昨年12月に、sana、渡辺 翔、キタニタツヤによるバンド体制から、sanaを中心とする音楽プロジェクトに移行したsajou no hanaが、その新体制一発目となる新曲「修羅に堕として」をリリースした。2024年冬クールの話題アニメ『異修羅』のOPテーマとなる本楽曲は、孤高の強さを誇る「修羅」たちが胸中に抱える「満たされない気持ち」、そして弱き者たちの救済を求める心を、sanaが吠えるようなボーカリゼーションで表現したロックナンバー。
強烈な1曲を携えて、新たな一歩を踏み出したsajou no hanaのsanaに、今の想いを語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

新体制になった今、sanaが語るsajou no hanaへの想い
――まずはsajou no hanaが新体制に移行したことについてお聞かせください。渡辺 翔さん、キタニタツヤさんを含むバンド体制から、sanaさんを中心とした音楽プロジェクトになりました。

sana 以前からそういう話は上がっていたのですが、2023年にしっかりと話し合ったうえで決まりました。大きな理由はレーベル移籍やコロナ禍など色々な事情が重なりライブ活動が難しくなったことで。でも、私はライブもやっていきたいし、sajou no hanaとして楽曲制作も続けていきたいので、バンドよりも活動を維持しやすい音楽プロジェクトという形に移行することになりました。
私としては特別環境が変わったわけではないんですね。

――新体制の発表時に、翔さんもキタニさんも引き続きサポートするとおっしゃっていましたものね。

sana 今後も翔さんがレコーディングのディレクションをしてくださると思いますし、今までと大きな違いがあるわけではないのですが、でも色んな面で私1人でsajou no hanaを背負って出ていかなくてはいけないので、もっとしっかり引っ張っていけるように頑張ろう!という想いはあります。今までは、困ったときは2人に助けてもらえる安心感があったので。

――ただ、sanaさんはTVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』の第2弾OPテーマ「Heaven’s falling down」をはじめ、個人名義で活動する機会も増えているわけじゃないですか。そのなかで、sajou no hanaとしての活動を継続していくことを選んだのはどんな想いがあったのでしょうか。


sana やっぱりsajou no hana自体にすごく愛着があるんです。「sana(sajou no hana)」としてアニメや作品側にお声がけいただいて楽曲を歌わせてもらうときは、私の中ではゲスト的な認識が強くて作品のために100%捧げる心持ちなんですけど、sajou no hanaの場合は、アニメのためだけでなく、グループや自分のために歌っている部分もあるし、デビューして最初にいただいた場所がsajou no hanaなので、今はsajou no hanaという名前自体が自分に近しい存在になっていて……サポートしてくれている人たちもずっと一緒にやっているので、この場所を守っていきたいなと思います。

――バンドから音楽プロジェクトという形態になったことで、さらに活動の自由度が増すというか、可能性は広がりそうですね。

sana ですよね。今までは完全に3人だけで完結していたけど、今後は新しいクリエイターの方たちも巻き込んでいけたらと考えていますし、ほかにも新しい刺激が入ってくると思うので……どうなっていくかは私もまだわからないですけど、ファンの皆さんに「前のほうが良かった……」と言われるのは悔しいので(笑)、そうならないように頑張ります!

――その新体制の第1弾となる新曲「修羅に堕として」は、TVアニメ『異修羅』のOPテーマ。タイアップのお話しをいただいたときの印象はいかがでしたか?

sana レーベルのスタッフの方から「すごく力を入れている作品」というお話を聞いていました。
それにKADOKAWAさんに移籍してからは初めてOPテーマを担当させていただくので、「ちゃんと結果を残せるように頑張ろう!」という気持ちが強かったです。やっぱりOPテーマを任せてもらえるのは嬉しいことなので。

――その後、原作やシナリオに触れたと思うのですが、どんな印象を受けましたか?

sana 登場人物がみんなびっくりするくらい強すぎて衝撃的でした。世の中には壮大な作品がたくさんありますけど、『異修羅』は壮大さや強さレベルが桁違いで、普通なら「弱い人、中くらいの人、ボス」みたいな流れで順に戦っていくと思うんですけど、この作品はボスみたいな人しか出てこないので、戦っていても「どうやって決着がつくんだろう?」と思って。小さい頃に「どうぶつの森」のタランチュラと肉食動物が戦ったらどっちが勝つのか?みたいな妄想をしていたんですけど、そういう妄想が絵になったような作品だと思いました。

――sanaさんはこういうバトル作品もお好きですか?

sana いやあ、めちゃめちゃ胸が熱くなりますよね。
私はいわゆるスポーツをするタイプではなくて、いつも家で大の字になって寝ていて、堕落した生活を送っている側なんですけど(苦笑)、こういう作品に触れると生命としての熱みたいなものが出てくるというか、人間は本来、戦ってきた種族だと思うので、そういった血が沸き立つような感覚になります。

――それで何か行動に移すのでしょうか?

sana いや、何もやらないです。沸き立って「ウォーッ!」ってなって寝る、みたいな(笑)。

――平和で良いですね(笑)。

sana 『異修羅』の世界に平和はないですからね。平和な街だと思っていたら、その街自体がゴーレムだったりしますから。
「そんなことある?」と思って(笑)。

――第1話に登場するナガン迷宮都市ですね。迷宮が超巨大なゴーレム(機魔)になって、街に住んでいた人たちを全滅させてしまうという。ゴーレムが人間に襲い掛かるシーンは、目を伏せたくなるほどの迫力でした。

sana あまりにも痛ましいですよね。でも、そこも原作に忠実で素晴らしいなと思って。
ここまでスケール感の大きな作品の場合、映像化されるときに不安に思う原作ファンの方が必ずいると思うんですけど、『異修羅』はアニメのクオリティがすごくて、期待を超えてくる作品だと思いました。声優さんもベテランの方が多いので、演技にも深みがあるし、全部が100点満点だなと思って。

――本作には色んなタイプの「修羅」と呼ばれる最強キャラクターが登場しますが、sanaさんは誰がお気に入りですか?

sana 私は星馳せアルスが好きです。こんなにきれいな目をしたワイバーンはいないと思いますし、自由自在に空を飛べるうえに、ワイバーンなのに武器を持っていて銃も使える最強感がたまらないです。スチームパンクっぽいデザインも含めて、オタク心がそそられますね。めっちゃかっこいい!

――少年みたいな感想ですね(笑)。

sana 本当にたまらないです!(柳の剣の)ソウジロウも『銀魂』みたいな感じがあっていいなあと思いますし、美女キャラクターも、肉体すら持っていない骸骨(音斬りシャルク)もいますし(笑)。


『異修羅』と現代に生きる人を繋ぐ「満たされない気持ち」
――「修羅に堕として」はキタニさんが作詞・作曲・編曲を手がけていますが、sanaさんは最初に楽曲を受け取ったときにどう感じましたか?

sana 仮のデモが出来た段階で聴かせてもらったのです