Unityは2024年1月1日より、新しい「Unity Runtime Fee」を導入すると発表した。ゲームの収益とダウンロード数を基準にした料金体系で、インストール数が増えるほど利用料金が発生する仕組みとなっているため、ヒット作を抱えるゲーム開発者の収益に大きな影響を及ぼす可能性がある。
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Unity PersonalやUnity Plusを使用する場合、過去12カ月の収益が200,000USドル(約29,500,000円)以上、インストール数が20万回以上の場合に課金される。一方、Unity ProやUnity Enterpriseを使用する場合は、収益が1,000,000USドル(約147,600,000円)以上、インストール数が100万回以上となっている。
新しい料金体系では、ゲームがダウンロードされる度にUnity Runtime(ゲームを動かすためのコード)もインストールされることを考慮している。この料金は収益分配とは異なり、初期インストールを基準とした料金体系となっている。
Unity ProやUnity Enterpriseのユーザーは、ボリュームディスカウントが適用され、Runtime Feeのインストール費用が大幅に減額される。リリースしたゲームの売れ行きに合わせて、Unityのライセンス費用の負担を相殺することを目的にしているという。
ゲームの収益化が異なる地域に応じた料金体系が構築されている。これは北米やヨーロッパなどの成熟した市場と、インドなどの新興市場の間での料金の違いを考慮している。
パズルアドベンチャー「Paper Trail(ペーパートレイル)」の開発者として知られるHuenry Hueffman氏が「私たちのUnityのゲームを購入してもいいければ、インストールはしないでください」とX(旧Twitter)にポストするなど、Unityの発表に反発する声が出ている。日本ではシミュレーションゲームを多くリリースしているカイロソフトが「Unity Runtime Fee」の影響を受ける可能性があることを発端に、「カイロゲームはUNITYで作っちゃってるよバンドル」というセールをSTEAMにて実施している。バンドルは第二弾も実施されており、「Unity Runtime Fee」が導入される前の年内に購入してもらうおうという方針で大きく舵を切っている。
9月18日には、Xにてユーザーの質問や意見を真摯に受け止め、FAQの更新やフォーラムでの議論を促すアナウンスが行われた。Unityはコミュニティやパートナーとのコミュニケーションを重視する姿勢を取るようだ。具体的な情報については公開されていないが、今後の発表に注目が集まっている。
関連ページ:https://blog.unity.com/ja/news/plan-pricing-and-packaging-updates
Unity Technologies
URL:https://unity.com/ja
2023/09/20
新料金体系の適用に伴い新しいサブスクリプションプランにAI機能やDevOpsツールなどが追加されるとしているが、今、多くのゲーム開発者から反発の声が出ている。
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収益とインストール数のしきい値について
Unity Runtime Feeは、特定の条件を満たすゲームに適用される料金体系だ。ゲームの過去12カ月の収益と累計インストール数が一定のしきい値を超えた場合に課金される。Unityの主張としては、大きな成功を収めるまで、開発者には料金が発生しないようにするためとしている。Unity PersonalやUnity Plusを使用する場合、過去12カ月の収益が200,000USドル(約29,500,000円)以上、インストール数が20万回以上の場合に課金される。一方、Unity ProやUnity Enterpriseを使用する場合は、収益が1,000,000USドル(約147,600,000円)以上、インストール数が100万回以上となっている。
新しい料金体系では、ゲームがダウンロードされる度にUnity Runtime(ゲームを動かすためのコード)もインストールされることを考慮している。この料金は収益分配とは異なり、初期インストールを基準とした料金体系となっている。
収益に関わらずUnity Personalが利用可能に
これまでUnityをゲーム開発で利用するためには収益によってProやEnterpriseの契約が必要であったが、2024年1月1日の新しいポリシーの適用に伴い誰でもUnity Personalを利用可能となる。ただしゲームの収益とインストール数がしきい値を超えると、インストールごとの定額料金が発生する。Unity ProやUnity Enterpriseのユーザーは、ボリュームディスカウントが適用され、Runtime Feeのインストール費用が大幅に減額される。リリースしたゲームの売れ行きに合わせて、Unityのライセンス費用の負担を相殺することを目的にしているという。
ゲームの収益化が異なる地域に応じた料金体系が構築されている。これは北米やヨーロッパなどの成熟した市場と、インドなどの新興市場の間での料金の違いを考慮している。
なお新ポリシーの計測は2024年1月1日から開始され、それ以前のインストールには適用されない。
ゲーム開発者からは反発の声
これまでUnityは小規模であれば無料で利用できることから、インディーゲーム開発者から重宝されていた。しかし新料金体系では、小規模のインディーゲーム開発者であっても影響を受ける可能性があることから、反発の意見が出ている。これまで無料で利用できる想定でゲーム開発を行っていた小規模な開発者からすると、ある種の“だまし討ち”とも捉えられかねない変更だ。パズルアドベンチャー「Paper Trail(ペーパートレイル)」の開発者として知られるHuenry Hueffman氏が「私たちのUnityのゲームを購入してもいいければ、インストールはしないでください」とX(旧Twitter)にポストするなど、Unityの発表に反発する声が出ている。日本ではシミュレーションゲームを多くリリースしているカイロソフトが「Unity Runtime Fee」の影響を受ける可能性があることを発端に、「カイロゲームはUNITYで作っちゃってるよバンドル」というセールをSTEAMにて実施している。バンドルは第二弾も実施されており、「Unity Runtime Fee」が導入される前の年内に購入してもらうおうという方針で大きく舵を切っている。
反発を受けてUnityが謝罪と変更を検討中
Unityは9月17日に編集者注という形で、新しいRuntime Feeポリシーの発表に対する混乱や懸念を受けて、謝罪と変更の意向を示した。ポリシーの変更に向けての取り組みが進められているという。9月18日には、Xにてユーザーの質問や意見を真摯に受け止め、FAQの更新やフォーラムでの議論を促すアナウンスが行われた。Unityはコミュニティやパートナーとのコミュニケーションを重視する姿勢を取るようだ。具体的な情報については公開されていないが、今後の発表に注目が集まっている。
関連ページ:https://blog.unity.com/ja/news/plan-pricing-and-packaging-updates
Unity Technologies
URL:https://unity.com/ja
2023/09/20

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