GMOインターネットグループへの不正アクセスの問題をめぐり、11月2日、同社の熊谷正寿社長が問題発覚後初めてとなる記者会見を開きました。冒頭、熊谷社長は「お客様の情報が流出し、被害に遭われましたお客さまと関係者のみなさまに心よりおわび申し上げます」と謝罪しました。

また、熊谷社長は「本サービスのシステムにセキュリティ上の問題があったことは事実です。専門家から課題の指摘を受けていたことも事実です」と話しています。

なぜ不正アクセスを未然に防ぐことができなかったのか、そしてどんな集団が攻撃に関与しているとみられるのか。

サイバー犯罪に詳しい元千葉県警警部補・森雅人氏に話を聞きました。

GMOは「北朝鮮系のハッカー集団の関与の可能性含めて調査」

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GMOの幹部によると、今回の事案は北朝鮮系のハッカー集団が関与している可能性を含めて調査をしているということです。

森氏は「可能性は濃厚」としつつも、今回の犯行集団は声明を出しているサイトで日本語や中国語を用いているほか、いわゆる“ブラフ(目くらまし)”を仕込んでいることから、北朝鮮の発信を装った別の犯行グループの可能性すらあるのではないかと推察しています。

「アメリカのサーバーに残っている情報」にもヒントか

【GMOサイバー攻撃】“北朝鮮系のハッカー集団”関与の可能性調査 一方で“手口の素人っぽさ”も 専門家「100万ドルの懸賞金は画期的」
MBS

犯行グループが使っていたサイトのサーバーをアメリカ当局が停止させたという報道について、森氏は、アメリカのサーバーに残っている情報には捜査をする上での重要なヒントが多く残っていると話します。

(元千葉県警警部補 森雅人氏)「そこからも北朝鮮につながっていく情報があるのかなと思います。今の段階では、GMOのネットワークに攻撃を仕掛けた痕跡を辿っていったらそのIPアドレスにたどり着いたと思うので、もう一つの捜査の道筋としては、そのアメリカのサーバーを辿っていくことで分かる部分も出てくると思いますね」

今回の攻撃の手口は“素人っぽい”?

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森氏は北朝鮮で最近話題となっているハッカー集団を例に、今回の件の“手口の素人っぽさ”を指摘します。

このハッカー集団は脅迫手段を用いずに、高度な技術的手法を駆使することでサイバー空間のお金、暗号資産があるところに直接攻撃を仕掛けて盗む手口だということです。

(元千葉県警警部補 森雅人氏)「今回は個人情報を盗み、それをさらすという分かりやすい脅迫をしています。それからアメリカのサーバーを使ってオープンソースで、捜査がしやすいフィールドを使っているというところも、手口が“素人っぽい”印象を受ける要因です」

GMOの懸賞金提示は「画期的」と専門家

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GMO側は10月27日、犯人特定に100万ドルの懸賞金を発表しましたが、これについて森氏は「捜査していた側から考えてみると、とても画期的なこと」だと話します。

(元千葉県警警部補 森雅人氏)「これまで警察が懸賞金をかけるケースはありましたが、今回サイバー攻撃を受けた企業自らが公的機関では提示できないほどの懸賞金を提示。日本国内のみならず世界中にリリースされているので、世界中にいるエンジニアが詳細に調査する協力体制ができるということなので、とても重要で強い犯人特定上のツールになるなと思いました」

そのうえで、このことが犯人特定につながるような大きな柱となるようであれば、今後の日本へのサイバー防御を考える上での大きな転換点になるのではないかと指摘しました。

「身代金」支払い後にシステム復旧できないケースも

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ランサムウェアの被害に関するデータによると、「身代金」を実際に払った企業は2026年調査で43.8%と、過去3年で減少傾向にあることが分かります(一般財団法人・日本情報経済社会推進協会「企業IT利活用動向調査2026」)。

こうした中で、身代金を支払ってしまった企業では「支払い後に実際にデータやシステム復旧ができた」ところよりも、「できなかった」ところの方が多いのが実態です。

そのため「身代金は払わない」というメッセージを打ち出す重要性が増しています。

「身代金を支払う企業」と認識されることの危険性

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また、森氏は身代金を支払うことで、「身代金を支払う企業」と世界中に知られてしまうことの危険性を説きます。

(元千葉県警警部補 森雅人氏)「今回の攻撃者が攻撃の手を止めても、そういった情報が出回ってしまえば、他の攻撃者が『この企業は乗っ取りに成功さえすればお金を払う企業だ』と、二の矢三の矢がほぼ間違いなく飛んでくることになると思います」

また、GMOのような大企業が身代金を支払ってしまうと「日本は狙い目」と捉えられ、ますますターゲットとなり、ありとあらゆる企業が攻撃のターゲットとなってしまう可能性があることから、今回のGMOの対応は極めて妥当な判断だと評価しています。

GMOが政府に要請「能動的サイバー防御」 法律には該当する?

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GMO側は2年前の時点でグループ内のセキュリティ会社からシステムの脆弱性について報告を受けており、放置していたわけではなく4回ほど緊急対応を実施していたと説明しています。

しかし、その上でサイバー攻撃を防ぐことはできませんでした。

今後の対策について森氏は「政府が法律を活用し、積極的に防御能力と技術力を高めるべき」としています。

GMOは今回の攻撃に関して政府に「能動的サイバー防御」を緊急要請していました。

10月に施行された「能動的サイバー防御に関する法律」では、該当すれば警察や自衛隊がサーバーを無力化することができます。

森氏は「重要インフラ施設に該当しないとはいえ大きな被害が出ていることから、今回のケースは能動的サイバー防御に該当する事態に至っている」とみていて、「自衛隊や警察は積極的に能動的サイバー防御を適用し、実績を積むことによって、能力を高めていってもらいたい」と述べました。

(2026年11月2日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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