自他ともに認める“MONSTER”の榊原ゆいが、その単語を冠したアルバムをリリース。ワンマンライブのみならず、アルバムリリースからの一連の流れとして欠かせぬ要素のサイン会も目論んでいるところであるが、『MONSTER』を形作る14曲について振り返ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司
モンスターと言われることが多い私ですが、私が特別なわけではないです!
――以前からタイアップ曲という手札はすでに手元に揃っていました。このタイミングでアルバムリリースとなった理由は何かあったのでしょうか?
榊原ゆい 私、アルバムをリリースしたらやっぱりサイン会をしたいんですよね。みんなに会って、それからアルバムをひっ下げてのライブもしたいんです。アルバムを出すだけではなく、みんなと一緒に楽しむところまでが1つなので。ありがたいことに持ち曲がたくさんあることでコロナ禍も年に3回のソロライブを休まずに続けられ、皆さんが感染対策をしっかりしてくださったので感染者も出さずやってこれました。でも「今、アルバムを出してもサイン会はできないじゃん」という気持ちでいたんですね。今年になってようやく「今なら」と思えたのでアルバムを出すことにしました。
――ファンと直接会えることはそれほど大きな要素である、と?
榊原 いや~大きいですね!サイン会でもスタッフさんに「そんなに早くはがさなくても、ひと通り会話が終わるまでは大丈夫なので」と伝えてはいます(笑)。曲の感想を聞けるのって、一緒にライブでノることとは違うので、サイン会は私にとってすごく大事な場なんですよね。私がファンの方とお話したり、目の前で笑顔を見る事ができたり、というのが好きなんです。「今日、(CDを)受け取りに来たのでまだ聴いていないんです」「聴いてないんか~い!じゃあこれからいっぱい聴いてね」なんてやり取りもあったり(笑)。
――リード曲やアルバムのタイトルにもなっている、「モンスター」というコンセプトはどこから生まれたのでしょうか?
榊原 コロナ禍の中、SNSや配信でいただくコメントを見ていたら、「ゆいにゃんは化け物」というのが多くて。「魔女」とか「ラスボス」とか(笑)。もちろん、いい意味で言っていただいてはいるんですけど、要は10年前と変わらない、なんだったらパワーアップしているんじゃないか、というのが皆さんの考える「榊原ゆい」なんですよね。業界でも「レジェンド」と言っていただくことが多く。でも、どうしてそう言われているのかを自分で考えてみたら、私自身は単純にやりたいことをやり抜いているだけ、なんですが。ただ、そのれが「化け物」ってことなんですよね(笑)。でも私だって「おぎゃあ」(と生まれた瞬間)から全部できたわけじゃないんですよ(笑)。
――もちろん。
榊原 むしろ、歌もお芝居も踊ることもすべてが独学だからこそ、プロとしてお金をいただいている以上ずっと努力し続けないとダメだと思うので。「ゆいにゃんだからできる」「榊原さんだから」と言われてしまうことがあると疑問に思うんです。そもそも持ってるものがあるかもしれなくても努力は必要で、私が特別ってわけではなくて。
――好きなことだから一所懸命になれるだけということですね。
榊原 ですね。だから「モンスター」というのは正解でもあるけど不正解で。歌詞で「Everyone thinks. That I’m a “MONSTER”. Oh, shame. But, it’s still …wrong! Ha! Ha!」(誰もが思う。私が「モンスター」だと。あぁ残念だな。でもやっぱり…間違ってるね!(笑)!)と言っているんですけど、このタイトルには「私だけが特別なんじゃなくて、みんなもなりたいモンスターになれる要素はあるんじゃない?」という意味も込めています。たしかに私は倒れないし、喉も壊さないし、体力バカだし、精神面も本当に安定しているから同じ事務所の子たちに「ゆいさんが疲れたと言ったのを聞いたことがないです」と言われるし。そこで「疲れてないからね」と返したら爆笑されたんですけど(笑)。まぁたしかに、モンスター極めちゃってる自覚はありますが(笑)。
――体力だけではなくメンタルでも。
榊原 「ちょっと(自分は)アホなんじゃないか?」っていうくらい元気なんですよね。でも、歌詞の中に「モタついたBody 自分でブッ倒せ」とあって、実は私、コロナ禍で13kgくらい太っちゃったんですよ。ライブが減ったから動かなくて。なので、自分がどうなりたいのかに向き合う、というところは自分に対してもありますし。
――自分にも皆にも向けた応援歌であるんですね。
榊原 そうなんです。ここ(私)までじゃなくても(笑)、頑張れる事はあると思うよって。応援歌というか……私特有の男っぽいキツめな言葉でみんなの背中を押して奮い立たせる曲になればいいなと。もちろん自分に対しても鼓舞する曲になっています!
――2曲目からはタイアップ曲が並びます。世に出てから時間が経った楽曲もあるので、自身のWORKSをぜひ振り返っていただければ。まず2曲目は櫻川めぐさんとデュエットした「奇跡へのブラーヴィ」。
榊原 「奇跡へのブラーヴィ」は『悠久のカンパネラ』のオープニング主題歌なんですけど、メーカーである、ういんどみるOasisさんから楽曲をプロデュースしていただきたいとメールが来まして、ビックリしました。
――「MONSTER」から「奇跡のブラーヴィ」、という流れから来るギャップがすごいです。
榊原 繋がりで聴いて「なんでやねん!?」って、わかってる本人でもコケるほど(笑)。榊原ゆいのアルバムは大体どこかでそうなっていますけど。
――次の「レッツ・ワーキング!」はまさに榊原ゆいという楽曲ですが、タイアップ作品の制作元は海外メーカーであるMatchasoftでした。
榊原 オファーのご連絡をいただいて誕生した曲ですね。セルフプロデュースでレコーディングしてボーカルデータをお送りして、この曲はわかりやすくギュンギュンで歌いました!そして気づいたら曲が世に出ていた、という感じで(笑)。ファンの方も「あれ?」とざわついて、私も「あれ?」となりました。なので、陽の目を浴びさせてあげなきゃと思って収録しました(笑)。面白かったのは、制作途中で曲をもらったときはタイトルが「おつかれ」だったんですよ。
――ゲームタイトルが「Hard Work」だけに。
榊原 海外の方なので感覚が私たちと違うんでしょうね。響きがいいと思われたのかもしれないんですけど、ライブで曲紹介するとき、「では次の曲いきましょう!おつかれ!」ってのはどうかとずっと思っていて(笑)。(タイトルが変わって)ホッとしました。
――次の曲の「Y@-CHA-CHA」はパチンコ『さくらももこ劇場 コジコジ2』の挿入歌です。
榊原 ニューギンさんからお話をいただいたときは、『コジコジ』の作品に関わったことがないので心配になったんですけど、多分、可愛くにぎやかに歌えるというところを買っていただけたんだと思います。ニューギンさんが作った歌を(原作者の)さくらももこ先生にチェックしてもらっているのでちゃんとオフィシャルなんですよ。なので『コジコジ』メンバーに入れていただけて、すごく嬉しい気持ちになりました。キャストさんの声も入って、「うわー♪」ってなりましたね。自分が演じる役で歌の中に台詞を入れることはあっても、歌の中でキャストさんとの共演ってなかなかないので「めっちゃ上がるじゃん」と思ってアルバムに収録しました。
――「CRIMAX BREAKER!!」も同じくパチンコの挿入歌で、ここからかっこいい榊原ゆいさんゾーンに入ります。
榊原 『一騎当千』シリーズはOVAでも歌わせていただきましたけど、これはパチンコの挿入歌ということでテンションMAXの曲になっています。というのも、パチンコの曲って当たったら聴けるので。アドレナリンが一番出ているときに流れるんですよね(笑)。その意味でも「CLIMAX BREAKER!!」というか、レコーディングはめちゃめちゃ盛り上げたいという気持ちでレコーディングに臨みました。去年の夏にパチンコ・パチスロ中心のイベント(『ULTRA MaxDive』)があって、そこに呼ばれてパチンコ・パチスロ曲だけのセトリで歌ったときも、いつものファンとは熱量が違っていましたね。やっぱり曲にいい思い出しかないんですよね!当たり曲なので!こういう曲の愛され方もあるのかと思いました。私はパチンコもパチスロもしないんですけど、ゲームやアニメの曲も作品やシーンへの思い入れで気持ちが上がりますし、自分の思い出と結びついているという意味で、その原理はパチンコ・パチスロも一緒だと思いました。そこが面白いと思って、今回のアルバムには積極的にパチンコの挿入歌を入れているんですよね。
――流れるのが基本的にサビ以降な上に、パチンコ店内は騒がしいのでじっくり聴けないんですよね。
榊原 そうなんですよね。面白い音源が多いのにもったいないので形にしていきたい気持ちでした。その場が私のアルバムなのかな、と思いながら集めてみました。
――「Blessing bloom」も元は橋本みゆきさんボーカルですが、橋本さんと榊原さんのデュエットバージョンもありました。
榊原 この曲は作詞提供していて……ノーマルエンドはボーカルが橋本みゆきちゃんで、デュエット曲はとある条件でクリアすると聴けるエンディング曲なんですけど、実はどうせ歌うならと私のソロもその時に録っていたんです。せっかくなので収録しました。それに『はぴねす!2』ではメインヒロインの姫川花恋を演じさせていただいたので、あらためて自分のアルバムに入れるのもいいかと思いました。
ライブで披露する曲は全曲予告します!
――7曲目の「青白コントラスト」についても教えてください。
榊原 この曲、めっちゃいいんですよ。夏なのに切なくて。『コイカツ!サンシャイン』のオープニング主題歌ということで、もっとキュンキュンはっちゃけた感じの曲が来るかと思っていたので「こっちかー」と、いい意味で予想を裏切られました。この曲はレコーディングのとき、メーカーさんの方や音楽制作の皆さんが3、4人いらっしゃって。私は4回くらい歌って、好きなテイクを選んでもらおうとしたら、皆さんが「僕は4テイク目が好きっすね~」「いや、2テイク目のニュアンスも捨てがたい」という感じで聞き比べながらワイワイと楽しく選んでくださったので、メーカーさんや音楽家さんたちがこだわった榊原ゆいが多分聴けると思います。「この歌い方がいいと思ったんだな」みたいな。
――『竜姫ぐーたらいふ』のOP主題歌「Try&Fly」も原曲はデュエット曲で、Solo Ver.を収録しました。
榊原 はい、これももちろん、元の薬師るりちゃんとのデュエットVer.が一番なんですけどね(笑)。でも本当にすごくいい曲なので、作品を広めるためにもSolo Ver.を作って入れちゃいました。デュエットソングはライブやイベントで一緒になったときに歌える機会があるといいですよね。実際、同じライブ共演者になってコラボすることになったときに「あの曲があるよね、歌おうか」みたいなチャンスがたまにあるので、それに期待したいです。
――るりさんとのデュエットVer.を録ったときのことは覚えていますか?
榊原 るりちゃんが先で、私が後から録ったんですけど、るりちゃんは私が歌うのもそのまま残ってスタジオで聴いてくれていましたね。るりちゃんの、どこから出してるの!?っていう(笑)、ピタッとした声がとても可愛くて。るりちゃんの声に対して私はどういう相方でいくのか、については可愛さのあるボーイッシュというディレクションをいただいたので、るりちゃんの可愛さに少しテイストを合わせつつ、爽やかめなに歌いました。
――そしてここでバラードの「Lovin’ You」を挟みます。
榊原 私にはなかなかオファーの来ないバラード曲ですね(笑)。いつもは、Aメロ、Bメロ、サビ、と声のボリュームや歌い方を変えながら盛り上げていくんですけど、この曲では耳心地のいいままでずっと聴いていただけることを意識して歌いました。盛り上がる系のバラードではなく、優しく歌っていますね。
――次は、「Night after night」。ねこふじかおるさんのサークル「CHARON Inc.」が制作したゲーム『ヨナヨナ』の主題歌でした。
榊原 ねこふじかおるさんからはメールで、青春時代に楽しんだ(ゲームに関わった)榊原さんと一緒にお仕事ができたら嬉しいです、という熱い内容のメールをいただきました。北海道の方なんですけどレコーディングの日にはわざわざ上京していただきましたし、曲も「絶対オタクに刺さるやつ」みたいなフレーズや歌詞が詰め込まれていますし、わかりみありすぎながら歌いましたね。とにかく制作に対する熱量をすごく感じたので、携わらせていただけるのがありがたかったです。途中、人形っぽい感じで歌うところは、歌でも世界観を彩るような声の出し方、という意味では声優としての技量を生かせたと思います。だからレコーディングも楽しかったですね。考えてみるとこのアルバム、昔からずっとお世話になっているメーカーさんと、初めてお仕事させていただく同人のメーカーさんと、その両方のゲームで歌った曲が入っていて、そこも面白いと思います。
――「愛を殺し」はタイアップ曲でもオリジナル曲でもなく。また、歌うことになった経緯も不思議な流れだったとか。
榊原 ある日、拙い日本語でごめんなさい、この曲を歌ってほしいんです、というメールが来まして。ただ、楽曲を手がけたNina(Kalinina)さんは色々と思い入れがあるみたいなので、私が間違って伝えることがないよう、ご本人さんから直接この曲の歴史について書いたメールをいただいています。
――なんと。
榊原 それによりますとですね。最初は2019年にゲーム主題歌として作ったんですけど、Ninaさんが2020年に失恋をしたということで歌詞をバラードに変更したそうなんです。
――思いの丈をぶつけられたんですね。
榊原 とてもお辛い経験だったんでしょうね。で、一度はLenさんという方が演奏し、YouTubeでも公開されたらしいんですけど、オリジナルのアレンジと新しい歌詞は合わなくなっていたので、その後に変更に変更を重ねるうち、歌詞を友人が日本語に訳してくれたそうです。それが今の形ですね。そのとき、曲を歌ってほしいボーカルとして私を選ばれたそうです。そこは不思議なんですけど。多分、私の歌を聴いていただいたんでしょうね。でも、こうして完成して大喜びしております、ということでした。私が思っていた以上に重めな曲でしたね。でも、作り手の気持ちって作品に入るものですし、しかも海外の方が書いたものを日本語訳した歌詞なのでノリも独特なんですよ。その感覚がグッときたというか。なので、あまり声を作らずに生の人の声で、深いところへ落ちてしまうような感覚で歌ってみました。この曲も私に任せていただいてセルフディレクションでレコーディングしましたが、今までに巡り合わなかった楽曲だったので、乗せたことがない歌い方ができて新鮮でしたね。
――ちなみに、Ninaさんの失恋が結果的に明らかになってしまいましたね。
榊原 ご自身で書いていらっしゃいますし、大丈夫なんでしょう。その辛い思い出も私が歌うことで少しでもいい思い出に変わっていただけたならと思います。
――12曲目の「Constellation Oracle -星座の神託-」は『巣作りカリンちゃん -星詠みの神託-』の挿入歌でした。
榊原 実はこの曲、深夜(早朝?)に美少女ゲームのお仕事が、最近なくなってきて寂しいな的なことを、なんとなくTwitterでつぶやいたら、すごくたくさんの反応をいただいてしまい、しかもNEXTONさんもご覧になっていたことから、次の日くらいにオファーをいただきました。この(美少女ゲーム)業界のレジェンドにそんな事を言わせるわけにはいかない!ということで(笑)。長く関わらせていただいているメーカーさんなんですけど、「もし無理やり作っていただいたのなら申し訳ない!」と思いましたが(汗)。本当に、業界への「愛」がすごいです。格好良く盛り上がれる素敵な曲ですし、『NEXTON LIVE 2022』(2022年11月19日)で初めてフルバージョンを生お披露目したときもめちゃくちゃ盛り上がったので、またライブで歌うためにもNEXTONさんにご快諾いただきつつアルバムに収録しました。
――次もお付き合いの長いメーカーであるオーガストさんとの。
榊原 ホント、長いですよね。PC版『夜明け前より瑠璃色な』のオープニング主題歌だった「Eternal Destiny」は色々なアレンジで歌い継がれていて、毎年のように「次はどんなエタデス?」みたいになっていたんですけど、今回新たに「Eternal Way ~with Eternal Destiny~」として届いたときは不思議な気持ちになりましたね。何回ライブで歌ったかわからないくらいの曲ですし、今回の作詞には歌詞には携わってないんですが私の書いた(「Eternal Destiny」の)詞を組み込んでいただいていますし。でも、最初に歌ってから20年近くが経っても、その曲が新しく生まれかわることでまたつながり、ファンの方が盛り上がってくれて、「何? この優しい世界」と思います。
――最後の曲は「MONO turn ないと♡」先ほど、この曲で最後を締めたいと仰っていましたが?
榊原 まず、この曲はパチンコ『乗物娘』シリーズの挿入歌なんですけど、実写の女性が水着姿で登場するような機種なんですね。多分、『コジコジ2』や『真・一騎当千』なら皆さんも触れたことがあるかもしれないんですけど、この機種でゆいにゃんが歌うとは多分盲点だったと思うんです(笑)。Twitterでも本当に何人かしか気づいていないというか。だけど、この曲は「ド爆弾」なんですよ(笑)。
――ド爆弾(笑)。
榊原 絶対にオタクが好きな楽曲なので聴いてほしいし、ライブで歌ったら絶対盛り上がるし。だから形に残すチャンスはないかとずっと伺っていましたね。私は普段からボーカルのピッチにほぼ修正を入れないのですが、これだけハチャメチャな歌なんですけど、これもほぼほぼ録りっぱなしです。途中で歌い方を変えたり戻したりしていますけど、つないでほしいというディレクションだったので、そこも続けて歌っています(笑)。ボーカルとしてかなりテクニカルな歌でもあるので聴いてほしかったんですよね。で、このタイトルの読み方は「モノタンナイ」、つまり「物足んない」とかけているんですね。アルバムが「MONSTER」でかっこよく始まり、最後はド爆弾曲で「えーっ!? 終わったの⁉」という気持ちで終わってほしい、そんな気持ちを込めました(笑)。
――ライブの終わりのような。
榊原 そうなんです。むしろ、その気持ちを埋めるためにライブに来てもらえれば、と思っています。「この曲達を生で聴きに来ませんか?うふふ」という気持ちですね(笑)。
――となると、アルバムリリースの原動力でもあったライブについてですが、5月27日(土)に大阪で、6月3日(土)で東京で開催します。
榊原 今回は、アルバムの曲を全部、全公演で歌います。
――すでにTwitterなどで宣言されていますよね。
榊原 なので、大阪も東京も昼公演と夜公演がありますけど、どの公演に来ていただいてもアルバム曲は絶対聴けます。あとは、コロナ禍では公演時間を1時間半くらいに抑えていましたけど、それではアルバム曲しか歌えなくなるので。昼・夜それぞれで2時間いっちゃおうかと思っています。で、アルバム曲以外のセットリストも公開します。
――それも宣言されていましたね。
榊原 歌われる曲がわかれば予習しやすいと思ったんです。あと、 いつも私がモヤっとするのが、その曲が歌われるんだったらライブに行きたかった、というご意見。たしかにこれだけ持ち曲があると何が歌われるかわからなくて、ライブになかなか行く勇気がないという方がいるのも事実なので。本当はセットリストは当日わかるからサプライズもあり楽しいのであって公開するものじゃないと思っているので迷ったんですけど、でも、セトリがわかってライブに行きたいと思ってもらえるきっかけになるのであれば、知りたい人には見られるように、楽しみにしたくて知りたくない人は見ない、という選択肢を作って、どちらの方も楽しめるような公開のやり方をしようと思います!でもただ、(アニメ『H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-』オープニング主題歌の)「片翼のイカロス」を歌うなら行きたかった、って意見も見るんですけど、「ライブに来たら高確率で歌ってるっちゅうねん」というツッコみも一応しておきます(笑)。
――そこは調べが甘いですね(笑)。
榊原 とにかくライブは最高なので!ライトなファンの方もライブに来てもらえるきっかけになれば、という思いです。
――迷っている方のもう一押しになれば、と。
榊原 そうです。最初はそのお目当て曲のために来てもらったとしても、ライブが楽しくてまた次回も!と思ってもらえるかは、私の力量だと思うので。でもまずは来てもらえないと……です!
――では、しっかりアルバムも予習してもらって。
榊原 はい。一度は1曲も飛ばさずに続けて聴いてみてください。曲間も私が考えましたので、その間も含めてアルバムの世界を楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。
●リリース情報
榊原ゆい13thワークスアルバム
『MONSTER』
5月10日発売
品番:GQCS-91292
価格:¥3,000+税
<CD>
1.「MONSTER」(アルバムオリジナル曲)
2.「奇跡へのブラーヴィ 」榊原ゆいSolo Ver.(PCゲーム『悠久のカンパネラ 』OP曲)
3.「レッツ・ワーキング!」(PCゲーム『Hard Work』OP曲)
4.「Y@ CHA CHA」(パチンコ『さくらももこ劇場 コジコジ 2』挿入歌)
5.「CLIMAX BREAKER!!」(パチンコ『真・一騎当千』挿入歌)
6.「Blessing bloom」榊原ゆいSolo Ver.(PCゲーム『はぴねす!2』ED曲)
7.「青白コントラスト」(PCゲーム『コイカツ!サンシャイン』OP曲)
8.「Try&Fry」 榊原ゆいSolo Ver.(PCゲーム『竜姫ぐーたらいふ 』OP曲)
9.「Lovin‘ You」(PCゲーム『乙女が結ぶ月夜の煌めき 』ED曲)
10.「Night after night」(PCゲーム『ヨナヨナ』主題歌)
11.「愛を殺し」(Nina Kalinina作 オリジナル曲)
12.「Constellation Oracle-星座の神託-」(PCゲーム『巣作りカリンちゃん-星詠みの神託-』挿入歌)
13.「Eternal Way~with Eternal Destiny~」(PCゲーム『夜明け前より瑠璃色な-Brighter than dawning blue-』OP曲)
14.「MONO turn ないと♡」(パチンコ『乗物娘シリーズ』挿入歌)
関連リンク
榊原ゆいオフィシャルサイト
http://www.sakakibarayui.com/
美少女ゲーム界を背負う柱の1人であり、パチンコ・パチスロにおけるぶち上げソングを牽引する1人であり、という彼女らしく未収録だった楽曲を救い上げ、と同時に多方面に「歌」を提供するプロフェッショナルとしての仕事ぶりも知らしめ、「榊原ゆい、ここにあり」と高らかに宣言するラインナップに注目してもらいたい。
INTERVIEW & TEXT BY 清水耕司
モンスターと言われることが多い私ですが、私が特別なわけではないです!
――以前からタイアップ曲という手札はすでに手元に揃っていました。このタイミングでアルバムリリースとなった理由は何かあったのでしょうか?
榊原ゆい 私、アルバムをリリースしたらやっぱりサイン会をしたいんですよね。みんなに会って、それからアルバムをひっ下げてのライブもしたいんです。アルバムを出すだけではなく、みんなと一緒に楽しむところまでが1つなので。ありがたいことに持ち曲がたくさんあることでコロナ禍も年に3回のソロライブを休まずに続けられ、皆さんが感染対策をしっかりしてくださったので感染者も出さずやってこれました。でも「今、アルバムを出してもサイン会はできないじゃん」という気持ちでいたんですね。今年になってようやく「今なら」と思えたのでアルバムを出すことにしました。
――ファンと直接会えることはそれほど大きな要素である、と?
榊原 いや~大きいですね!サイン会でもスタッフさんに「そんなに早くはがさなくても、ひと通り会話が終わるまでは大丈夫なので」と伝えてはいます(笑)。曲の感想を聞けるのって、一緒にライブでノることとは違うので、サイン会は私にとってすごく大事な場なんですよね。私がファンの方とお話したり、目の前で笑顔を見る事ができたり、というのが好きなんです。「今日、(CDを)受け取りに来たのでまだ聴いていないんです」「聴いてないんか~い!じゃあこれからいっぱい聴いてね」なんてやり取りもあったり(笑)。
それが私の中では「絶対」になっています。
――リード曲やアルバムのタイトルにもなっている、「モンスター」というコンセプトはどこから生まれたのでしょうか?
榊原 コロナ禍の中、SNSや配信でいただくコメントを見ていたら、「ゆいにゃんは化け物」というのが多くて。「魔女」とか「ラスボス」とか(笑)。もちろん、いい意味で言っていただいてはいるんですけど、要は10年前と変わらない、なんだったらパワーアップしているんじゃないか、というのが皆さんの考える「榊原ゆい」なんですよね。業界でも「レジェンド」と言っていただくことが多く。でも、どうしてそう言われているのかを自分で考えてみたら、私自身は単純にやりたいことをやり抜いているだけ、なんですが。ただ、そのれが「化け物」ってことなんですよね(笑)。でも私だって「おぎゃあ」(と生まれた瞬間)から全部できたわけじゃないんですよ(笑)。
――もちろん。
榊原 むしろ、歌もお芝居も踊ることもすべてが独学だからこそ、プロとしてお金をいただいている以上ずっと努力し続けないとダメだと思うので。「ゆいにゃんだからできる」「榊原さんだから」と言われてしまうことがあると疑問に思うんです。そもそも持ってるものがあるかもしれなくても努力は必要で、私が特別ってわけではなくて。
感覚としては、好きなゲームを徹夜でやっていたら「寝ないで大丈夫?」と聞かれて「え? 全然大丈夫」と答える、それと一緒かなと。
――好きなことだから一所懸命になれるだけということですね。
榊原 ですね。だから「モンスター」というのは正解でもあるけど不正解で。歌詞で「Everyone thinks. That I’m a “MONSTER”. Oh, shame. But, it’s still …wrong! Ha! Ha!」(誰もが思う。私が「モンスター」だと。あぁ残念だな。でもやっぱり…間違ってるね!(笑)!)と言っているんですけど、このタイトルには「私だけが特別なんじゃなくて、みんなもなりたいモンスターになれる要素はあるんじゃない?」という意味も込めています。たしかに私は倒れないし、喉も壊さないし、体力バカだし、精神面も本当に安定しているから同じ事務所の子たちに「ゆいさんが疲れたと言ったのを聞いたことがないです」と言われるし。そこで「疲れてないからね」と返したら爆笑されたんですけど(笑)。まぁたしかに、モンスター極めちゃってる自覚はありますが(笑)。
――体力だけではなくメンタルでも。
榊原 「ちょっと(自分は)アホなんじゃないか?」っていうくらい元気なんですよね。でも、歌詞の中に「モタついたBody 自分でブッ倒せ」とあって、実は私、コロナ禍で13kgくらい太っちゃったんですよ。ライブが減ったから動かなくて。なので、自分がどうなりたいのかに向き合う、というところは自分に対してもありますし。
――自分にも皆にも向けた応援歌であるんですね。
榊原 そうなんです。ここ(私)までじゃなくても(笑)、頑張れる事はあると思うよって。応援歌というか……私特有の男っぽいキツめな言葉でみんなの背中を押して奮い立たせる曲になればいいなと。もちろん自分に対しても鼓舞する曲になっています!
――2曲目からはタイアップ曲が並びます。世に出てから時間が経った楽曲もあるので、自身のWORKSをぜひ振り返っていただければ。まず2曲目は櫻川めぐさんとデュエットした「奇跡へのブラーヴィ」。
榊原 「奇跡へのブラーヴィ」は『悠久のカンパネラ』のオープニング主題歌なんですけど、メーカーである、ういんどみるOasisさんから楽曲をプロデュースしていただきたいとメールが来まして、ビックリしました。
同じういんどみるさんの『はぴねす!』シリーズは出ていましたけど、『カンパネラ』シリーズに携わったことはなかったので。第1作のPCゲーム『祝福のカンパネラ』と同じくデュエットソングと決まったとき、一緒に歌う方はどなたが良いかを聞かれたんです。そして、候補の1人として櫻川めぐちゃんを提案させてもらいました。ういんどみるさんと言えば、楽曲はElements Gardenさんですけど、その仮歌を歌っていたのがめぐちゃんで、私も仮歌でめぐちゃんの声を聴いていたので。なので、お互い長年関わらせていただいているういんどみるさん作品で、めぐちゃんとデュエットできたらいいなという気持ちがありました。決まったときにめぐちゃんにすぐLINEしましたね!本当はアルバムにデュエットVer.を入れたいんですけどね。掛け合いとか声が重なっているところとか、デュエットとして成立している歌なので。今回1人で歌ってみて、2人で力を合わせた曲だとあらためて感じました。でも、まずはライブでも歌えるように1人でも多くの人にお届けしようとSolo Ver.を収録しましたが、もちろんこの曲はデュエットが1番です(笑)。
――「MONSTER」から「奇跡のブラーヴィ」、という流れから来るギャップがすごいです。
榊原 繋がりで聴いて「なんでやねん!?」って、わかってる本人でもコケるほど(笑)。榊原ゆいのアルバムは大体どこかでそうなっていますけど。
それにしても今回の曲順は悩みましたね。最後の曲だけは決めていましたけど(笑)。
――次の「レッツ・ワーキング!」はまさに榊原ゆいという楽曲ですが、タイアップ作品の制作元は海外メーカーであるMatchasoftでした。
榊原 オファーのご連絡をいただいて誕生した曲ですね。セルフプロデュースでレコーディングしてボーカルデータをお送りして、この曲はわかりやすくギュンギュンで歌いました!そして気づいたら曲が世に出ていた、という感じで(笑)。ファンの方も「あれ?」とざわついて、私も「あれ?」となりました。なので、陽の目を浴びさせてあげなきゃと思って収録しました(笑)。面白かったのは、制作途中で曲をもらったときはタイトルが「おつかれ」だったんですよ。
――ゲームタイトルが「Hard Work」だけに。
榊原 海外の方なので感覚が私たちと違うんでしょうね。響きがいいと思われたのかもしれないんですけど、ライブで曲紹介するとき、「では次の曲いきましょう!おつかれ!」ってのはどうかとずっと思っていて(笑)。(タイトルが変わって)ホッとしました。
でも明るくて可愛い曲ですし、みんな日々一生懸命働いてるよね、というところは照らし合わせられるので、出勤前に聴いたらテンションが上がるんじゃないかと思っています。
――次の曲の「Y@-CHA-CHA」はパチンコ『さくらももこ劇場 コジコジ2』の挿入歌です。
榊原 ニューギンさんからお話をいただいたときは、『コジコジ』の作品に関わったことがないので心配になったんですけど、多分、可愛くにぎやかに歌えるというところを買っていただけたんだと思います。ニューギンさんが作った歌を(原作者の)さくらももこ先生にチェックしてもらっているのでちゃんとオフィシャルなんですよ。なので『コジコジ』メンバーに入れていただけて、すごく嬉しい気持ちになりました。キャストさんの声も入って、「うわー♪」ってなりましたね。自分が演じる役で歌の中に台詞を入れることはあっても、歌の中でキャストさんとの共演ってなかなかないので「めっちゃ上がるじゃん」と思ってアルバムに収録しました。
――「CRIMAX BREAKER!!」も同じくパチンコの挿入歌で、ここからかっこいい榊原ゆいさんゾーンに入ります。
榊原 『一騎当千』シリーズはOVAでも歌わせていただきましたけど、これはパチンコの挿入歌ということでテンションMAXの曲になっています。というのも、パチンコの曲って当たったら聴けるので。アドレナリンが一番出ているときに流れるんですよね(笑)。その意味でも「CLIMAX BREAKER!!」というか、レコーディングはめちゃめちゃ盛り上げたいという気持ちでレコーディングに臨みました。去年の夏にパチンコ・パチスロ中心のイベント(『ULTRA MaxDive』)があって、そこに呼ばれてパチンコ・パチスロ曲だけのセトリで歌ったときも、いつものファンとは熱量が違っていましたね。やっぱり曲にいい思い出しかないんですよね!当たり曲なので!こういう曲の愛され方もあるのかと思いました。私はパチンコもパチスロもしないんですけど、ゲームやアニメの曲も作品やシーンへの思い入れで気持ちが上がりますし、自分の思い出と結びついているという意味で、その原理はパチンコ・パチスロも一緒だと思いました。そこが面白いと思って、今回のアルバムには積極的にパチンコの挿入歌を入れているんですよね。
――流れるのが基本的にサビ以降な上に、パチンコ店内は騒がしいのでじっくり聴けないんですよね。
榊原 そうなんですよね。面白い音源が多いのにもったいないので形にしていきたい気持ちでした。その場が私のアルバムなのかな、と思いながら集めてみました。
――「Blessing bloom」も元は橋本みゆきさんボーカルですが、橋本さんと榊原さんのデュエットバージョンもありました。
榊原 この曲は作詞提供していて……ノーマルエンドはボーカルが橋本みゆきちゃんで、デュエット曲はとある条件でクリアすると聴けるエンディング曲なんですけど、実はどうせ歌うならと私のソロもその時に録っていたんです。せっかくなので収録しました。それに『はぴねす!2』ではメインヒロインの姫川花恋を演じさせていただいたので、あらためて自分のアルバムに入れるのもいいかと思いました。
ライブで披露する曲は全曲予告します!
――7曲目の「青白コントラスト」についても教えてください。
榊原 この曲、めっちゃいいんですよ。夏なのに切なくて。『コイカツ!サンシャイン』のオープニング主題歌ということで、もっとキュンキュンはっちゃけた感じの曲が来るかと思っていたので「こっちかー」と、いい意味で予想を裏切られました。この曲はレコーディングのとき、メーカーさんの方や音楽制作の皆さんが3、4人いらっしゃって。私は4回くらい歌って、好きなテイクを選んでもらおうとしたら、皆さんが「僕は4テイク目が好きっすね~」「いや、2テイク目のニュアンスも捨てがたい」という感じで聞き比べながらワイワイと楽しく選んでくださったので、メーカーさんや音楽家さんたちがこだわった榊原ゆいが多分聴けると思います。「この歌い方がいいと思ったんだな」みたいな。
――『竜姫ぐーたらいふ』のOP主題歌「Try&Fly」も原曲はデュエット曲で、Solo Ver.を収録しました。
榊原 はい、これももちろん、元の薬師るりちゃんとのデュエットVer.が一番なんですけどね(笑)。でも本当にすごくいい曲なので、作品を広めるためにもSolo Ver.を作って入れちゃいました。デュエットソングはライブやイベントで一緒になったときに歌える機会があるといいですよね。実際、同じライブ共演者になってコラボすることになったときに「あの曲があるよね、歌おうか」みたいなチャンスがたまにあるので、それに期待したいです。
――るりさんとのデュエットVer.を録ったときのことは覚えていますか?
榊原 るりちゃんが先で、私が後から録ったんですけど、るりちゃんは私が歌うのもそのまま残ってスタジオで聴いてくれていましたね。るりちゃんの、どこから出してるの!?っていう(笑)、ピタッとした声がとても可愛くて。るりちゃんの声に対して私はどういう相方でいくのか、については可愛さのあるボーイッシュというディレクションをいただいたので、るりちゃんの可愛さに少しテイストを合わせつつ、爽やかめなに歌いました。
――そしてここでバラードの「Lovin’ You」を挟みます。
榊原 私にはなかなかオファーの来ないバラード曲ですね(笑)。いつもは、Aメロ、Bメロ、サビ、と声のボリュームや歌い方を変えながら盛り上げていくんですけど、この曲では耳心地のいいままでずっと聴いていただけることを意識して歌いました。盛り上がる系のバラードではなく、優しく歌っていますね。
――次は、「Night after night」。ねこふじかおるさんのサークル「CHARON Inc.」が制作したゲーム『ヨナヨナ』の主題歌でした。
榊原 ねこふじかおるさんからはメールで、青春時代に楽しんだ(ゲームに関わった)榊原さんと一緒にお仕事ができたら嬉しいです、という熱い内容のメールをいただきました。北海道の方なんですけどレコーディングの日にはわざわざ上京していただきましたし、曲も「絶対オタクに刺さるやつ」みたいなフレーズや歌詞が詰め込まれていますし、わかりみありすぎながら歌いましたね。とにかく制作に対する熱量をすごく感じたので、携わらせていただけるのがありがたかったです。途中、人形っぽい感じで歌うところは、歌でも世界観を彩るような声の出し方、という意味では声優としての技量を生かせたと思います。だからレコーディングも楽しかったですね。考えてみるとこのアルバム、昔からずっとお世話になっているメーカーさんと、初めてお仕事させていただく同人のメーカーさんと、その両方のゲームで歌った曲が入っていて、そこも面白いと思います。
――「愛を殺し」はタイアップ曲でもオリジナル曲でもなく。また、歌うことになった経緯も不思議な流れだったとか。
榊原 ある日、拙い日本語でごめんなさい、この曲を歌ってほしいんです、というメールが来まして。ただ、楽曲を手がけたNina(Kalinina)さんは色々と思い入れがあるみたいなので、私が間違って伝えることがないよう、ご本人さんから直接この曲の歴史について書いたメールをいただいています。
――なんと。
榊原 それによりますとですね。最初は2019年にゲーム主題歌として作ったんですけど、Ninaさんが2020年に失恋をしたということで歌詞をバラードに変更したそうなんです。
――思いの丈をぶつけられたんですね。
榊原 とてもお辛い経験だったんでしょうね。で、一度はLenさんという方が演奏し、YouTubeでも公開されたらしいんですけど、オリジナルのアレンジと新しい歌詞は合わなくなっていたので、その後に変更に変更を重ねるうち、歌詞を友人が日本語に訳してくれたそうです。それが今の形ですね。そのとき、曲を歌ってほしいボーカルとして私を選ばれたそうです。そこは不思議なんですけど。多分、私の歌を聴いていただいたんでしょうね。でも、こうして完成して大喜びしております、ということでした。私が思っていた以上に重めな曲でしたね。でも、作り手の気持ちって作品に入るものですし、しかも海外の方が書いたものを日本語訳した歌詞なのでノリも独特なんですよ。その感覚がグッときたというか。なので、あまり声を作らずに生の人の声で、深いところへ落ちてしまうような感覚で歌ってみました。この曲も私に任せていただいてセルフディレクションでレコーディングしましたが、今までに巡り合わなかった楽曲だったので、乗せたことがない歌い方ができて新鮮でしたね。
――ちなみに、Ninaさんの失恋が結果的に明らかになってしまいましたね。
榊原 ご自身で書いていらっしゃいますし、大丈夫なんでしょう。その辛い思い出も私が歌うことで少しでもいい思い出に変わっていただけたならと思います。
――12曲目の「Constellation Oracle -星座の神託-」は『巣作りカリンちゃん -星詠みの神託-』の挿入歌でした。
榊原 実はこの曲、深夜(早朝?)に美少女ゲームのお仕事が、最近なくなってきて寂しいな的なことを、なんとなくTwitterでつぶやいたら、すごくたくさんの反応をいただいてしまい、しかもNEXTONさんもご覧になっていたことから、次の日くらいにオファーをいただきました。この(美少女ゲーム)業界のレジェンドにそんな事を言わせるわけにはいかない!ということで(笑)。長く関わらせていただいているメーカーさんなんですけど、「もし無理やり作っていただいたのなら申し訳ない!」と思いましたが(汗)。本当に、業界への「愛」がすごいです。格好良く盛り上がれる素敵な曲ですし、『NEXTON LIVE 2022』(2022年11月19日)で初めてフルバージョンを生お披露目したときもめちゃくちゃ盛り上がったので、またライブで歌うためにもNEXTONさんにご快諾いただきつつアルバムに収録しました。
――次もお付き合いの長いメーカーであるオーガストさんとの。
榊原 ホント、長いですよね。PC版『夜明け前より瑠璃色な』のオープニング主題歌だった「Eternal Destiny」は色々なアレンジで歌い継がれていて、毎年のように「次はどんなエタデス?」みたいになっていたんですけど、今回新たに「Eternal Way ~with Eternal Destiny~」として届いたときは不思議な気持ちになりましたね。何回ライブで歌ったかわからないくらいの曲ですし、今回の作詞には歌詞には携わってないんですが私の書いた(「Eternal Destiny」の)詞を組み込んでいただいていますし。でも、最初に歌ってから20年近くが経っても、その曲が新しく生まれかわることでまたつながり、ファンの方が盛り上がってくれて、「何? この優しい世界」と思います。
――最後の曲は「MONO turn ないと♡」先ほど、この曲で最後を締めたいと仰っていましたが?
榊原 まず、この曲はパチンコ『乗物娘』シリーズの挿入歌なんですけど、実写の女性が水着姿で登場するような機種なんですね。多分、『コジコジ2』や『真・一騎当千』なら皆さんも触れたことがあるかもしれないんですけど、この機種でゆいにゃんが歌うとは多分盲点だったと思うんです(笑)。Twitterでも本当に何人かしか気づいていないというか。だけど、この曲は「ド爆弾」なんですよ(笑)。
――ド爆弾(笑)。
榊原 絶対にオタクが好きな楽曲なので聴いてほしいし、ライブで歌ったら絶対盛り上がるし。だから形に残すチャンスはないかとずっと伺っていましたね。私は普段からボーカルのピッチにほぼ修正を入れないのですが、これだけハチャメチャな歌なんですけど、これもほぼほぼ録りっぱなしです。途中で歌い方を変えたり戻したりしていますけど、つないでほしいというディレクションだったので、そこも続けて歌っています(笑)。ボーカルとしてかなりテクニカルな歌でもあるので聴いてほしかったんですよね。で、このタイトルの読み方は「モノタンナイ」、つまり「物足んない」とかけているんですね。アルバムが「MONSTER」でかっこよく始まり、最後はド爆弾曲で「えーっ!? 終わったの⁉」という気持ちで終わってほしい、そんな気持ちを込めました(笑)。
――ライブの終わりのような。
榊原 そうなんです。むしろ、その気持ちを埋めるためにライブに来てもらえれば、と思っています。「この曲達を生で聴きに来ませんか?うふふ」という気持ちですね(笑)。
――となると、アルバムリリースの原動力でもあったライブについてですが、5月27日(土)に大阪で、6月3日(土)で東京で開催します。
榊原 今回は、アルバムの曲を全部、全公演で歌います。
――すでにTwitterなどで宣言されていますよね。
榊原 なので、大阪も東京も昼公演と夜公演がありますけど、どの公演に来ていただいてもアルバム曲は絶対聴けます。あとは、コロナ禍では公演時間を1時間半くらいに抑えていましたけど、それではアルバム曲しか歌えなくなるので。昼・夜それぞれで2時間いっちゃおうかと思っています。で、アルバム曲以外のセットリストも公開します。
――それも宣言されていましたね。
榊原 歌われる曲がわかれば予習しやすいと思ったんです。あと、 いつも私がモヤっとするのが、その曲が歌われるんだったらライブに行きたかった、というご意見。たしかにこれだけ持ち曲があると何が歌われるかわからなくて、ライブになかなか行く勇気がないという方がいるのも事実なので。本当はセットリストは当日わかるからサプライズもあり楽しいのであって公開するものじゃないと思っているので迷ったんですけど、でも、セトリがわかってライブに行きたいと思ってもらえるきっかけになるのであれば、知りたい人には見られるように、楽しみにしたくて知りたくない人は見ない、という選択肢を作って、どちらの方も楽しめるような公開のやり方をしようと思います!でもただ、(アニメ『H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-』オープニング主題歌の)「片翼のイカロス」を歌うなら行きたかった、って意見も見るんですけど、「ライブに来たら高確率で歌ってるっちゅうねん」というツッコみも一応しておきます(笑)。
――そこは調べが甘いですね(笑)。
榊原 とにかくライブは最高なので!ライトなファンの方もライブに来てもらえるきっかけになれば、という思いです。
――迷っている方のもう一押しになれば、と。
榊原 そうです。最初はそのお目当て曲のために来てもらったとしても、ライブが楽しくてまた次回も!と思ってもらえるかは、私の力量だと思うので。でもまずは来てもらえないと……です!
――では、しっかりアルバムも予習してもらって。
榊原 はい。一度は1曲も飛ばさずに続けて聴いてみてください。曲間も私が考えましたので、その間も含めてアルバムの世界を楽しんでいただけたら嬉しいなと思います。
●リリース情報
榊原ゆい13thワークスアルバム
『MONSTER』
5月10日発売
品番:GQCS-91292
価格:¥3,000+税
<CD>
1.「MONSTER」(アルバムオリジナル曲)
2.「奇跡へのブラーヴィ 」榊原ゆいSolo Ver.(PCゲーム『悠久のカンパネラ 』OP曲)
3.「レッツ・ワーキング!」(PCゲーム『Hard Work』OP曲)
4.「Y@ CHA CHA」(パチンコ『さくらももこ劇場 コジコジ 2』挿入歌)
5.「CLIMAX BREAKER!!」(パチンコ『真・一騎当千』挿入歌)
6.「Blessing bloom」榊原ゆいSolo Ver.(PCゲーム『はぴねす!2』ED曲)
7.「青白コントラスト」(PCゲーム『コイカツ!サンシャイン』OP曲)
8.「Try&Fry」 榊原ゆいSolo Ver.(PCゲーム『竜姫ぐーたらいふ 』OP曲)
9.「Lovin‘ You」(PCゲーム『乙女が結ぶ月夜の煌めき 』ED曲)
10.「Night after night」(PCゲーム『ヨナヨナ』主題歌)
11.「愛を殺し」(Nina Kalinina作 オリジナル曲)
12.「Constellation Oracle-星座の神託-」(PCゲーム『巣作りカリンちゃん-星詠みの神託-』挿入歌)
13.「Eternal Way~with Eternal Destiny~」(PCゲーム『夜明け前より瑠璃色な-Brighter than dawning blue-』OP曲)
14.「MONO turn ないと♡」(パチンコ『乗物娘シリーズ』挿入歌)
関連リンク
榊原ゆいオフィシャルサイト
http://www.sakakibarayui.com/
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