも、信じられな~い!って感じです(笑)。
村上 私は幼い頃からaikoさんが好きだったのと、お父さんがポルノグラフィティを好きで、車の中でずっと聴いていました。
田中 大体良いでもいいじゃん!(笑)。
村上 こんな大体良い止まりの私が……(笑)。
田中 そんなこと思ってたの?(笑)。
村上 だってさ、デビューする人たちってもっと音楽の知識とかセンスもすごくて、そんな「大体良い」の私がデビューできるなんて(笑)。でもここから「とても良い」にいきたいなと!
お互い新鮮に感じる“自分の声”と、姉妹のような相性の良さ
――そんなNACHERRYのコンセプトについて、楽曲からアートワークも含めてアメリカンロックなテイストが印象的ですが、最初の感想はいかがでしたか?
村上 私はどちらかというと、かっこいいロックというよりも明るいイメージのコンセプトがいいなと思っていたので、すぐに「これやりたいな」と思いました。
田中 私も色々話し合いをするなかで、なっちゃんとなら明るいサウンドのロックを歌いたいなとずっと思っていたし、なっちゃんにもそんなサウンドが合うと思っていたんですよ。あとは、ほかにはないユニットコンセプトだなって。どことも被らない、私たちの世界観を作り出せるコンセプトだし、こういう衣装を着るのは初めてなので最初は照れもありましたけど、この衣装でニコイチ感もあってみんなにもそこを見てもらいたいなって思いました。
――たしかにロックといえども70~80年代辺りのアメリカのガールズバンド的な印象もあって、そこは新鮮ですよね。
田中 同性にも好かれやすい楽曲になっていると思いますよね。
村上 私も高校の時にガールズバンドをやっていたんですよ。そのときNACHERRYがいたらカバーしていましたね(笑)。
田中 ランティスさんからデビューするけど、だからといってアニソンらしいというより、私たちらしくロックで明るい曲も歌っていきたいなって。
――そんななか、先行配信でリリースされた「フォーチュンテラー」を聴いた感想は?
田中 お互いに「これ最高!」ってなるくらい私たちの思い描いていたコンセプトにぴったりだなって思いましたし、これをなっちゃんと歌うんだと思ったらより楽しみになりました。
村上 それまではNACHERRYのコンセプトを聞かれても上手く説明できていなかったんですけど、「フォーチュンテラー」を初めて聴いて、その正解がこの歌だって思ったんですよね。パーティ感というか、女の子たちが自分らしくはっちゃけられる曲という、私が思い描いていたNACHERRY像そのままでした。
――ロッキンなサウンドのなかで自分たちがどう歌うかというところはどう考えられましたか?
村上 キャラクターとしてではなく自分として歌う経験があまりなかったので、どこまで自分でいくかというバランスを考えて歌っていました。なのでプリプロの段階から探り探り、考えながら歌っていましたね。
田中 私は初めてではなかったのですがキャラソンではないということで、どうアプローチしていくか、どこを立ててどこにアクセントを入れてというのは研究しましたね。それこそこういうタイプの楽曲をたくさん聴いたりもしましたけど、結局めちゃくちゃ緊張したので、それができたかというと……できているつもりではあります!(笑)。とにかく緊張しました。
村上 うん。
田中 なっちゃんの歌を聴きながらプリプロやレコーディングをに臨めたので、イメージしやすかったですね。一人で歌うよりずっとやりやすい環境でできたなって思います。
村上 あと、プリプロで初めて田中の歌を聴いたときに、そういえば田中の地声での歌って聴いたことがなかったなって。
田中 たしかに。キャラクターの声でしか歌ってこなかったもんね。
村上 それですごくびっくりして。「これ田中なの!?」と思って(笑)。
――それこそファンの方もキャラクターでの歌声を聴き慣れているところはありますよね。それだけにフレッシュさもあるというか。
村上 そうだと思います。すごくお姉さんっぽくて、「めちゃ上手い……!」って。
田中 でも私は、この曲はなっちゃんの声にすごくぴったりだと思って。歌もなっちゃんの明るくてかわいい声から始まっているというのもそうだし、なっちゃんがさっき私の声がお姉さんみたいって言ってくれたように、私がお姉さんでなっちゃんが妹みたいで姉妹が歌っているというか。それぞれのソロもそうだし、ユニゾンもかわいい声とお姉さんっぽい声があって、でもお互いの声が喧嘩していなくて、仲良い姉妹が楽しく歌っていますっていうイメージが私のなかに降りてきましたね。
――そこでよりコンセプトが明快になったというか。実際に聴くと、おっしゃる通りお二人の声の相性の良さもわかりますよね。
田中 なので早く聴いてほしい。
村上 聴いてほしい~!
田中 でもなっちゃんがさっき、「田中はこんな声なんだ」って言ってくれたけど、なっちゃんもなっちゃんで、自分の声とキャラクターでは違うから。
村上 そうかな~?(笑)。
――お互いの知らない声が聴かれるという新鮮さはこのユニットの大きな魅力になると思いますよ。
田中 そうですね。「私たち、こういうのもできるんですよ!」っていうアピールになると思います。
ミニアルバム制作のなかで発見される、自分たちの新しい魅力
――さて、「フォーンチュンテラー」ではMVも制作されていますが、お二人がベッドルームやリビングで歌うキュートな映像となっていますね。
村上 撮影が終わってみたらめっちゃ楽しかったんですけど、最初は戸惑いもあって。というのも、撮影がスタートして、とりあえず私と田中は「セットのここに座ってください」って言われて、そのまま「1回曲に合わせてリップしてみてください」って。
田中 私となっちゃんが一緒に「えっ?」ってなって(笑)。
――恐らく、このシーンで使うのでこういうイメージで、というような演出指導が入ると思ってましたよね。
村上 そうなんですよ。細かくこの歌詞になったらこういう動きをしてくださいっていう指示はなく、「とりあえずやってみましょう」みたいな。それで私たちもいきなりなので、どうしていいかわからなくって。
田中 ベッドがある部屋とテーブルと椅子がある部屋の二ヵ所で撮ったんですけど、そこで両方とも曲のフルサイズを口パクで歌うという撮影の仕方だったんです。私たちはここからここまでのワンシーンだけ口パクをやる、という形だと思っていたんですよ(笑)。
村上 カットごとに細かくやっていくものだとばかり思っていて、いきなりフルでって言われたから、「もしかしてワンカットなのかな?」って(笑)。
田中 最初は戸惑ったよね。でも監督さんも女性で優しくてやりやすい環境だったので、だんだん楽しくなって。ぎこちないところも笑ってくれたり。
――たしかに映像を拝見すると、キメキメというよりお二人のナチュラルなキュートさとかっこ良さが観られる映像になりましたね。
村上 素の私たちを観ていただけるかなと。
田中 「楽しくしていてください」って言われていたんですけど、ベッドの上でぴょんぴょん跳ねたりとかはこちらのアイデアで、そこは長年付き合ってきたものがあるのかなって。
村上 それが滲み出たMVになっているかなって思いますね。
田中 「楽しくしているのは任せてくださいよ!」っていう(笑)。
――そんな「フォーチュンテラー」を発表したあとは、2022年1月にデビューミニアルバムのリリースを控えています。現在、制作途中の音源を聴かせていただきましたが、NACHERRYのコンセプトをさらに推し進めたようなガレージロックっぽさも感じるサウンドという印象でした。
田中 「フォーチュンテラー」からもっとロックにという感じで、私としてはテンションが上がった。
村上 うん。
田中 最初の入りのギターとかドラムで「わーっ!めっちゃ良い!」って(笑)。でも歌は技術的には難しい。
村上 そう、結構テクニックがいる曲だなって思いました。
田中 なんていうんだっけ、フォール?
村上 あ、そうそう。
田中 ロック特有のというか、ちょっと語尾が落ちるような歌い方がすごく苦戦したよね。
村上 苦戦した苦戦した!
田中 明確にロックという曲になっているから、歌い方もそこに寄せないとね。
村上 今までそういう歌い方をしたことはなかったので難しかったですけど、新しい挑戦をさせていただいています。
――リリースがますます楽しみになりますが、その制作のなかでお二人のボーカルもまた新鮮な経験をされているようですね。
田中 今まで私たちは、キャラクターとして演じながら楽曲を歌ったりライブをしてきましたけど、そんな私たちを知っている人にも知らない人にもNACHERRYを聴いてもらって、「えっ、めっちゃ良いやん!」ってなってくれると思うと、また自分たちの可能性もアピールできるところかなと。自分では気づけていない魅力もNACHERRYで開花できるかもしれないし、なっちゃんはそんな私がって言っていたけど……。
村上 「大体良い」の私がね(笑)。
田中 なっちゃんが得意なところもあると思うし。でも、「田中はすごいから!」ってよく言ってくるんですよ。私は「そんなことない!なっちゃんの声にすごくぴったり!」って、お互い励まし合いながら活動しています(笑)。
村上 お互い励まして、お互いを持ち上げて(笑)。
田中 「大丈夫!かわいいよ!」って。
村上 MV撮影のときも、「私絶対ブスだった~!」って言ってくるんですよ(笑)。
田中 そしたら「そんなことない!かわいいよ!」って絶対肯定してくれるんです(笑)。
――微笑ましいお話ですね。そんなNACHERRYとしてスタートを切ったばかりですが、ミニアルバムを経て、今後に向けてどんなことをしてみたいですか?
村上 とりあえずライブをたくさんしたくて、ツアーもしたい。
田中 ねえ。
村上 今まではキャラクターありきでステージに立っていたので、自分自身としてステージに立ったらどういうアプローチの仕方をするんだろうっていうのがまだわからないので、それが楽しみです。
田中 とにかくライブをしたいですね。例えば小さい会場からライブを始めて、だんだん会場が大きくなっていくような、お客さんと一緒にNACHERRYを大きくできたらいいなと思いますし、あとはロックなので、後ろにバンドの人たちがいてくれると私たちもアガると思います。
村上 ねえ、憧れるよね。
田中 最高!そんな環境で歌えたら嬉しいですし、あとはなっちゃん一人の曲も聴いてみたい。ユニットだけどなっちゃんや私だけの曲っていうのも面白そうだと思いますし。あとは……なんだろうね。
村上 あとは……気楽にやっていきたい(笑)。
田中 そうだね、物事を重く捉えすぎるからねえ(笑)。
村上 気にしいだから、私たち(笑)。
TEXT & INTERVIEW BY 澄川龍一
●配信情報
NACHERRY デビューデジタルシングル
「フォーチュンテラー」
各音楽配信サイトにて配信中
配信リンクはこちら
歌:NACHERRY
作詞:岡田マリア
作曲:山田貴洋
編曲:山田貴洋
●リリース情報
デビューミニアルバム
『CANDY SUNDAY』
2022年1月19日(水)発売
予約はこちら
【完全数量生産限定盤(CD+Blu-ray)】
価格:¥6,050円(税込)
品番:LACA-35929
仕様:フォトブック、アクリルスタンド、オリジナルサイコロ、豪華BOX仕様
<収録内容>
■CD
「フォーチュンテラー」を含む、新曲全5曲を収録。
■Blu-ray※完全数量生産限定盤のみ
01.「フォーチュンテラー」Music Video
02.Music Video & Photo Shoot Making
【通常盤(CD)】
価格:¥2,200(税込)
品番:LACA-15929
<収録内容>
■CD
「フォーチュンテラー」を含む、新曲全5曲を収録
<PROFILE>
NACHERRY(ナチェリ)
声優として活躍中の村上奈津実と田中ちえ美がユニットを結成し、Lantisよりアーティストデビュー。ユニット名「NACHERRY(ナチェリ)」は、自身の名前「奈津実」と「ちえ美」をかけ合わせ、“さくらんぼのように2人でひとつ。楽しいことは2倍楽しんで、足りないところは補い合おう!”という想いで、2人が名付けた。NACHERRYは、『好きなものに真っ直ぐな、遊び心を忘れない少女のように。ずっとずっと、ワクワクする。』というコンセプトのもと活動する。カラフルでポップな2人が、ポジティブで力強いアメリカンロックを歌い、ワクワクを届ける。デビューデジタルシングル「フォーチュンテラー」は10月6日配信開始。
関連リンク
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