上松範康×RUCCA×Elements Gardenが贈る、新世代メディアミックスプロジェクト「テクノロイド」。上松といえば、大人気コンテンツ『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズや『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズ、最近では『ヴィジュアルプリズン』の生みの親でもある気鋭のクリエイター。
そしてKAT-TUNや嵐、King&Princeの楽曲をはじめ、下野紘蒼井翔太らの曲の作詞でも知られるRUCCA、さらに上松率いるElements Gardenとでタッグを組んで生み出した新たなコンテンツは、切なくも美しい、アンドロイドたちの物語を描くものに。

今年1月にAPPゲームがリリースされ、ゲーム画面からタイトルが示すようにテクノミュージックが流れ出す。近未来サウンドともいえる楽曲にアンドロイドたちの歌が重なり、心惹かれるユーザー続出中の『テクノロイド』はアニメ化も発表されている。そんな「テクノロイド」を、リスアニ!は徹底解剖!第3回目は、本作の音楽面を支える「Elements Garden」と「テクノロイド」の関係について紐解いていく。

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アニメシーンに一石を投じる新たなコンテンツの登場
近未来のアンドロイドたちが繰り広げるライブバトルを描く「テクノロイド」を考案、進行、制作するのは音楽制作ブランド「Elements Garden」。『うたの☆プリンスさまっ♪』、『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズの原作でも知られる上松範康率いるクリエイター集団による制作チームである。

Elements Gardenの始まりは、2004年のこと。前身である音楽制作プロジェクトから共に活動してきた上松、藤田淳平、藤間 仁、菊田大介らで本格始動。翌年、Elements Garden結成以前から制作を担当してきた佐藤ひろ美(現・株式会社S代表取締役、株式会社アリア・エンターテイメント取締役副社長)のアルバム『Angelica』ですべての楽曲の制作を、同年には水樹奈々のシングル「ETERNAL BLAZE」の制作を担い、「Elements Garden」は鮮烈にスタートを切る。この水樹のシングルは絶大な人気を誇るアニメ『魔法少女リリカルなのはA’s』のオープニングを飾り、さらに同作の挿入歌にして同じく水樹が歌う「BRAVE PHOENIX」も手がけたことでアニメシーンに彗星の如く現れたことになる。以降、水樹をはじめ、茅原実里といった声優アーティストの楽曲制作はもちろん、KinKi Kidsへの楽曲提供など、音楽制作ブランドとして着実にアニメソング、さらには音楽シーンにその名を浸透させていったElements Garden。最新鋭のエレクトロとロックとの融合でのサウンド感と、エッジの効いた感性は、散りばめられた音によって一聴して「エレガっぽい」とリスナーに言わしめるほどに。
突出した個性を持って音楽シーンへと自身のサウンドを浸透させていったイメージを、さらに大きく広げたのは2010年だっただろう。『うたの☆プリンスさまっ♪』の誕生である。

2010年に株式会社ブロッコリーからPSP®(PlayStation®Portable)用に発売された女性向け恋愛アドベンチャーゲーム(以下、乙女ゲーム)である『うたの☆プリンスさまっ♪』。プレイヤーはアイドルのHAYATOに憧れて作曲家を志す主人公・七海春歌としてアーティストを育成する芸能専門学校「早乙女学園」に入学し、個性豊かなアイドル候補生たちと出会い、互いの関係を育んでいく。ゲームの各章で楽曲に合わせて、譜面上に表示されるボタンを押していく音楽ゲームがあり、攻略対象である相手の歌声に触れながら物語を進めていくという画期的な内容だった。その後制作されたアニメでは、攻略対象のアイドルたちがアイドルグループ「ST☆RISH」を結成。アイドルを演じるキャストも「ST☆RISH」として歌にダンスにと、その豊かな表現力を見せていくことになる。当時は2次元アイドルコンテンツからの派生で、リアルライブでの展開をしていたのは女性グループが主であり、女性向けで男性声優がアイドルグループとして歌唱をすることはほとんどなかった時期。シーンに一石を投じる新たなコンテンツとなった『うたの☆プリンスさまっ♪』。しかも音楽制作のみならず企画、原作まで上松とElements Gardenが一挙に担う形態は、これまでのコンテンツ制作にはない、斬新なものだった。

2022年の現在こそ、クリエイター集団が1つの会社として台頭し、様々なコンテンツの主軸を担うことも増えたけれど、その先駆者こそがElements Gardenだったと言えよう。その後のElements Gardenは2012年に『戦姫絶唱シンフォギア』、2018年に『GHOST CONCERT』、そして記憶に新しい2021年の『ヴィジュアルプリズン』、と企画の原案、原作、音楽制作の柱となって展開していく。
『うたの☆プリンスさまっ♪』で時代に左右されない、普遍的かつアイドルらしいポップソングを、ST☆RISH、QUARTET NIGHT、HE★VENSという3グループのカラー、さらにアイドルそれぞれの個性と共に描き切るElements Garden。『うたの☆プリンスさまっ♪』は人気を博し、ライブ会場の規模も年々大きくなっていくなか、女性向け二次元アイドルとして続々と新たなコンテンツが生まれ、アニメ、ゲームのシーンの中でも大きな存在となり、さらに毎年新たなグループや音楽コンテンツが生まれていく状況に。そんな“先駆者”Elements Gardenが2022年になり、新たに仕掛けるのが『テクノロイド』だ。

『テクノロイド』はその名の通り、テクノミュージックをベースとして、主人公ユニットであるKNoCCを含む6ユニット分のジャンル、個性とを構築して制作されている。エレクトロやシンセベースのサウンドを得意としてきたElements Gardenだが、テクノミュージックやユーロビートとは一線を画したサウンドメイクで独自の路線を突き進んできた印象がある。そんななか、時代は回り、かつて日本の音楽シーンを席捲していた“テクノミュージック”が再び世間を賑わせている今。Elements Gardenのクリエイターが青春時代に世を騒がせたテクノミュージックと機材もビートも音の種類も各段に豊穣した“2022年”という現代の音楽とを融合させ、表現力豊かなキャストの歌唱との三位一体の音楽を作る。Elements Gardenの発足から18年を経てもなお、新しいこと、やったことのないことにチャレンジしたうえでゼロベースから物を作っていこうという、飽くなきチャレンジャー精神を感じずにはいられない。

“先駆者”Elements Gardenが示す「エンターテイメント」と未来への展望
どこか未来的であり、都会的であり、夜の都心部の喧噪が似合う音楽。1980年代後半に“新たなダンスミュージックだ”と注目を浴びるようになったテクノミュージックを、ポップスへと昇華したのはエレクトリックなサウンドを持ち味としたロックバンド・TM NETWORKを率いる小室哲哉だった。海外で広まっていたテクノサウンドは、日本ではニッチなジャンルであったものの、小室哲哉はそのサウンドを取り込み、日本を席捲していく。安室奈美恵が「SWEET 19 BLUES」を歌ったのが1996年のこと。
同じ1996年に富士山の麓で開催された日本初の大型テクノフェス“RAINBOW 2000”にしても、この90年代中盤を機に、テクノミュージックは誰もが手にする、耳にする音楽となったように感じる。淡々と響くビートに軽やかに重なるトラックは、いつしか都会を離れ、どんな景色にも溶け込む普遍の音楽へと変貌していったのだった。その後、2010年代にEDMが台頭。テクノから、エレクトリックダンスミュージックへと変貌していったシーンで、改めてテクノミュージックに焦点を当てて、アンドロイドたちの歌う楽曲で楽しむことのできるコンテンツが『テクノロイド』である。

例えばKNoCCの「KNOCKIN’ ON×LOCKIN’ ON」は、オリエンタルでサイケデリックなサウンド感はベーシックな部分でのテクノビートを踏襲しつつもトランス的な鋭い盛り上がりを織り交ぜた“最新鋭”のテクノミュージックへと昇華した感のある1曲。これまでのエレガサウンドに息づいていたエレキギターやロックンロールのビートという“礎”を感じさせないところはまさに斬新かつ新鮮な楽曲。同じくKNoCCの「Something New」はアンビエント・テクノのビート感あるトラックを駆使し、その上を駆けるボーカルのメロディアスさとで楽曲を構成。



さらにSTAND-ALONEが歌う「Not Standing Alone」では、ハードコアテクノに通じる圧倒的な音量で轟く高速ビートが刻まれていきながら3色の声で疾走感を生む。エレクトロの中でも常に“楽器”が息づいてきたエレガサウンドに一石を投じるように、『テクノロイド』の音楽は響いていく。



実は昨今、「乙女ゲーム」とは一線を画したゲームが人気になっている。乙女ゲームはあくまでも女性向け恋愛ゲームであり、主人公であるプレイヤーが攻略対象の男性キャラクターと関係性を築きながら互いの愛情を育んでいく。しかし最近の人気ゲームは、主人公であるプレイヤーはアイドルのマネージャーやプロデューサーとしてアイドルを育てていくものや、部員たちを見守っていくものが主流になっている。
ここでは個別にキャラクターとの愛を深めるのではなく、手に手を取って共に苦難を乗り越え、支え合い、毎日を共に歩みながら信頼関係を築いていく。もちろん恋愛要素をふんだんに散りばめた乙女ゲームの人気も高いが、ことアイドル育成や音楽ゲームを主体としたものは、共に歩んでいく、進んでいく育成ゲームが求められているようにも感じる。

そして『テクノロイド』もやはり、主人公グループ・KNoCCのメンバーたちのメンテナンスを担当するドクターとして彼らの毎日に関わっていくことになる。そもそもKNoCCは機能停止のまま放置されていた、記憶を失ったアンドロイド。超巨大エンターテイメントタワー「バベル」で開催されるクライムステージでのライブや何気ない日々でほかのアンドロイドたちとの関わりなどの経験や学習を通して彼らは「kokoro」を成長させていくのだ。そのために、ユーザーはゲームを進めていく。そう、この『テクノロイド』も音楽で繋がりながら、彼らと日々を過ごしていくゲームであり、彼らの毎日を鮮やかにしていく音楽や楽曲のすべてをElements Gardenが制作している。

アイドルコンテンツが乱立する昨今のシーンの中で、1つのクリエイター集団ですべての楽曲を担うというのも非常に珍しい。しかしそれは企画、立案からコンテンツに関わることが出来るElements Gardenだからこそ出来ること。ゼロから新たなものを立ち上げ、創造する。実は『うたの☆プリンスさまっ♪』も『ヴィジュアルプリズン』も、そしてこの『テクノロイド」も、企画草案からコンテンツが実際にユーザーの目の前まで到達するのに何年もの時間を要してきたコンテンツでもあるのだ。地道に、着実に、しっかりと肉付けをして、未来の展望も構築する。
そんな上松の企画力と発想力は、音楽を作るクリエイターとしてのみならず「エンターテイメントを作る」という強い想いがあるからこそ。現在、アニメ化も決定している『テクノロイド』。もちろんいつかリアルライブでも彼らのステージに心躍らせる日が来ると信じている。それは『うたの☆プリンスさまっ♪』からずっと、Elements Gardenが目指す形なのだから。

TEXT BY えびさわなち

●ゲーム情報
スマホアニメ『テクノロイド ユニゾンハート』

App Store
https://apps.apple.com/jp/app/id1599225996?mt=8
Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.cyberagent.technoroiduh

【スタッフ(アニメ)】
原案:上松範康×RUCCA×Elements Garden
原作:芝浦アンドロイド研究室
監督:イムガヒ
スーパーバイザー:吉村 愛
シリーズ構成:関根アユミ
キャラクター原案:LAM
キャラクターデザイン:﨑口さおり
音楽:Elements Garden×RUCCA
音響監督:長崎行男
タイトル&ロゴ制作:雷雷公社
CG制作:LOGIC&MAGIC
ゲーム開発・運営:ワンダープラネット
ゲームシナリオ:九岡望

【キャスト】
KNoCC (ノックス)
– コバルト CV:浦和希
– クロム  CV:渋谷慧
– ケイ   CV:峯田大夢
– ネオン  CV:kayto

STAND-ALONE(スタンドアローン)
– カイト CV:古川慎
– ライト CV:萩谷慧悟
– ナイト CV:梶原岳人

メカニカメタリカ
– シルバ CV:榎木淳弥
– アウル CV:大塚剛央
– ラナ CV:杉林晟人
– ジン CV:仲村宗悟

フランキー♡ノット
– フラン CV:小林大紀
– ハイド CV:重松千晴
– リム CV:草野太一

D.M.A.
– ボーラ CV:濱野大輝
– キオ CV:塩口量平
– ロージー CV:小林竜之

機関紳士(からくりしんし)
– ノーベル CV:野島健児
– ルゥマ CV:土岐隼一
– アインザッツ CV:熊谷健太郎

【ストーリー】
異常気象による急激な気温上昇の影響で、地上の大部分が水没してしまった未来。

世界は World Government《世界統治機構》によって管理され、『人間』と、機械に感情を芽生させる『kokoro プログラム』を搭載した『アンドロイド』の共存す る社会が築かれていた。

そして――ここはエンターテイメントタワー『バベル』。
ロボット工学の世界的権威・芝浦エソラの一番弟子である『あなた』は、なぜか機能停止したまま放置されていた4体のアンドロイドと出会う。

何のために作られたのか、なぜ眠らされているのかも分からないまま静かに時を止めている4体……。

――そんな彼らを『あなた』は偶然にも目覚めさせてしまう。
「わから、ない……」
「オレたちは……バベルに……!」

彼らの『バベル』への挑戦、そして『あなた』との出逢いが、運命を大きく動かしていく。

「音楽は人間の心だけでなく、アンドロイドの kokoro も動かすのか。
――更には両者の運命さえも」

●作品情報
TVアニメ『テクノロイド オーバーマインド』

【スタッフ(アニメ)】
原案:上松範康×RUCCA×Elements Garden
原作:芝浦アンドロイド研究室
監督:イムガヒ
スーパーバイザー:吉村 愛
シリーズ構成:関根アユミ
キャラクター原案:LAM
キャラクターデザイン:﨑口さおり
音楽:Elements Garden×RUCCA
音響監督:長崎行男
タイトル&ロゴ制作:雷雷公社
CG制作:LOGIC&MAGIC
アニメーション制作:動画工房

【キャスト】
KNoCC (ノックス)
– コバルト CV:浦和希
– クロム  CV:渋谷慧
– ケイ   CV:峯田大夢
– ネオン  CV:kayto

STAND-ALONE(スタンドアローン)
– カイト CV:古川慎
– ライト CV:萩谷慧悟
– ナイト CV:梶原岳人

【ストーリー】
たとえそれがプログラムでも、
確かに感じる、
人(きみ)と同じ胸の疼き――。

異常気象による急激な気温上昇の影響で、地上の大部分が水没してしまった未来。
世界はWorld Government《世界統治機構》によって管理され、気温上昇により過酷になった労働をロボットやアンドロイドに担わせることが推奨されていた。

太陽の歓びを失った人々が見出した新たな希望……それは様々な娯楽が集約された世界最大級の遊技場、エンターテインメントタワー『バベル』。
中でも歌とダンスで頂点を目指すクライムステージは世界を熱狂の渦に巻き込んでいた。

そして――ここはある『空き家』。
人々から忘れ去れたこの場所には、持ち主のいないアンドロイド・コバルト、クロム、ケイ、ネオンの4人が暮らしていた。
何のために作られたのか、なぜここにいるのかも分からないまま、同じ毎日を繰り返す4人…。
―そんな彼らと、1人の『少年』の偶然の『出会い』。
それは後に、人も、アンドロイドも、世界をも動かす運命の始まりだった。

「大丈夫。きっとまた会えるよ。たとえどんな困難がおとずれたとしても
――運命を、手に入れるために」

胸に込み上げた名も知らぬプログラムを頼りに、
王者<STAND-ALONE>が君臨するバベルの頂点を目指す4人。
彼らはどうして生まれたのか? 彼らの胸に込み上げたものとは?
熾烈なエンターテイメントバトルの裏で、世界の秘密が今、明かされようとしている――。

©芝浦アンドロイド研究室/TECHNO-OM Project

関連リンク
『テクノロイド」公式サイト
https://techno-roid.com/

アニメ公式サイト
https://techno-roid.com/anime

ゲーム公式サイト
https://techno-roid.com/game

プロジェクトTwitter
https://twitter.com/TECHNOROID_info

ゲームTwitter
https://twitter.com/technoroid_game

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