Lightroomで人物の顔にかかった影を消したり、薄くして目立たなくする方法を解説します。
顔にかかった影をなくしてしまうと、立体感もなくなって表情がのっぺりしてしまうことがあるので、完全に消すことはあまりないかと思います。
*Lightroom Classic画面で解説しますがLightroom CCも基本的には同様の操作で補正可能です。
*Lightroom Classicは、記事公開時点で最新のバージョンを使用して解説しています。お使いのバージョンによってはツールの名前やパネルに表示される項目などが変更されている場合があります。
図1そこで、まずは[基本補正]パネルで全体の明るさなどを補正します。[露光量]や[ハイライト]、[白レベル]を下げて白飛びを極力抑え、[シャドウ]を上げて影の印象を和らげます(図2)。
図2。ここでは、[露光量:ー0.15]、[ハイライト:ー57]、[シャドウ:+66]、[白レベル:ー69]、[黒レベル:ー40]に調整した撮影したときは、このくらいの露出でもLightroom Classicで現像するときに補正すればギリギリ白飛びを抑えられるかなと思ったのですが、ちょっと厳しかったようですね。ひとまず、白飛びした部分はそのままにして作業を進めます。
図3。5つのアイコンが並んだツールストリップの、いちばん右にある[マスク]ツールを使用する下の方にある[人物]パネルに、 [すべて]、[人物1]、[人物2]と表示されます(図4)。
図4。[人物]パネルに [すべて]、[人物1]、[人物2]と表示される[すべて]の上にマウスポインターを合わせると、すべての人物に半透明の赤が重なった状態(オーバーレイ表示された状態)になります(図5)。
図5。[すべて]の上にマウスポインターを合わせると、すべての人物に半透明の赤が重なって表示される[人物1]の上にマウスポインターを合わせると左の人物に(図6)、[人物2]だと右の人物に半透明の赤が表示されます(図7)。
図6。[人物1]の上にマウスポインターを合わせると、片方の人物のみに半透明の赤が重なって表示される
図7。[人物2]の上にマウスポインターを合わせると、もう一方の人物に半透明の赤が重なって表示される今回のようにすべての人物を補正したい場合は[すべて]を選べばいいのですが、それだと後で人物ごとにマスクを細かく調整したくなった場合に融通がききません。そこで、ここでは別の方法を使います。まず[人物]パネルで[人物1]をクリックすると[人物マスクオプション]が表示されるので、その[人物1]の右横にある[追加]をクリックします(図8)。
図8。
図9。追加したい人物(この場合は[人物2])にチェックを入れて[続行]をクリックするこれで、人物をふたりとも選択することができました(図10)。
図10。ふたりの人物に半透明の赤が重なって表示される続いて[人物マスクオプション]で[顔の肌]と[体の肌]にチェックを入れて[マスクを作成]をクリックします(図11)。
図11。[顔の肌]と[体の肌]にチェックを入れて[マスクを作成]をクリックするマスクパネルを見ると、[人物1-顔の肌]、[人物2-顔の肌]……という具合に、人物ごと、パーツごとにマスクが作成され、それらが[マスク1]というグループにまとまっているのが分かります(図12)。これらグループ内のマスクは、それぞれ別個に編集したり、表示/非表示を切り替えたりすることが可能です(図13)。
図12。人物ごと、パーツごとにマスクが作成され、それらが[マスク1]というグループにまとまっているのが分かる
図13。[人物2-顔の肌]を非表示にした状態。片方の人物の顔のみ、マスクが非表示になっている(半透明の赤い表示が消えている)のが分かる人物を選択する際に[すべて]を選んでマスクを作成した場合は人物ごとにマスクが分かれてくれないので(図14)、人物単位で細かく調整したいときにちょっと不便なんですよね。
図14。人物を選択する際に[すべて]を選んでマスクを作成した場合は、人物ごとにマスクが分かれてくれないちなみに、[人物マスクオプション]画面のいちばん下にある[4個の別のマスクを作成]にチェックを入れてからマスクを作成すると(図15)、人物・パーツごとのマスクがグループにまとまらず、それぞれ独立したマスクとして作成されます(図16)。今回はとくにマスクを分ける必要がなかったのでチェックは入れていませんが、より細かく調整したい場合などに利用してみるといいでしょう。
図15。[人物マスクオプション]画面のいちばん下にある[4個の別のマスクを作成]にチェックを入れた場合
図16。[マスク1]、[マスク2]、[マスク3]……という具合に、人物・パーツごとに独立したマスクが作成される
図17。マスクパネルで[マスク1]が選択された状態
図18。ここでは[露光量:0.38]、[コントラスト:ー27]、[ハイライト:ー26]、[シャドウ:80]、[白レベル:ー31]、[黒レベル:ー4]に設定して影を目立たなくした影を調整したことで少し彩度が落ちてしまったので、[カラー]パネルで[色温度]や[彩度]を調整しておきました(図19)。
図19。ここでは[色温度:8]、[彩度:8]に設定して肌の彩度を調整したあとは髪の毛やキャップの明るさが気になりますね。
図20。マスクパネルの[新しいマスクを作成]をクリックして、サブメニューから“人物を選択”を選ぶ先ほどと同様に、人物選択画面で[人物1]を選んだあと(図21)、[人物マスクオプション]で[追加]をクリックし(図22)、[人物2]を選択して[続行]します(図23)。
図21。人物選択画面で[人物1]を選択する
図22。[人物マスクオプション]で[追加]をクリックする
図23。[人物2]を選択して[続行]をクリックする続いて[人物マスクオプション]の[髪]にチェックを入れて[マスクを作成]すると、髪の毛と帽子にマスクが作成されます(図24)。
図24。[人物マスクオプション]の[髪]にチェックを入れて[マスクを作成]をクリックするこの状態で、[露光量]や[ハイライト]、[白レベル]のスライダーを左に、[シャドウ]のスライダーを右に動かして、髪の毛や帽子を暗く調整すれば完成です(図25)。
図25。ここでは[露光量:ー0.15]、[ハイライト:ー57]、[シャドウ:+66]、[白レベル:ー69]に調整した元の写真と比べると、暗い部分が明るく、明るい部分が暗く調整されているのが分かります。
図26。元写真
図27。補正後の写真顔や首まわりの影だけを明るくしても不自然ですし、人物だけを明るくしても背景とのバランスが取れていないと違和感が出てくるので、全体を確認しながら自然な光を意識して補正しましょう。
●構成:編集部 ●構成+制作+写真:谷本夏[studio track72] ●編集:山口優
顔にかかった影をなくしてしまうと、立体感もなくなって表情がのっぺりしてしまうことがあるので、完全に消すことはあまりないかと思います。
ただ直射日光で影がくっきり写って邪魔をしている場合などは、できればそれを薄くしたいですよね。今回はそんなときに便利な方法です。
*Lightroom Classic画面で解説しますがLightroom CCも基本的には同様の操作で補正可能です。
*Lightroom Classicは、記事公開時点で最新のバージョンを使用して解説しています。お使いのバージョンによってはツールの名前やパネルに表示される項目などが変更されている場合があります。
■使用する機能「マスクツール(人物を選択)」「露光量」「コントラスト」「ハイライト」「シャドウ」「白レベル」「黒レベル」「色温度」「彩度」
目次- 1.全体の明るさを調整する
- 2.人物・パーツごとにマスクを作成する
- 3.マスクを利用して影を補正する
1.全体の明るさを調整する
まずは、Lightroom Classicで元の写真(図1)を読み込み、画面上側の[現像]を押して(Lightroom CCではディテール表示に切り替えたあと[編集]を選択)、現像モジュールを開きます。今回の写真は子どもふたりを撮影したものですが、コントラストが強くて肌が白飛びしています。直射なので仕方ありませんが、鼻の下に落ちている影などもけっこう気になります。

2.人物・パーツごとにマスクを作成する
全体の明るさを補正したら、[基本補正]パネルのすぐ上にある5つのアイコン(ツールストリップ)のうち、いちばん右にある[マスク]ツールをクリックします(図3)。





[人物マスクオプション]の[人物1]の右横にある[追加]をクリックするすると、別の人物を選択できるようになるので、追加したい人物(この場合は[人物2])にチェックを入れて[続行]をクリックします(図9)。








3.マスクを利用して影を補正する
人物の肌部分の影を補正していきます。先ほど作成した[マスク1]が選択された状態のまま(図17)、影が目立たないように[トーン]パネルで[シャドウ]のスライダーを右に、[ハイライト]や[白レベル]のスライダーを少し左に、[コントラスト]も少し左に動かして弱めます(図18)。


そこで、これらを調整していきましょう。まず、マスクパネルの[新しいマスクを作成]をクリックして、サブメニューから“人物を選択”を選びます(図20)。






また全体の明るさのバランスが取れていることも分かりますね(図26)(図27)。


●構成:編集部 ●構成+制作+写真:谷本夏[studio track72] ●編集:山口優

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