原っぱから、39人のステージへとつなぐ夢。「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR Act-3 R@ISE THE DREAM!!!」DAY2レポート

「アイドルマスター ミリオンライブ！」のライブイベント「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR Act-3 R@ISE THE DREAM!!!」DAY2が2023年11月5日、福岡県・西日本総合展示場 新館にて開催された。

本公演には春日未来役の山崎はるか、最上静香役の田所あずさ、伊吹翼役のMachico、北上麗花役の平山笑美、桜守歌織役の香里有佐、佐竹美奈子役の大関英里、ジュリア役の愛美、白石紬役の南早紀、周防桃子役の渡部恵子、高山紗代子役の駒形友梨、天空橋朋花役の小岩井ことり、中谷育役の原嶋あかり、二階堂千鶴役の野村香菜子、野々原茜役の小笠原早紀、馬場このみ役の髙橋ミナミ、福田のり子役の浜崎奈々、真壁瑞希役の阿部里果、宮尾美也役の桐谷蝶々、百瀬莉緒役の山口立花子、矢吹可奈役の木戸衣吹、横山奈緒役の渡部優衣、ロコ役の中村温姫、MC進行としてプロデューサー役の中村源太が出演した。

TEXT BY 中里キリ

今回のライブは「ミリオンライブ！」の10thLIVE TOURとして行なわれたもので、開演前には前日に続き、プロデューサー役の中村源太が生身で前説のために登場。熱の入った前説と開演宣言で会場を盛り上げた。

「アイドルマスター ミリオンライブ！」では、現在毎週日曜朝にTVアニメ『アイドルマスター ミリオンライブ！』を放送中。全国の劇場ではそれに先立って先行上映が行なわれている。本公演は劇場で先行公開された第3幕までを含めた“アニメ”をモチーフにした公演であることが明かされており、本稿でも一部ではあるが、ライブの演出と結びつく先行上映の内容にも言及するので、確認の上読み進めて頂きたい。

アニメがモチーフということもあり、ライブの幕開けはやはりアニメ『アイドルマスター ミリオンライブ！』オープニング主題歌「Rat A Tat!!!」からスタート。衣装は揃いのスターティング・ブルームだ。MCで駒形はみんなで同じ衣装、同じ曲だからこそ、各アイドルらしさや魅力を見つけてほしいと語っていた。

ここからはDAY2ならではの要素を見つけて行くと、まずは本編の先陣を切る楽曲がMachicoの「ロケットスター☆」に。これはアニメ終盤のこけら落としライブでの歌唱楽曲で、アニメを通して全力を尽くすことを知った天才・伊吹翼を表現。キレキレのパフォーマンスと煽りに全力のコールが応えるのは現実のライブならではの熱さだ。フルサイズだといいところで“サンキュ”“Ready”“Dream”といったフレーズが入るのが、これまでに紡がれた楽曲の歴史につながっていくようでいい。Machicoのテンションの高まりは端々から感じられたが、クライマックスの「ずーっと!!」のうわずるほどの叫びでは感情が爆発するようにほとばしっていた。

「We Have A Dream」がアニメ『ミリオンライブ！』第5話の原っぱライブの再現（メンバー違い）であることはDAY1でも触れたが、DAY2のこの日はなんとその第5話の最速放送日当日！　小笠原早紀が「プロちゃんプロちゃん、今朝の原っぱライブは楽しかったかな？ Act-3もよろしくぅ！」と叫ぶなど、当日ならではのライブ感と臨場感があった。

2日制ならではの違いを感じさせたのが大関英里、小岩井ことりのTeam1st組による「Star Impression」。前日はやや抑えた歌唱で秘めた情熱を感じさせたのに対し、DAY2は気合全開で突き抜けるほどのテンション感。小岩井の「昨日は静かな感じだったのを、今日は燃える星をイメージして歌った」という言葉にも納得だ。

DAY1でソロ曲を多人数で歌った「チョー↑元気Show☆アイドルch@ng！」枠には、DAY2では「フェスタ・イルミネーション」を持ってきた。歌唱メンバーはMachico、大関英里、小岩井ことり、木戸衣吹、浜崎奈々、阿部里果、山口立花子、平山笑美。この両曲はアニメ「ミリオンライブ！」の劇場こけら落としライブで披露されたソロ曲であり、どちらも松井洋平作詞曲という共通点がある。間奏では全員で「ほ！ほ！ほ！」のコールアンドレスポンスを大合唱で交歓。会場がまつりの緑色のコンサートライトで染まっているのが流石だった。

DAY2のやりやがった！　枠が渡部優衣、阿部里果、山口立花子による「Sentimental Venus」だった。この曲は2015年に開催された「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 2ndLIVE ENJOY H@RMONY!!」において、曲中に音響トラブルで音源が停止。その時会場のプロデューサーたちがペンライトの光と手拍子で沈黙を支え、演者もアカペラで歌いきった伝説的逸話がある。アニメ「ミリオンライブ！」ではこのエピソードを劇場こけら落としライブに取り入れているのだが、DAY2のステージでは曲中に楽曲が意図的にストップ！　ステージ中央に身を寄せ合った3人が驚きあい、いたずらっぽく笑いあうと、ざわめく会場に「しー！」。阿部が「一緒に、歌いましょう！」の号令をかけると、会場全体が熱のこもった合唱でこれに応える。いたずら心にあふれた演出で、劇中の展開をハッピーに再現してみせたのだった。

DAY1からの変化として押さえておきたいのが、山崎はるか、田所あずさ、Machicoの3人による「SMOKY THRILL」だ。前日は中学生らしく、セクシー？　な仕上がりだった楽曲だが、DAY2の3人は少し（ちゃんと）セクシーな表現を歌唱に入れ込んできた感じがする。実は山崎が「うー！」の表現についてこのみお姉さんから指導を受けたというエピソードがあったのだが、未来たちがセクシー表現についてこのみお姉さんにコツを伝授されるというのは目に浮かぶようだ。アニメ本編でもオーディション時点の未完成を演技で表現する離れ業を見せていた3人が、“一晩セクシーさを考えてブラッシュアップしてきた中学生”をライブで演じきっているように感じられた。

765プロ楽曲カバーについては、劇中の函館ライブに出演した先輩たちのソロ楽曲を歌っていくのかな……とDAY1で思わせたのが実は撒き餌で、ラストブロックではまさかの菊地真曲の2曲目「エージェント夜を往く」を持ってきた。歌唱メンバーは小笠原早紀、原嶋あかり、渡部優衣、髙橋ミナミ、桐谷蝶々、香里有佐。凛々しくこの曲を歌う原嶋あかりの姿が新鮮に感じたのだが、顔ぶれ的には亜美真美のいわゆる“とかちつくちて”方向に引っ張ることもできたはず。正統派にかっこいい方向性で来たのが菊地真リスペクトであると同時に、楽曲に寄り添うことで歌唱者の新しい一面を引き出す「アイドルマスター」らしさを感じたのだった。

もうひとつのサプライズ765プロカバーが、山崎はるか、中村温姫、駒形友梨、野村香菜子、渡部恵子、南早紀による「Next Life」だった。冒頭の「あなたの遺伝子が呼んでる」の印象的なフレーズは、渡部恵子が担当。イントロのダンスパートでのメンバーそれぞれの凛とした、クールな表情が見どころだ。こちらも曲調からすると新鮮な顔ぶれが多いが、原曲からして沖縄から来たお日様のような少女がライブでとびっきりクールでソリッドな表現を見せたからこそ話題になった楽曲だった。オリジナルではダンサーを交えて行う千手観音的な演出を6人で見せたり、原始の呼び声のパートでそれぞれの色合いののびやかで幻想的な歌声を響かせたりと、この構成ならではの良さがふんだんにある一曲。その衝撃度はなりやまない拍手と歓声が教えてくれていた。

DAY2のラスト近くには、田所あずさがソロで「Gift Sign」を披露。如月千早とのつながり、そして父との関係の葛藤を乗り越えて成長した静香の楽曲だ。 白い羽根の舞い散る教会のステンドグラスを背景に、田所が見せたのは柔らかな笑顔で包みこむような壮大であたたかな表現。フルサイズになって、さらに楽曲の世界が広がりを見せたように感じられる。歌唱には最上静香というアイドルの想いと優しさがあふれていて、笑顔で頷く姿に子供の頃の無邪気に歌う静香の姿が重なるようだった。

ライブが生き物だと感じたのは、続いて披露されたTeam8thの山崎はるか、田所あずさ、Machico、南早紀、香里有佐による「REFRAIN REL@TION」だった。“憧れの向こう”で彼方を指さす田所が本当にいい表情をしていて、前曲からの気持ちのリンク、流れを感じる。同じ楽曲であっても曲の流れによって表現が変わってくるのはライブの魔法と言えるだろう。気持ちの入った5人の歌唱を見ていると、アニメ『ミリオンライブ！』全話をもう一度見返したい気持ちになった。実際にこれからTVアニメで追体験できるのは、タイミングの不思議というものだろうか。山崎の口上の間に、本日参加のミリオンスターズ全員がステージに登場。想いが追いかけあうシアターの歌声たちのリフレインは、いつまでも余韻を残していた。

ライブ本編を締めくくったのは「Brand New Theater!」。それまでのテーマソングの数々と、重ねてきた想いと時間を内包した新しい劇場の幕開けの歌は、今この瞬間のシアターに一番ぴったりと来る楽曲だった。

アンコール前には、（アニメ「ミリオンライブ！」の）プロデューサーから業務連絡として今後の展開が紹介された。「アイドルマスター ミリオンライブ！ シアターデイズ」よりプラチナスターツアービンゴ「エンダーエンダー」のMVが上映されると、作りこまれた構成に多くのプロデューサーが見入っていた。

コラボ系では「ミリオンライブ！」in TOWER RECORDSポップアップショップの開催決定（新宿店・あべのHoop店）や「ミリオンライブ！」書店コラボキャンペーン（2023年11月10日～26日）の開催などに歓声が上がっていた。

そして最大の発表は、ツアーを締めくくる「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR Act-4 MILLION THE@TER!!!!」の出演者だ。DAY1には32名のアイドルが出演（詳細は公式サイトを確認のこと）。そしてDAY2には、「ミリオンライブ！」の悲願であった39人のアイドル全員の出演が実現する。出演者欄に“MILLIONSTARS 39名”の文字が映し出されると、会場はこの日最大の大歓声に包まれていた。

発表の余韻の中、歌われた「M@STERPIECE」はやはり特別な温度のものになった。765プロASが歌った“夢を初めて願って今日までどの位経っただろう”のフレーズが、10年目に39人の夢に辿り着いた彼女たちにこんなにもぴったりくるのは不思議であり、「アイドルマスター」の必然でもある。歌いながら大粒の涙を流した山崎が「もう無理……」と小さく呟いた気がした。

アンコールMCでは山崎を中心に、やっと、やっとアニメにたどり着いた喜びと、「Act-4」DAY2に39人が参加する歓喜の声が届けられた。

そしてラストナンバーは、2023年11月5日。原っぱライブ放送当日だからこその特別な歌で締めくくる。ステージの山崎と田所の間では、いつの間にか愛美が「弾きたくなっちゃった」とギターを持ってスタンバイ。愛美がギターを奏で、リズムをとる中、山崎と21人の歌声がアカペラで響き渡る。楽曲はもちろん、はじまりの楽曲「Thank You!」だ。途中からは愛美もマイクを持って、いつも通りのフリームーブ多めの明るく楽しい「Thank You!」へ。ハートを作り、手のひらを合わせ、一緒にカメラに収まる22人の姿は、いつも以上の多幸感にあふれていた。

10年の数えきれないステージと、待ち望んだアニメで積み重ねた物語は、39人の夢のステージへと続く。

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR Act-3 R@ISE THE DREAM!!! DAY2
2023年11月5日（日）福岡県・西日本総合展示場 新館
＜セットリスト＞
M01:Rat A Tat!!!（ミリオンスターズ）
M02:ロケットスター☆（Machico）
M03:We Have A Dream（Long Intro Ver.）（小笠原早紀、中村温姫、原嶋あかり、木戸衣吹、浜崎奈々、南早紀、香里有佐）
M04:Star Impression（Long Intro Ver.）（大関英里、小岩井ことり）
M05:CHANGE!!!!（小笠原早紀、原嶋あかり、木戸衣吹、髙橋ミナミ、桐谷蝶々、浜崎奈々、平山笑美、愛美）
M06:my song（田所あずさ、大関英里、小岩井ことり、野村香菜子、髙橋ミナミ、渡部恵子、香里有佐）
M07:海風とカスタネット（Long Intro Ver.）（浜崎奈々、阿部里果、山口立花子）
M08:マリオネットの心（Machico、平山笑美、愛美）
M09:Catch my feeling（Long Intro Ver.）（中村温姫、渡部優衣、野村香菜子、髙橋ミナミ、渡部恵子）
M10:フェスタ・イルミネーション（Long Intro Ver.）（Machico、大関英里、小岩井ことり、木戸衣吹、浜崎奈々、阿部里果、山口立花子、平山笑美）
M11:バトンタッチ（小笠原早紀、駒形友梨、原嶋あかり、桐谷蝶々）
M12:Sentimental Venus（渡部優衣、阿部里果、山口立花子）
M13:SMOKY THRILL（山崎はるか、田所あずさ、Machico）
M14:ALRIGHT*（駒形友梨、渡部優衣、桐谷蝶々、阿部里果、南早紀）
M15:READY!!（山崎はるか、大関英里、中村温姫、駒形友梨、小岩井ことり、野村香菜子、山口立花子、渡部恵子）
M16:エージェント夜を往く（小笠原早紀、原嶋あかり、渡部優衣、髙橋ミナミ、桐谷蝶々、香里有佐）
M17:Next Life（山崎はるか、中村温姫、駒形友梨、野村香菜子、渡部恵子、南早紀）
M18:トワラー（木戸衣吹、平山笑美、愛美）
M19:Gift Sign（田所あずさ）
M20:REFRAIN REL@TION（山崎はるか、田所あずさ、Machico、南早紀、香里有佐＆ミリオンスターズ）
M21:Brand New Theater!（ミリオンスターズ）
-ENCORE-
M22:M@STERPIECE（ミリオンスターズ）
M23:Thank You!（ミリオンスターズ）

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THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.

関連リンク
「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 10thLIVE TOUR」公式サイト
https://idolmaster-official.jp/live_event/million10th/

「アイドルマスター」シリーズ 公式サイト
https://idolmaster-official.jp/