日本維新の会・丸山穂高衆院議員の「戦争しないとどうしようもない」発言。ふだん戦争扇動発言には擁護的な安倍応援団やネトウヨ文化人も今回はさすがにまずいと感じたのか、だんまりを決め込んでいるようだ……と思っていたら、そうでもなかった。
やっぱりバカはどんなときも止められないらしい。どう見ても擁護できないにもかかわらず、当の丸山議員でなく、発言を報道したマスコミに噛み付いたネトウヨ文化人がいたのだ。
ひとり目は、2017年の衆院選で維新から出馬し落選、今夏の参院選で維新から候補者として公認を受けている元フジテレビアナのネトウヨ論客・長谷川豊氏。14日にこう連続ツイートした。
〈①丸山穂高さんの件について色々とコメントも来てますが、さすがに材料が無さすぎて良く分かりません。今分かってるのはテレ朝は「この録音がある」と。丸山さんは「切り取りだ」と。そこまでしか分からずにコメントしにくいです。前後もないし。
ただ、丸山穂高議員は少なくとも、国会の場において→〉
〈②素晴らしい追求や質問をいくつもしている代議士である事は疑いようもないと思います。
一つ言えることは「そもそも戦争なんて出来ない」訳だし、丸山さん、随分と酔っ払ってたのかなぁ…という程度でしょうか。前後もちゃんと聞けばコメントしようもありますけど。
ただ、今回の件で一つだけ。→〉
〈③元メディアにいて、取材を17年半してきた人間として言えるのは、このテレ朝のやり方(みんなで酔っ払った場でこっそり録音してそれを切り取って晒すという行動)は正直、好感が持てません。
こんな事やったら、もう政治家がみんな心を開いてくれなくなります。酒なんて飲みに行けないです。→〉
〈④丸山代議士の件はもちろん、党の執行部が対処されると思いますが、あくまでメディア人として見た感想としては「テレ朝さん、ちょいスジワルなんじゃない?これは」と言いたくなります。
あくまで元メディア人としてのコメントです。それ以上でもそれ以下でもありません。〉
さらに、佐藤浩市氏の発言を切り取り、「三流」呼ばわりして批判を浴びているネトウヨ作家の百田尚樹氏も、右派系オピニオン誌の常連執筆者である政治評論家・加藤清隆氏のこんなツイートをRTした。
〈今回の丸山問題で最も気に入らないのが、同議員の発言を録音していた人間がいるということだ。もちろん酒に酔って、訪問団に絡んだことは十分に反省してもらわなければならないが、発言を外に出しことを前提に録音するなど、言語道断。そもそも話し合いで北方四島が戻ってくると考える方が甘くないか?〉
百田本人はとくにコメントしていないが、これまでの RT傾向を見れば、明らかにこの主張に賛同して拡散したものと思われる。
●「こっそり録音」は真っ赤な嘘! 取材中に丸山議員が乱入しただけ
まったくあきれてものも言えない、とはこのことだ。
テレ朝を含むマスコミは、取材のためにカメラや録音機を回していただけであり、丸山議員の音声が録音されていたのは、勝手に丸山議員が割って入ってきただけに過ぎない。しかも、取材中である旨を説明し制止する記者に対しても丸山議員は恫喝を繰り返していた。
こうした丸山議員の言動については、訪問団も怒って抗議しており、国会議員が北方領土友好事業を妨害したというトラブルを音声つきで公開するのは当たり前だろう。
ところが長谷川氏は「切り取り」「こっそり録音」などとのたまい、百田氏は「録音は言語道断」などというツイートをRTしたのだ。ちなみに、長谷川氏はその後、〈あまりに度を越して突飛過ぎる発言だったので「切り取られてたのかなぁ」と思ってました。念のために関係者に聞きました。本当に単に酔っ払って絡んでただけだった、と。島の関係者の方々はかなり嫌な思いをしていた、と。なんでそこまでお酒飲んだんだよう…こんなの誰もフォロー出来ないよ…〉と、泣きを入れて修正していたが、百田氏はRTしっぱなしで、なんの釈明もしていない。
しかし、この「録音」攻撃は事実誤認以前の問題だ。
●百田は「沖縄の2紙を潰さなあかん」のときも「盗み聞き、卑劣」とマスコミ攻撃
長谷川氏、百田氏ら安倍応援団は自分たちが支持するグロテスクな戦争扇動の本音を暴かれたことをごまかすために、取材手法に難癖をつけて、メディア批判に話をすり替えようとしているだけなのだ。
百田氏は、4年前、自民党の文化芸術懇話会という勉強会で「沖縄の2紙を潰さなあかん」と発言して批判を浴びたときも、TwitterやFacebookでおなじような言い訳をしていた。
〈ギャグで言った言葉を切り取られた。しかも部屋の外から盗み聞き!卑劣!それにしても、報道陣は冒頭の2分だけで退室したのに、ドアのガラスに耳をつけて聞き耳してるのは笑った。しかし、正規の取材じゃなくて盗み聞きを記事にするのは、ルール違反だし、卑劣だろう!〉
〈私はラジオやテレビで不特定多数に向けて発言したわけではない。あくまで私的な集まりの場において話したにすぎない。内輪の席での発言だ。
そういう場で口にした軽口が、大々的に報道され、あるいは国会で問題にされるようなことだろうか。
しかも、私は議員でもなければNHK経営委員でもない。一私人である。〉
百田氏は政党交付金を受けている公党の勉強会を、居酒屋の常連同士の会話と同じ「内輪の席」だと言い張り、政権与党の若手議員たちが何を考えているのかをチェックする報道を「盗み聞き」と批判したのだ。
もはや笑うしかないような詭弁、スリカエだが、しかし、連中はこれまでつねにこういうかたちで、政権に不正や危険性を暴こうとする批判者の枝葉末節な取材手法を“倫理違反”だとわめき立て、安倍政権批判を封じ込めてきた。
そして、ネットでは、ネトウヨ、安倍応援団だけでなく、リテラシーの低い一般市民もその“スリカエ”に騙されて、いつのまにか「どっちもどっちだよね」という感想を持つことになり、権力の悪行や言論封殺の危険思想がまんまと見逃される状態になっている。
先日の佐藤浩市問題も同様で、安倍応援団が佐藤氏の発言を捻じ曲げて「首相を揶揄した」「難病を差別した」などでっちあげた結果、政治性のないユーザーまでが「難病をからかうのはよくない」などというツイートを書き込む事態となっている。
おそらく連中はデマだろうが、スリカエだろうが、“言ったもん勝ち”だと図に乗っているのだろう。こうした批判封じ込めに対抗するためにも、安倍応援団の卑劣なメディアに対するフェイク攻撃を徹底的に暴いていくつもりだ。
(編集部)