恥も外聞もないとはこのことだろう。公明党の政権離脱を受け、日本維新の会が自民党の新たなパートナーとして急接近、週明けの20日にも連立樹立で合意するとみられている件だ。
維新といえば7月の参院選でも党勢の伸び悩みが著しく、最近は大阪府知事の吉村洋文代表が「大阪万博が大盛況・大成功!」とPRに勤しんでいたが、直近のNHK世論調査でも政党支持率は1.9%減の1.7%と目も当てられない結果だった。そんななか、権力掌握のためになりふり構わず連立入りの道を選んだのだ。
しかも呆れたのが、吉村代表が連立入りの「絶対条件」として、突如「国会議員の定数削減」を言い出したことだ。
だいたい、維新は昨年10月の衆院選の際、公式SNSで当時の馬場伸幸代表の写真を使って、こんなキャッチコピーが躍る選挙広報バナーを作成・拡散していた。
〈自民党の「政治とカネ」に対する向き合い方。一緒にやっていくなんて不可能に決まってますよ。〉
〈維新は連立政権を組むのか。とよく聞かれますが、裏金政治に加え、今度は2,000万円を非公認議員の総支部に配る、こんな裏切りだらけの自民党と一緒にやるなんてありえません。私たち日本維新の会は有言実行。透明な政治に戻すべく挑戦してまいります。〉
さらに、SNSでの投稿でも〈不透明な政治を続ける今の自民党と連立を組むことは決して出来ません〉と重ねて強調していた。
ところが、だ。
当然、SNS上では「企業・団体献金の禁止は諦めるのか?」「政治とカネの問題はスルー」「大阪を副首都にできればそれでいいのか」「維新の改革は口だけ」という指摘の声が上がりはじめていたのだが、すると、吉村代表は16日に出演した『報道ステーション』(テレビ朝日)で、唐突にこんなことを言い出したのだ。
「政治改革の一丁目一番地でいちばん難しいのは『議員定数の削減』」
「『企業・団体献金の禁止』はできるだけ埋めていきたいが、国会議員が本当に嫌がってなかなか難しいかもしれないが『国会議員の大幅定数削減』、これをまず本気でやれるかどうかがポイント」
「この臨時国会でやるべき。そこは譲らない」
「めちゃくちゃ高いハードル。でも、それくらいやらないと日本の改革なんてできない」
つづけて出演した『news23』(TBS)でも小川彩佳キャスターが『企業・団体献金の禁止』が大項目になっていないことを指摘したが、やはり吉村代表は「僕はいちばんの政治改革は『議員定数の削減』だと思っている。議員の席をなくす」「議員定数の削減、これが肝」などと主張を繰り広げたのだ。
しかも、この突然の宣言に対し、Yahoo!ニュースのコメント欄やSNS上では「良く言った」「定数削減は税金の無駄遣いを減らすためにも必要」「自民はこれを飲めるのか」などと吉村代表を評価するコメントが殺到。これに気を良くしたのか、翌17日に出演した『サン!シャイン』(フジテレビ)や『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、語気を強めて「本気で改革を進めることができるかを政治家が示すには『大幅な議員定数の削減』を本気でやると言えるかどうかだ。議員定数の大幅削減が改革のセンターピンだ」と強調。さらに、「(期限は)次の臨時国会。今年中にやりきる。
こうして経緯を振り返るとよくわかると思うが、ようするに吉村代表はハナから「企業・団体献金の禁止」を自民党に飲ませようという気はさらさらなく、その話題を逸らすために「『議員定数の削減』こそが改革のセンターピン」などと言い出したのだ。
実際、当の維新幹部も、朝日新聞の取材に対して「論点ずらし」であることを認めている。
〈定数削減を突然訴え始めた理由について、維新幹部は「献金禁止は厳しいから」とし、論点を「献金禁止」から「定数削減」にずらす思惑もあると打ち明ける。〉(朝日新聞デジタル17日付)
つまり、「国会議員の定数削減」は連立協議をスムーズに進めるためのたんなる論点ずらしであるにもかかわらず、吉村代表は「自分の身分を守るために政治をやっている人が多い。これでは日本の改革はできない!」などと喧伝。そこまで言うのなら今年分だけでも31億6021万円も維新に配分されている政党交付金を受け取るのをやめろという話だが、ともかく吉村代表は、自身があたかも真の改革者だと言わんばかりのイメージづくりをおこなうと同時に、高市自民党の反省なき腐敗金権政治の温存に手を貸しているのだ。
しかも、維新の連立を見据えた協議の罪深さは「企業・団体献金の禁止」を棚上げにしたことだけではない。今回、吉村代表が持ち出し、年内の達成を条件とした「国会議員の定数削減」は、少数政党・少数意見を排除する、代議制民主主義の根幹を揺るがすものだということだ。
そもそも、他の先進国と比較すると、日本の国会議員数は人口に対して少ないと指摘されてきた。実際、人口100万人に対する国会議員の数で比較するとイギリスが約21人、フランスが約14人であるのに対し、日本はわずか5.7人。この数字はOECD加盟国平均の半分以下とも言われている。
さらに、今回、吉村代表は「衆院比例代表の1割(約50人)削減」を打ち出しているが、これが現実になると少数政党は大打撃を受けることになる。
日本経済新聞の試算(18日付)によると、昨年の衆院選の結果に維新案を当てはめた場合、比例と小選挙区と合わせた総獲得議席では〈自民党と立憲民主党が1割以下にとどまるのに対し、比例選出議員の割合が高い公明党や共産党は25%減となった。衆院選で3議席ずつ得た参政党と保守党は両党とも1議席に沈む〉という。つまり、維新案が導入されると、大きな政党の発言力が増す一方で〈幅広い民意をすくい上げにくくなる可能性〉があるのだ。
そして、最大の問題は、力の強い政党による「独裁化」が進みかねないという点だ。
今回の維新案は衆院比例をターゲットにしているが、2023年に当時維新の代表だった馬場伸幸氏は「国会議員は半分(にする)」などと発言。参院をなくして一院制にすべきと主張していた。自民が飲むかどうかは別として、維新が今後、さらなる議員削減を言い出しても不思議ではない。そうなった場合、人口の少ない地方ほど議員数は減らされるだろうし、さらには地盤や知名度のある候補者を多く抱えた大政党の力が増していくことになるだろう。
その最たるモデルケースが、大阪府議会だ。
吉村代表が突如ぶち上げた「国会議員の定数削減」について、憲法学者の南野森・九州大学教授はX上でこのような危惧を示している。
〈民主主義なので最後は多数決で決めざるを得ないにせよ、「選挙制度こそ本当の憲法だ」との言葉があるくらい選挙制度は国の未来を左右する重要なもの。与党だけで定数削減や選挙制度改変をして良いとの発想はとてつもなく危険。少数派・反対派が議席を得られなくなるような法改正までほんの数歩です。〉
これまでの維新の振る舞いを考えれば、「国会議員の定数削減に賛同しない議員は既得権益を守ろうとする国民の敵」というレッテル貼りをし、攻撃することで「維新は改革政党」という印象を植え付けていく算段なのだろう。だが、こんな党利党略で民主主義が破壊されるなど、あってはならないこと。あまりに露骨なすり替えに批判が殺到したためか、閣外協力との情報も出ているが、今後の維新および吉村代表の言動を注視しなければならない。

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