京都で放課後デイサービス「カラフルハウス」を運営しているOFFICE COLOfUL株式会社は、カラフルなキーボードと可愛いタイピングゲームのセット「KIBOT」を開発した。専用キーボードにはアルファベットなどの文字の表示がなく、色や形でキーを認識できる仕組みを導入。
このデザインの試みが非常に興味深い。

文字の代わりに色と形で認識するキーボード「KIBOT」のデザインのこだわり
専用キーボードと画面イメージ本製品は、主に文字を認識するのが困難な発達障害児童などの利用を想定して開発された。2022年に実施された文部科学省の調査で、公立小中学生の8.8%に学習障害やADHDと呼ばれる発達障害の可能性があると発表されたことも開発の背景の1つとなっている。

キーキャップには、丸や星などの親しみやすい形を採用。判別しづらい似たような色を使うことを避け、全てのキーに異なる色と形の組み合わせが選ばれた。これにより、たとえ文字を認識することが苦手でも、色や形の認識さえできればタイピングができる。

さらに、キーボード操作に飽きさせないための工夫として、タイピングゲームでは音の要素も採り入れられた。拍手や人の声などの反応しやすい音で、キーボードを押したときに正解か不正解かを認識しやすく、集中力も維持しやすい。

文字の代わりに色と形で認識するキーボード「KIBOT」のデザインのこだわり
「KIBOT」の色・形・音のこだわり正解・不正解によって動いたり表情を作ったりするキャラクターも導入。表情はハッキリしたものにしてあるため、意味の誤認が生じにくい。うまくタイピングができると成績やポイントが表示され、レベルアップされた新しいページが出現。発達障害のある子どもたちが楽しく遊びながら学び、モチベーションを保てるように、随所に工夫が盛り込まれている。


文字の代わりに色と形で認識するキーボード「KIBOT」のデザインのこだわり
動きなども加えて飽きさせない工夫操作はもちろんのこと、「始め方」もシンプルさにこだわった。施設管理者が専用キーボードと手持ちのパソコンをUSBでつないでログインを済ませれば、子どもたちは面倒なログインやパスワード入力を必要とせずに使える。気軽に始めたくなり、続けやすくするように、途中で「嫌になる」ような要素は極限まで削ぎ落とされている。

文字の代わりに色と形で認識するキーボード「KIBOT」のデザインのこだわり
文字の代わりに色と形で認識するキーボード「KIBOT」のデザインのこだわり
ゲームプレイ中の画面イメージこの「KIBOT」は、クラウドファンディングサイト「READYFOR」で2023年6月30日(金)までプロジェクトが実施され、目標金額の500,000円を達成した。今後は7月~8月末に支援者へのリターン品の随時配送が行われる予定だ。

本プロジェクトは「課題をクリアするために必要な工夫」や「デザインの力で社会に対して何ができるか」ということをあらためて見つめ直すきっかけにもなる事例と言えるだろう。それは現代において多様化する「デザイン」の概念の中でも、とても大切な本質である。

文字の代わりに色と形で認識するキーボード「KIBOT」のデザインのこだわり
施設で実際に使用する子どもたちOFFICE COLOfUL株式会社
URL:https://st.kibot.jp/

2023/07/04

文字の代わりに色と形で認識するキーボード「KIBOT」のデザインのこだわり
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