INTERVIEW BY 北野 創
TEXT BY 河瀬タツヤ
学生時代と変わらない2人の関係性
――お2人で話す時はやっぱり福岡の方言が出るんですか?
家入レオ 出ます。
麻倉もも 2人きりになると基本的には福岡弁ですね。
――やっぱりお互いアーティスト同士ではなく、友達同士という感覚のほうが強い?
家入 そうですね。もちろん中学生の頃から知っている友達なんですけど、今回、「希望の名前」でご一緒させていただいたことで改めて表現者として素晴らしい方だなと思いました。なのでそこは戦友ともまた少し違って……ももちゃんが輝けば輝くほどなぜか嬉しくなるし、そういう気持ちにさせてくれる存在はあまりいないので、なんだか不思議だなと思いながら今ここにいます(笑)。
麻倉 私もレオちゃんのお仕事をしている姿がすごく新鮮です。私が(声優として)デビューする前からアーティストとして活動していたので、同級生でもあり、普通の一般人と芸能人みたいな関係の頃もあったので、こうやって一緒にお仕事している現実が信じられない感覚ですね。
――まずお2人の学生時代のお話を聞いてみたいのですが、当時と比べてお互い変わった部分はありますか?
家入 当時セーラー服を着ていたももちゃんと、今のももちゃんの印象は、私はまったく変わらないですね。彼女が出会った頃の彼女のままで声優やアーティストとして活動していることがすごく嬉しかったし、今回のコラボレーションはその空気感があったことでより素敵な作品が出来た気がします。2人とも学生時代に「音楽部」というミュージカルをする部活に所属していて、私は音楽を本格的にやるために途中で辞めたのですが、ももちゃんはずっと所属していたんですね。
麻倉 えっ!?そうだったの?
家入 音楽やミュージカルのことには超一生懸命に向き合っていたけど、「ここはあまり興味がないんだろうな」というのもわかりやすい子という印象があって(笑)。「自分でやる」と一度決めたらとことん頑張るけど、それを人には言わない、「私の夢は私が知っていればいい」というタイプの女の子だなと思っていました。自分とは真逆だったので、そこが彼女に惹かれた部分だったのかもしれません。
麻倉 私、そういうふうに見られていたんだ(笑)。私もレオちゃんの印象は(学生時代から)全然変わらないですね。大人になった今も子供心を忘れていない感じがしますし、歌が好きで真摯に向き合っている姿は本当に学生時代そのままです。まあ、どこでも歌い始めることはなくなったと思いますけど(笑)。学生時代は廊下とか教室とかどこでも歌っていたから。
家入 確かに歌ってた!(笑)。
麻倉 クラスが別々だったときも(家入の歌声が)聴こえてきましたから。「なんか歌ってるなー」って(笑)。
家入 でも、ももちゃんと一緒にいることで「自分が変わらない自分でいられる」というのはあるかもしれない。
麻倉 確かに、(学生時代に)ちょっと引き戻される感じはあるかも。
家入 ももちゃんのソロの活動やユニット(TrySail)の方たちとご一緒しているのを見たりすると、私の知らない部分が見えてちょっと寂しい気持ちになるときもあるんだけど、会うと昔のままだからホッとするんだよね。
麻倉 だから、2人でいるところや会話しているところをマネージャーさんたちに見られるのがすごく恥ずかしい(笑)。
家入 素顔を見られている気持ちになるのかもね。
麻倉 そうかも。
――ほかに学生時代の印象深いエピソードはありますか?
麻倉 私が2人きりの思い出ですごく印象的だったのはバスの時間です。たしか家の方向は違うので、なんで一緒のバスに乗っていたかはよく覚えていないんですけど……。
家入 私がヴォイス(音楽塾ヴォイス)に通っていたからその時かもね。
麻倉 それか。バスで一緒に乗っていた時に自作の歌を聴かせてくれたりして。なんていうんだっけ、あれ?
家入 iPod?
麻倉 そう、iPod!(笑)。
家入 やった!めっちゃ思い出した!(笑)「これ作ったけん、聴いてー?」って言って、(デビュー曲の)「サブリナ」や「ripe」を聴いてもらった気がする。
麻倉 「そんなに大事な曲を私に分けてくれるんだ!」って、すごく嬉しかったのを憶えています。
家入 なぜかイヤホンの両耳を渡さなかった記憶もありますね(笑)。隣で待っているのがもどかしかったから、ちゃんと自分も聴いて反応を伺いたいと思ったのかもしれないです。
――それだけ麻倉さんに聴いてほしい気持ちもあったんでしょうね。
家入 そうですね。同じ部活に所属していたので、大勢で一緒にいることももちろんあったんですけど、ももちゃんとの思い出は2人きりのものが多いんです。さっき自分とはタイプが真逆という話をしましたけど、私はオープンに自分の夢を言うタイプで、「歌手になりたい」という夢を恥ずかしげもなく学校でも周りに言っていたんですね。(笑)言霊の力を信じていたから。一方で、ももちゃんは「声優になりたい」という自分の