BlackBerryは8月8日、生成AIを使用する企業方針についての調査結果を発表した。ChatGPTと生成AIの職場での使用について、企業の75%が利用禁止あるいは禁止の検討をしていることがわかった。
セキュリティリスクへの対応として、一部の企業では生成AIの禁止を一時的なものでなく、長期的または恒久的な実施にするとしている。

生成AIの利点とリスク

生成AIは様々な面でメリットがあると多くの企業が考えている。具体的な数値としては効率性(55%)、イノベーション(52%)の向上、創造性の強化(51%)といった利点があると回答した。しかしその一方で、83%の企業が未保護のアプリが企業のIT環境にサイバーセキュリティの脅威をもたらすと懸念している。

BlackBerryのCTOであるシシール・シン氏は、職場での生成AI利用に対し、慎重かつダイナミックなアプローチを取るよう企業に呼びかけている。生成AIの使用を禁止することは「潜在的なビジネスメリットの宝庫が台無しになる」としつつ、セキュリティの懸念を克服するために「職場で使用されるアプリケーションの可視化、監視、管理のために適切なツールを導入すること」が重要であると説明した。

調査結果からわかることは多くの企業にとって生成AIはメリットを享受するものというよりは、懸念が大きいために導入ができないものになっているようだ。75%の企業が生成AIについて禁止措置を実施し、そのうちの61%の企業については禁止措置を長期的または恒久的な対応にするということが判明した。

83%の企業が安全ではないアプリケーションが、IT環境にサイバーセキュリティの脅威をもたらすのではないかと心配している。

回答者の75%がChatGPTや生成AIの職場利用を禁止、IT企業責任者を対象に調査結果をBlackBerryが発表

制限の一方で“過剰な管理”という意見も

本調査は2023年6月から7月にかけて、BlackBerryに委託された調査会社が行った。対象者は北米や欧州、日本、オーストラリアのIT領域における意思決定者2,000人とされている。

回答者の80%は組織が従業員の業務目的でのアプリケーション利用を制限する権利があると答えたが、それと同時に相反する回答として、職場用デバイスやBYOデバイス(自前で職場に持ち込むデバイス)に対する過剰な管理であるという意見も74%出ている。

上記の結果が示しているように、現状では生成AIの性能や安全性について不安定な部分が多く、企業の職場環境に持ち込むことを心配する意見があるのは当然の結果とも考えられる。
生成AIを提供するさまざまな企業やプラットフォームが登場したり、提供されているものが安定化していくことがあれば、企業の積極的な導入が進むだろう。生産性の向上やイノベーションといったメリットが多く期待できるため、サイバーセキュリティ面での安全性が高まっていくことを期待したい。

関連ページ:調査結果 

BlackBerry 
URL:https://www.blackberry.com/ja/jp 

2023/08/18

回答者の75%がChatGPTや生成AIの職場利用を禁止、IT企業責任者を対象に調査結果をBlackBerryが発表
編集部おすすめ