DJをテーマにしたメディアミックスプロジェクト「D4DJ」。この夏には、同作からMerm4id・燐舞曲の2ユニットがフィーチャーされたアニメ『D4DJ Double Mix』が放送され、この2組によるコラボ曲「FAKE OFF」も劇中歌としてオンエア。
たちまち話題を呼んだ。そんな2組によるCollaboration CD「FAKE OFF / 天使と悪魔」が、11月16日(水)にリリース。そこで今回は、Merm4idのプロデュースを担当する都田和志と、燐舞曲のプロデュースと作品自体の統括プロデューサーを務める中山雅弘による対談を敢行。本作のこれまでを振り返りつつ、2つのコラボ曲制作のプロセスについて語ってもらった。

INERVIEW & TEXT BY 須永兼次

衝撃の初コラボ曲「FAKE OFF」に込められた“2つの意味”
――「D4DJ」は、1st LIVEが開催されてから3年以上が経ちました。お二人が携わっていくなかで、このプロジェクトだからこそ得られたものや経験できたものは、どんなものでしたか?

中山雅弘 「D4DJ」には、弊社の木谷(高明社長)の「各ユニットの音楽プロデューサーを分ける」というアイデアが入っているので、この3年間は各所皆様の御協力をいただきながら、ユニットごとの色を出すための音楽を出し続けてきました。そのなかで、音楽的なジャンルは縛らずにカバー曲も含めて楽曲の幅を広げていったことでライブの構成も肉厚になりましたし、ゲームアプリ(「D4DJ Groovy Mix」)でもセレクトできる曲がかなり幅広くなりまして。おかげで最近では、ときには「このユニットが、こういう方向でいくんだ!」とディグラー(=「D4DJ」ファンの総称)の皆様から驚いていただけるほど、広がりのあるコンテンツにできたような感覚があります。

都田和志 そもそも「D4DJ」の出発点が、木谷さんがF1のシンガポールGPでたまたま見たフェス形式の催し物だったということが、そのアイデアの源だったと思うんですよ。

中山 そうですね。やはりDJというのは「選曲する人である」というのもあるので、音楽ジャンルとしてはできるだけ縛りのない状態でできるようにと思っていました。実際木谷が最初に持っていたイメージにも、本当に強いフェス感がありましたから。


都田 ただ、なかまさ(=中山)がどう感じているのかはわからないですけど……なにせ最初はハモらなくて(笑)。それは、僕らはライブを見せる現場主体なのに対して、なかまさたちは元々仕掛けを作る人たち、という微妙なズレがあったから。なかまさもその頃ブシロードに来たばかりというのもあって、最初は相当苦労したし、揉めたよね?

中山 揉めたといいますか……「D4DJ」は「今までとは違うことをやろう」という命題があるコンテンツなので、非常にご指導ご鞭撻をいただいた時期はありました(笑)。

都田 なかまさは大きな会社で大きなコンテンツをやっていたというのもあって、そういう面で最初から信頼もしていたし、IPの面ではすごく色んなことを考えてくれていたことももちろんわかっていたんですけどね。

中山 ブシロード全体を見られている都田さんには「ライブはこう見せていくべき」という考えも当然ありますし、そことコンテンツ側の文脈が歩み寄ったからこそ今があると思っています。それに、この3年間で出た広がりの中には「DJならではのライブの楽しみ方」というものも含まれていまして。“D4 FES.”というフェスもありますし、ライブのなかでのユニットごとの色の違いの楽しみ方が伝えられてたんじゃないかな……というところでも、すごく感謝しています。僕が全然知らない分野のことを、イチから教えていただけたので。

――ちなみに、今回のコラボCD以前には、お互いが担当されているユニットに対してどのような印象をお持ちでしたか?

都田 最初は羨ましいところはありました。それは、すごくコンセプチュアルにまとまっているから。燐舞曲って、パッと見た瞬間に1人ずつ役割がはっきりしているので、アイコンになりやすいと思うんです。しかも、フロントにいる2人はもちろん、DJ卓の2人もパフォーマンス的にはっきり分かれている。
「東西南北揃った4人組」という感じに見えるところが、非常に羨ましいですね。

中山 ありがとうございます。そのうえでキャラクターを背負った場合に、例えば「じゃあ、(三宅)葵依(CV:つんこ)ならどう動くのか?」というところをエチュードとして本人たちに入れ込むというのは、3年間特に力を入れてきたところです。僕はMerm4idに対しては、キャラクターのパッと見のイメージから細部を表現できる人たちが集まって、都田さんのディレクションによって非常に高い熱量のあるライブが作られているところが羨ましいです。それを拝見して、曲のイメージやビジュアル表現も「ここまでやっていいんだ」というところは参考にさせていただいているんですよ。

都田 僕も、燐舞曲を見て参考にさせてもらっているところは結構あって。それは特に色気であったり、女性らしさという部分ですね。Merm4idのセクシーさって元気さの中のものなので、滲み出る心情を描きながら表現している燐舞曲のほうが、実は色気という面ではあったりするんですよ。そういうふうに意識をしていたからこそ、「FAKE OFF」をスムーズに書くことができたと思っています。

――その「FAKE OFF」は、今年8月に放送されたアニメ『D4DJ Double Mix』の劇中歌として用いられました。

中山 「FAKE OFF」は、『Double Mix』の歌作りのなかで水島(精二)総監督から「こういうイメージのコラボ曲を作れたら」というお話があったのがスタートでした。そこで都田さんに、今おっしゃったような「水と油なようで、通ずるものがある」といったイメージがバチッとできつつあったので、都田さんにお任せしよう……となったんです。


――そのなかで意図された楽曲のイメージというのは、どういったものだったんでしょうか?

中山 『Double Mix』を観ていただければわかるんですけど、燐舞曲とMerm4idのメンバーって、クラスの中で普段一緒に遊んでいる同士ではないと思うんですね。でも奥底にある日々感じていることであるとか、シーンは違うけれども近しい寂しさや辛さなど、見た目と違うところに重なっている部分があって。それを上手くミックスした曲に仕上げていただきました。



――「FAKE OFF」というタイトルには、どういうイメージを込められたんでしょうか。

都田 まず1つは、楽曲全体に込めたかった「口で言うだけじゃなくて、動いていかなきゃ何も始まんないじゃん!」という想いですね。それは、ライブとかも含めてなんですけど。あともう1つ、「燐舞曲の曲がめっちゃEDMでフェス対応だったら、こうだよね!」という“偽燐舞曲”な曲を作ろう……みたいな裏テーマもあって。実は、その「FAKE」も兼ねたタイトルになっています(笑)。

――最初に挙げられたような想いを込められたのは、なぜですか?

都田 燐舞曲の楽曲ってすごくメロディアスだし、トラックも今っぽいロックのテイストで作られているので、その鮮度を保つためには歌詞でも“今”を描いていかないといけない。だから、世の中的にもコロナ禍をはじめ色んなフラストレーションが溜まっていると思ったので、みんなでそのストレスをぶつけ合うような曲にしたかったんです。あと燐舞曲もMerm4idと同じく、演者とキャラクターが細部までバッチリハマっている印象があるので、そのイメージのなかで「このキャラならこういうことを言いそうだなぁ」と考えながら書いていきました。

――ということは楽曲制作の時点でパート分けも決まっていた。


都田 そうですね。でも、最初から最後まで1本通しで考えたわけではなくて。キャラごとに合わせてブロックごとに、メロディを作りながら歌詞も考えていって、最後に繋ぎ合わせて完成させました。なかまさに聞きたいんだけど、今回はいつもの燐舞曲のメロディよりもサビのキーが高く感じなかった?

中山 たしかに、言われてみれば。なぜなんですか?

都田 それは2つ理由があって。1つは、せっかくのコラボ曲なのでサビは完全にキャッチーで届くようにしたかったから。もう1つは僕が、りほにゃん(=加藤里保菜/青柳 椿役)の歌声の伸びる音が特にいいなぁと感じていたので、燐舞曲よりも少し高めの音で歌ってもらいたかったからなんです。彼女って、すごく器用なほうだと思うので。

中山 レコーディングはすごくあっという間だったと聞きました。

都田 テイク数はめちゃくちゃ少なかったです。元々僕はレコーディングのときには割り切って録るタイプで、結構計算して作ったというのもあって、歌い始めから30~40分ぐらいで終わっていたと思います。

中山 燐舞曲側としては、コライトではなく都田さんに全部まとめてもらうというのはドキドキではあったんですよ。
そうしたら、ライブを観ているなかで生きているキャラクターの要素は残しつつ、高音を裏声ではなく張っていくところなどから、普段とは違う椿の歌が聴こえて。まるでMerm4idの曲の中で葵依と椿が、ジャズセッション的に違う楽器でソロパートをいただいたような感じがしたんです。それくらい良い混ざり合いができて、すごく良かったなと思っています。

燐舞曲の芯にも通ずる、“天使と悪魔”というテーマ性
――逆に「天使と悪魔」は、燐舞曲チームが中心となって制作されたんですよね。

中山 そうなんです。最終的には制作側から提案いただいた形で、「両方1曲ずつやりましょう」という話になりまして。それでeMPIRE SOUND SYSTeMSさんとお話しするなかで、今回はライブの表題曲でもアニメの曲でもある「FAKE OFF」を“主”とした場合に、ライブの中も含めて“従”にあたるといいますか……ミュージカル的な、キャラクターエチュードの総括のような曲にしたい、となったんです。そこから“天使と悪魔”という元は同じ1つの神秘的な存在だったものが、相容れない存在に二分されていくとどうなるか、という題材を元にどう作っていくかをイメージしていきました。

――先ほど話題に出たように、表面的には水と油のように見えるけれども、本質的な部分で通じる物があるからこそお互い順応できるというか。

中山 そうですね。世の中には、色んなタイプの方がいるじゃないですか?常に元気で前向きな方もいれば、閉塞感の中で苦しみながらもがいて頑張っている方もいる。それって一見真逆なようですけど、それってほんの小さなきっかけ一つで逆転していた可能性もある“表裏一体の近しい関係”にあるんだと思うんです。
だからこの“天使と悪魔”というテーマは、あくまで“善と悪”など世の中で二分されているものでもすべて「生まれ落ちたときは皆同じ存在だったよね」というところからはじまり、それぞれの生き方や進む道によって不可逆的な相反するものにそれぞれ進化を遂げていくと……という定義を裏テーマとしています。

都田 僕は最初、「天使と悪魔」ができるまで「『FAKE OFF』に対抗してどういうふうにくるのか、見ものだな」という気持ちだったんです。そうしたら構成自体がいつもの燐舞曲の曲ともまた違っていて、心情や内情を掘り下げていって深いところに引き込まれるような感じがしまして。だから、(水島)茉莉花(CV:岡田夢以)と(松山)ダリア(CV:根岸 愛)がそちら側に沈んでいって歌っているような感じがして、面食らいましたね。さっきなかまさが言っていた“天使と悪魔”の話って燐舞曲のコンセプトの根っこの部分だと思うんですけど、それを深掘りした曲に捕まっちゃった……みたいな。で、最後のサビ明けで解放されるようなイメージというか……映画を観たような感じじゃないですかね?

――映画ですか?

都田 そう。「時間もあるから楽しもう」と思ってポップコーンとコーラ買って映画を観たら、どっぷりその世界観に入っちゃって、エンドロールが流れた瞬間「解放された……」みたいな感じの(笑)。曲自体のストーリーもすごいし、トラックもそれに沿って作られているので、非常に物語のような感じで面白かったです。

中山 自分も出来上がった曲を聴いたときに、壮大なミュージカルのラストを観ているような感じがしました。多分3年前、「D4DJ」が始まった頃にこれをやろうとしたら絶対にできなかった。この3年それぞれのユニットの色を濃くするように尖ったものをやってきたからこそ、今混ざり合うことでできた最高の2曲だと思います。

――ちなみに「天使と悪魔」のレコーディングは、普段のプロセスと何か違いはあったのでしょうか?

中山 Merm4idのライブ映像もライブ自体もかなり観させていただいていたのもあって、燐舞曲側としてはいつもの作りに近いという感覚でした。

都田 「燐舞曲のレコーディングは、納得できるところまで徹底的に詰める」という噂は、かねがね聞いていまして。徹底的に歌って徹底的に世界観を作ることって音楽の本質なはずだし、心情とか内から込めるものを出したいから何度もテイクを重ねるんだと思うんです。でも、Merm4idはパリピというところもあって瞬発的なパッションが大事になってくるから、逆に歌い込んで考えてはいけない。そこが大きく手法が違うところなんです。だから僕は、今回のコラボを通じて「そういう楽曲と歌詞の世界観があるから、こういうレコーディング形式なんだね」ということをMerm4idのメンバーに体感してほしいという気持ちもありました。でも、今回のレコーディングはそんなには長くかからなかったんでしょ?

中山 そうですね。元々Merm4idの曲と設定を把握したうえで「こう、いく。」と決めてましたので、メンバー2人にはそこに合わせて上手く音を入れてもらいました。楽曲設定をREC前にある程度ご説明してニュアンスはしっかりと掴んでいただけたようで、非常にスムーズに録りは終えました。そのなかでもサイコパスな水島茉莉花のパートでは、それこそ”神憑った”テイクを連発でいやだきました。

――さて、お話が「FAKE OFF」に戻ってしまうのですが、8月にアニメの劇中歌としてオンエアされた際の反響についてお二人はどのように感じましたか?

都田 実は僕は、アニメのストーリーについてはあまり立ち入らないようにしていまして。歌詞を通じてMerm4idの世界観を作らせてもらっているだけで、ある意味満足なんですよ。なので、それを水島総監督やなかまさ、脚本家の方たちをプロだと信じて託して、いち視聴者と同じような目線で完成したものを見て楽しんだり驚いたりしています。だから視聴者の反応についてはなかまさのほうが詳しいと思うんですけど……どうだった?

中山 オンエア前には、それこそ本編の内容みたいに「これ、大丈夫なの?」といった声もありましたけど、「FAKE OFF」が流れてからは「想像以上に絶賛されているな」と感じました。なので「都田さんの燐舞曲メンバーの理解度の高さって、たしかに合っているんだなぁ」とも実感できたことで、お客さんとのイメージの答え合わせもできて。さらにその“正解”をも、ちょっと超えたような感じはありましたね。あと、アニメ自体の反響以外にも印象深かったことが1つありまして……。

――どんなことですか?

中山 ライブとして「FAKE OFF」が初披露になった今年の“Animelo Summer Live”(以下、アニサマ)の、ゲネリハのときのことなんですけど。アニサマのプロデューサーであるさいとーぴーが、曲自体は事前に聴いていただいていたはずなのに、リハが終わったときに強く響くものがあったようで、アニサマのスタッフに「これ、すごく良いコラボだよね」と言っていたんです。それが印象的でしたし、実際ライブ当日の会場でもそういった反応が感じられたことは、とても嬉しかったことの1つでした。

――最後に、お二人が「D4DJ」を通じて取り組んでいきたいことや挑戦してみたいことを教えてください。

中山 自分はユニット担当でもありますけど、「D4DJ」というIP全体の担当としては、今時点でやりたいと思っていることが、『Double Mix』から直結する来年のTVアニメ『D4DJ All Mix』に全部入っているんですよ。なので年明けの放送では、きっとディグラーの皆さんに「こんなことになるんだ!」と驚いていただけるだろうな……と、今から自分自身でもワクワクしてます。

都田 「D4DJ」って、ユニットごとに特色やできることが違うじゃないですか?だから例えばMerm4idならもうちょっとクラブシーンを彷彿とさせる場所でライブしたいし、逆に燐舞曲ならもっとライブハウスっぽい会場で観てみたいし……そうやってさらに各シーンの振り切ったところで活躍しながら、年に数回の“D4 FES.”にそれを持ち寄れれば、フェスも非常にパワーアップするはずなんです。それこそが、木谷さんが最初に考えていた「広がりを持った、みんなが楽しめるフェス」というコンセプトのものだと思うので、来年はそれを実現させることを目標に突き進みたいですね。





●リリース情報
Merm4id×燐舞曲 Collaboration CD
「FAKE OFF / 天使と悪魔」
2022年11月16日(水)発売

【Blu-ray付生産限定盤】

価格:¥4,840(税込)
品番:BRMM-10587

【通常盤】

価格:¥1,540(税込)
品番:BRMM-10588

<収録内容>
【CD】
1.FAKE OFF
2.天使と悪魔
3.FAKE OFF -instrumental-
4.天使と悪魔 -instrumental-

【Blu-ray】※Blu-ray付生産限定盤のみ
TVアニメ「D4DJ Double Mix」

■初回生産分限定封入特典

<Blu-ray付生産限定盤・通常盤>
・D4DJ Groovy Mix ディスクスキンシリアルコード
(有効期限:2023年11月15日(水)23:59まで)
・D4DJ Groovy Mix アイテムシリアルコード(音の真珠×5)
(有効期限:2023年11月15日(水)23:59まで)

・TVアニメ D4DJ Double Mix キャラクターカード1枚(全12種)

・「FAKE OFF / 天使と悪魔」発売記念 オンラインリリースイベント抽選申込券
・2023年2月12日(日)燐舞曲 3rd LIVE 先行抽選申込券

関連リンク
D4DJ公式サイト
https://d4dj-pj.com/

D4DJ公式Twitter
https://twitter.com/D4DJ_pj
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