
サンウルブズの経験「大学では感じたことのない感覚、発見がありました」
去年1月。雲山は、世界最高峰のリーグ・スーパーラグビーのサンウルブズに練習生として招集された。報徳学園高校では2年時から花園に出場し、高校日本代表にも選出。大学では1年時から早明戦に出場し、今は不動のレギュラーとなった。身長187センチ、体重93キロの逸材は、将来性を見込まれての追加招集に胸を躍らせて練習に参加した。
「レベルの高いチームでプレーできることは、自分にとってチャレンジ。楽しみしかなかったです。フィジカルは全く通用しなかったですが、キックやパスは通用した部分がありました。中でも一番の収穫は、トップ選手はプレーの選択肢を常にたくさん持ちながらプレーしていると分かったこと。
プレー選択の判断力。理屈は理解できても実行することは難しい。しかし、トップ選手の高い判断力や技術を間近に感じたことで、大学の練習では分からなかった発見があったという。大学に戻るとコロナ禍で外出ができない期間が続いたが、トップレベルの試合をひたすら見てプレーの研究に没頭。グラウンドでは全体練習の終了後、様々なシチュエーションを想定した判断の練習を繰り返し行い、個人のレベルアップをはかってきたという。
チームの中心として3年ぶりの大学選手権優勝へ。そして日本代表を目指す。

しかし、去年9月。雲山は大きな挫折も味わった。対抗戦が開幕する前の練習試合は、調子が上がらずBチームでの出場が続き、開幕直前には左膝の後十字靭帯を断裂。落ち込んだ時間もあったというが、負の連鎖の原因を冷静に分析していた。
「下級生から試合を経験してチームを引っ張る立場でしたが、チームメイトへの発信が消極的だったと思います。
おとなしい性格で、自ら前に出ていくのは少し苦手。しかし、明治大学で活躍して日本を背負う選手になるという目標を達成するためには、技術面だけでなく精神面も生まれ変わらないといけないと決意を固めている。

「最終学年の今年は、チームに良い影響を与えられる選手になりたいです。チームの最後尾から積極的なプレーをして、大学選手権優勝へ貢献したいと思っています。そして、最終的には日本代表として活躍したいです。」
今年は雲山の一味違う姿が見られるかもしれない。
写真提供:明治大学ラグビー部 文:進藤佑基