世界的なフォントメーカーとして知られるMonotype社が、2023年7月にフォントワークス株式会社の買収計画を発表した。
フォントワークスは現在はSBテクノロジー株式会社の連結子会社で、今回の件はSBテクノロジー側からも同時に発表された正式なもの。
取引完了後はフォントワークスはMonotype傘下となるフォントワークスは、年間定額制(サブスクリプション方式)のフォントサービスである「LETS」をはじめ、セレクトフォントの「mojimo」やWebフォントの「FONTPLUS」などを提供している日本国内屈指のフォントベンダー。“エヴァフォント”の愛称でも知られる「マティスEB」など、アニメ・ゲーム・TVの分野で使われている書体も多く、プロのデザイナーのみならず広く世間に親しまれている。
フォントワークスは「エヴァフォント」でデザイナー以外にも“フォントの力”を強く意識させたメーカー
©カラー/Project Eva.フォントワークスの「LETS」のラインナップでは、これまでも「フォントワークスLETS」「イワタLETS」「モトヤLETS」「YOON LETS」「方正LETS」などとともに「Monotype LETS」が提供されてきた。これは、Helvetica、Frutiger、Optimaなど、世界的に有名な欧文フォントや多言語フォントを使えるサービス。つまり、フォントワークスとMonotype社は、今回の買収計画の発表以前にも深いパートナーシップでつながった会社どうしであったわけだ。両社は2017年4月に事業提携を結んでいる。
【画像D】
フォントワークスは既に「Monotype LETS」を提供している(「LETS」Webサイトより)
https://lets.fontworks.co.jp/monotype今回の買収計画でフォントワークスがMonotype傘下に入ることは大きなトピックではあるものの「その結果、一体ユーザーにはどのような影響があるのか?」は今のところまだ見えにくい。
日本語書体がグローバル展開されることで海外のユーザーには恩恵がありそうだ。しかし、既に現在の体制でも「Monotype LETS」は提供されていることもあり、具体的なメリットがユーザー側からは明確には分かりづらい部分もある。SNSなどでもユーザーから「LETSはどうなるのか」「何か変更が加わることもあるのか」という期待と不安の声は散見された。
ちなみにMonotype社は独自の日本語書体もリリースしており、今後はそのような動きのさらなる加速も期待したいところ。
そのお知らせによると、第1弾は発表と同時の100書体の追加。2023年10月に第2弾として369書体、さらに買収が終了しているであろう2024年2月に第3弾として522書体の追加提供スタートが予定されている。単純にこのお知らせだけを見ると「Monotype LETSの基本的な提供スタイルはこれまで通りで変わらず、買収計画に伴ってよりサービスが強化されるメリットがあるということなのかな」との見方もできるだろう。
ただし、あくまでもこれは1つの見方で、決してMonotype社やフォントワークスから正式に「今後のLETSがどうなるか」が示されたわけではない。冷静に考えればそれは当然のことで、買収に伴う正式な取引完了はまだ少し先の話であるからだ。
今回の件についてMonotype株式会社に問い合わせたところ、「MonotypeとFontworksの協業により、今後はより多くのフォントライブラリーを国内外のユーザーにお届けできるようになります。今後もMonotype Fonts、Monotype LETSやFontworks LETSを通して、機能性、デザイン性にすぐれた高品質な書体をお届けいたします。ご期待ください」との回答であった。
創業30周年を迎えたフォントワークスの今後に注目。画像は新たに制作された記念ロゴフォントワークスは、2023年8月9日(水)で記念すべき創業30周年を迎えた。
フォントワークス株式会社/Monotype株式会社/SBテクノロジー株式会社
URL:https://fontworks.co.jp/
URL:https://www.monotype.com/jp
URL:https://www.softbanktech.co.jp/
2023/08/10
フォントワークスは現在はSBテクノロジー株式会社の連結子会社で、今回の件はSBテクノロジー側からも同時に発表された正式なもの。
取引完了は2023年第3四半期(10~12月)中が予定されており、それによってフォントワークスはSBテクノロジーの連結子会社ではなくなる。


©カラー/Project Eva.フォントワークスの「LETS」のラインナップでは、これまでも「フォントワークスLETS」「イワタLETS」「モトヤLETS」「YOON LETS」「方正LETS」などとともに「Monotype LETS」が提供されてきた。これは、Helvetica、Frutiger、Optimaなど、世界的に有名な欧文フォントや多言語フォントを使えるサービス。つまり、フォントワークスとMonotype社は、今回の買収計画の発表以前にも深いパートナーシップでつながった会社どうしであったわけだ。両社は2017年4月に事業提携を結んでいる。

フォントワークスは既に「Monotype LETS」を提供している(「LETS」Webサイトより)
https://lets.fontworks.co.jp/monotype今回の買収計画でフォントワークスがMonotype傘下に入ることは大きなトピックではあるものの「その結果、一体ユーザーにはどのような影響があるのか?」は今のところまだ見えにくい。
日本語書体がグローバル展開されることで海外のユーザーには恩恵がありそうだ。しかし、既に現在の体制でも「Monotype LETS」は提供されていることもあり、具体的なメリットがユーザー側からは明確には分かりづらい部分もある。SNSなどでもユーザーから「LETSはどうなるのか」「何か変更が加わることもあるのか」という期待と不安の声は散見された。

画像は2022年2月に発売された「Shorai Sans」フォントワークスのMonotype傘下入りの計画が発表されたのは7月19日(水)のこと。その1週間後の7月26日(水)にはフォントワークスから「【Monotype LETS】100書体の追加リリースに関するお知らせ」が発表され、「Monotype LETS」での全991書体の追加リリースが決まったことが公開されている。
そのお知らせによると、第1弾は発表と同時の100書体の追加。2023年10月に第2弾として369書体、さらに買収が終了しているであろう2024年2月に第3弾として522書体の追加提供スタートが予定されている。単純にこのお知らせだけを見ると「Monotype LETSの基本的な提供スタイルはこれまで通りで変わらず、買収計画に伴ってよりサービスが強化されるメリットがあるということなのかな」との見方もできるだろう。
ただし、あくまでもこれは1つの見方で、決してMonotype社やフォントワークスから正式に「今後のLETSがどうなるか」が示されたわけではない。冷静に考えればそれは当然のことで、買収に伴う正式な取引完了はまだ少し先の話であるからだ。
今回の件についてMonotype株式会社に問い合わせたところ、「MonotypeとFontworksの協業により、今後はより多くのフォントライブラリーを国内外のユーザーにお届けできるようになります。今後もMonotype Fonts、Monotype LETSやFontworks LETSを通して、機能性、デザイン性にすぐれた高品質な書体をお届けいたします。ご期待ください」との回答であった。

同社はこれまでも高品位なフォントの提供はもちろんのこと、フォントにまつわる積極的な情報発信や丁寧なサポートなど、ユーザーに対してしっかりと向き合い寄り添ってきた印象の強いフォントメーカーである。アニバーサリーイヤーを迎え、Monotype傘下となる大きな変化も控えて、さらなる今後の動向に注目していきたいところだ。
フォントワークス株式会社/Monotype株式会社/SBテクノロジー株式会社
URL:https://fontworks.co.jp/
URL:https://www.monotype.com/jp
URL:https://www.softbanktech.co.jp/
2023/08/10

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