Photoshopで風景写真を小さな惑星の画像に加工する方法を紹介します。通常の画角の写真をステレオ投影風や、360度カメラ(全天球型)で360度全方位を撮影したようなパノラマ写真風に表現できる手法です。
*本連載はPhotoshopで作る定番グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。
【Photoshop】惑星風写真/ステレオ投影風/360度パノラマ写真風の表現:
まずは実際に作りたいビジュアルよりも少し大きめのサイズ(ここでは[幅:2000ピクセル]、[高さ:2000ピクセル]、[解像度:350ピクセル/インチ])で新規ファイルを作成したら、元になる写真素材を開き、コピー&ペーストで作成したファイルに配置する(図1)。
図1。元になる写真素材を配置したところ。ここでは天地をカンバスサイズに合わせ、左右はカンバスからはみ出すように配置しているレイヤーパネルで元写真のレイヤーを選択したあと、編集メニュー→“変形”→“拡大・縮小...”を選び、配置した写真のバウンディングボックスのハンドルをドラッグして横幅を少し縮める(図2)。
図2。写真の横幅を少し縮めておく次に切り抜きツールを選択したら、オプションバーの[角度補正]のアイコンをクリックして有効にし(図3)、写真の水平線をなぞるようにドラッグして水平の角度を補正しておく(図4)。
図3。オプションバーで[角度補正]のアイコンをクリックして有効にする
図4。写真の水平の角度を補正した状態続いてオプションバーを[塗り:コンテンツに応じた塗りつぶし]に設定(Photoshopの旧バージョンの場合は[コンテンツに応じる]にチェックを入れてオンに)したら(図5)、切り抜き境界線のハンドルをドラッグして下方向にカンバスを拡大し(図6)、オプションバーの[○]をクリックして切り抜きを確定する(図7)。
図5。オプションバーで[塗り:コンテンツに応じた塗りつぶし]に設定する(旧バージョンの場合は[コンテンツに応じる]にチェックを入れる)
図6
図7。画像に合わせて自動的にカンバスの余白部分が生成された画像(ここでは水面の画像)で塗りつぶされるイメージメニュー→“カンバスサイズ...”を選び、[高さ]の数値を[幅]に合わせ、[基準位置]を下辺中央に設定して適用すると(図8)、「新しいカンバスサイズが現在のカンバスサイズより小さくなるため、画像の一部が切り取られます。」という警告が表示されるので[続行]をクリック(図9)。
図8。[高さ]と[幅]の数値を小さい方に揃えておく(ここでは[高さ]の数値を[幅]に合わせて[1993pixel]とした)。また[基準位置]を下辺中央に設定する
図9
図10このとき、画像がカンバスからはみ出ていて画面に表示されていない部分があるので、切り抜きツールでカンバスサイズに合わせてトリミングしておく(図11)。
図11【Photoshop】惑星風写真/ステレオ投影風/360度パノラマ写真風の表現:
風景写真を惑星画像に加工していく。長方形選択ツールで写真の左端の部分に選択範囲を作成し(図12)、コピー&ペーストしたあと、編集メニュー→“変形”→“水平方向に反転”を実行し(図13)、移動ツールでドラッグして画像の右端に配置する(図14)。
図12。写真の左端の部分に選択範囲を作成する。ここではちょうど左端のビルが選択されるようにした
図13。コピー&ペーストした画像を水平方向に反転する
図14。水平方向に反転した画像を右端に配置するこの右端に配置したレイヤーをレイヤーパネルで選択したら、パネル下部にある[レイヤーマスクを追加]ボタンをクリックしてレイヤーマスクを追加する(図15)。
図15。この時点のレイヤーの状態。
図16。ブラシを加える前
図17。ブラシを加えて画像の境界をなじませた状態。ブラシツールのオプションバーでブラシプリセットピッカーを開き、ソフト円ブラシなどのボケ足の大きいブラシを選んで画像の境界部分にブラシを加えていくとなじませやすいレイヤーパネルで元写真のレイヤーと右端に配置したレイヤーを両方とも選択したら、レイヤーメニュー→“レイヤーを結合”を実行(図18)。イメージメニュー→“画像の回転”→“180°”を適用して画像を逆さまにする(図19)。
図18。この時点のレイヤーの状態。元写真と右端に配置してレイヤーマスクを加えたレイヤーを結合してひとつにまとめておく
図19続いて、フィルターメニュー→“変形”→“極座標...”を[直交座標を極座標に]で実行する(図20)(図21)。
図20。
図21必要に応じ、編集メニュー→“変形”→“回転”を選択。カンバスの外側にマウスポインターを移動するとポインターがカーブした双方向の矢印に変わるので、shiftキーを押しながらドラッグして画像の向きを調節しておく(図22)(図23)。
図22。shiftキーを押しながらドラッグすると15°単位で固定されて画像を回転できる。ここではー90°回転してビルが上の方にくるよう調整した
図23さらに人物の写真素材を開き、コピー&ペーストで惑星画像の最前面に配置する(図24)。
図24。人物写真を開き、選択範囲メニュー→“被写体を選択”を実行すると人物部分にだけ選択範囲を作成できる。必要に応じてなげなわツールなどでうまく選択されていない部分を修正してから、コピー&ペーストで惑星画像の最前面に配置する。上の方からのアングルで撮影した人物写真を使うと効果的【Photoshop】惑星風写真/ステレオ投影風/360度パノラマ写真風の表現:
人物が小惑星に立って見えるように、画像を微調整してグラフィックを仕上げていく。まずレイヤーパネルで惑星と人物のレイヤーをふたつとも選択したらcommand+Cキー(Macの場合。WindowsではCtrl+Cキー)でコピーしておく。続いて新規ファイルを[幅:1200ピクセル]、[高さ:900ピクセル]、[解像度:350ピクセル/インチ])で作成したら、command+Vキー(Macの場合。
図25。新規ファイルに人物と惑星のレイヤーをコピー&ペーストで配置する次に、レイヤーパネルで惑星と人物のレイヤーをふたつとも選択したら、レイヤーメニュー→“レイヤーを結合”を実行。結合したレイヤーが選択された状態で、フィルターメニュー→“ぼかしギャラリー”→“虹彩絞りぼかし...”を選択すると、楕円(ぼかしプレビュー領域)が表示されるので、その中心のピンをドラッグして人物の画像に合わせる(図26)。
図26。画像の上に表示される楕円がぼかしプレビュー領域。その内側にマウスポインターを移動したとき、中心に表示される小さな丸いドットがピン。ピンをドラッグするとぼかしプレビュー領域を移動できるので、人物に合わせて配置する続いてぼかしプレビュー領域の円周にある小さなドットをドラッグしてぼかす範囲を調整したり、ぼかしプレビュー領域の内側にある少し大きめのドットをドラッグしてぼかしのフェード領域の幅を調整(図27)。さらにピンを囲むドーナツ状のハンドルをドラッグして、ぼかしの度合いを調節する(図28)(図29)。
図27。ぼかしプレビュー領域の円周上にある4つの小さなドットにマウスポインターを合わせるとカーブした双方向の矢印に変わる。その状態でクリック&ドラッグするとぼかしプレビュー領域のサイズや向きを調整できる。
図28。ぼかしプレビュー領域の中心にあるピンを囲んでいるドーナツ状のハンドルをドラッグすると、ぼかしの度合いを調整できる。ぼかしツールパネルでスライダーをドラッグしても同じ調整が可能
図29。ぼかしツールパネル。ぼかしプレビュー領域の中心にあるピンを囲んでいるドーナツ状のハンドルをドラッグすると、こちらの数値も同時に変化する。ここでは[ぼかし:5px]になるよう調整した人物の周囲を自然な感じにぼかすことができたらオプションバーの[OK]をクリックして効果を確定(図30)。続いて結合したレイヤーが選択された状態のまま、レイヤーメニュー→“レイヤースタイル”→“カラーオーバーレイ...”を[描画モード:ビビッドライト]、[オーバーレイのカラー]を水色(ここでは16進数カラーコード[#00ceff])、[不透明度:10%]で適用する(図31)(図32)。
図30
図31。レイヤースタイルの[カラーオーバーレイ]を[描画モード:ビビッドライト]、[オーバーレイのカラー]を水色(ここでは16進数カラーコード[#00ceff])、[不透明度:10%]に設定する
図32ここでは、さらに文字要素などを配置して完成とした(図33)。
図33。完成ビジュアル以上、Photoshopで風景写真を小さな惑星の画像に加工する方法(ステレオ投影風/全天球型の360度カメラで360度全方位を撮影したパノラマ写真風)でした。
*本連載はPhotoshopで作る定番グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。
■使用する機能「拡大・縮小」「切り抜きツール」「長方形選択ツール」「水平方向に反転」「移動ツール」「レイヤーマスク」「ブラシツール」「画像の回転」「極座標」「虹彩絞りぼかし」「カラーオーバーレイ」
目次【Photoshop】惑星風写真/ステレオ投影風/360度パノラマ写真風の表現:
1.ベースとなる風景写真を用意する
まずは実際に作りたいビジュアルよりも少し大きめのサイズ(ここでは[幅:2000ピクセル]、[高さ:2000ピクセル]、[解像度:350ピクセル/インチ])で新規ファイルを作成したら、元になる写真素材を開き、コピー&ペーストで作成したファイルに配置する(図1)。
Photoshopで表現する惑星風写真/ステレオ投影風写真/360度パノラマ写真の元になる写真素材を配置






これにより画像がスクエアな形になる(図10)。




【Photoshop】惑星風写真/ステレオ投影風/360度パノラマ写真風の表現:
2. 風景写真を小さな惑星画像に加工する
風景写真を惑星画像に加工していく。長方形選択ツールで写真の左端の部分に選択範囲を作成し(図12)、コピー&ペーストしたあと、編集メニュー→“変形”→“水平方向に反転”を実行し(図13)、移動ツールでドラッグして画像の右端に配置する(図14)。



水平方向に反転して右端に配置したレイヤーにレイヤーマスクを追加する。サムネールの周囲に白い線が表示されている状態が選択された状態追加したレイヤーマスクサムネールが選択されているのを確認し(選択されていない場合はクリックして選択し)、[描画色]を黒に設定。ブラシツールで画像の境界部分にブラシを加えてなじませていく(図16)(図17)。





[直交座標を極座標に]に設定する

Photoshopで表現した惑星風写真/ステレオ投影風写真/360度パノラマ写真の風景部分が完成


Photoshopで表現した惑星風写真/ステレオ投影風写真/360度パノラマ写真の風景部分のサイズ感を調整

【Photoshop】惑星風写真/ステレオ投影風/360度パノラマ写真風の表現:
3. 人物の周辺をぼかして色味を調整する
人物が小惑星に立って見えるように、画像を微調整してグラフィックを仕上げていく。まずレイヤーパネルで惑星と人物のレイヤーをふたつとも選択したらcommand+Cキー(Macの場合。WindowsではCtrl+Cキー)でコピーしておく。続いて新規ファイルを[幅:1200ピクセル]、[高さ:900ピクセル]、[解像度:350ピクセル/インチ])で作成したら、command+Vキー(Macの場合。WindowsではCtrl+Vキー)でペーストして、それぞれサイズや位置を調整して配置する(図25)。

Photoshopで表現した惑星風写真/ステレオ投影風写真/360度パノラマ写真の土台に人物を乗せた写真

Photoshopで表現した惑星風写真/ステレオ投影風写真/360度パノラマ写真に人物を乗せてその周りのボケ感をぼかしフィルターで調整

ぼかしプレビュー領域の内側の少し大きめのドットをドラッグすると、ぼかし効果のかかっている部分を調整できる



Photoshopで表現した惑星風写真/ステレオ投影風写真/360度パノラマ写真に人物が立っている状態がほぼ完成


Photoshopで表現した惑星風写真/ステレオ投影風写真/360度パノラマ写真が完成

Photoshopで表現した惑星風写真/ステレオ投影風写真/360度パノラマ写真に、文字要素などを足したビジュアル

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