いよいよ7日に告示日を迎える自民党総裁選。安倍首相と石破茂元幹事長の一騎打ちとなるが、そんななか、安倍首相が驚くような行動に出た。
あの、といっても、ネット右翼以外にはあまり馴染みがないと思うので、念のため説明しておこう。『虎ノ門ニュース』は、例の沖縄ヘイトデマで知られる安倍政権応援番組『ニュース女子』のDHCテレビが製作するネット番組。平日朝8時から10時までYouTubeなどで生放送されている。
曜日ごとのMCは、これでもかというぐらい安倍応援団のネトウヨ文化人ばかりだ。"ネトウヨの尊師(グル)"こと青山繁晴センセイや、ネトウヨ作家の百田尚樹センセイ、ケント・ギルバート、竹田恒泰サンに上念司サン......etc.胸焼けがしてくるが、当然、その内容は、話題のニュースなどを思いっきり安倍政権の擁護や応援に角度をつけて取り上げるというものだ。
展開されるトークは、ネトウヨワールド全開の陰謀論や、もはや"安倍教"と呼ぶべき政権の徹底擁護ばかり。たとえば、昨年秋には青山センセイが北朝鮮問題について「今週(に戦争が)あってもおかしくないです」と根拠もなく煽りまくったり、最近も、自称ジャーナリストの有本香氏が、例の杉田水脈議員の"LGBTは生産性がない"発言について「こんなことであんまり足元を掬われるのはよくない」「杉田さんに辞めろなんてデモするとか、そういう示威行為なんてとんでもない」などとほざいていた。
そんな番組に時の総理大臣が出演するというのだから、ほとほと呆れるではないか。実際、DHCテレビの公式サイトでは、すでに木曜日の放送の予告として、有本氏とツーショットで安倍首相の画像を掲載。百田尚樹も3日のツイートで、〈9月6日、木曜日の「虎ノ門ニュース」のゲストは...なんと、安倍晋三内閣総理大臣です!! 皆さん、是非、ご覧ください!〉と宣伝していた。
ただ、百田が「ゲスト」と言うから、生出演するのかと思ったら、実際にはVTR出演で、映像も収録済らしい。
きっと、森友・加計問題や公文書改ざん問題など、安倍政権のスキャンダルが招いた国民の政治不信についてはまったく突っ込まれず、安倍首相を褒めちぎり、野党ディスやあるいは対立候補の石破ディスが延々と展開されると思うと、暗澹たる気持ちになってくるが、問題はそれだけではない。
多数の死傷者を出している非常に大型の台風21号だが、すでに3日午前の段階で沖縄県付近を北上しており、関西各地で翌4日の運休や施設休業が次々に発表されるなどしていた。4日昼には四国・本州に上陸。午前の段階ですでに、各地で約70万人の避難勧告が出されていた。ところが、台風で予想される被害の対策の指揮をとらねばならない安倍首相は、4日午前11時33分から同40分までの7分と、4日午後5時2分から同11分までの9分、豪雨非常災害対策本部会議に出席。合計わずか16分で切り上げてしまったのである。
●台風対策もやらず、石破茂との討論からも逃げ、『徹の部屋』の再現
繰り返すが、台風21号が四国・本州に接近していた3日の夕方に、公邸で『虎ノ門ニュース』用の収録を行い、46分も時間を割いた。災害対策本部会議にはわずか9分しか出ないのに、DHCテレビには移動も含めて約1時間も使うって......。例の「赤坂自民亭」のときもそうだったが、結局この男は、国民の生命や生活よりも、お仲間の応援団にいかに慰撫されるかが大事なのだろう。
思い出してみれば、去年の総選挙告示日2日前にあたる10月8日にも、安倍首相は、幻冬舎の見城徹社長がホストを務めるネット番組『徹の部屋』(AbemaTV)に生出演。
そして今回の総裁選にあたっても、海外出張を言い訳につかって石破氏との公開討論から逃げながら、告示直前にネトウヨ番組に登場する。いやはや、これはネトウヨや応援団という自らの支持層へアピールしているというよりも、何を言ってもきびしい指摘や批判をされず、ひたすら神のように崇め奉ってくれるお仲間に囲まれることで癒されようとしている。そうとしか思えない。
ネトウヨ番組に嬉々として出演するセンスのヤバさはもちろん、こんなメンタルの人間が何年も総理大臣をやっているという事実。もはや、この宰相に「国民の方を向いてくれ!」と懇願しても無意味だろう。大好きなネトウヨや極右文化人たちと戯れるのはお好きにどうぞ。だが、せめて総理を辞めてからにしてくれ。
(編集部)